表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/4

議題4:個々の性癖に対する寛容さと発露の場

変態書記のせいで文字数が…


傾いた太陽の光が差し込む放課後の教室。未だ校舎内は騒がしく、あちこちで声がするなか、23HRとして宛がわれている教室は重々しい雰囲気に包まれていた。教室中央にはコの字型に並べられた机があり、椅子は全部で五つ。そのうち四つが埋まっている。


「さて、いつも通り欠員はいるが、今日も今日とて会議を始めよう。」


いつものメンバーがいつもの席に座り、今日も生徒会 (サークル)の活動が始まる


「それでは早速本日の議題をと言いたいところだが、前回の雨宮少年の思いを受けて、私も思うところがあってな。議題の選出にもかなり気を遣った。」


「そんな、会長…ありがとうございます。」


あのどうしようもなかった会長が、俺の言葉を受けて変わろうとしてくれているだなんて。


「というわけで、本日の議題は『個々の性癖に対する寛容さと発露の場』だ。」


「おいこら人の感動を返せや!!」


「む?私も気を遣ったのだぞ。二連続で自身の議題をスキップされてしまった火最少年に対してな。」


「こいつは前回の議題でもやりたい放題やってたから別にいいだろ!それに俺言ったよな!?個人的な議題じゃなくて、学校全体の向上に繋がるようなものを議論すべきだって!」


「わかっていないですね、副会長。」


「あ?何が分かってねぇっていうんだこのアホ書記が」


「君は先入観に囚われすぎています。僕はこの議題で、多くの人の悩みを解決できると考えています。」


「なっ」


「ほう。では火最少年、説明してくれたまえ」


「はい。それではまず、僕の用意した資料を配ります。」


そういってカバンから取り出された割と集めのA4サイズの冊子が配られる。もちろんタイトルは『個々の性癖に対する寛容さと発露の場』であった。


「それではまず一ページ目を開いてください」


ぺらっ (配られた冊子を開く。)







【序論】

我々は日々の生活を送る上で、様々なストレスにさらされ続けている。上手くいかない仕事や責任感からの重圧、苦手な古文の授業や死体撃ちしてくるFPSプレイヤー(クソ野郎)など、数多くの要因が挙げられるだろう。その中でも、最もストレスの増減率の比重が大きい領域は、人付き合いというものであると考えれれる。 

しかし、現代社会において人付き合いは必須であり、そのものを避けることは難しい。つまり、現状は最もストレスの変化する要因から最も近づいている状態であると考えれらる。


【本論】

1:人付き合いにおける性癖の関係性と重要性

 先ほど述べたように、人間関係というものは現代社会のストレスと大きく関わってくる。しかし、ここで着目しておくべき点は、それはマイナスだけでなく、プラスに作用することもあるということである。我々は人付き合いによって、ストレスを溜めもすれば発散もすることができる。以下にいくつかの例を示す。

 

―ストレスを感じる点―

・話を聞かない副会長がいる

・ツッコミの声が大きい副会長がいる

・口調が粗暴で見た目不良なくせに中身がめっちゃ真面目な副会長がいる

・見た目チャラついててキャラの雰囲気的には女遊びに耽っていそうなくせに未だ思考まで童貞の副会長がいる


 ―ストレスが解消される点―

・会長のスカートの丈の長さが素晴らしい

・会計の百合キャラがとても良い

・会長の御母上の下着が意外と可愛い

・会長の御父上の足が艶めかしくとても滾る


 このように、ストレスを感じる点においては、言いたいことも言えないストレスというものが多く、ストレスが解消される点においては、性的な部分による発露というものが多いという結果が出ている。この結果を受け、ストレスの解消という点に着目し、性的な部分というものをさらに掘り下げていくことが重要であるとされる。

 その一例として性癖というものが考えられる。これは、個々の差異は大きいが、その領域に強い関心を示しているということであり、この欲求を満たすことで大きな効果が期待されると考えられる。


すっ (冊子から手を放し、天を見上げる)


「目を通して頂き、性癖の重要性が伝わったことと思いますので、少し口頭で補足をします。」


「ちょっと待て性欲にまみれた書記!」


「どうかしましたか副会長?」


「どうかもクソあるかってんだ!ツッコミどころ満載なもん作り込んできやがって!とりあえずてめぇは俺に喧嘩売ってんのか!売ってるんだよなぁ!?」


「落ち着きたまえよ雨宮少年。まぁ私もこの資料に関しては些か意を申し立てたいところではあるが、少し君は落ち着きちゃんと席に座るべきだ。」


「会長。会長も僕の資料に何かご意見が?」


「うむ。このストレスの解消という点なのだが、私の父の足は、私よりも細くて見ているとストレスが溜まる。故に、分類的には上の項目になるのではないか?」


「なんか若干ツッコミどころズレてませんかねぇ!?」


「あ、あの……私も…。」


隣の水瀬ちゃんがびくびくしながら手を挙げる


「私は…その、ゆ、百合キャラではなくて……、えっと、ただ、そ、その…し、新藤会長のことが……」


ボンっ (水瀬ちゃんの真っ赤な顔から煙が出る)


「水瀬ちゃん!?」


「やはりとても良いですね、会計。君の恋路は僕が全力でサポートしましょう。」


「あ、あの!そ、そそそのべつに恋路とかではないので!!!だだだいじょうぶでしゅ!」


「あ、噛んだ。」


「ぅぅ…痛い…」


「それでは議論を戻そうか。雨宮少年はまだ大量に言いたいことがありそうだが、先に話を最後まで聞こう。」


「…はい、わかりました」


「安心してください副会長。資料ではこう書いてありますが、僕は副会長でもちゃんと性的興奮を覚えることはあるので、心配しないでください」


「それ聞かされて安心できるか!!別の意味で不安になるわ!」


「それは気になる情報だな。」


「なんで会長はそこに食いついた!?」


「会長、流石の僕でも羞恥心というものがありまして」


「今更どの口が羞恥心なんて言葉吐いてんだ!」


「では、一から百まですべてお話しましょうか?」


「い、いや…言わなくていい…」


なんか、蓮司の目が、怖かった…


「それでは話の方を戻しますね。このように、性癖というものは程度の差はあれど、基本隠すべきものという認識があるのです。」


「まぁおおっぴろげにしているやつは多くないだろうな」


「僕が思うに、この共通認識が良くないと思うのです。人間、誰しも一つは人に言えないような性癖を持っているものです。」


「いや、必ずしもそうとは言えないと思うが」


「故に、皆が自身に秘めた性癖を明らかにすることで、それに対する寛容な精神を作ることができるのです。」


「なるほど。それに、隠し事をするということ自体も、場合によってはストレスに繋がる要因であると考えられるな。」


「その通りです。ではその次のページへお願いします」


ぺらっ (冊子のページをめくる。)


何とも形容できない手書きの絵が四枚


「先だって、ここに僕の性癖を図で説明しましょう。」


「ちょっと待った。お前の絵が…その、独特すぎて、何が描いてあるのかさっぱりわからないんだが…」


「確かに僕は少し絵が苦手だ。」


「す、すこし…?」


「それでは一つずつ説明しましょう。まず左上の絵からです」


そこに描かれているのは、台形にアイスの棒が突き刺さり、その棒の上部には謎の紋様が描かれた楕円が乗り、下部にはタイヤみたいなものが付いているという、謎の絵。


「これは分かりやすいので図だけで分かったかもしれませんが、ちらリズムです。絵の方は風でスカートが捲れ、羞恥に染まっている女の子です」


「わかるわけでねぇだろう!?お前この台形に突き刺さったアイスの棒が人間だっていうのか!?」


「はい、スカートを履いた女の子です。」


「マジかよ……あと三枚こんなのがあるのか…」


「まぁこれに関しては説明不要ですかね。それでは次に行きましょう。次は右上の絵です。」


構図的には、長方形の横に歪な楕円二つでできた雪だるまみたいな物体が鎮座している。雪だるまの胴体からは二本の線が頭部と繋がっており、顔面にはいくつも線が描かれているような絵だ。


「副会長、これはなんだかわかりますか?」


「んー……さっぱりわかんねぇ…」


「はぁ、ダメですね。これはAVアダルトビデオを見せられて羞恥に染まる純情系な女の子の絵です。」


「そんな特殊なシチュエーション分かるわけねぇだろ!」


「副会長はもう少し観察力というものを養ったほうがいいですよ?」


「観察力が足りてねぇのはてめぇだろ!これは画力云々以前の問題だろ!」


「失礼ですね。まぁ確かに右上の絵はあまり上手く描けなかったので、仕方がないかもしれませんね。」


「いや、一枚目とクオリティ的にはたいして変わらねぇからな!?」


「まぁまぁ、次は上手く描けたので大丈夫ですよ。左下の絵を見てください。」


アルファベットのMのど真ん中に、再び登場した楕円付きアイス棒が突き刺さり、そのすぐ下に横長の楕円が描かれている絵だ。


「今までの感じからしてこのアイスの棒は女の子だろう。そして、なんで貫通しているのかは知らないが、このМが足だとすると、エム字開脚ってやつか?」


「おお!副会長惜しいです!あと一息です!」


「んー…この下の楕円は…なんだ?」


「あと少し頭を捻れば正答は目前です!」


「んー……下の楕円はガラスで、エム字開脚を下から覗いている…とか?」


「……副会長、その発想は流石に…ちょっと…」


「なんでてめぇが引いてるんだよ!もういい、答えでいいよ!」


「とても惜しかったのですが、これはエム字開脚をして排尿をしている女の子です。」


「お前の発想のほうがどうかしてるだろ!?」


「少し考えれば容易にたどり着ける回答ですよ。事実、会長はこの資料を提出したときに、今までの三枚は絵だけで伝わりましたからね。」


「うむ。」


「会長あんたも大概だな!?」


「だが、流石の私を以てしてでも最後の四枚目はわからなかった。」


「まぁ仕方がないでしょう。最後の絵は上手く描けなかっただけでなく、少しわかりにくいですからね。」


右下に残された四枚目の絵を見る。大量の丸で描かれたドーナツ型のそれは、中心に二つの点が打たれているだけの絵。


「最後は情報が少なすぎてさっぱり分かんねぇ」


「まぁ会長でもわからなかったのですから、副会長には難しいかもしれませんね。これは大衆の中で性的接触している二人の女の子です。」


「わかんねぇよ!!アホかよ!」


「ちなみに会長は大衆の中で性行為という回答でした。」


「中心の二人が周りより円よりも小さく、かつ同じ形状をしている点に、もう少し注意を向けるべきだったな。」


「…もう、二人ともレベルが高すぎる…」


「さて、更に僕の性癖を語りたいところなのですが、今は議論を進めることを先決しましょう。」


「そうだな。まずはこの四人で火最少年の性癖を共有することで、寛容な精神を養うということであったが、どうだろう。」


「会長、俺にはこれを許容することも理解することもできません」


「す、すいません、わ、わたしも…ちょっと…」


「なん…ですと……」







議論:個々の性癖に対する寛容さと発露の場

結論:レベルの高い性癖はちゃんと隠しましょう


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ