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言動

作者: 日向 恋夏

友達になった、あの日忘れてないよ。

私には病気持ちの友達がいる。本田理緒という子だ。

理緒はいつも私の話を楽しそうに聞いてくれる。そして楽しそうに話しかけてくれる。

ある日機嫌が悪かった私。それに気づいた理緒は優しく話しかけてくれた。でも私はその優しさが、耐えられないほど、ムカついた。(1人にして欲しいのわかんないの?マジでウザイ)と思ってしまった。

「ねえ、大丈夫?顔色も悪いよ?なんかあった?話聞くよ?」と話しかけてくれた理緒に対して私は

「マジでうざい、こっちは話しかけて欲しくないんだよ!なんでそんなこともわかんねぇーの?その優しさが逆に傷つくんだよ。もう話しかけてくんなよ。」

と怒りが爆発した。理緒は泣いてどこかに行ってしまった。私はスッキリしたかのように、椅子に座った。周りの人は

「怖ー。何あいつ。何様のつもりなの?」

と言っているのが聞こえた。私は怒りが残っていたのか

「お前らには関係ない話だろ?首突っ込むなよ。それで私の陰口かよ。マジでダサいしチョーうける。」

と言った。

その次の日理緒は学校を休んだ。周りの人も私を避け始めた。私はクラスで1人になった。でも別に居心地はそんなに悪くはなかった。誰にもイラつかず、誰にも怒られない平和な日を過ごしていた。周りの陰口は気にしないことにした。




ある日やっと理緒が来た。でも私は話しかけには行かなかった。あの日のことが忘れられないからだ。私が悪いことはわかってる。でも理緒にしたことは償えない。そう思うと何を話せばいいのかが分からなかった。理緒の周りにはいつもは悪口ばかり言うくせに、こういう時にはいい子ぶる人が沢山いた。その人達は「ほんとにあいつ最低だよね、理緒大丈夫?私たちは味方だから何でも言ってね!」

と言っていた。そしたら理緒が「うん……」と俯いて顔で言った。(まずい。あの体制は具合が悪い時)

そう分かっていたけど体が動かなかった。体が動かなくなってきたのは理緒も一緒だった。みんなは何かがおかしいと思って先生を呼んできた。いてもたってもいられなくなった私は、その場から逃げたいという気持ちで、教室を走り去った。







「ほらね。理緒が大変だっていうのに1人だけ逃げ出すじゃん。あんなやつと絶交して良かったね。理緒。」

「ち……ちがぅ ゎ……わ たしか ら……にげたんじゃなぃ。じぶん じしんの……こころから……にげただけ……。」







理緒。今頃は病院にいるのだろうか。病院に行くべきか、でも行ったところで理緒に合わせる顔がない。そう思った時、携帯が鳴った。


理緒が大変なことになっています。最後に声を聞かせてあげてください。眠りから覚ませるのはあなたしかいないのです…… 理緒の母より





理緒が危険?どうしよう。行くだけ行ってみよう。

そして病院についた。

「失礼します。」

扉を開けた先に理緒がベッドで寝ていた。

「理緒……。理緒、ごめんね。私本当はあんなこと言おうと思ってなかったの。1番大事な友達傷つけて、このまま1人の方が誰も傷つけないで済むと思って、話しかけなかったの。理緒が俯いた時、具合が良くないって気づいたのに……なのに、私……。」

「な……んだ。きて……くへはの?わたひね、ひょうはっほうのころひほりあったの。へほね、きみがはなひかけてくへて、ひんへいが、かわったの。はからね、ほんなかおひないで。はいほなんはから、わらってよ。ね?」

私はめいいっぱいの笑顔で笑った。

「あひはほう。わはひのぶんまで、え……がぉで ぃきて」

それが理緒の最後の言葉だった。

理緒が亡くなったあとに、理緒のお母さんが教えてくれた。理緒は家に帰ると、ずっと私の話を楽しそうにしていたこと、クラスの子が私のことを馬鹿にしてる時、喋るのもできない状態なのに、無理して喋って違うと否定したこと。

それを聞いた瞬間私は目の前が真っ暗になった。あの時私が話しかけてれば、あの時あんなに怒らなければ……。私は理緒に何をしてあげられただろうか。最後の最後で喧嘩して、ごめんねも言えてないのに。

理緒、ごめんね。私間違ってたよ。理緒のおかげで色々学べた。最後に理緒言ったよね。私の分まで笑って生きてって。それ必ず守るよ。だから、天国で笑って過ごしてよ。いつかまたそこに私も行く日が来るから……

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― 新着の感想 ―
[一言]  表と裏の使い分け、人間はとことん腐っているように思います。
2018/01/30 06:26 退会済み
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