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セルヴィス視点1・町へ行く決意

申し訳ありません!遅れてホンット申し訳ありません・・・っ!!


スライムの様子がおかしい。


元気過ぎるほど元気で働き者なコイツが、5日前、急に様子がおかしくなった。

運んでいたコップを放置して自分から休みに行くなんて、明らかに異常。自分に出来る仕事を取られるのが嫌いで、オレが運ぼうとすると凄く怒るのに。

スライムは丈夫な魔物で、一日休めば大抵のことは大丈夫だとディロックが昔なにかの拍子に言っていた。けど心配だったオレは、スライムを寝かしつけた後にスライムに効きそうな薬を片っ端から探した。


幼い頃から他人に避けられてきたオレに、無条件に懐いて助けようとしてくれるコイツが大切だったから。

まだ一緒に暮らして日は浅いし魔物だけど、家族になってるんだと思う。

だからオレの出来る限りの治療をしたのに───。


「大丈夫か、お前?」


「ぴゅぃー…。」


2日、3日と経ち。5日目の今日もまだ、スライムは回復しない。

むしろどんどん悪くなる一方だ。

昨日はリリアーナの残した貴重な魔法薬まで試してみたけど、あれすら効果がなかったのか。


くそっなんでだ?

原因がわからないから投薬した薬の効果自体が間違っているのか。それともスライムに薬は効かないのか。

丸い形が保てないほどに弱ってるんだ、このままじゃスライムが死んでしまうかもしれない。

コイツの為に出来ること、出来ること……っ



「───決めた。スライム、町に行こう。」



駄目で元々だ。人間の町に行けば、魔物を従える従魔師がいる。アイツなら何かわかるかもしれない。


……正直、それで解決するとは思えないけどさ。

魔人のリリアーナが作っていた魔法薬は人間の作る薬よりも遥かに効果が高かったし、当然動物や他の魔物にも良く効くとリリアーナ本人が言っていた。

そのリリアーナの薬が効かないのに人間の従魔師が何か出来るとは思えないけど、可能性が少しでもあるならしてやりたい。



その日、オレは必要最低限の物を買う以外の理由で、初めて人間の町に行く決意をした。




結果は……駄目だったけど。







───……そういえば、リリアーナは狩りの対象以外の動物や魔物が傷ついてるのを見つけたら、良く手当してやってたな。狩り対象なら問答無用だったけど、基本的には優しいあいつらしい。


…だからって体全体が炎に包まれた巨大な鳥、ファイアネル・バードを素手で手当てとか止めて欲しかったけどさ!「鳥なのに肉が不味いんですよ~」とか言いながら、素手で炎に手を突っ込むのを見た時のあの衝撃!


白くて柔らかい、いかにも傷つきやすそうな綺麗な手。

それが傷一つなく炎から出てきた時は更に驚いて、我に返った時に「驚かすな!」とリリアーナの頭を叩いたっけ。



そんな記憶が町に向かう道中、オレの脳裏に再生された。


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