【ディロック視点】友達と恩人が人外だった
あー。町に残っている仲間達よ。
こちらディロック。今オレは、猛烈にお前らに会いたいぜ…。
「おーい、セルヴィスよー…?」
「………。」
うわ、やっぱり無視か。予想通りだが黙々とゴブリン共を剣で屠っていく後ろ姿が、オーラが、怖すぎるから何か喋ってくれ!オレと奴との付き合いはもうそこそこになるが怖いもんは怖いんだよ!
それでもオレはめげずに声をかける。
「なぁセルヴィス君やー?さっきからお前が無言で淡々とゴブリンを倒してくせいで、オレとオレの従魔に獲物がさっぱり来ないんだけどなー?」
「勝手についてきたのはそっちだろ?嫌なら帰れば?」
「ひっでぇ!お前が一人でゴブリンの巣なんかに突撃かまそうとしてたから心配してついてきてやったのに!!」
無駄な心配だったけどな!けど心配してついてきた友達に少しは優しさを見せやがれ!!
森で偶然あったセルヴィスがしようとしてた無謀といえる突撃。従魔の訓練を中断してまでついてきたオレはうっかり忘れてたんだわ。こいつのアホみたいな強さを。
コイツが戦う姿なんて随分まえに数える程しか見た事ないしなー。いざ突撃すりゃオレの出番なんてこれっぽっちもありゃしねー。ありえねーだろ、5,6匹までならともかく、二十匹以上を相手に一人でって、どんなバケモノだよ。
ま、リリアーナさんの弟子なんだから当たり前かもな。
リリアーナさんと出会ったのは、まだオレ達が10台前半のヒヨッコだった頃だ。
惑わしの森のあるこの町は冒険者が生計を立てやすい。他所の都からやってきたオレ達もそれでこの町にやって来た。
なんせ当時はヒヨッコだ。森の浅瀬の弱い魔物相手に、ヒーコラ言ってなんとか倒してを繰り返してた、そんなある日の事だ。
いつも通り森を歩いてたオレ達の前に、とんでもねー強さの魔物が現れた。森の中域以上に生息するという噂の、バカでかい鉱石マンモスが。
ありゃ今思い出してもゾっとするね。なんであんな浅瀬にベテラン冒険者でも束にならないと敵わねーような魔物がいたのか知らんが、目が合った瞬間に死の覚悟を決めたぜオレは。多分パーティの皆もだろうな。
ところが次の瞬間に鳴り響いた轟音。突然のことに驚くオレ達の前で、オレ達を死に追いやるはずの魔物が逆に地面に崩れ落ちやがった。そして魔物の後ろからひょっこり綺麗な女性が現れて…、ありゃ意味がしばらくわからなかったな。
妙に露出の多い、まるでサキュバスのような恰好をした綺麗な女性。彼女が魔法一発で鉱石マンモスを倒したとか、誰が想像できるよ?
人外にも程があるぜ。
それがオレ達の命の恩人、リリアーナさんだ。
あー、そうだ。確か鉱石マンモスはリリアーナさんが狩ってる最中でこちらまで来てしまったと謝られたなぁ。あれも最初は意味がわからんかった。
意味がわからんが命の恩人、お礼をと申し出たオレ達に最初は断ってたリリアーナさん。
しつこく食らいつくと『森に一緒に住んでる子がいるんですけど、私は嫌われてて…独りぼっちなんです。彼に友達を作ってあげたいんですけど。その、人見知りなので、まずは私と友達になってくれませんか?』と申し出られた。
魔法の腕前もだが、あの森に住んでると聞いた時は本気で人外だと思ったもんだ。本当に人外なのかもしれんが、良い人なので問題ねーなとパーティ内で意見は一致してた。
暫くして会わせてもらった「一緒に住んでる子」はクソ生意気なガキで。それがセルヴィスだ。たしか12歳だったか?当時からうちのカルより生意気なガキだったぜ。
まぁ奴の真っ白な髪と真っ赤なローズの目には驚いたな。どっちも高魔力持ちの証として以前いた都で噂には聞いてたけど、まさか両方そろって持ってる奴に逢うとはな。
この町の奴らはそれを知らないらしくて、狩人ギルドや普通の町の連中はセルヴィスの色を恐れてるらしい。さすがに不憫で、一応オレらも正しい情報を伝える努力はしてるんだが、なかなか頑固で説得できる機会自体も少ないし難しいぜ。
当人のセルヴィスは全然町に来ないし、来てもフードで隠してやがるし!
リリアーナさんが大事にして、最後まで気にしてたから何とかしてやりたいんだがなぁ。
あいつのことは仲間だと思ってるし。ま、勝手に、だが。




