67次元 秘密の7次元 小さき者達の受難
はい今日は!今回は久々のみっじかい短編です!
結構さらさらと書けましたね、頭空っぽで書くの楽しいので気軽にのんびり書かせて貰いました。
今後明るい話が何丈書けるかな、と考えると書かずにはいられなくなったので・・・。
と言う事で今回はチビ達の御話。タイトルは不穏ですが、平和其の物の回です。偶には息抜きをって事でどうぞ!
「・・・・・。」
此処は次元龍屋、其の中のセレの部屋にて丗闇は長年然うして来たかの様な酷い渋面でじっとベッドの上を見詰めていた。
と言うのも、其処には目を離す事が出来ない二匹の問題児が転がっているからだ。
ベッドに置かれている御気に入りのファフー縫い包みが揺れている。然う思った矢先、其の中から小さな影がひょこっと顔を出す。
其はすっかり獣の姿に変わり果ててしまったセレとガルダだった。
取り敢えず店へ連れ帰り此処に放してはみたが、矢張りと言うか何と言うか、直ぐ元に戻る気配がない。
皓い方も同様だ。魔力等は戻っている筈なのに時間が掛かるらしい。
重い溜息を付いて暢気に戯れる獣を見詰める。
さて、一体如何する可きなのか。
早く此の思考に蓋をしたいのに目の前の現実が其を赦さない。
世話をしてやる気なんて更々ないんだが、然う思っていると扉を叩く音がした。
「・・・入れ。」
「セオちゃん御邪魔するね。」
然う言って扉を開けたのはドレミだった。彼女の後ろからローズも顔を覗かせる。
一応店の者には軽く現状を伝えはしたんだが、早速其で来たらしい。
「妙な名で呼ぶな。何の用だ。」
どんなに丗闇に睨まれてもドレミはきょとんとしていた。彼女は彼女で芯が悍いのだ。
「セレちゃん達、如何かなって思ったんだけど。」
―わぁ、小っちゃくて可愛い!―
くるりと部屋を見渡していたローズが尾を上げ、直ぐ様ベッドへ駆け寄る。
大きな影が近付いたので思わず二匹は縫い包みの中へ隠れたが、直ぐ鼻先を出した。
「見ての通りだ。未だ、戻る様子はない。」
「そっか。あのセオちゃん、良かったらドレミが二柱の事見るけど、如何かな?」
セレが前成った時冷たくあしらっていたとガルダは言っていた。屹度彼女は然う言う面倒事が嫌いなのだ。
然うは言っても多分ちゃんと面倒を見て、放置はしないと思うけれども。・・・一応今も見てくれているし。
けれども此だと戻った後のセレが滅茶苦茶に怒られそうだ。容易に想像が付くので良かったら面倒位見るけど・・・。
「一応前ガルダ君に如何だったかとか聞いてるし、大丈夫だとは思うよ。」
「・・・・・。」
丗闇は彼の二匹とドレミを交互に見遣った。そして一つ息を付く。
「良いだろう。其なら御前に一任する。さっさと此奴等を連れて行け。」
「うん分かったよセオちゃん。」
―じゃあ僕の背中に乗って!―
いそいそとローズが背を寄せ前屈みになると、其の背中へ二匹は跳び付いた。多少言葉は分かる様だ。
二匹を乗せるとローズは慎重に歩き始めた。
「じゃあセオちゃんは緩り休んでね!又何かあったら教えて貰っても良いかな。」
「・・・譲歩はする。」
目を眇めつつも丗闇の答えを聞け、ドレミ達は早速自室へ籠った。
次元に行っても良かったけれども、今は此方の方が大事だろう。
一応ドレミはローズを育てた実績がある。全く同じと言う訳には行かないだろうが、其の経験は屹度役に立つだろう。
―じゃあ先ずは日向ぼっこだね。―
部屋に入るなりローズは陽の当たる窓の傍に寄る。
前ガルダも、此の状態のセレは陽に当たっても平気と言っていたので問題ないだろう。
念の為背中に注意しつつそっと腹這いになる。陽に照らされ、ローズの鬣が金色に輝いた。
心做しか毛が膨らんだ様にも見え、すっかり二匹は中に潜り込んだり顔を出したりして遊び始めた。
其の様子を見てローズは目元を和ませる。
最近彼はちょくちょく故郷である古獣の国へ帰っているのだが、其処で子供達と遊ぶのが恒例になっている。
御蔭ですっかり子供好きになってしまった。小さな子を見ると如何しても気になってしまうのだ。
「えへへ、モフモフが一杯で良かったねセレちゃん。」
ローズの傍へ屈むとセレが鼻先を向けて来た。
・・・うん、此がセレなんだと信じるのは中々難しいけれども、二度目なので多少の慣れはある。
只、隣の子は・・・。
セレと同じ様に顔を出したかと思うと又引っ込んだ。如何やらローズの鬣を気に入っているらしい。
「・・・本当にガルダ君なの?」
手を出すと勢い良く跳び乗ってくれた。
其処でまじまじと見てみるけれども・・・。
「・・・うーん、一寸信じられないかも。」
―だね、全然違うし。―
パタリとローズも尾を振るが、其の通りだ。
何度か彼が力を使って多少獣っぽくなる姿は見た事があるけど・・・。まさかガルダがこんな姿に成るなんて。
セレは良く色々変わっちゃうから慣れて来ていたのに此方は初見だ。
若しかして神って案外斯う言う姿に成り易かったりするのかな・・・?
まじまじと彼を観察するも、得られる情報は特に無い。只可愛いと思う丈だ。
一寸悪戯心で其の豊かな胸毛を突いてみたが、成程素晴しい手触りだ。とっても気持良い。セレ好みのモフモフだろう。
「兎に角、セレちゃんの時と同じで良いか、確認とかして行かないとね。」
「キュ!」
通じているのかいないのか、一つ鳴いて彼は片手を挙げた。何ともあざとい。
然うと決まれば、矢っ張り最初は食べ物だろうか。食べないと元気出ないだろうし・・・。
無難な卵料理とか作ったら食べてくれるだろうか・・・。
其の時ドレミの部屋へ軽やかなノック音が響く。答えるとにゅっと長い鼻が覗いていた。
「・・・あ、カレンちゃんいらっしゃい。」
「えぇ御邪魔しますわドレミさん!」
元気良く入って来たのはカレンだった。そして繁々と部屋を見渡す。
彼女が部屋に来るのは一寸珍しい。何かあったのだろうか。
「・・・?此処にセレ神さんとガルダ神さんが居ると聞いたんですけど。」
―二柱なら此処に居るよ。―
ローズがぱたりと尾を落とし、カレンは慌てて彼の傍へ寄って来た。
「え、ど、何処ですの・・・?」
本気で分からないと許りに彼女は目を瞬いた。初見であれば其の反応も致し方ないだろう。
「ほら此処だよカレンちゃん。ドレミの手の上!」
ずいっと手を出す。其の上でガルダは一声鳴いた。
「っ⁉キャァアアア‼何なんですの此の鼠は⁉」
―だから其の子がガルダだよ。後此方がセレ。―
ローズが首を巡らせるとセレも鬣から顔を覗かせた。途端又小さな悲鳴が彼女の口から洩れる。
心做し一寸震えている様な・・・?
「若しかしてカレンちゃん、鼠嫌いなの?」
抑鼠じゃあないけれども、此の反応は過剰だ。つい気になってしまう。
「べ、別に恐くなんかありませんわ!只吃驚した丈ですの。」
如何やら苦手らしい。彼女も針鼠に似ている風に思うけど、そんな事を言ったら気分を害してしまうかも知れない。
「そ、其にしても本当に此が・・・?こんなんじゃあ直ぐぺしゃんこになってしまいますわ。」
「うん、力を使い過ぎちゃったからね。前もあったんだけど・・・。」
「こんな弱点を持って良く生き残れますわ・・・。此の鼠が克て黔日夢の次元を起こした神だなんて誰も信じませんわ。」
然う言いつつも彼女は触る気はないのか少し遠目に見る丈だった。
「然うだね。一杯食べたりして元気出たら元に戻るけど。」
「其だったらコチ、良い物持ってますわ!栄養満点の此を食べれば屹度大丈夫ですわ!」
胸を張った彼女が懐から取り出したのはごとりとした石だった。
無骨な黔い石だが、罅割れた中心が絳く灯っている。まるで宝石を土で覆って固めた様な具合だ。
―え、何此・・・石?―
「此は魔力を含んだ岩漿が結晶化して固まりつつある一品ですわ。凄く貴重ですの!未だ生きている岩漿なので熱いですわ!」
つまりは石である。確かに中の絳は蠢いているみたいだ。
見た事のない物ではあるが、石に変わりはない。
彼女は其を大切な御宝の様に両手で持ってはいたが、熱いのは本当らしく、指を何度も動かしている。
「岩漿は食べさせちゃ駄目だよ⁉」
流石に其は食べられないだろう。元の二柱だって食べていなかったし。
自分だって食べられない所か怪我、火傷をしてしまう。幾ら栄養があっても此は食べさせられない。
―然うだね。流石に自然の力が勁過ぎるよ。―
見ている丈でも熱気が伝わって来る様だ。固まっている分抑えられてはいる様だが、危険物に変わりはない。
「っ然うですの・・・。先部屋を掘っていたら出て来たのでもうコチ吃驚して、」
其で誰かに見せたかったのだろうか。けれども自分達じゃあ其の価値がはっきりしない、共感は出来なさそうだ。
「其はカレンちゃんが大事に食べてくれたら良いよ。気持丈受け取って置くね。」
「分かりましたわ!実はその・・・先から我慢が出来なくて・・・っ!」
如何やら食べたくて仕方なかったらしく、行き成り石に齧り付く。
思わず息を呑んで見詰めてしまう中、彼女は何度か口を開けて湯気を吐き出した。
「だ、大丈夫カレンちゃんそんながっついて!」
一応岩漿ではある。そんな食べたりしたら燃えたり溶けたりしそうで冷や冷やしてしまう。
すっかり石を食べ切ったカレンは猶も湯気を吐き、目を瞑っていた。
食べ切れたのかと安心するのも束の間、彼女の髪の先が絳く光り始める。まるで其こそ岩漿の様に曦を放っているのだ。
一気に部屋の温度が上がった気がして、急ぎドレミは窓を開けた。
一体何が始まるのか、ローズもすっかり固まってしまって見詰めている。
「・・・ぷはぁ!噫最高に美味でしたわー!」
「お、美味しかったんだ。」
両手を挙げ、ぴょんぴょんと跳ねる彼女は本気で嬉しそうで思わず面食らってしまう。
―大丈夫?髪凄い事なってるけど。―
「えぇ、此は絶好調の証ですわ!只店を燃やす訳には行かないので一寸出て来ますわ!」
本当に其の髪は燃えているらしく、陽炎の様に毛先が揺れていた。
そしてカレンは大慌てで扉を開けると部屋を飛び出してしまう。其丈で熱気が渦を巻き、頬を撫でた。
確かにもう数秒此処に居たら火事になっていたかも知れない。彼女は外へ走って行ってしまった様だ。
―な、何しに来たの。―
「まぁあの、元気そうで良かったね。」
あんな行儀悪く直ぐ食べちゃうなんて、其程彼女にとって最高の御馳走だったのだろう。
今回は辞退したけれども、若しセレ達が食べられたら分けてくれるつもりだったのかも知れない。彼女も優しい神なのだ。
でも部屋で見付けたって・・・何だか店が凄い事になってる気がする。増築して貰った中で自分の部屋が一番真面かも知れない。
「ナロウン。」
―ん、わぁ吃驚した!―
不思議な音に首を巡らすと、窓から真黔な塊が覗き込んでいた。窓を開けたので入って来たらしい。
「あ、レインちゃん今日は。」
「キュムリィ、リ!」
レインはまるで窺う様に首を回した。何か感じ取っているのかも知れない。
「あ、若しかしてセレちゃんなら此処だよ。」
「ニュウム!」
指差すと直ぐ様ローズの鬣に突っ伏しそうな程近付く。其の中に包まっている黔い影を見付け、もう一声鳴いた。
こんな姿に成ってもレインには一発で分かるらしい。何処か嬉しそうにセレの事を見詰めている。
セレの方もレインに頬擦りをしたりと嬉しそうだ。一見同じ黔色なので親子の様に見えなくもない。
只暫く然うしていると小さな腹の音がした。・・・如何やら御中を空かせている様だ。
セレは直ぐ座り込んでしまった。躯が小さい分、直ぐ動けなくなってしまうのかも知れない。
「あ、レインちゃん御免ね。先に御飯あげないと。えっと・・・ガルダ君も御中空いてるよね?」
声を掛けると何度も頷き返す。余っ程空いている様だ。
「キュキュ?キュウィリ。」
―え、何、冷たっ、生臭!―
するとレインは触手を一本窓から入れて来た。如何やら其の先に何か持っていたらしく、ローズの鼻先に当たる。
驚いて顔を上げると、銀色の曦が視界を掠めた。
―あ、此魚?魚捕って来たんだ。―
「キュビ、ビィ。」
然うだと言わん許りに小魚をグイグイとローズの顔に押し付ける。
今捕って来た許りなのか魚が跳ねるのでローズの顔はすっかり濡れてしまった。
何度も顔を洗う様に前足で拭って彼は起き上がった。
―もう、分かったよ、はい。―
正直レイン語なのか、彼女が瓊を回して鳴らす音の解読は出来ていない。
だから斯うして時に強引に意思を伝えて来るのだ。
屹度此の魚をあげるから早くセレに御飯をあげるんだ、とか其の辺りなのだろう。
ローズは前で振られる魚を口に銜えた。
「有難ねレインちゃん。じゃあ焼き魚にしてみようかな。」
骨に丈気を付ければ二柱共食べられるかも知れない。折角なので有り難く頂いて置こう。
早速二柱はレインに背を押されつつキッチンへ向かうのだった。
・・・・・
「さ、焼き立てだよ、どうぞ!」
部屋に戻り、小皿を床へ置くとローズの背から二匹が降りて来た。
そして未だ湯気の立っている小魚を前にきちっと座っている。
―何だか小っちゃい時の僕を見てるみたい・・・。―
ローズはチョンと前足でセレの頭を触った。撫でているつもりなのだろうか。
「御座りと待ては出来ると・・・。」
矢っ張り言葉はある程度理解出来ている。後はテレパシーとか使えたら完璧なのに。
―大丈夫かな。ちゃんと食べらえれるかな。―
「一応骨とかはある程度取ったけど。」
レインも気になるのか窓から顔を出して見詰めている。皆が然うして見護っている中、先ずセレが小魚の腹に噛み付いた。そして口を突っ込んだ儘もぐもぐ食べている様だ。
―あ、食べてる食べてる。―
歯は迚も小さいので緩りとだが、食べる事は出来るらしい。気に入ったのか尾が振られている。
其の姿を見て触発されたのかガルダも魚から零れた身を幾つか食べていた。
「ミ、ミ、ニュウ。」
食べてくれたのが嬉しいのかレインも触手を振って何度か鳴いている。
ドレミ達もほっと息を付いた。前のからして雑食性の様だ。
二匹で魚を取り合う様にして食べているが・・・考えると何だか此・・・。
一見微笑ましい光景に思えたが、元の姿を思うと複雑な気持になる。ま、まぁ良いよね。一つの皿を突っ突き合うの位、二柱は幼馴染なんだし気にしないだろう。
然うしている間にも二匹は綺麗に小魚を食べ切った。皿を舐めているが、余っ程美味しかったのかも知れない。
「うん、綺麗に食べられたね。魚はOKと。」
「キュ!」
二匹が一緒に返事をする。満足してくれたなら良かった。
本当に小さな魚だったけれども、如何やら其ですっかり一杯になったらしく、今度は傍で見ていたレインの方へ行く。
其を待ってましたと許りにレインは触手を伸ばして二匹を掬い上げた。
―あ、勝手に持ってっちゃ駄目だよ。―
「キュリ!」
一つ鳴くとレインはするりと胴を伸ばして部屋の中へ入って来る。
本当に伸縮自在だ。液体の様に伸びたと思ったら又集まって行く。
暫くセレ達と遊ぶ気なのだろう。まるで蛇の様に長くなって自身の背に二匹を乗せていた。
「じゃあドレミ片付けて来るからね。」
二頭になら大丈夫だろう。ドレミは皿を持って部屋を出て行った。
―何して遊ぶ気なの?―
尋ねてみるとレインの躯は大きく波打ち始めた。くねくねと上下に大きく揺れている。
奇妙な躯だなぁと見ていると、丁度其の波の流れが滑り台の様になって二匹はレインの背を滑り降り始めた。
うねりに合わせて二匹は運ばれて行くが、レインがどんどん形を変えて行くので途切れる事はない。
部屋の中を縦横無尽に伸びて回って行くので、ローズを中心にくるくると二匹は滑り続けていた。
―おぉ、何だかジオラマみたい・・・。―
何処かの次元で見た覚えがある。小さな車や列車がこんな風に走って回っていたけれども、彼は見ていて迚も楽しかった。
レインの動きは予測し難いので、次は如何なるのか目が離せない。
でもちゃんと二匹が落ちない様、柵の様な物も脇に生えていた。
二匹もすっかり楽しんでいる様で、時々歓声なのか高い声を上げて滑って行く。
ローズも追い掛ける様に回っていたが、余り見続けていると目が回りそうだ。
「キュ、キキュ!」
段々レインの方も調子が出て来たのか、螺旋階段の様に渦を巻いたり、家具に沿って躯を変え、緩急を付けて行く。
「っわ!何此!え、レインちゃんなの?」
暫くしてドレミが部屋へ戻ると、謎の黔い紐が所狭しと部屋を覆っているのでつい声を上げてしまう。本の数分ですっかり部屋は様変わりしてしまっていた。
何が起きているのか暫く目を瞬かせるが、ローズが回る其の視線の先を追ってやっと理解する。
二匹が部屋を滑り回る様は楽しそうだ。実際自分でも一寸やってみたいと思う程だった。
「レインちゃん凄く器用だね。こんな事も出来ちゃうなんて。」
「キ、キ、キュ!」
返事の代わりに次にレインはドレミを中心にぐるぐると上下に回り始めた。
御蔭で乗っている二匹も其の儘滑り落ちる。行き成りレールの軸にされた形になって、思わずドレミは固まってしまった。
此は・・・、レインはセレや皆の言う事を良く聞いてくれるけれど、自由にさせると中々の暴れん坊になるかも知れない。
自由過ぎる不思議な躯の分、何でも思う様に出来てしまうのだろう。
―はい、じゃあ滑り台は終わり。―
器用にもローズはさっさと尾を払って二匹を捕まえた。
其の儘鬣の中へ二匹も入り込む。
あっさりと乗客がいなくなってしまったレインは動くのを止め、一気に収縮し始めた。
そして次は何をするのだろうと興味津々にローズを見遣る。如何も一緒に遊んでいるつもりらしい。
―えっと、じゃあ次は・・・。―
ローズが顔を上げて考えていると又扉をノックする音が響いた。
皆小さくなっちゃったセレ達に興味津々なのだろうか、今日は来客が多い。
応えると扉を少し開けて一つの卵が転がり込んで来た。
「あ、ジー君だ。遊びに来たのかな。」
「ウン!セレ居るんでしょ?」
―愚かな型落ちの姿を拝みに来マシタ。―
「あれ、えっと・・・。」
聞き慣れないテレパシーが届き、つい目を瞬かせてしまう。
今の、Z1-Θからした気がするけれども・・・?
ローズも不思議そうに首を傾げる。何だか随分辛辣な言葉が聞えた気がする。
「ア、テレパシーはBDE‐01のだよ。僕は喋れるから。」
「BDEって・・・えっと、」
―セレの背中に付いてた機械だね。―
―機械じゃないデス。BDE‐01デス。―
即修正されたけれども思い出した。然う言えばそんなのがセレには付いていたっけ。
凄く口が悪いロボットって・・・。私は余会った事ないけど。
―ほら前セレが言ってたでしょ。Z1-Θにあげたんだって。―
―あげたんじゃないデス。アイが自発的に離れたんデス。―
「うん然うだったね。へぇ・・・そんな風になるんだ。」
何が、とは言わないけれども、見た目は特に変わっていないみたい。
―型落ちと鳩サンの世話だなんて大変デスネ狐サン。―
―え、えっと・・・え、誰が誰なの?―
流石にローズも困惑してしまう。分かる名前が一つも出ていないのだ。
「エット、型落ちがセレの事で、鳩がガルダで、狐が多分ローズだよ!」
ぐるりとZ1-Θは回転して淡い曦を放つ。
彼が居る丈で一気に雰囲気が明るく、華やかになる。
―あ、僕狐なんだ・・・。―
言う程似てないと思うけれども・・・。
「って言うより殆ど悪口っぽい様な気がするよ。」
型落ちなんて余だ。口が悪いって然う言う所なのだろうか。
―アイが導き出した高度なコミュニケーションに口を挟まないでクダサイこわっ・・・、―
何か言い掛けて不意にテレパシーが途切れる。不思議な沈黙にZ1-Θは緩り揺れた。
―・・・失礼、ドレミサン。―
「あ、うん。・・・その、出来れば皆もそんな風に名前で呼んであげた方が良いけどね。」
―何でドレミ丈名前呼びなの?―
一寸不満そうにローズは毛を逆立てた。
でもBDE‐01は沈黙を返す丈だ。
言える訳が無い。彼の一瞬、只ならない気配を察したなんて。
咄嗟に緊急回避プログラムが発動した程である。何故か彼の少女を怒らせてはいけないと機械なりの第六感とも言う可き物が働いたのだ。
下手な事をしてZ1-Θを壊される訳には行かないし、此処は様子を見よう。
「ア、若しかして此がセレ?ア、ガルダも居る!」
Z1-Θが曦で出来た触手を伸ばし、ローズの鬣を指差す。
「うん然うだよ。良く分かったね。」
「ウン、僕は魔力を見てるから。一寸分かり難くなったけど、同じだから分かるよ。」
―流石Z1-Θデス。其でこそアイの宿主に相応しい。―
「成程・・・そっか。魔力は一緒なんだ。」
其でもこんなに姿が変わっちゃうなんて凄い。魔力が同じと言う事は姿と言うか、魂の問題なのかな・・・?
「セレ!セーレー!・・・アレ?若しかして御喋り出来ないのかな。」
ツンツンと曦の手で突くが、セレは鼻先を寄せる丈だ。
ガルダも曦が気になるのか手で触れてみていた。
―然うだよ。テレパシーも使えないからね。―
「アラ・・・其は大変だね。ウーン残念。」
―何とも情けないデスネ。落ちる所迄落ちたと言いマスカ。―
「でも小っちゃくて可愛いよ。其に話せなくても一緒に遊べるし。」
―一体何して遊ぶつもりなの?―
機械であるZ1-Θが提案する遊びとは何だろう、一寸気になる。
レインも同じ気持なのか、窺う様に窓から覗いていた。
「僕、BDE‐01の御蔭で新しい事出来る様になったんだよ!」
明滅し乍ら一回転をして曦の帯がうねる。余っ程嬉しいのだろう。
表情が無くても彼は全身で表現するので良く伝わる。
「新しい事って・・・あ、前扇風機・・・だっけ、彼みたいな事?」
何だか見た気がする。術とかじゃないのに冷たい薫風が出ていたから吃驚したのだ。
然う言った文明の物は一寸疎いので、仕組みも何一つ分からずまるで手品を見ている心地だったけれども。
彼を又見せてくれるのだろうか。今度は一体何が出来る様になるんだろう。
―新しい事って何?僕も見たい!―
特にローズは大喜びだ。事彼が一番Z1-Θの進化を楽しみにしている気がする。新しい物が大好きなのだ。
扇風機の絡繰りだって何時か解き明かしたいと思った矢先なのに・・・。
然も言い振りからして其でセレ達と遊べると言うなら、こんな素敵な事はないだろう。
「エヘヘ、じゃあ見ててね!」
然う言うと突然Z1-Θは、まるで卵が割れる様に横にぱっくり切れ目が入り、分かれてしまった。
でも取れた上の部分は曦の触手で支えているらしく、中空に留まっている。
割れたZ1-Θの中は水で満たされ、其の中心にコアなのだろうか、蒼い瓊が一つ入っていた。
其の瓊から曦が溢れている様で、水に反射し曦が揺れる様は何処か幻想的にも見える。
綺麗だなぁと思っていると其の水は瓊を中心にぐるぐると輪を描き始めた。
「凄い綺麗で不思議だけど、此何?」
何だかインテリアにしたらずっと見ていたくなる様なそんな光景だけれども。
セレ達もローズの背から身を乗り出してZ1-Θの変化から目を離せない様だった。
「マ、待ってね。一寸、調整が難しいから・・・。」
―良い調子デスヨZ1-Θ。―
水は次第に回転を速め、遂には浮かび始めた。
でも其は瓊を中心に回る丈で、辺りに散ったりだとかはせずに泳ぎ続ける。
―若しかして水と飛の魔力かな。器用な事するね。―
絶妙な力加減だ。思わず見惚れてしまう。
其の儘水は瓊を覆う様にして、水の柱となって回り続けた。
「ジャジャーン!Z1-Θ、洗濯機モード!」
「セ、洗濯機?」
聞き慣れない単語につい首を傾げる。
確かに然う聞こえたけど、何だっけ其・・・。
―洗濯機って・・・え!此が⁉僕こんな形の見た事がないよ!―
途端ピンと尾が立ち、ローズは鼻を近付ける。如何やら随分興味が出た様だ。
「ヘヘッ、凄いでしょ!」
―うん!へぇ・・・こんな事も出来るんだ。此は便利だね。―
「えっとロー君、其って何だっけ・・・。」
すっかり二柱丈で盛り上がってしまっている。何だか一寸悔しい。
―ドレミ、洗濯機は彼だよ。服とか洗ってくれる機械、見た事あるでしょ?ほら箱みたいなのに水と服を突っ込んで・・・、―
「あ!洗濯って然う言う事⁉え、凄い!此で服が洗えちゃうの?」
思い出した。確かに形が全く違うので最初は分からなかったけれども。
何処かの次元に行った時に見た事がある。おっかな吃驚で使ったけれど。
手が荒れず汚れず洗えるなんてと、吃驚したのだ・・・うん。
欲しかったけれども、大きいし自分の電気じゃあ強過ぎるのか壊しちゃって・・・一寸苦い思い出だ。
そんな事もあって、一応店にも洗濯機自体はある然うだが、使ってはいない。でも彼をZ1-Θが再現出来ちゃうなんて。
―フフ、如何やら此の素晴しさが分かる神達で良かったデス。―
BDE‐01も嬉しそうだ。得意になったZ1-Θはもっと水を回し始める。
「じゃあ此処に服とか入れたら洗えちゃうの?」
「ウン、然も何か・・・何だっけ。凄い力で汚れが落ちちゃうの。」
―プラズマデス。汚れを分析し、的確にプラズマを流す事で汚れを分解、除去出来マス。生地毎に洗い方も変えられマス。―
―此、店にあるのより高性能じゃないかな。―
―然うでしょうとも!あんな何処のメーカーから買ったのか分からない。馬の骨も知れない奴には負けまセン。―
一体何を競っているのか不明だが、そんな張り合いが密かにあったらしい。
因みにメーカーは多分T&Tじゃないかな・・・?ガルダの家なんだし。
―へぇ!ドレミ、何か適当に服入れてみてよ!・・・あ、然うだ然うじゃなくって!―
途端ローズの目は輝いたが、はたと気付いて首を振った。
―い、いや今其処じゃなくて、えっと、此でその・・・遊ぶ、つもりなの?―
背に居る二匹の事を思い出したのだ。余りにも軽いのでうっかり忘れてしまっていた。
洗濯機は確かに革命的だ。早速使ってみたいけれども。
其でも今は子守の最中なのだ。しっかり安全には気を付けないと。
「ウン!此の中に二柱を入れたら綺麗にもなるし、楽しそうだよ!」
一度回転を止め、Z1-Θはまるで手の様に帯を上げた。
楽しそう、うーん・・・楽しそうだけれども・・・。
「其って小さなプールって感じかな。」
―でも何か洗濯機に入れるのって良いのかな・・・。―
心配そうに二柱は顔を見合わせる。矢っ張り一寸考えてしまう。
確かにZ1-Θの中だし、小さいプールみたいでこぢんまりしている。
うーん・・・大丈夫、かな。
「ネ、御願い!前の扇風機じゃセレの役に立てなかったから、次は此方で頑張るの。」
Z1-Θの気持は良く分かった。屹度彼なりに色々考えたんだろう。
―あんな型落ちの為に此処迄。―
「セレは大切な友達だもん。」
「・・・うん、分かったよジー君。一緒に遊ぼう。」
―良いんだねドレミ。―
「うん、実際楽しそうだし。」
「ヤッタ、ジャア二柱共此方!」
Z1-Θが帯を伸ばし、二匹を掬い上げた。
二匹も楽しみな様で尾を振っている。宛らアトラクションへ乗る様な心地なのかも知れない。
其の儘二匹をZ1-Θの中、瓊の近くへ置いてやる。少し水位があるので二匹は首を上げていた。
「ヨーシ、じゃあ洗濯開始!」
軽快な電子音が鳴り、緩りと中の水が回り始める。
―わぁ凄い・・・ちゃんと回ってる・・・。―
其の様を食い入る様にローズは見ていた。彼も楽しみで仕方ない様だ。
しれっとレインもそんな彼の頭の所から覗き込んでいる。水の流れを追っているのだろうか。
中の二柱も最初はよたよたと波の間で揺れていたが、次第に波に乗り、緩りと回り始めた。
確かに此なら流れるプールみたいだ。然も見ていて楽しい。
―良いな、何か見ていたら僕も入りたくなっちゃう。―
「もっと水があったら広い所で出来ると思うよ!」
「凄いねジー君、何でも出来ちゃうんだ。」
最初は魔力だった筈なのにこんな、彼の変化は目を張る物がある。
ある意味、セレの真似みたいな、見る度に何かが新しくなって行く様な。
戸惑っていた二匹も段々楽しみ方が分かって来たのか、今では波に任せてクルクルと回っている。
・・・うん、平和其の物だ。
確かに此なら店の風呂より安全かも知れない。彼方は怪我しちゃうから・・・。
回っては水を掻いたり、少し潜ってみたりと、二匹は忙しなく遊び始めた。見ていて何とも微笑ましい。
―・・・Z1-Θ、もっと早くして行きまショウ。―
「・・・エ、ウ、ウン。」
小声でテレパシーを受け取り、早速Z1-Θは言われた通りにする。
魔力操作に気を遣って、水が散らない様少しずつ・・・。
段々と水流は勢いを増し、波がぶつかり合ってうねり始める。
流されていた二匹も上手く波に乗れなくなったのかクルクルと其の場で回ったり沈んだりと忙しなくなった。
其の変化に、見物していた三柱も気付く。
「あ、あれ、Z1-Θ君一寸速くないかな・・・?」
回転が徐々に加わっている様な、セレ達も一寸慌てている様だ。
泳ぐと言うより波に攫われている様に見えなくもない。
何となく嫌な感じがする・・・別に二柱を洗濯する必要はないのだ。
其に見ていると何だか目が回って来る。此、二柱は大丈夫だろうか。
―ねぇZ1-Θ、もっと緩りで良いよ。じゃないと酔っちゃうよ。―
「ウ、ウン然うなんだけど・・・ど、如何しよ、止まらないよ~。」
「えぇ⁉如何したの早く止めなきゃ!」
Z1-Θも困っているのかチカチカと明滅を繰り返しているが、止まる所かスピードは上がって行く。
もう中の二匹はすっかり酔ってしまったのだろう。目を回して動けなくなっている。自力での脱出は無理そうだ。
然うしている間にも回転は速くなり、大きくなった水の渦はすっかり柱に成長してしまっていた。
最早Z1-Θの殻は天井付近にあり、其の水の柱はドレミの背丈以上に膨れ上がっていたのだ。
「キュル、キュルルルッ。」
レインも状況を察したのか、水の中へ顔を突っ込んだ。だが直ぐに弾かれてしまい、大きく仰け反ってしまう。
水の勢いが強過ぎるのだ。迂闊に中へ入れないのだろう。
ドレミも慌てて手を入れたが、同じ様に弾かれてしまう。外に向け水が回り続けているのだ。
中に入れ様にもどんどん押し返されてしまう。此では二匹を捕まえて出る事は出来ない。
此の儘じゃあ二柱共溺れてしまって・・・丗闇に任せて貰ったのにそんな事になったら、
さっとドレミの顔色が悪くなるも、止め方が分からない。機械は如何しても疎いのだ。
電気を流したらZ1-Θが壊れちゃうかもだし、二柱も無事とは限らない。
如何したら良いのか、然う頭の中も渦を巻き始めた頃、隣に居たローズの躯が金に輝き始めた。
其に気を取られるのも束の間、大きく曦が弾けたかと思うともうローズの姿は変わっていた。
少し体格が大きくなり、躯中に鏤められた輝石が煌めいて行く。
金の鬣を認め、何処か昊焼けをドレミは見た気がした。
然う、其は王の姿、ローズの鎧だったのだ。
だが完全に成り切った訳ではないらしく、中途半端な姿の様にも見える。
只ローズはじっと水流を見詰めていた。手を出す訳ではなく、じっと。
すると次第に其の水流は激しさを失い、丸く輪を描いて行く丈の様に思えた。力を失って行っているのだ。
同時に魔力のうねりを感じる。正に其は水流と逆方向へ流れて行っている様な。
其の儘ゆるゆると勢いを失った水の中で、すっかり目を回して蹲っていた二匹が残されていた。
其処へローズは鼻先を突っ込み、二匹を掬い上げる。
二匹は又直ぐに鬣の中へと潜り込む。ドレミも慌てて様子を見るが、取り敢えずは無事らしい。
水は幾らか飲んでしまった様だが、鬣に一所懸命躯を擦り付けている。でも震えている訳ではない様だ。
「よ、良かった・・・。」
―うん、何とか間に合ったね。―
尾を一つ振るとローズは元の姿に戻った。
「ゴ、御免ね。セレとガルダは大丈夫なの?」
きっちりと殻を閉じ、Z1-Θは低く浮かんでいる。
表情は無くても其の声音で十分伝わる。彼も悪気はなかったのだ。
「うん、大丈夫みたいだよ。でも吃驚しちゃったね。」
「ウン・・・本当に御免ね。大き過ぎると一寸制御が効かなくなるみたいで。」
「でも如何してあんな急に、何だか途中から速くなったよね。若しかして・・・。」
明らかにZ1-Θの流れる魔力が変わった時があった。何となく其が引っ掛かったのだ。
彼がこんな質の悪い悪戯をする様な子じゃないって知っているし、何か妙な力を感じたんだけれども。
―・・・・・。―
じっとドレミはZ1-Θを見詰めた。正確には彼の中の存在に。
屹度向こうも気付いているんだろう、そんな気配がある。
―ドレミ、そんな責める様な言い方はしちゃ駄目だよ。―
「いや、違うよロー君。多分此、BDE‐01の所為でしょ。」
「エ、エーット、違うよ⁉僕がちゃんと水を流せなかったからで・・・。」
「ううん、洗濯機は良く分からないけれど、魔術の事とかはドレミ一寸分かるもん。何かしたでしょ。」
Z1-Θが困った様に帯を上げるが、ドレミは其でも視線を外さなかった。
怒った時のドレミって一寸恐いんだよな、とローズは背の二匹を見遣る。
少し落ち着いて来たみたいで二匹は大人しくなっている。・・・うん、大丈夫そうだな。
―・・・済ミマセンデシタ、ドレミサン。―
凄く渋々と言った様子でテレパシーが帰って来た。ドレミの目は誤魔化せなかった様だ。
―あ、謝った。―
「何だろう・・・ドレミ、悍い?」
「え、ち、違うよ!もう変な事言わないでよ!兎に角、こんな悪戯しちゃ駄目でしょ!」
此はしっかり言って置かないと。本当に恐かったんだから・・・。
―でも具体的に何をしたの?―
ドレミが気付いたのも凄いけれど、そんな怪しい所あったかな。
「エット・・・もっと速くした方が良いよって・・・。」
「キュ!キキュ!」
怒ったのかレインもぐりぐりと頭をZ1-Θへ押し付けた。
「ウゥ、御免、御免ってばぁ。」
如何やら随分レインを怒らせてしまった様だ。故意だと気付いたからだろう。
正確には彼の中のBDE‐01が悪いけれども、其を理解させるのは一寸難しい。
「もう、謝るならセレちゃん達に謝らないと。一寸悪戯が過ぎるよ。」
随分びびらされたのでつい声が大きくなってしまう。でも此は不可抗力みたいな物だろう。
「ジー君も、何でも言う事聞いたら良いって訳じゃないからね。」
「ウン分かった。自分でもちゃんと考えるよ。」
ちゃんと反省はする良い子なんだ。其の返事に満足した様にドレミは頷いた。
大事にはならなかったから今回は良しとしようかな。
其にしてもまさかBDE‐01が斯う言う発想と言うか、出来るとは思っていなかった。セレの背中に付いている機械ってイメージが強かったから、感情と言うか意思があるとは思っていなかったのだ。
斯うなると物、とは大分離れてる感じがする。普通に御喋りとかする感じの。
Z1-Θと同じ様に、個として見てあげないとだね。ロボットなんだと片付けちゃあ駄目なんだ。
然うドレミは一柱結論付けて頷いた。自分でもしっかり考える必要がありそうだ。
「ジャアセレ達の事宜しくね。僕、他に出来る事考えて来る。」
「うん、無理はしなくて良いからね。最初みたいに緩りだったら大丈夫だろうし、セレちゃんも楽しそうだったから。」
兎に角、彼のセレの役に立ちたいと言う気持はふいにしたくない。
何とか励まそうと思ったけれど、早くもZ1-Θはやる気を出しているらしく、又輝き出した。
「ウン!有難う、又ね!」
帯を手の様に振ると、Z1-Θは部屋を出て行った。
「・・・ふぅ、子守って大変だね。」
―然うだね。僕の時も大変だったの?―
「うん・・・でも何方かと言うと其は姉ちゃんの交換条件の所為かも。」
随分懐かしく思う。姉の声を懐い出しても、前程痛む事はない。
楽しかったと思えるのは・・・良い事だよね。
―噫、僕を飼うのに家事全部やれって言う例の。―
「うん、でもロー君は大切な家族だからね。其位何でもなかったよ。」
―うぅ、良くそんな恥ずかしい事、惜し気もなく言えるね・・・。―
一寸照れてしまったのかローズは鼻先を彼女から外し、窓の方へと歩き出した。
―さてと、当初の予定通り、日向ぼっこでもしようかな。―
「然うだね。ロー君が一番安心して任せられるよ。」
「キュリ、ミ。」
同意なのかレインも何度も頷いた。安心したのか彼女も窓の所から少し覗く程度だ。
ローズが窓の傍へ座り背を見遣ると、もう二匹は眠ってしまっている様だった。
一度に色々あったから疲れてしまったのだろう。静かにしてあげよう。
気持良さそうに眠る二匹を見ると此方も眠くなって来る。ローズも腹這いになって緩り目を閉じた。
起きたら又やる事を考えて、そして遊ぶ際には十分気を付けて・・・。
温かい日溜りの中で小さな寝息を聞き乍ら、何時しかローズも其の音に混ざるのだった。
此の位あっさりしている方が良いよね!と言う回でした、見直すのもとっても楽チン!
けれども次回は結構長引きそうです・・・多分ストーリー自体はそんなに長くないですが、申し訳ない事にリアルが忙しくなったのでちょっぴり筆が遅れ気味。
其でも前程ではないですが、此のペースよりはちょこっと落ちちゃう見通しですね、ううむ。
無理なく書いて続けたいと思うので、気長に緩く構えて頂けたらと思います。
そろそろ・・・色々考え乍ら書かないといけないのもあって結構慎重に書いてるのも要因ですね。
(今迄が適当過ぎた。)
次回も又ずっと書きたかった話なので、筆者自身が完成が楽しみです。此をモチベーションに駆け抜けたいと思います!
其では又御縁がありましたら御会いしましょう!




