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スラ犬になりましょう!


やっぱりセルヴィスは優しい子でしたっ!


「おはよ───」


「ピュイッ(おはようセルヴィスー)!」


「うわ!?ったく、朝から元気だな、お前。」


朝、部屋から出てきたセルヴィスのお腹に体当たりをかますと、抱きとめて苦笑しながら頭(?)を撫でてくれました。

転生してから一週間、私は家の庭で過ごしセルヴィスを見つけると懐きに行くスライム、いやもうスラ犬ですね!と化していました。

最初は相手にしてくれなかったセルヴィスも、段々傍にいる事を許してくれるようになって。そして七日目!セルヴィスが絆されてくれたのか、家に入れてくれたんですよ!!


寝床を用意してくれて、お水を毎日くれて。

果ては毎日の挨拶どころか、何かと話しかけて優しくしてくれるんですっ

ああ、なんて夢のような毎日でしょう。以前なら話しかけてくれるのなんて用事がある時だけで、しつこく纏わりついたら頭を叩かれてたんですよ。

それが今や優しく撫でてくれるんです!



……喋れないのに悪魔だった時よりも会話が増えてると気づいた時、ちょっぴり悲しい気がしたのは気のせいです。



でもおかげで転生当初の「スライムになっちゃったショック」から二か月、スライムになった事を受け入れられるようにはなりました。ええ、もう、セルヴィスが構ってくれるならスラ犬だろうがドンと来い!



 。 ゜ 。 〇  。 ゜ 。



私の一日は畑の水やりから始まります。スラ犬はご主人様の役に立てれば幸せなのです!


「ピィ(『レイン』)!」


練り上げた魔力を決められた形に整え、発動キーワードを唱え…いえ、鳴くと見る間に霧雨が畑に降り注ぎます。

この通り、実は水魔法が使える事が発覚したんです。それもスライムなのに悪魔の時に使ってた中級魔法まで使えました。


いやもぉ冗談で試して魔法が本当に発動した時は……蒼褪めれる体だったら真っ青だったでしょうね。魔法を使うスライムなんて稀有すぎますし、まして高威力の魔法を操るスライムなんて聞いた事がありません。


……やはり変異種のスライムなのでしょうか。


念のためにセルヴィスには中級魔法が使える事は内緒にしています。水やりは初級レベルの水魔法で十分ですから。その後は食べ頃のハーブや軽めの野菜を摘んで、小さな台車に載せて引っ張って持ち帰ります。

初日は木の板に載せて運んだのですが、それを見たセルヴィスがこの台車をスラ犬用に作ってくれたんです!

なんて器用な子っ



「ピピィ~(ふんふふ~ん)♪」


次は簡単にお部屋の掃除です。

箒は使おうと悪戦苦闘してたら、小っちゃいのをセルヴィスが作ってくれました。

さすが優しい子っ

みょーんと触手を伸ばし、体全体を使って掃いていきます。さすがにこの体じゃできる範囲は狭いので台所と食卓周りだけですけどね。

床の拭き掃除だってやっちゃいますよー!テーブルの上とかも掃除したいし壁にくっつくことも出来るので可能なのですが、さすがにテーブルの上に乗っかるのは……、とそこは自粛です。

掃除が終われば水桶に魔法で水を溜めておきます。大抵はその辺りでセルヴィスが起きてきます。


「また今日も色々してくれたのか。ありがとな。」


セルヴィスが野菜や水の汲まれた桶を見てお礼を言ってくれました。

しかも笑顔!笑顔つきですよ!?

嬉しい。スラ犬はこの一言の為に毎朝がんばっちゃいますよ!




 。 ゜ 。 〇  。 ゜ 。




───そんな感じで2か月。スラ犬は現在悩んでおります。


(たまに寂しそうにしてるんですよね。)


日常のふとした瞬間、昏い表情を見せるのを何度も見ました。そういう時は決まって胸元を握りしめていますが、その意味はわかりません。ただ原因はわかっています。


……セルヴィス、ちっとも他の人間と交流してないんですよ。


私が死んだのが何年前かわかりませんが、多分5年以上は経ってると推測できます。どうも家の状態を見る限り、セルヴィスはその間ずっとここに住んでいるようなのです。しかも2か月間、誰もここを訪ねる様子もなし。


そりゃあ寂しいでしょうよ。ずっと独りだったなんて!

セルヴィスには人の町に帰って、色んな人に会って、たくさんの友達に囲まれて!いっぱいいっぱい幸せになって欲しかったのに!!


虫の息の中「人の街に帰れ」と伝えたのに、無視どころか人との交流すら無しなんて大ショックですよ!まさか私に反抗してじゃありませんよね!?


いったいどうしたものでしょうか……。



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