朝起きたら、未完結の作品が完結していた
【作者より】
※ 拙作はしいな ここみさま主催の「朝起きたら企画」に参加させていただいた作品です。
もしかしたら、「なろう作家あるある」かもしれません。(ないかもしれません)
チュンチュンと鳥の鳴き声がする。
うるさいなぁ……と思いながら僕は目を覚ました。
部屋のカーテンを開け、太陽の光を浴び、スマートフォンで「小説家になろう」を開く。
僕は趣味でこのサイトで活動しているが、ブックマークもポイントもあまりないなろう作家だ。
完結している作品はなく、5作品ほど連載中の作品が並んでいるはずなんだけど……。
「あれ? 連載作品が完結してる……」
そのうちの1作品が知らないうちに完結していたのだ。
確か、その作品は最後に更新したのは今から5年くらい前だったはず……。
このサイトは最後に更新してからある程度の期間休載すると『この連載作品は未完結のまま約○年以上の間、更新されていません。今後、次話投稿されない可能性が極めて高いです。予めご了承下さい。』とご丁寧に警告文らしきものが表示されるのだ。
それが完結してるのっておかしくない?
僕は「見間違いじゃないよな……」と思い、完結したであろう作品の「作品情報」を見る。
『完結済み 全50エピソード』
え? この作品、こんなに話数を重ねて完結していたの?
『感想 0件
レビュー 0件
ブックマーク登録 150件
総合評価 700pt』
なんだよ!? 完結してるのに感想とレビューなしかよ!?
でも、ブックマークが100件越えてるし、完結していることによってポイントも増えている!
連載作品が完結するとこんなに気持ちいいな! こんな感覚ははじめてだ!
「あ、ヤベッ……早く支度しなきゃ!」
朝食を食べ、身支度を整える。
ヘルメットを正しく被り(注・僕の職場はヘルメット着用を義務付けられている)、自転車で出勤。
遅刻スレスレでタイムカードを打刻し、業務に入る。
その日はとても充実した1日だった。
普段はプロジェクトの発表で緊張して失敗してしまうけど、今日は失敗せずに発表できたし、部長や主任に褒められたし!
今日はどこかのファミリーレストランに寄って、ちょっと贅沢な夕飯でも食べてから帰宅し、風呂に入って、幸せな気分で眠りについた。
そして翌日――
僕はいつも通り「小説家になろう」を開く。
『この連載作品は未完結のまま約5年以上の間、更新されていません。今後、次話投稿されない可能性が極めて高いです。予めご了承下さい。』
いつも見慣れたこの画面が表示されている。
「作品情報」を見ても変わらず、ブックマークもポイントもついていない。
「昨日のは夢だったのか……それとも、現実だったのか……?」
それはどうやら昨日の僕の目の錯覚だったらしい。
最後までご覧いただきありがとうございました。
2025/10/18 本投稿・誤字脱字修正




