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変なやつまとめ

07 - 白線

作者: 櫻井ゼノン
掲載日:2026/04/10

あの道路の白線部分だけ渡るヤツをしたい。

私は子供の頃、横断歩道の白い所だけを渡った遊びを思い出していた。


しかし私はもういい大人だ。

そんなことをしていたら奇異の目に晒されてしまうし、なにより危険だ。


人とすれ違う時邪魔になるだろうし、

地面ばかり見ていたら、曲がってきた車に気づかないかもしれない。


でもやりたい。

大人だって遊びたい。

駄菓子が急に恋しくなる時だってあるんだ。


そうだ。道路でできないなら家でやればいい。

我ながら素晴らしいアイデアだ。早速やろう。


私はトイレットペーパーを一定の長さに切り分け、

ちょうど横断歩道くらいの太さになるように並べた。


うーん、もうちょっと太かったかな。

まぁいいや、飛んでみよう。


私は軽やかに一歩目を踏み出した。


私が足を乗せたトイレットペーパーとフローリングがお互い良い感じに作用し、

フィギュアスケートの選手がスケートリンクで開脚するように、

私の片足だけが前方になめらかかつ勢いよく滑っていった。


「アァッッッダアアァアー!!!」


恐怖のあまり奇声をあげてしまう。

ついでに股の痛みを避けるように体をねじったら、代わりにゴンと膝を強打した。


「アァォ…」と英語圏の俳優ばりの絞り出すような声を出して、

膝を高速でスリスリしながら床を何度もごろごろ転がる。


危なかった。

いや危なかったじゃねぇわ。終わってんだわ。


しかし前に滑るだけで良かった。

転倒して頭を打っていたらシャレにならなかった。


「家でトイレットペーパーを踏んで遊んでいたら生命の危機に瀕しました」

とでも説明するつもりだったのか。いやこれは危険だ。

絶対に誰もこんなことを真似してはならない。


私はトイレットペーパーを片付けると、膝をさすりながら再び思索を巡らせる。

そうだ。運動公園に行けばいいんじゃないか。似たようなものがありそうだ。


という訳で、次の休日、

私は近所の運動公園に来ていた。


うーん。タイヤすらないな。


私が通っていた小学校には、下半分が埋められた連なったタイヤがあって、

休み時間などあれの上を渡って遊んだものだが、

そういった物もここにはないようだった。


間隔をあけて埋め込まれた木製の道もないし、

歩ける場所は綺麗に整備されてしまっている。


私はガッカリとしながら、下を向いて石畳の道を歩いていた。

しかしそこでハッとした。石畳の色がとてもカラフルで、

モザイク柄のようになっているではないか。


これだ。しかも都合の良いことに、

白いブロックだけがかなり飛び飛びになっている。


私はつま先で白い部分だけを何度もぴょんぴょんと飛んでいく。

素晴らしい。これが私の求めていた物だったんだ。


私は童心に戻ったようで、

しばらくこの遊びに心を奪われていた。


そして私はこの運動公園に何度も何度も通い詰め、

白いブロックの上だけを飛ぶ訓練を積み重ねていたのだが、

偶然その足さばきを見た忍者に認められ、私も忍者になることになった。


私を含めた忍者たちは皆、運動公園でこの修行をするようになる。

周囲の者共も、我らの修行を邪魔せぬよう、遠くから見守るようになった。


それで良い。我らには崇高な使命がある。

そなたたちの振る舞いはいずれ世の礎となるのだ。


拙者はこの功績が認められ、気づけば忍者の里を束ねる長となっておった。

もはや我が忍者帝国があらゆる公園とかの白い所とかを、

悉く占拠とかする日も、そう遠くはないであろう。

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