表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
不思議な事件が起こる学校で【原作版】  作者: 楠木 翡翠
第6章 9月 テレビ撮影で起きた悲劇〜バトルと映像と音声のハーモニー〜
13/36

9話 2人の正体を探る者達

 生物室を覗いて見ると、2人の先生達が何やら話している。

 自分達が受け持っているクラスの生徒が誘拐され、さらには洗脳までされてしまったというショック感に浸っていた。


「……。まさか、夏川が誘拐されたなんて……。あり得ない……」

「そうだよな……。意外すぎるよ……」


 次の瞬間、カシャッ! とカメラのシャッター音が2人の耳に聞こえてきたようだ。


「今、カメラのシャッター音、聞こえなかった?」

「うん、聞こえた」

「誰だろう……」

「校内のバカが号外でも作るんじゃないのか? そうじゃなかったら……」

「ないない! でも、ありえるかも……」


 2人が話している間に遠くに消えていく足音。

 その足音を立てていたのは洗脳されている紫苑である。

 そして、彼女はカメラをしまいながら口元に笑みを浮かべ冷ややかな声で、


「あの2人の正体を暴いてやるわ……! 絶対に!」


と脅すような口調で彼女は教室に向かった。



 *



 紫苑が教室に戻ると、クラスメイト達は心配していたようで、彼女に近づいてくる。


「紫苑、大丈夫だった?」

「大丈夫だよ」

「何かあったら、うちらに言ってね?」

「うん、ありがとう」


 彼女は見た目の洗脳は解かれたようだが、中身は変わらず洗脳されたままの哀れな少女である。


「今日はいろいろあったから疲れたでしょ?」

「うん」

「なら、部活休んだら? 福山先生に伝えておくよ?」

「じゃあ、そうしようかな。今日は休むね」

「了解! また来週ね、バイバーイ!」

「バイバイ」


 クラスメイト達と別れ、彼女は家路についた。



 *



 月曜日の朝のショートホームルーム……。


「今日から当分の間、テレビ撮影は中止になったからね」

「えっ!?」

「先生、なんで!?」

「先週の金曜日に怪盗ベルモンドが出たからね……。それにピンチがピンチを呼ぶかもしれない……」

「また出るかもしれないってこと?」

「うん。かもしれない」

「そうか……」

「残念」


 そんな最中(さなか)、1人の女子生徒は一瞬ではあったが、ニヤリと笑う。

 表面上には表さず、心の中では高笑いをしたのであった。



 *



 やや時間が流れ、お昼の休憩時間に入った。

 1人の女子生徒があるパソコン室にいた。

 この学校のパソコン室は3ヶ所ある。以前にも描写したが、前は5学科の実業高校であった。

 1つは元商業科のパソコン室、1つは元家庭科のパソコン室、最後の1つは元農業科のパソコン室となっていた。

 しかし、現在3年生が1年生の時に実業高校から普通科に切り替わったため、パソコンを使う授業の時、先生達はどこのパソコン室にするか迷うことが時々ある。

 パソコンの授業が重なった時は便利だというメリットがある反面、教室からの距離が遠く、移動することに時間がかかるというデメリットもある。

 ちなみに、彼女がいるのは元家庭科のパソコン室である。



 *



 そのパソコン室のドアが開き、ベルモンドが姿を現した。


「こんにちは、ネオン」

「こんにちは、ベル」

「任務は順調か?」

「ええ」

「2人の先生の隠し撮りしておいた。是非、使ってくれ」

「どうも。実は私も隠し撮りをしていたのよ?」


 ネオンと呼ばれた女性はベルモンドから隠し撮り写真を受け取り、彼女が撮ったとされるそれを出した。


彼等(かれら)が正解かどうかは保証できないが」

「大丈夫。実際、私には2人の正体はもう分かっているわ……」


 ネオンはパソコンの電源を切り、彼女はそっと()を閉じた。

2014/11/24 本投稿

2015/08/13 改稿

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
小説家になろう 勝手にランキング

その他の作品はこちらから(シリーズ一覧に飛びます。)

cont_access.php?citi_cont_id=424034385&size=200
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ