表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/2

そしてそのまま待つことにした。


望遠鏡がその効果を発揮している時間は、それほど長くはないからだ。


すると男が望遠居から目を離した。


――えっ?


この望遠鏡を幾度となく使っている私にはわかっていた。


まだ望遠鏡から外の景色は拡大されて見えているはずだということが。


一瞬、私に遠慮して早めに見るのを止めたのかと思ったが、そうでないことがわかるまでにそれほど時間はかからなかった。


男の顔は先ほどまでとはうって変わって青白くなっていた。


そしてその顔のまま崖っぷちまで向かうと素早く柵を乗り越えて、そこから身を投げたのだ。


――!


まれにではあるが、ここから崖に飛び込んで自ら命を絶つ人がいるということは、知っていた。


確か三日ほど前にも若い女が一人死んだはずだ。


しかしその身投げと呼ばれる代物を、直接自分の目で見ることになろうとは、想像もしていなかった。


私はあせって崖っぷちに行こうとした。


しかし何故だか自分の意思とは無関係に、足が勝手に望遠鏡へと進んで行った。


――ええっ?


戸惑う私の想いを無視するかのように、身体は、目は望遠鏡を覗きこんだ。


そこに見えるのは見慣れた拡大された眼前の風景のはずなのだが、そうではなかった。


そこには長い黒髪の精気のない若い女が見えたのだ。


おまけにその女には首しかなく、その下にあるべきはずの身体がなかった。


女は眼を閉じていたが、いきなり眼を開くと私をじっと見た。


そして言った。


「私はここで死んだの」


と。



          終

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ