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第4話。特別な存在

看守に言われた通り牢獄から這い出た後私は北へと向かった。


まだ戦地は以前ほどの活気は無いがまだまだ戦っている場所がちらほら見て取れた。


中には戦争の巻き添いを食らった村まであり酷い有様だった。

レイプは勿論人食も・・・

少女に至っては言葉を失い私は嘔吐した。



以前生きていた世界とはまるで違う

いや・・・私が見ていた世界では無いだけなのだ

私の国は平和で争いがなかったが、私のいる国の反対側では戦争が絶えず起こっていた。


ただそれを知って何もできなかった

だが今の私には力がある・・・

神から直々に授かった力と恩恵である


失われた命の瞳を1つづつ閉じて行く。

美しい女性の泥にまみれた体にはぬるっとした刺激臭が鼻をつんざく。


体のあらゆる穴からは血が流れていたのだろうが

今では血が凝固していた。

その血を舐めとっているのが見た事もない生物・・・。

巨大な蚊とでも言えばいいのか?

至る所に目をこらすとそれは薄っすら見えたのだ







今までは見えなかったのにーーーーー








数日にわたる村人の供養を終え、先に進もうかと思った時、ふと後方から何かが聞こえた気がしたので向かうと

瓦礫の様な山の中に家を建てていた場所を見つけ、入ってみるとそこには身体中に細かい傷と酷い痣が身体中にある小さな少女を発見した。


ずっと食事を取っていないのだろう、骨と皮になってしまっていた

それは私も同じ事だが、私は空腹と極限の精神力の中でも祈りという縋るものがあった為なんとでも持ち直し、活力が湧いてくるほどであった為、途中拾った食いかけの食べ物を少女に食べさせた。


この世界では食い掛けでも相当な贅沢だ

基本はウジムシやその辺の虫をつまんで食べるのが普通なのだから・・・


少女は夢中でかぶりつく、前世・・・とでも言えば良いだろうか?

私からしたら生ゴミと言えば良いのだろうか・・・。

それに食らいつくほど私達はいま空腹に飢えている


暖かいパンやスープなどどれほど高価な事か?

水ですら泥水を飲んでいる。


以前の私では考えられない様な世界そして境地へと追い詰められていた。


喉が潤ったのか少女が口を開いた

だがその顔はいままで見てきたどの遺体よりも残酷にそして、人の性によって穢されていた。


「ありがとう・・・お兄ちゃ・・・」


「眼が痛むのかい?」


「う・・・うん。」



少女の右目はえぐり取られていた。

暗い室内では分かり辛かったが、透き通る宝石の様なスカイブルー。

だが陽の光がたちまちさせば、森の中にひっそりと佇む泉の水を宝石にした様なエメラルド色へと変わったのだ。


自然と私の腕もその宝石へと手が伸びた。

触れる寸前で意識を取り戻した瞬間、私は驚いた

魔性の瞳と言うのが存在する事を・・・。


か弱い少女は震えながら身を小さく抱え込んでいた。

えぐり取られた片目は生々しい血痕と肉片が顔を出していた。



「私は此処から北に進み街に出る君はどうする?」


「分からない・・・」


「それなら付いてきなさい。まずは先に進む事だ。そして何かに取り組む事だ、すぐ辞めても構わない。キッカケを作る事が大事なのだから」


「え?・・・」


「難しかったかな(゜ロ゜;)」


「よければ付いてくるかい?悪いようにはしないから」


「うん・・・」



少女は後にこの時の事をこう語っている。


あの時の青年は私の瞳を見て、正常を保っていた。

私に瞳は人の欲望を増幅させてしまう魔力がある。

戦争の際それを悪用されたのだ

だがあまりにも乱暴な扱いに反発していた幼き私は、兵士に目玉を奪われた。

痛みでその時の事はあまりよく覚えてはいないが、片目を失った後1つ目だけではあきたりないようで2つ欲しいと兵士に誰かが命令を下していた。

私は当然逃げ出した

追っ手の足は早すぎた・・・

逃げ切る事など毛頭なかったが、捕まれば今度こそ命は残らないだろう。

無残に侵され辱められ殺され目玉を悪用され私は死んだ後も人々に恨まれる事を考えたら、幼いながらに私はゾッとした。

だから私の頭は知恵を振り絞った。

そして私はあの場所に隠れた、誰にも見つからない場所だ


過去偉大な魔術師があの森に隠れ家を作ったと言う伝説が残っていた

そして私はこの瞳を悪用してその場所を以前から突き止めていた。

欲望を増幅させる事は・・・欲しいものを発見したり、引き寄せる事もできるという事。


逆に言えば欲望で気を狂わせたりもできる為私は戦争で悪用されたのだ。


だがあの青年は私を見つけたのだーーーーー



私の瞳を見て欲望に駆られず、そして私を見つけ出した青年は特別な力を持っているとは思えなかった。

だが後に私はこの青年は特別どころでは無い力を宿している事に気づく・・・


そうあの時も・・・



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