怪奇事変 都市伝説
すみません、投稿遅れました;
第四十四怪 都市伝説
影を踏まれた者から、あの世に引きずられると言う都市伝説がこの街では流行していた。
とは言え、それは昔話で現在となった今は本当に都市伝説程度の認識に植え付けられた、単なるオカルト話である。
影踏みと呼ばれる妖怪の話である。
「何か面白いネタがあれば良いんだが」
そう切り出したのはオカルト部に所属している部長であった。
最近、オカルト部の活動は曖昧なものが多く、更には経費と言った部分で大半の出費を出して尚、成果がないと言った痛い所を生徒会に目を付けられ、来年以降の活動に見合った活動が無ければ停止処分……事実的には廃部と言った形になることに焦っていた。
部活動に所属するメンバーは少数だが、所謂学校側で何か活動に携わることをしなければならないと言った理由で、目的もなく入ってきた者も多い。
つまり大半は幽霊部員なのである。
本気で活動をしているのは部長と副部長、それから物好きな連中っと言ったところだろう。
自分に関してはただ興味本位とこの街で噂とされている“影踏み”について興味があったからだ。
昔、祖母がその影踏みについて良く話していたのを思い出して入部したってところだ。
「それならこの街に都市伝説に触れてみるのは良いんじゃないんですか?」
そう切り出すと、部長と副部長がこちらを向く。
「いや、あれは部の当初からやってきたことだから、あまり効果は——」
「ないと思いますけど、今までみんなが知ってる部分だけですよね?ならもっと根深いところまで情報を集めてアピールすれば、地元の都市伝説にも興味をもってくれる人は多いんじゃないかと思うんです、元々地元の都市伝説って宣伝が強みとしてあるぐらいですし」
「ふむ……」
少し考える部長。
まぁ無理もない、地域に根付いた都市伝説なんて最初から拾って紹介なんて腐るほどしたものだ。
今更その話にフォーカスを向けたところで集客など見込めないと思っているのだろう。
逆に文化祭などで見る側の視点なら、ああ地元の都市伝説か…程度に終わりそうだからな。
だが活動実績を残すと言った部分でちゃんとした理由を作りだせれば良いだけの話、これは歴史を紐解く内容として生徒会から評価されればいいし、そこに向けて経費と言った部分をちゃんと活動に当てて、尚且つ、見合った活動実績を取れれば評価になる訳だから、目的はそれでいいはず。
「よし、君の案で行こう。少しマイナーだが、地域に根付いているモノの真相を解くと言った意味で行動しようか」
そこからは自分と部長が中心になって動くこととなった。
とは言っても幽霊部員が多数在籍していることもあったり、この問題に真剣に取り組む人間となるとごく少数で、活動自体は5名程度ではあったが。
自分としては最大限活動して此処まで活動実績を残せましたよって言う成果させ生徒会に提出できれば問題ない。
それから予算については低コストでお金がかからないから問題はない。
大体の予算って文化祭やら所謂、オカルト系あるあるの廃村に行ってみた系で使うための機材へのお金系だから問題はないはず。
今回はそれに該当するか?となればしないからな、もしあったとしても元のある機材を活用すれば問題ない。
早速定番の図書館で探索していると簡単に都市伝説の本が見つかった。
内容は、夕暮れから活動を行す怪異として取り上げられている内容で、誰も姿形を見たことはないそうだ。
影踏み、つまり自分の影を何者かに踏まれると自分としての人格を失ってしまい、そのまま帰らぬ人となるそうだ。
或いは神隠しと言った類となるそうで、当時は夕暮れまで遊ぶ子供をターゲットとして子供攫いとも呼ばれていた別の顔を持っていたそうだ。
面白いことに探せば探すほど別方面の素顔が出てくるのもこの都市伝説の見どころだが、これは当時から調べはついていたことで根幹に関わる部分ではない。
例えばこの誰も正体を見たことがないのに噂が流れている内容に矛盾を感じる。
こういった内容を紐解く方が探求心を刺激されやすい人間からしてみれば面白いはずだ。
つまり図書館で得られた情報は当初の下調べから何も進捗してないと結論付けてその場をあとにする。
あとは……この地域の生き字引に聞いてみるのが一番早いかもしれない。
とは言っても地元で有名な生き字引となれば誰を指すのだろうか?
そこを部長や副部長に聞いてみたところ彼等も分からないようで、結局家に持ち帰り両親に聞いてみたところ1人の人物が見つかった。
平和島と呼ばれる苗字を持った高齢の老婆で、年齢は90を超えるほどらしい。
戦後の経験もあり様々な情報を知っていると言われていることから、彼女を訪ねてみれば色々とこの怪談話についても面白い情報が入手できるかもしれないと踏んだ。
当時は全くそこまで着手していなかったため、氷山の一角を削った程度の内容だったが、彼女の情報を元に色々と面白い内容が出てきそうだ。
翌日、実際にその高齢のお婆さんに遭うことになり、部長と時間を合わせて目的地に到着すると、まるでゲームのような展開だなと思った。
そこは駄菓子屋で全く人の入ってないのに、丁寧に並べられた駄菓子、店前に吊るされた干し柿と言った昭和を連想させるような店構えだった。
少し敷居の高い構造になっているのか、レジ前では座布団に正座をしながら目を瞑っている老婆が居た。
アレが両親に聞いたお婆さんで間違いないだろう。
早速話を聞こうと思い声をかけようとしたが、その行動は既に部長が行ってくれていた。
「あの、すみません!」
「んえ?」
「す・み・ま・せ・ん!」
そこまで声を大きくしなくともと思いながら近づき自分も声をかける。
「すみません、学校の…部活動の行事で少し地域に根付いた歴史を研究している者なんですが——」
「んえは?」
ダメだ、全然聞こえてない、ボケてしまっているんじゃないかと思われるぐらいに。
「影踏みについて聞きたいことがありまして——」
すると急に老婆の顔つきが変わった。
先ほどまで目を瞑って寝てるんじゃないかと思われていたが、目を見開いてこちらを見ている。
ゆっくりと言葉を吐き出す。
「影踏みやと……」
今までボケていたとは思えない程、饒舌な口調で話す老婆。
思わず部長も自分も緊張が走ったかのように聞き入ってしまう程に。
「影踏みは昔から、もののふの類とされちょる、今もおる。関わちゃあかん」
「今も?」
「そうじゃ、影踏みは人の影を糧にして生きながらちょる、誰も正体が分からぬ」
「その……誰も知らないのに、何で噂やそこまでの情報が分かるんですか?」
確信を突いた質問に一瞬、目を見開く老婆。
「儂は…見ちょった、ありゃー……数十年前の夕刻に妹が」
「……」
「妹さんがなにか?」
部長が確信に迫る情報を引き出そうとした瞬間——
「帰れー!!」
「「ッ!?」」
驚きのあまり声の出ない自分達を、傍らに置いてあった杖で攻撃してくる老婆。
「帰れ!帰れ!!影踏みがきちょる!はよ帰れ!!」
「い、行こう」
「は、はい」
急いで駄菓子屋をあとにする。
未だに老婆の声が届く中、聞こえない場所まで非難する部長と自分はようやく、声の届かない場所まで行き、一息つく。
「いや、驚きましたね、急に変貌するなんて……」
「ああ、事前に性格などを知っていればな、まさか今回の内容自体が地雷だったとは……」
そう言って気づいたことがあった。
「ぶ、部長」
「ん?」
「いや……その、部長——影が」
「ん?」
第四十四怪 影踏み
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