表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/42

町に行こう


困りました……謎の体調不良が治りません。


「大丈夫か、お前?」


「ぴゅぃー…(駄目なようです)。」


まるで溶けた氷のようになった私に、セルヴィスが気遣った声をかけてくれます。

うぅ、セルヴィスに心配かけてしまって申し訳ないです。


あれから5日。身体はどんどん怠くなる一方でした。

今日なんかもう、どんなに気合を入れて丸まろうとしても駄目で、どうしてもヘニョンと溶けちゃいます。

溶けスラ犬ですね。


唯一の救いは病のように、体に引きずられて心まで弱らない事でしょうか。

身体はどうしようもなく怠いですが、心の中は元気いっぱいです。というか、身体が動かないストレスの分、心の中はいつもより元気なぐらいです。


これって病気なんでしょうかねぇ。スライムが病気にかかるのかすら全然知りませんし、セルヴィスも同じようです。

薬はありますが、スライムって普通の薬を飲んで平気なんでしょうか。そもそも熱もないし何の薬を飲めばいいのかもわかりませんけど。


セルヴィスは私を持ち上げて、眉根を寄せて何か考え込んでいます。

どうしました、セルヴィス?


「───決めた。スライム、町に行こう。」


はい?


え、今なんて言いました?


「町には冒険者ギルドがあるから。そこでなら、知り合いの従魔師に連絡が取れる。従魔師にならお前の不調の原因もわかるかもしれないし。」


ああーなるほどー従魔師ですかー………って、えぇぇぇ!?



知・り・あ・い!?



「ぴゅいいい(ちゃんと誰かと交流してたんですか)!!??」


私がスライムになって3か月、誰かと交流する姿なんて一度も見ていませんよ!?

町に行ってたんですか!?なんでそこで住まないんです!?

っていうかもしかしてセルヴィス、孤独じゃなかった!?お友達いた!?


一瞬あまりの衝撃に、だるい身体の事も忘れて大声(大鳴き?)しました。

2秒後にはまた溶けスラ犬になりましたが……。


「こら、無茶するな。」


軽く叱られました。

心配して怒られるなんて、いつぶりでしょう。100年以上?

身体は怠いのに心はホンワカです。



……困りましたねぇ。セルヴィスってば、優しすぎです。

私は傍にいさせてくれるだけで満足なのに、スライムになってからは優しいし甘やかすし、挙句の果てには私の為にわざわざ町に行くだなんて。


私の心が満たされ過ぎで溺れちゃいますよ?

昔ぐらい程々に冷たいぐらいが私には丁度良いんです。


……お礼をしたくてもスラ犬に出来ることなんて寄り添うぐらいで、時々胸が苦しくなっちゃうんですから。




 。 ゜ 。 〇  。 ゜ 。




やって来ました人間の町!!


空から遠目に見たことはありますが、来るのなんて初めてですよ。興味はありましたが、まさか来ることが出来るなんて!

身体は怠いけど、心の中ではついついハイテンションになってしまいます。



タオルを敷いた籠に私を入れたセルヴィスがやって来たのは、私達の住む森の近くにある小さな町。セルヴィスが生まれた町だと道中で聞きました。

ここは元々人は住んでいなかったのですが、随分と昔に森の資源目当てに人が集まって、いつの間にか出来ていた覚えはあります。ハンターや冒険者の拠点となっている場所のようです。


きょろきょろと辺りを見る(いや目はないんですけど)私をよそに、セルヴィスは迷いなく道を進んで───たのに、急に止まりました。あれ?


「すみません。冒険者ギルドへはどう行けばいいですか?」



……はい?



あ、あれ?今セルヴィス、通りすがりの人に道を聞いていませんか?

あれ?知り合いがいるんですよね?町に一人で来てたんじゃないんですか?お友達、いるんじゃないんですか?


「きゅいぃ~(あれぇ~)?」


言葉はわからなくても困惑は伝わったのでしょうか。

道を聞き終えたセルヴィスがこちらを見て首を傾げました。


「道を知らない事が不思議なのか?小さい頃には町に住んでたけど、今は必要最低限でしか来た事ないから。俺も人の町に詳しくないんだよ。」


「………。」





必要最低限しか来た事なかったんですか………っ!!!





い、いえ!まだです!

短い滞在時間でも知り合いは作れますっ

私にはお友達かもしれない知り合いという希望があります!!


お願いフレンズ、現れてーっ!


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ