第1話 俺は妹達に嫌われている。
新作です。
平日の朝、俺は2階から降りてきた二人の妹に朝の挨拶をした。
「お、おはよう!」
「…………」
「…………」
俺の呼びかけに妹2人はため息で答えた。
いつものことだけど、返事をもらえないのは寂しい。
「あ、朝ごはんはテーブルに用意したから! そ、それじゃあ、俺はもう朝練に行くね! あと、いつも洗い物してくれてありがとう!」
妹2人は、再びため息を吐いてテーブルに座る。
う、うざかったかな?
でも、本当に助かってるから……
「じゃ、じゃあ行ってくる!」
俺は足早に家を出た。
俺がいると二人の邪魔になっちゃうだろうし……。
反抗期……なのかな、少し前までは仲良くしてくれてたのに。
◇◇◇
――家を出て数分後、あることに気がついた。
(あっ、水筒! 忘れてる!)
俺は急いで家に取りに戻った。
(た、ただいま~)
忘れ物が恥ずかしいので、静かに玄関の扉を開けた。
きっとまた妹たちに呆れられてため息でも吐かれてしまうだろう。
そして、ダイニングの扉に手をかけた所で。
妹たちの会話が聞こえてつい手を止めてしまう。
「マジ無理なんだけど……」
「はぁ、私なんて朝起こされたんだよ。『そろそろ起きないと、遅刻しちゃうよ』とか言って……」
「何それ、ヤバ過ぎでしょ……マジで顔も見れないんだけど」
妹2人の俺に対する陰口を聞いてしまった……。
ま、まぁ……水筒くらいなくてもいいか。
蛇口から水飲めるし……。
それより、もう家を出ていった方がいいよね……。
とんでもなく嫌われている事実を目の当たりにして、俺は泣く泣く朝練に向かった……。
「――マジで尊すぎて無理なんですけどぉぉ!」
「分かる、お兄ちゃん超カッコいい、健気、最高!」
「何あの可愛い生物! あんな眩しすぎる笑顔、朝一で見れる訳ないでしょ!」
「何を言われてももうため息しか出ないわ! 全てが尊い!」
「ていうか、何あんた起こしてもらってるの!? 私も毎日寝坊するわ!」
「じゃあ、私はお兄ちゃんのベッドに突撃するわ!」
「絶対にさせるか! この淫乱発情メス犬がぁ!」
――そんな妹二人の朝の会話を知ることもなく。
「続きが気になる!」と思っていただけましたら。
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