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第8話。術

クロードと別れた後重要な事に気がついた。



「しまった⁉︎調合した薬が無い!!!」


クロードと話をしている最中に薬を飲ませようとした時、つい会話をしてしまい少女に飲まし損ねたのだ。


そして引きずり降ろされた瞬間、クロードの荷馬車の中に水薬を落としたのだった。


少女の瞳は少し化膿を始めていた。

激痛に苦しみ、小さな掌は常に握ったままであった。

言葉もしゃべれぬ程の激痛。


私は犯してしまった罪の重さを背負いながら、また少女を背負って歩く事にした。








日が昇り灼熱の太陽が荒野に反射し、私と少女の体力を奪いながら、私は脱水との勝負をしていた。


枯れ果てた大地には水など無い。

目は皿となって探すが、大地のひび割れの裂け目にすら虫の小便1つない。


むしろ、虫1匹見つけられないのだ。

虫の1匹いれば貴重なタンパク源となるのに・・・。

この際食べれる食べれないは関係無い・・・




しかしクロードの隣に座っていた純銀のような髪に、雪よりも白い肌に白い服を着た全身が真っ白な少女は一体なんだったのだろうか?

まるで死んでいるような・・・



その瞬間何故か暑いこの荒地で寒気を感じた。

少女をもう一度背負い直し、一歩、また、一歩

私は歩いた。



途方も無い距離の気がするが、歩かないわけにはいかなかった

少女の瞳が化膿する迄には・・・!!








私は気がつくと気を失っていた。

少女は意識があるようだが、瞳の痛みで身動きが取れないほど悪化していた。

恐らく吹き荒れる砂を巻き込んだ風が目に入り込み、菌を運んでいるのだろう。



「もう少しの辛抱だ」



こんな事であれば、いっその事この少女と会わなければよかったと思ってしまう。

私1人ならばなんとでもなったかもしれない・・・。






だが 目の前の1人を救えずして大衆を救えるはずが無い





私のその信念を貫く為私は少女をまた担ぎ直そうと手を持ち上げて、お振ろうとした瞬間私に顔は地面にゆっくりと近づいて行った。


何が起きたのか?


意味がわからなかった


身体が突然動かなくなった?


いや、力が抜けた?



それは私自信が倒れてから私は理解した。

酷い脱水に見舞われており、めまいがしていることに私は気づくことすらできていなかったのだ。


意識を失っていたのではなく、視界が黒く染まっておりその副産物として意識が途切れただけの事であった。



私は直感した!!!!!!!!!!!!!






このままでは確実に死ぬ!




私の体はもう動かない・・・

だができることが一つあった・・・

そう、神に祈ること。

私は私の精神と気が持つだけ祈りを捧げた。


世界の音が聞こえなくなるほどの集中をしてーーーー。




♪♪♪♪




目覚めた時誰かが私に声をかけていた

薄っすらと目覚めた意識の中私は少女を救って欲しいと懇願した。


笑みを浮かべるその男性の顔を見た後私はまた祈りながら気を失ってしまった。





また次に目覚めた時は、生温い空気のような場所にいた。

目覚めてはいないのだが、精神の中であろうか?


とても気持ちのいいものとは思えない、ぬるっとしたものが体にまとわりつく。

息を吸うたび、喉や鼻にへばりつき息苦しい。



「ん?目覚めたか?」


「・・・ここは・・・」


「ここは私の妖が作り出している結界の中だ。この中に入れば寒さも熱さも感じない。そんな場所さ」



暗く澱んだその場所はとても寂しく心もとない。

まるで誰かの心を覗いているようだった



「私のツレは見かけませんでしたか?」


「あぁあの子なら大丈夫。治療を済ませてある。前もってかなりの治療が施されていたから呪術で容易く治療できたよ」


「呪術?」


「あぁ・・・済まない。君はこの世界が見えるようだね?この世界には魔法を使う者がいるが、私は両見者と呼ばれる魔法と呪術つまり妖が見えるのさ」


「何が違うんです?」


「魔法の媒体は神素に対して、呪術は現素だ。簡単に言うならば・・・呪術の方が“場を整えさえすれば”、魔法よりも柔軟で有能って意味かな。」


「僕は生業でネクロマンサーを営んでいるんだ。妖者を見るから、必然的に死体を使役できるネクロマンサーが1番都合がよくてね・・・っと言っても理解が追いつかないよね。ごめん、悪い癖でね」


「何故助けてくれたのですか?」


「そうだな・・・。呼ばれたってのはどうだい?」


「主・・・そろそろ夜が来ます」


「そうか漠脈(ばくみゃ)なら私が内側に結界を描いて、維持をするからその間維持を頼む。終わったら少し休んでくれ」


「はい・・・」



突然私を助けた男性の足元から、美しい着物を着た女が出てきた。青髪に青い瞳。白い肌には何か緋色に近い色で模様が描かれていた


ずっと見ていたくなるようなその魔性の美しさに引き込まれそうになったが、すぐに目を逸らした。

何故か相手はこちらを見ていないのに、ニヤリとアイコンタクトをして来たように感じたからであった。



「漠脈に気に入られたのかい?あいつは少し面倒なんだ。願いを叶える代わりに体のどこかを喰わせろと言ってくる肉食女子なんだ。式としてつかわせてるんだがね・・・。有能なんだが癖が強いんだ。気をつけてくれ」


「そうそう、君のツレはこの結界の中では起きないよ。特殊な眼をお持ちのようだけど、それは仇となる。それと変わって君は万能だ。どんな能力かは2人とも分からないけど困ったら相談にのるよ」



男性は優しい微笑みをこちらに向けると、黒くよどんんだ空間の中ギリギリに巨大呪陣を書き上げた。


終わった後に、男性が指を人ならしすると、呪陣は光だし、無数の光線が私達を包み込んだ。


線は束となりて円となった。


円となった空間は先ほどとは真逆で、眩しいほどに明るく、清々しいほど気が晴れる場所に変わったのだ



「これは・・・」


「まぁ妖者と人の呪術の違いさ。漠脈は人を寄せ付けない。長い付き合いの僕ですら過去を知らないぐらいだからね」


「さて・・・本題に入ろうか?何故君たちはここで倒れていた?それも・・・そんな軽装で?」




突然男性の声色と顔色が変わったのだ

今まで優しく微笑んでいたこの男は、悪を見るような眼で私達を見てきた。

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