プロローグ 終焉の蒼炎
ぼくたちの物語の始まりは――世界の終焉だった。
―――
満点の星々を背景に、あまりにも巨大すぎる青龍が咆哮していた。
――世界を震撼させる、大咆哮。
人々は絶望し、恐怖に駆られ――そして、ぼくたちと同じようにその光景に目を奪われていた。
「綺麗ね――」
「……うん」
君の言ったある意味ではまったく意味の分からない言葉に、ぼくは喉を詰まらせそうになりながら、ただ一言そう答えた。ただ、純粋にその通りだ、と納得していた。
星が――降っていた。
宇宙から、青龍の大咆哮に呼応するかのように、星々が流星となって降り注いでいたのだ。
大気圏を突破し、降り注ぐ巨大な岩の塊は真っ青に燃え盛る。
千を超える青き烈火が夜空を切り裂き、それはまるで――世界規模で繰り広げられるスペクタルショーのように世界を彩っていた。
こんなに鮮やかな夜空を僕は知らない。こんなに目を奪われる光景を目にしたことがない。
こんなに――絶望に埋め尽くされた瞬間に、でくわしたことがない。
ただひたすらに綺麗で、ただひたすらに輝いていて――ただひたすらの終焉を告げていた。
止められるわけがない。留める事のできない、星々の破壊がもうすぐこの地上を埋め尽くす。
ぼくら人々が絶滅するとか、全ての生物がほぼ生き残らないだろう、とか、そんな規模じゃない。
ぼくらが住むこの青い星ごと、青き焔は粉砕し焼き尽くす。跡形もなく。宇宙の塵と化すまで。
「――」
「っ!!?」
ぼくらは唇を重ねた。きっと君の方からだっただろう。甘くて柔らかい君の感触。
数秒そうして抱き合ったあと、口づけをやめて、抱きしめあったまま空を眺めた。
君を見つめるでも、君に触れるでもなく、ただただその光景に目を奪われた。
空を埋め尽くす青き焔は、絶望であり、破壊であり、終焉であるが――どうしようもなく輝いている。美しかった。
――あるいは、この光景を見るためなのであれば、世界が終焉しても仕方がないだろう、と納得してしまうだろうほどに。




