第2話。使命とは?
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戦場に着く前の山道の途中追い剝ぎにでも有ったのかと思えるほど身ぐるみを剥がれた女子どもの死体が転がっていた。
そのどれもが焼け爛れ、白目を剥き、口を大きく開けて此方に訴えかけてきた。
それらを1つ1つ私は眺めるたび酷い頭痛と眩暈に見舞われた・・・。
そのたびに聴こえる謎の声ーーーーー。
ただ導けという声に従いながら、私は祈りを亡くなった者たちに捧げた。
私の力は祈る事。
【これは己を変え、世界を動かし、未来を信じ、人を救う。誰にでも出来る簡単な“魔法”である】
私はこれで前世世界中の人々を救った。
・・・いや、己の魂を呼び起こし己自身の力で皆が勝ち取った勝利の為、救ったという表現は語弊を生む・・・。
訂正し、私はこれで前世、【世界中の人々の魂を呼び起こし勝利を導いた】
山を降りる頃には既に100人を超える人々に祈りを捧げた。
祈りとは一概には言えないがこの場合は転生に導く道を作ると言う事だ。
この祈りで人はまた転生する事となる。
永遠に輪廻の輪の中で生き続け人は進化し続け生きていくのだ。
そしてDNAに刻まれた歴史は永遠に消える事なく引き継がれるだろう。
それは子孫を失ったとしても消える事なき輪廻の輪の中に残りまた転生するのである。
それが祈りの力であり救いなのである・・・。
♪♪♪♪
戦場に着くとそこは西軍側であった。
(私が勝手ながら西軍と名付けた)
謎の青い光が目の前を通ったかと思うと、私の後方に落ちた。
その瞬間爆発とともに熱風が肌と喉を覆った。
私の肌は一瞬にして焼け焦げ、喉は焼けた。
私は今持つカードの中の1つを1つ失った
そして皮膚は焼け焦げ、服は皮膚と癒着してとろけている。
程なくして言葉に出せない痛みが身体中を走り巡った。
声を出せない苦しみと身体中の痛みは、痛いというよりも無に近い痛みであった。
私は意識をすぐに失いかけたが・・・
近くにいた軍人が、緑色の生暖かい光を浴びせ続け私の肉体は正常にゆっくりと姿を戻した。
私は驚き、喉が潰れている事も忘れ、かすれた醜い声で“ありがとうございます”と何度も感謝の意を唱えた。
だが軍人はその言葉を無視するが如く東軍の方へと銃を構えて特攻を掛けた。
その直後先程の青い光とは違う赤い光が天から降り注ぎ、その軍人の姿を一瞬にして掻き消した。
今度は音も無く、まるでそこに元々なにもなかったかのように消えてしまったーーーーー。
私は恐ろしくなって土を掴み掴み西軍の方へと逃げ出した。
喉の痛みなど忘れ私は命を請うた。
その時の私の心の中にはまだ死ぬわけにはいかない・・・
その気持ちでいっぱいであった。
だが私には祈りの神が付いている
土を掴み、足を滑らせ、大地に顔をめり込ませて気がついたーーーーー
脳から全身に効果音を付けるならば『バシンッ』という音と共に全身に電気がか毛巡るかのように、悟った
何も焦る事はない・・・
私に使命があるのであれば死ぬ事はない
使命が全うされる迄は死ぬわけがないのだから・・・。
私は天から降り注ぐ謎の光の集中砲火を受け続けながらも平然と歩みを進めた。
自然と雲に覆われていた西軍の空はたちまち晴れ渡り天が顔を出した。
阿弥陀如来像の後光以上に光り輝く天の光は東軍の軍人の目を潰した。
私はそのまま西軍の本陣まで足を運んだが・・・
何故なのか捕縛された。
腕を背中に無理やり曲げられ、まずは銃のケツで後頭を・・・
視界が歪み、吐き気がするほど頭がクラクラとする。
立っていられない程、私の脳は揺れた。
だが気を失うにはその打撃は足りなかったようで部腹部を今度は、殴られた。
口から吐瀉物を吐き出した・・・
♪♪♪♪
そして、後頭部の痛みと腫れ、更に胃からこみ上げる胃酸のムカつきと共に目を覚ました時そこは
冷たく、どこと無く死臭が漂う牢獄の中であったーーーーー。