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8 燃え上がる怒り―K子

 女子校は、やっぱりバレンタインの話題が豊富だ。

 一日中皆の話にひそかに耳を澄ませていてよく分かった。この時期、話題の約5割がバレンタインネタ。誰かが思い出したように言えばすぐ花が咲く。友チョコはどうするとかお父さんには作るかとかあのひとは受け取ってくれるかしらとか……。大半は一番最後のネタを話したがる。

 でも、この騒ぎの中で、号泣している子を何人も見た。こっそり聞き耳を立ててみると、どうやら皆、T高生の彼氏に、やんわりと交際を止められたらしい。事情は聞かないでくれ、決してお前のことが嫌いになったんじゃない、許せ、と。「別のオンナができたに決まってる」と被害者たちは怒っている。――あいつと同じだ。

 最近ちょっとおかしいんじゃないのT高生は?

「ねえK子」

 休み時間に、隣のクラスの友だちがやってきた。この子も、T高生にフラれた一人だ。

「F工業の男の子と合コンしない?」

「え?」

 しかめ面。確か、この子カレに相当ぞっこんだったはず……。

「いいのよあんなやつっ! こそこそ何か隠して理由も言わないで! もうイヤッ」

 女心と秋の空?

「で、どうするの。あと一人なのよ」

 行く気はない。あたし、一応、……一応だけどさっ、あいつに作るから。もし彼氏でもできたら、誤解されちゃうかも知れないじゃない。

「ゴメン。行かない」

 笑顔で答えた。彼女は残念そうに苦笑いする。

「K子可愛いから男子が簡単に喜んでくれて楽なんだけどなー。

 ま、他当たるわ」

 合コンねぇ。何回か行ってみたけどよく分からない。やっぱりあたしの心の中にいるのはいつも……

 ……? 合コン?


 ……ああっ!!


 頭に電流が走ったみたいに強烈なひらめきが舞い降りた。思わず叫んでいた。

「T高生のやつら、集団合コンしてるのよ!」

 しいん。キャピキャピとうるさかった教室が、急に静かになる。

「あいつらがあたしたちを避けるのも、フるのも、合コンをしているからなのよ。後ろめたくて言えないんじゃないかしら。斡旋してるのはきっと生徒会ね」

 言いながら、自分の頭に血が上っていくのを感じた。

「報復よ!」

 あたしの金切り声に、何人かが力強く頷いた。

「バレンタインデー、皆で大量のチョコを持ってT高校に乱入しましょう! 浅薄な男どもを叩きのめしてやるのよ!!」

 いつの間にか、皆の目に炎が宿っていた。女子校のお目当てはだいたい男子校と決まっているものだ。他に取られては黙っていられない。しかも集団合コン? ふざけるな!

「打倒、集団合コン!」

「おーっ!!!」

 あたしの掛け声に、皆は頼もしく応じる。

 ――バカ男、よーく見てな。ギャフンと言わせて、何もかも元通りにさせるんだから!

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