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ステータスについて

「まず生命について」


 彼女はピンと人差し指を立てて、説明を始めた。


「これは寿命よ。ゼロになると死ぬわ」

「……なんか、自分の寿命が見えるって、嫌な感じですね」

「具体的な寿命を計算する式が分かっているけれど、興味あるかしら?」

「……えっと、まだやめときます」


 私が遠慮すると、彼女は口元に手を当てて肩を揺らした。

 とても無邪気な笑顔。まだ聞いていないけれど、きっと私よりも年下なのだろう。


「次に精神について。これは文字通り精神状態よ。ゼロになると失神するから注意しなさい」

「失神ですか?」

「言葉通りの意味よ。後は魔法に関わるのだけど、それはハルが魔法を覚えてからにしましょう」

「魔法って、私でも使えるんですかね?」

「分からないわね。ただ、多くの人は等級4までに覚えるらしいわよ。私の場合は、等級2になる少し前だったかしら?」

「えっ、ハルさん魔法が使えるんですか!?」

「そうよ。自分に作用する魔法だから見せられないのが残念だけれど」


 彼女は肩を竦めて言った。

 私は、ステータスと聞けば政治力とかに魅力を感じるお年頃だけれど、それでも「魔法が使える」と聞けば普通にテンションが上がる。……空とか飛べるのかな?


「次は物理ね。これは文字通り物理よ。物理的なこと全てに関わると思いなさい」

「……なるほど?」

「具体的な影響も研究で明らかになっているわよ。例えば走力。もちろん個人差はあるけれど、物理が100増える度に秒速1メートル速くなるわよ」

「……秒速1メートル」

「時速4キロ弱ね。微妙に感じるかもしれないけれど、現在の身体能力にそのまま加算される形だから、侮れないわよ」


 私の物理、今いくつだっけ?

 ──76です。


 わっ、えっと、システムさんだっけ?

 そっか76……えっ、めっちゃ上がってない!?


「次に物理耐性。文字通り物理的な現象に対する耐性よ」

「耐性の方は、何か指標とかあるんですか?」

「耐性1で物理2に耐えられるらしいわよ。例えばそうね……物理が1000になると、時速60キロくらいで走れるようになることは計算すれば分かると思うけれど、普通の人間が時速60キロで走ったら大変なことになるわよね?」

「……そう、ですね」


 公道で車と並走してるイメージかな?

 ……何それやばい。


「それに耐えられる程度の耐性が手に入ると思いなさい」

「分かりました」


 私の物理耐性は……

 ──76です。


 システムさん親切!

 あとこっちも上がってる! なんで!?


「次に特殊ね。これは脳のスペックだと思って頂戴」

「えっ、頭良くなるってことですか?」

「計算なんかは早くなるわね。でもそれだけよ。パソコンをイメージしなさい。スペックが上がれば処理が早く終わるけれど、急にノーベル賞を取り始めたりしないでしょう? つまりそういうことよ」

「……なるほど」


 因みに私の特殊は……

 ──76です。


 これも上がってる。……なんで?


「続いて特殊耐性ね。これは煽り耐性よ」

「煽り耐性」

「ええ、辛いことがあってもめげないようになるわ。等級が上がると効果が実感できるわよ」

「なるほど……」


 私、特殊耐性だけは多かったよね?

 ──385です。


 わおっ、桁違い!

 何と言うか、色々あっても落ち着いてるのはこれのおかげだったりするのかな?


「以上が私たちの能力に関わるステータス。そして、これらの値を上げるのが成長よ。人生経験や戦闘経験を積めば上がるわ」

「……戦闘経験」

「何度も言うけれど安心しなさい。ハルのことは私が守るから」

「……はい、お願いします」


 年下の女の子に守られるというのは、なんだか背徳感があるけれど、今は頷くことしかできない。


 ところで、私の成長って……

 ──26です。


 あっ、年齢と同じだ。

 でも昨日まで1とかだったよね? なんで急に……?


 ──読込処理が完了したからです。

 

 読込処理? 何それ?


 ──ステータスが発現する以前の人生経験を評価します。


 なるほど。大体1年あたり1成長するってこと……なのかな?


「さて、最後に等級について説明するわね」


 私は思考を中断して、姿勢を正した。

 私の等級を2にすること。それが彼女の仕事だと聞いた。


「等級についてはまだ謎が多いけれど、基本的には、何か大きなことを成し遂げた後で成長を99まで上げれば良いと言われているわね」

「……99まで」


 1年あたり1しか上がらない成長を……?

 やっぱり戦うと沢山上がるのかな?


「等級が上がるとステータスはグンと減少するわ。ただし、それ以前のステータスが消えるわけではない。等級が上がったことによるボーナスと一緒に、隠しステータスとして残るイメージね」

「ボーナス?」

「こちらも個人差はあるけれど、全ステータス2000に相当するという研究結果が出ているわよ」

「メッチャ多いですね……えっ、物理100で時速4キロ弱ですよね? つまり……時速百キロ以上で走れるようになるってことですか?」

「あら、計算が得意なのね。正解よ」

「……ニノさん、等級2って言ってましたよね?」

「そうよ。今度お姫様抱っこで走ってあげましょうか?」

「……遠慮しておきます」

「あら残念。気が変わったらいつでも言ってね」


 そして彼女はイタズラが成功した子供のように無邪気な笑顔を見せた。

 ……こんなに可愛い子が、時速百キロ以上で走るの? 何それ、やばい。


「そういうわけで、等級2になると組織を抜けられなくなるわよ」


 理屈は分かる。時速百キロ以上で走れる人が社会に登場したら、それはもう大変なことになるだろう。


「でも……その、等級2の人を、どうやって管理するんですか?」

「もちろん力よ。組織には等級5以上の化け物がウジャウジャ居ると思って頂戴」

「……なんかもう、想像できないですね」


 単純に物理10000として、時速400キロ弱。

 つまり新幹線より早く走れる人達がウジャウジャ……何それ怖い。


「以上でステータスの説明は終わりよ。何か気になることはあるかしら?」

「えっと、今のところ大丈夫です。ありがとうございます」

「そう、それは良かった」


 彼女はハァと息を吐いて、


「でも私には気になることがあるわよ」

「……なんでしょうか?」

「分からないのかしら?」


 彼女は急に真面目な顔をして立ち上がると、私の近くまで歩いた。


「私、ずっとタメ口なのだけれど」

「……そう、ですね」


 彼女は腰を曲げると、グッと私に顔を近付けた。


盟友(とも)にしてあげると、そう言ったはずなのだけれど?」


 ……友達っぽくタメ口で話せってことかな?

 でも何を言えばいいのだろう。私が言葉を探していると、彼女は軽く息を吸ってから言った。


「ヘイ、ハル? これからディナーなのだけれど、一緒にどうだい?」

「……お、オーケー、ニノ。私もお腹ぺっこぺこさ」


 彼女は満足そうな表情を浮かべて胸を張った。

 なんというか、愉快な子だなと、そう思った。


ーーー現在公開可能な情報 (ハル)ーーー


名称【深山小春】

年齢【26歳】

種族【人間】

性別【女性】

称号【透明な心】

等級【1】

成長【26/99】

生命【262K】

精神【151】

物理【76】

物理耐性【76】

特殊【76】

特殊耐性【385】

スキル【創造主の右眼】

魔法【】



称号【独り言の女王】

ニノーム【ワールド・イズ・マイン】

効果

・特殊耐性を15%上昇させる。また、独り言を発する度に精神が回復


スキル【創造主の右眼】

ニノーム【アブソリュート・コード】

効果

・対象に任意の効果を付与。成功率及び消費精神は、特殊、イメージ、対象の特殊耐性に依存

・視力向上



ーーー現在公開可能な情報 (ニノ)ーーー


名称【?】

年齢【17歳】

種族【人間】

性別【女性】

称号1【純白の命名者】

称号2【?】

等級【2】

成長【68/99】

生命【214K】

精神【361】

物理【705】

物理耐性【632】

特殊【999】

特殊耐性【429】

スキル【?】

魔法【?】



称号【純白の命名者】

ニノーム【アカシック・レコード】

効果

・特殊を15%上昇させる。また、命名する度に基礎値3(特殊)が1上昇


備考

称号【中二病】のユニーク級



※スキル、称号の文言が微妙に変わった場合、最新話を正としてください。

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