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種族名がわかりました


───暗闇から泡が浮かび上がるように、意識が浮上する。



寝て、いたのでしょうか……?

目の前に映る白い塊をぼんやりと見つめながら、起きる前の事を思い出そうとしますが…、どうも頭がぼんやりして上手く思い出せません。


白い塊…あぁ、私の寝床(籠です)に敷いてある毛布ですね。って事はやっぱり寝てたんですね。このぼんやりする原因は、長時間寝てしまっていたとかでしょうか。

いけませんね。これでも私はセルヴィスの(元)保護者。例えスライムになろうとセルヴィスのお手伝いくらいしませんと。


「スライム!?起きたのか!?」


「ピ!?」


モゾ、と籠から這い出すとセルヴィスの慌てた声と同時に身体が持ち上げられました。なんと、横にいたのですかセルヴィス!?脅かさないでくださいよ!そのまま頬でスリスリしない!

こんなこと昔のセルヴィスなら絶対やってくれなかったので、ちょっと嬉しいですけども。ペシペシ触手状にした身体で顔を叩くと、ようやく顔をあげてくれました。


「身体の調子はどうだ?丸い形状は取れるようになったみたいだけど。」


あ。


そうでした…私、身動きするのも辛いほど調子を崩して…。

試しにミョンミョン身体を縦横と伸ばしてみたり、触手もどきをブンブン振り回してみても、どこも何ともありません。

あれぇ?


「ピィ~?」


「…覚えてないのか?」


ちょっと待って下さいね?

確か…そう、街に行ったんですよね。懐かしいディロックに会って。冒険者ギルドに行って。

そこにディロックのパーティの子達が帰ってきて……?


「??ピィー?」


駄目だ、こっから完全に記憶が途切れてます。意識を失ってしまったのでしょうか。


「そっか、覚えてないか。あー…、そうだ、ギルドで意識なくしてたんだよ、お前!」


あら、やっぱりそうなんですね。


───とでも言うと思いますか!セルヴィス、あなた今わかりやすく嘘ついたでしょう!



ピィピィ責めて問い詰めようにも言葉が通じない!「急にどうしたんだよ」とキョトン顔してるセルヴィスは可愛いですが、嘘を吐くんじゃありません!

しばらく奮闘しましたが言葉が通じないものは仕方なく…もう…!ウソを吐いちゃ駄目ってあんなに教えたのにぃ!





はぁ……。

結局何があったかはわかりませんが、私の不調はすっかりと改善されていました。

セルヴィスいわく、冒険者ギルドのギルドマスターという方が私の転生したスライムの種類をたまたま知っていらしたそうです。その方が原因や改善方法などを詳しく教えてくださったとか。


『ヴェリアル・スライム』という、大変珍しいスライムが私だそうです。てっきりそこらのスライムと同じだと思ってました。

目撃情報が最後にあったのは400年前。資料にも残っていないとか。

……それを何故、人間のギルドマスターさんが知っていたのでしょう?


ギルドマスターさんの説明では普通のスライムとは違い、清浄な自然界の魔力が濃い場所でしか生息できないのがヴェリアル・スライムだそうです。まるで精霊のような魔物ですね。

私の場合は魔力が強い森に住み、特に濃い魔力を生み出す湖に通っていた為、これまで何とか過ごせていたんでしょう。ですがやはりそれでは足りず、一気に弱ってしまった状態だったと。


思えば私が目覚めたのは湖ででしたね。妙に湖に行きたくなるのも納得です。


ただ、毎日通おうとそれでも足りなかったようで。ギルドマスターさんは足りない魔力を補うため、魔力を宿す魔石を私に与えるよう言われたそう。やっぱり清浄な自然界の魔力が一番だそうですが。生き物がもつ魔石には何かしらの性質やら力が宿っているため、時に影響が出てしまうとか。




けど……。

私のスライムとしての種族がわかったり、身体の異常の原因がわかったのは良かったのですけど。

ほんと、何があったのでしょう?




















「サテ、ではお話といきましょうカ。」


豪華な内装の割に使われてなさそうな部屋。優雅に足を組んで長椅子に腰掛けた女が妖しく微笑んでくる。

ここなら誰かに聞かれることもない、と通されたのはギルドマスターの執務室だった。しかも通されたのはオレ一人。

…なんでだ。


咄嗟にスライムはディロックに預けてきたから、いざとなったら逃げれるとは思うけど…。


「まず改めテ。私はラカ。この冒険者ギルドのギルドマスターです。お見知りオキを。」


「オレは───」


「セルヴィスくんですよネ?悪魔リリアーナに育テられ、リリアーナが殺されル切っ掛けを与えタ、元凶ノ。」


「!!?」


反射的に席を立とうとしたけど、見えない誰かに抑え込まれてるように身体が動かない。魔法か!?


「抵抗してモ無駄ですヨ。いいから大人しくしテなさい。」


「……あんた、何なんだ!?オレはリリアーナの事は誰にも話してない!!」


オレの自由を奪った女から明らかに敵意を感じる冷たい眼差し。階下で会った時とは明らかに違う雰囲気で友好さのかけらも感じられない。


「教えると思いますカ?私が教えルのはあのコの種類とあのコの為にしなければならない事ダケです。」


「……っ スライムの事を教えてくれるのは本当なのか。」


「貴方は嫌イですガ、あのコは私にとって大事な宝物ですのデ。本当ハ貴方に預けルのも嫌ですガ、今はあのコの意思を尊重しまショウ。ですガ、いいでスか?」







「アナタがあのコを苦しマセる時がキたら、私はアナタを殺シテあのコを引き取りますカラ。」


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