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次元龍屋  作者: -Sare-
忘れられた世界の追憶
82/140

56次元 旻の祝福の嵐に旻の罰の雷響かせる次元

 今日は、先ず先ずのペースで来ましたよ!

 前のが激しい話だったので今回は小休止?言うほど休んでいないな。

 只珍しいパーティで仕事に行こうと思ったので、ちょっと異色の絡みがあったり。

 ぼちぼちメインと言うより、物語全体が動きますので小さな者達がどんどん動き出しますね!

 (凄く今更感があるね!)

 今回もリメイクストーリー、御出ししたかった龍が居たので彼に頑張って貰いましょう。

 其では前語りは此の位で、栄えある主役達に登場いただきましょう!

(ソラ)と地を繋ぐ(ヒカリ)の橋よ

橋の掛かる合図は轟音に

橋の到来に世界を照らそうか

見よ、下々の民よ。決して届かぬ頂を

御前達に(ユル)されるのは拝む事丈だ

触れる事は叶わぬ、若し橋に手を掛けたなら

身の程を知らぬ憐れな民に、神の罰下らん事を

・・・・・

「おぉ、此の龍がリュウの先代の龍の番神(ドラディアン)なのか。」

「はい然うなんです!()の時は大変でしたが、御蔭と言うか、再会出来て良かったです!」

此処はリュウの居城、例の龍騒動が起きて数日経ち、様子を見に来たのだ。

 ()の一件でリュウは酷く落ち込んでいたとガルダから聞いていたが、今は幾分元気そうではある。

 と言うのも黔日夢の次元(ゼロ・ディメンション)で行方不明になっていた千代と言う龍、リュウの前の龍の番神(ドラディアン)である彼が見付かったのが非常に嬉しかったのだ然うだ。

 実は黔日夢の次元(ゼロ・ディメンション)以前は一緒に棲んでいた家族同然の仲なんだとか・・・其なら会えて本当に良かった。

 リュウに招かれ、御茶を御馳走になっていたが、其のテーブルの上にちょこんと座っている。・・・うん、中々に愛らしい姿をしているじゃあないか。

 頼んだらモフらせて貰えない物か・・・うーん。

 確かに龍古来見聞録(カリグローズ)には載っていなかったな、だから不思議な感じだ。

 前にリュウから、新種の龍は極稀に生まれると聞いていたが、此の事なんだろう。

「キュキュ、キュキュキュ。」

千代を繁々と見ていると横からレインに突っ突かれた。

 散歩だと思われたのか、此処迄彼女は付いて来たのだ。

 まぁ確かに、昔から付いて来るのが好きだったもんな。

 レインは辺りの龍達を興味津々に見つつも、セレの坐る椅子にしっかりと巻き付いていた。

 ポンポンと空いた手で頭を叩いてやるとしよう。

「うむ、しっかりと敬うのだぞい!でも御主の活躍も聞いたぞ。此度の一件、誠に御苦労じゃったな。」

「噫、まぁ(アレ)は主にフリューレンスの御蔭だがな。」

一応()の後、ちゃんと龍達は争いを止め、皆次元龍の所へ去って行ったのだ。

 被害は大きかったので、今色んな次元やライネス国は復興に忙しい。

 リュウは念の為、リンクの取れている龍達丈でも、人間とは距離を取る様御願いをして回っていたそうだ。

 龍の中には、復興を手助けしたい者も多かったが、場合に因っては新たな争いを生む可能性があると見て、控えて貰うよう御願いした。

 勿論全部が全部と言う事ではない。手伝っても大丈夫そうな時は、状況を良く見た上でならと口添えしたのだ。

 人と龍達の間に亀裂は入ってしまっただろうが、其を少しでも緩やかにさせるのが今後の課題だとリュウは忙しそうだった。

 其でも()の時、自分が何をしたのか等はちゃんと聞きたいと言われ、()うして呼ばれた訳だ。

 互いに近状だとかを知りたかったので丁度良い。色々と気掛かりな事はあったからな。

「フリューレンスが、手伝ってくれたんですね。」

「噫、随分と無理をさせてしまった・・・。その、彼奴は大丈夫か?大事ないと良いんだが。」

「其なら大丈夫ですよ。リンクが繋がった(ママ)なので、何処かで休んでる丈だと思います。セレの事が大好きだから、そんなに手伝ってくれたんですね。」

「・・・噫、然うだな。」

無事なのか・・・なら良かった。

 ()の龍との接し方は難しい。でも居なくなって欲しい訳じゃない。

 懐いは、伝わったから。やり方を間違えてしまった丈だと、分かったから。

「ふむぅ、其にしても珍しいぞい。フリューレンスが誰かに懐くなんて初めて聞いたぞい。」

「っ!ですよね先代!僕も吃驚して・・・誰かの為に力を使うなんて考えられないのに、まさか其処迄、」

「・・・まぁリュウは特に嫌われているからのう。」

「う゛・・・面目ないです。」

何だか色々と龍事情があるらしい。リュウは眉間の辺りを少し掻いた。

「一応、彼奴が龍を鎮めてくれたが、でも恐らく根本は片付いていないんだろう?結局原因って分かったのか?」

「其が、何ともですね。はっきりとした事は・・・。」

「むぅ、儂も声は最近聞こえなくなったぞい。」

「聞こえなくなったのか・・・。何でも世界の意思だとか言っていた然うだが、(ソモソモ)そんな物ってあるのか?」

言葉としての意味も今一分からないけどな。世界が何かを願ったりするのだろうか。

「聞いた事ないですね・・・。世界と言ったらクリエーターですけど、()の方は創った丈で、其にもう亡くなってますし。」

「難しいな。何だかぼんやりしていて。」

又あんな事があっては御免なので、はっきりさせて置きたい所だけれども。

 龍である千代ですら良く分からないとなると、厳しいな。

「然うですね・・・。一応、龍達には何か分かったら教えて貰うよう話してますので、僕としてはもう二度と起きない事を祈る(バカ)りです。」

「然うだな。分かった、私の方も何か分かったら連絡しよう。」

「うむ、宜しく頼むぞい。」

何故か然う言いつつ千代は胸を反らすが、御蔭で胸元の毛がふっくら広がって何とも魅力的だ。

 ・・・モフりたい、凄く・・・モフりたい。

「然う言えば案外ライネス国は龍を敵視していないみたいだな。」

此はガルダに教えて貰った事だ。

 其のガルダもT&Tの社長、manjuに聞いたらしい。流石の情報網だ。

「其は行幸でした・・・。下手したら僕が呼び立てられて処刑でもされるんじゃないかと思ってたので・・・。」

ほっとリュウは一息付く。何とも悲しい心配だ。

 確かに其の可能性もあったのか・・・。テロ犯だと思われたら処刑もし兼ねないか。

「でも龍の番神(ドラディアン)がいなくなったら其こそ、龍を如何にも出来なくなるだろう。其に私もガルダから聞いたぞ、御前が鎮める力を持つ龍達に協力を仰いだからこんなにも早く終息したんだ。」

まさか龍毎滅ぼすとか・・・いや、現実的じゃないな。

 龍が世界に与えている影響は大きい。龍がいなくなれば、其こそ世界が滅ぶ可能性もある。

 黔日夢の次元(ゼロ・ディメンション)の事でも手一杯だろうし、其処迄手は回らないか。

「然うですね。だからと言うのもあると思います。其に・・・、」

一寸(チョット)リュウは言い淀んでいた。上目遣いに見られるが、何かしただろうか。

「その・・・如何やら此の一件、セレが(ケシカ)けたんだと思われているみたいで・・・。(シカ)も何時の間にか落龍の詠(ルル フィス)なんて名前も付けられて、しっかり歴史に残ってしまいました・・・。」

落龍の詠(ルル フィス)・・・然う、如何やら()の龍騒動は其の様な名前に落ち着いたらしい。

 不思議な物だ、黔日夢の次元(ゼロ・ディメンション)もこんな風に名付けられたのだろうか。

 確かに名前が付いたら一寸(チョット)具合が悪いな、まぁ実際大事だったのだから仕方がない。

「噫其の事か。其なら私も聞いたな。だったら良いじゃないか。龍達は操られた丈で。諸悪の根源が私となれば、余計な争いは減るだろう。」

「でも、本当に済みません。まさかこんな事になるなんて。僕が依頼して、ライネス国に入った所為ですよね、恐らく。僕が幾ら否定しても中々広まらなくて。」

「ん、別に否定する事ないじゃないか。其の方が都合が良いんだし、元々私は黔日夢の次元(ゼロ・ディメンション)を起こしているんだ。又彼奴か、程度の認識なら良いじゃないか。」

「っ良くないですよ!セレが止めてくれたのに、貴方がいなかったらもっと被害は大きくなっていたのに。何も知らないで勝手に決め付けて・・・友として、恥ずかしいです。」

しゅんとリュウは項垂れてしまう。そんな彼の手を千代は軽く尾で叩いた。

「別に私は気にしていないし、私は龍がやられる位なら其位の汚れ役はするよ。丁度良かったじゃないか。大体噂は悪い物だが、今回は良い具合に働いたな。」

此も日頃の悪行の成果だと冗談交じりに言ったが、彼の表情は変わらず晴れなかった。

「でも此でセレが狙われて殺される様な事になったら、僕は店の皆に顔向け出来ません。」

「んん・・・然うか、まぁ店には喜ぶ奴も居るし、大丈夫だとは思うが。」

リュウを責める様なのはいないだろう。うん、皆良い奴だからな。

「な、何で喜んじゃうんですか。セレ、そんな冗談は良くないですよ。」

「別に冗談じゃあ・・・あ、いや彼奴は自分の手で殺したいだろうし、然う言う意味では悲しんでくれるかもな。」

「其の神絶対仲間じゃないですよ・・・。」

「まぁ此の通り、私は変わらないから此以上気にするな。(ムシ)ろ此の状況を有効活用してくれ。」

「・・・本当にセレは(ツヨ)いですね。」

「嫌われているのに慣れている丈だ。」

「フフッ、龍達は逆みたいですけどね。」

う・・・其を言われると一寸(チョット)気不味い。

 現に此の部屋には沢山の龍が集まっている。自分達の会話が気になる様だ。

 本当に何で龍に丈こんな好かれるかは謎だけどな。

「ふむ、確かに変わった奴ぞい。本当に御主が黔日夢の次元(ゼロ・ディメンション)を起こしたのか?」

「勿論流石に其は本当だぞ。」

苦笑すると千代は自分の目前迄飛んで来た。

 う・・・うっ、モ、モフりたい。

 中々許可を取るタイミングが見付からない。

「ふむぅ、不思議ぞい。確かに龍達が好むのも分かる様な気がするぞい。」

「あ、若しかしたら先代は何か分かりますか?」

「勘ぞい。」

「う・・・うぅ、・・・そ、然うですね。」

何だか・・・リュウも大変だな。

 自分には役目だとか然う言うのは別にないので、自分の為じゃなく、然うやって頑張るリュウは自分とは全く違う存在なんだと思い知らされる。

 今回は手助け出来たけれども、本来自分は屹度、自分の為にしか動いていないので、()う言ったリュウみたいな奴が其の割を喰らうんだろうな。

 悪いとは思うが、自分は生き残るのが精一杯だからな・・・余り然う言う寄り道は出来ない。

 勿論、出来る事はしたいけどな。龍達にも世話になっているんだし。

「キュルル・・・ル。」

レインがそっと袖を噛んで引っ張った。

 一寸(チョット)退屈して来たのかな・・・まぁ良い頃合いか。

「良し、話は分かった。済まなかったな、時間を取らせて。」

他にも寄る所はあるし、早々に切り上げよう。此処は・・・誘惑が多過ぎるからな。

 立ち上がると周りの龍達が見て来るのが分かる・・・悪いが今回は遊んでやれないんだ。

「いえ、其は僕だって。足を運んでくれて有難う御座います。」

「うむ、又何時でも来るが良いぞい。」

「噫、又な。」

自分とリュウの立場上、余り長居も良くないだろうしな。

 軽く手を振ると、セレはレインを連れ其の場を後にするのだった。

   ・・・・・

 黄色の土が広く何処迄も続く大地に、三柱の影が降り立った。

「・・・おっと、今は昼間でしたか。」

一足先に付いた飃がさっと辺りを見渡す。

 色々と落ち着いて来たみたいだし、仕事に来たんだけれども・・・。

 渇いた土が続く(バカ)りの大地だ。砂漠って程じゃないけれども、荒野には違いない。

 (マバ)らに碧樹()や石が点在しているが、生き物の気配は余り感じなかった。

「何よ、つまらなさそうな所ね。」

開口一番が文句なのはダイヤである。そんな彼女の隣で鏡はぷかぷか浮かんでいた。

「プハッ、あれ、付いて来たけど、何だか寂しい所だね。」

鏡のポケットからケルディが顔を出す。

 鏡は一瞬目を見開くも、直ぐ様ポケットからケルディを取り出して手の中で転がした。

真黔(マックロ)、炭みたい、可愛い。」

「エヘヘ、皆直ぐボクの虜になっちゃうね。」

満更でもない様で、ケルディは手の中で大人しくしていた。

「全く、来て欲しいと誘われたから来てあげたけど、何なのよ此の神選(ジンセン)。」

今回のパーティは飃の呼び掛けである。・・・と言ってもケルディは勝手に付いて来たんだが。

 一寸(チョット)珍しい取り合わせではある。だからケルディが付いて来たと言うのもあるのだが。

「・・・然うですね。恐らく彼の事だから、友達になれそうだからとか、然う言うのだとは思うんですけど。」

頭を一つ掻いて飃は苦笑した。

 店では(ヨル)だったのだが、此の次元で(アサ)に切り替わってしまった様だ。

 突然表に出て来たので、(アサ)の彼は困惑したが、其でも仕事は頑張ってみよう。

「思うって・・・噫そっか。貴方、日中は神が変わるのね。難儀な躯ね。」

「はは、一応僕が憑いている側なので、面倒御掛けして申し訳ないですが・・・。」

「別に貴方以外も面倒掛ける様な奴ばっかりだし、今更如何とも思わないわ。」

「昼飃、優しい、好き。」

「戦闘はからきしですが、然う言って貰えたら嬉しいです。」

「本当よ!いざとなったら私しか動けないじゃない。ヨルの貴方は何かと動けるから付いて来たのに。」

「ボクだって戦えるから大丈夫だよ!」

「戦わないの、一番。」

何だか元気な二柱を見て、ダイヤは一つ溜息を付き、前髪を(イジ)った。

「然う、なら良いわ。飛んでる奴に付いて行ったら良い事あるって聞いたし、其の幸運に(アヤカ)るとするわ。」

「任せて、頑張る。」

何を如何頑張るか不明だが、一応は其で納得したらしい。

「屹度(ヨル)の僕が鏡さんを誘ったのも、其の理由かも知れませんね。僕からも宜しく御願いします。」

飃が頭を下げると鏡は旻中(クウチュウ)一回転を御披露目した。

 そして当て所もなく飛び始めたので、一同は後を付いて行く事にした。

 ちらと飃は(ソラ)を見上げたが、(ソラ)には灰色の光源が(ソラ)高く昇っていた。

 ・・・(アレ)が此の次元の陽だろうか。だとしたら(ヨル)は遠そうだ。

 彼の事だから何かやりたい事があったのかも知れないけど・・・生憎自分には分らないからなぁ。

 兎に角(ヨル)迄頑張ろう。自分に次元を救うなんて大それた事が出来るか不安だけれども。

 まぁでも(ヨル)の概念なんて次元で違うし・・・うん、出来る事を頑張ろう。

「・・・一体何を目指しているのかしら。」

一寸(チョット)歩いた丈なのにダイヤはもう不満そうである。飛んでいる鏡を見る目が鋭くなる。

()の石、炭みたい、美味しそう。」

「石見て美味しそうだなんて幸せな神ね。」

確かに少し先に大き目の(クロ)い石があるが・・・其丈である。

 とは言っても他に目ぼしい物も無いので付いては行くけれども。

「此は・・・石碑、ですかね?」

近付いてみると、只の石ではなさそうである。

 自分達を見下ろす程の大きさの其の石は平らで、何やら細かい傷が幾つも付いていた。

 其が文字の様に見えなくもない。

「炭じゃない?」

「残念だったね・・・って食べてる⁉」

ケルディが見上げると既に鏡は炭を咥えていた。

 時空の穴(バニティー)から出したのだろうか・・・こんな所で食べたら口がパサつきそうだけど・・・。

「あ、誰か居るみたいですね。」

石の後ろに人影が見える。けれども此の感じ、何か親近感がある様な・・・。

「如何も今日は、如何やら同族みたいですね。」

向こうも此方に気付いたみたいで向き直る。

 相手は青年の様で、ペストマスクと言う何とも息苦しそうで独特なマスクを被っていた。

 だが覗く瞳は何処迄も蒼く穏やかで、変な人ではなさそうである。

 長いローブを羽織っている辺り、旅人っぽくは見えるが・・・。

「今日は、同族と言う事は・・・若しかして神族ですか?」

こんな所で会うとは。一体何をしているんだろう、観光?には一寸(チョット)見えないけど・・・。

 何かをしている訳では無いし、立っている丈にも見えたけど。

「えぇ、私はT&Tの琴城と申します。以後御見知り置きを。」

「此は御丁寧に有難う御座います。僕は次元龍屋の飃と申します。此方、同じ店の者で順にダイヤ、鏡、ケルディです。」

「噫、彼方の店の方ですか。フフ、如何も最近御会いしますね。新しい友に会えて光栄です。」

然う言って琴城が微笑むと、飃も笑みを返す。

 何だか似た者同士、仲良く出来そうである。

 (シカ)も其の名は聞き覚えがあった。

 確か、其の次元の物語を収集して回ってるとか、何かと仕事の助けになると聞いた。

 此は幸先が良い、一寸(チョット)聞いてみようかな。

「あの、琴城さん。不躾で申し訳ありませんが、僕達此の次元に来た(バカ)りで、良かったら少し手を貸して貰っても宜しいでしょうか?」

「詠を詠ってくれるんでしょ?ボクも聞きたい!」

「えぇ、勿論、御手伝いしますよ。私は詠う事しか出来ないので良かったら聞いてください。」

然う言うと琴城はローブの下から金の竪琴を取り出した。

 初めて見た楽器だ。一体どんな音色がするんだろうか。

 琴城は一度皆と目を合わせると、(ユック)りとした語り口で詠い始めた。

   ・・・・・

 古き大陸の端にてある部族と開拓者の一族が争っていた

 鑓と銃を交えての争い

 幾ら部族が巧みな鑓使いと優れた野性の勘、精霊の力を借りる術を得ていても文明の差には歯が立たなかった

 開拓者の技術は殺す為の物だった

 だが部族の技術は自然で生きる為の物、初めから対等ではなかったのだ


 次々血を流し、住処を奪われ、部族は寂しい荒野迄追い遣られた

 其処は真黔(マックロ)に立ち枯れた木々がある(バカ)りの開けた荒野で、中心に取り分け大きな樹があった


 其は古の精霊の住処

 此処で太古より伝わる石版の通り儀式をすれば其の精霊は此の地に降り立つと言う

 其の精霊の名は雷霆鳥(サンダーバード)黔雲(コクウン)を呼び、驚霆(カミナリ)を司るとされる


 部族は古から続く祝詞(ノリト)を唱え、舞を披露して一心に祈った

 此の地が、此の戦いが最後だと

 だから如何か目醒めて、見て居て欲しいと


 十分過ぎる程祈った部族は早速追って来た開拓者と戦い始めた

 雷霆鳥(サンダーバード)の御膝元で戦えるならばと、華々しく散って行く

 暫くし、最早此の戦が開拓者の一方的な殺戮へと変わってしまった頃、突然暗雲が立ち籠めた

 そして()の大樹に悲鳴の様な音を轟かせ、皆の耳を(ツンザ)いて巨大な(ヒカリ)の柱が降って来た


 戦場は一瞬で静まり返り、人々は固唾を呑んで(ソラ)を見る

 すると先程の驚霆(カミナリ)で開いた黔雲(コクウン)の穴から巨大な鳥が舞い降りた

 部族は吼え猛り、開拓者は震え上がった

 だが皆一様に雷霆鳥(サンダーバード)羽搏(ハバタ)くと無数の驚霆(カミナリ)に撃たれて絶命した

「おやおや暫く眠っている間に又随分と害虫が増えた物だ。久し振りに起こして貰ったし、掃除でもしようか。」


 其の(ママ)雷霆鳥(サンダーバード)は飛び去って行く

 其の後四日程雷霆鳥(サンダーバード)は飛び続け、大陸中に蔓延っていた人は消え失せたと言う


 幾年か経ち、大陸に一艘の船が乗り付けられた

 新たな開拓者は見晴らしの良い荒野へ赴く

「此は歴史的遺物だ。早速解読しなくては。」

残された古の石版を手に学者は色めく

 頭上に立ち籠める黔雲(コクウン)に切れ目が入り、一対の瞳が静かに見据えていた事も知らずに

   ・・・・・

「素晴らしい詠声でした。どうも有難う御座います。」

拍手と共に然う賛辞を贈ると、にっこりと彼は微笑んだ。

 初めて聞いた楽器だったけれども、あんな小さな楽器で色んな音が出せるなんて・・・。

 なだらかで、自然で、美しい詠だった。()う言うのに(ウト)い自分でも分かる。

「悲しい物語ですけれども、此が皆さんの助けになれば幸いです。」

「凄く良い詠、炭の詠、詠って。」

「炭、ですか・・・。済みません、其は存じあげないですね。」

「ま、然うでしょうね。」

此処で華麗に詠い上げられても困る。(ソモソモ)炭の詠って何だ。

「次御会いする時迄屹度、探して置きますね。」

「やったー。」

「いや、探さなくて良いから。」

ぴしゃりとダイヤは否定しつつ息を付いた。

「で、其の詠が何なの?今ので此の次元が救われたとでも言うの?」

「流石に其処迄の力はありませんが・・・今のが何かのヒントにはなるかも知れません。」

「然うですね。雷霆鳥(サンダーバード)・・・相手にはしたくないですが。」

上級の龍だろうし、矢っ張り戦いたくはない。

 でも、其にしても・・・。

「ん・・・然う言えば、若しかして此の石碑、次元の主導者(コマンダー)だったりしますか?」

何か気配が弱いのですっかり気付くのが遅れたが、良く良く考えたら其の雰囲気がある。

 ・・・うん、意識すればする程に、はっきりと。取り敢えず目的の物は見付けられたみたいだ。

「本当、見付かった。良かった。」

「ふーん・・・流石の幸運ね。只の石なら見付けるの苦労しそうだわ。」

と言う事は・・・此の文字、良く読んだ方が良いかも知れない。

 そっと飃が近付くが・・・今一はっきりと読めない。

 可也劣化が進んでしまっているのか、欠けている所が多過ぎるのだ。罅割(ヒビワ)れているし、下手したら真っ二つに割れそうだ。

「うーん・・・気にはなりますが、さっぱり読めませんね。」

神なので、文字自体は知らなくても読める筈だけれども。

 (ソモソモ)文字が判別出来ないと、流石に読む事は出来ない。

 暫く唸っていたが、結局飃は諦める事にした。

 文字と言うよりは、絵の様にも見えるし・・・()の道解読は難しそうだ。

「若しかしたら此の石が、先の詠の石板かもよ。」

「じゃあ此処から、雷霆鳥(サンダーバード)がドッカンだね。」

「流石に然うなったら手に負えませんね・・・。」

ニヤニヤとダイヤは楽しそうである。実際起こったら多分怒り散らしそうだけれども。

「では私は別の次元に行ってみますね。皆さんの旅の幸あらん事を。」

「待ちなさい。」

手を振り、立ち去ろうとした琴城に鋭い声が掛かる。

「?何でしょう。」

「まさか、一回詠う丈で帰るつもり?自分の詠に責任を持ちなさいよ。」

「如何言う意味ですダイヤさん。」

今一言っている事の意味が分からず聞いてみたが、彼女は仏頂面の(ママ)だった。

「つまり、私達と一緒に行動なさい。本当に其の鳥が出るのか如何か、言う丈言って去るのは阿漕(アコギ)な占いと同じよ。」

「一緒、行く?」

意味は分かったけれども、凄い要求だ。

 いや正直、意味も良く分かっていない。琴城さんは手伝ってくれた丈であって、此処迄強制させてしまうと・・・。

「ダ、ダイヤさん流石に其は不躾過ぎないでしょうか。琴城さんも仕事中な訳ですし。」

何とか宥めようと両手を出したが、彼女は頑として譲らない様だ。

 多分・・・冗談じゃないだろうし、う、うん、如何しようか。

 こんなに困ったのは何時振りだろうか・・・慣れていないからか、何だか気疲れして来た。

 琴城は暫く悩んでいる様だった。

 マスクの顎に手をやり、考え込んでいる。

「あ、あの琴城さん、」

良いですよ、と声を掛けようとした傍で、ぽんと彼は手を叩いた。

「其も然うですね。今回は私も同行しましょう。」

「え、えと、その、気を使わなくて大丈夫ですよ。詠を聞けた丈で可也の手掛かりになりますし。」

「いえ、然う言わないでください。折角の機会ですし、良ければ私も同行してみたいです。確かに私の詠と如何関係があるのか。其に若し、雷霆鳥(サンダーバード)が本当に出るのなら・・・。」

「若しかして、会ってみたいの?」

「会ってみたいだと少し語弊がありますが、少し前に龍の騒動があったでしょう。(アレ)からmanjuより、今後の龍の動向を見る様にも命じられておりまして。」

「成程、然う言う事でしたら、一緒に行きましょう。宜しく御願いします。」

飃が頭を下げると、にっこりと琴城は微笑んだ。

 目しか見えないが良く分かる。楽しい旅になりそうだ。

「一緒、嬉しい、宜しく。」

「ボクも宜しくね!」

「フン、まぁ当然の事よ。」

ダイヤは満足そうだが、良く考えると彼も戦闘はからきしだろうし、彼女の負担が増えた丈の気もするが、良いのだろうか。

「と言う事でしたら私も仕事の内容を確認しないとですね。皆さんは次元の主導者(コマンダー)を正して、次元を黔日夢の次元(ゼロ・ディメンション)の崩壊から護ると言う事で宜しいですよね?」

「はい、其の通りです。次元の主導者(コマンダー)は取り敢えず見付かったので、後は其の方法ですね。」

「成程、其を手探りで探す訳ですね。矢張り中々難儀な仕事ですね。皆さんの苦労が偲ばれます。」

「大丈夫だよ!出て来た悪い奴倒せば全部解決するから!」

「フフ、流石先輩ですね。其の意気で宜しく御願いします。」

琴城に先輩と言われたのが嬉しかったのか、ケルディは胸を反らした。

 でも直ぐに鏡に転がされ、コロコロと丸くなってしまう。まるで手毬の様だ。

「所で貴方、私達より早く此の次元に来ていたんでしょう?じゃあ何か知らないの?」

「はい、一応彼方の碧樹()の陰の所、見えますか?彼方にテントらしき物があるんですよ。若しかしたら旅の方かも知れませんね。」

琴城が指を差すと、確かに少し離れた所に碧樹()と岩に隠れて蒼いテントがあった。

 三角の、地面に設置するタイプの物で、此の景色の中で取り分け目立つ。

 岩に隠れていたので見えていなかったが、気付いたらすっかり其の蒼に目を奪われてしまう。

「こんな所にテント・・・何だか不思議ですね。」

一つしかないが、割と大き目だ。四、五人は入れそうだろうか。

「行ってみますか?何か分かるかも知れませんし。」

「でも敵かも知れないわよ。ややこしい事になるのは御免だわ。」

「然うだね。行き成り行くのは危ないかも。何とか気付いて貰って一人でも来て貰うとか・・・。」

「一人、居る。」

鏡が眼鏡を外し、地平を見遣る。

 釣られてケルディが見遣ると確かに可也遠くだが人影の様な物が見えたのだ。

「あ、良く見えたね。本当だよ!誰か居るよ!」

ケルディの声に倣って一同も見遣ってみる。

 恐らく人に見えるが・・・如何だろう、向こうも気付いているのだろうか。

 其にしても遠い。此が(ヨル)の彼だったら(ツエ)で一っ飛びなんだろうけれども。

「・・・(アレ)、此方に来てるっぽいわよ。」

「私の見間違いでなければとんでもないスピードで来てますね。」

琴城が目を見開くが、確かに。遠くに見えていた筈の人影は途轍もない勢いで此方に走って来ていたのだ。

 朦々(モウモウ)立ち昇る砂煙からも、其の勢いが伝わって来る。

「え・・・え?は、速い、」

まるで獲物を見付けた肉食獣の様に全力である。腰が引けてしまいそうな勢いだ。

 咄嗟に、逃げてしまった方が良いのではと頭で(ヨギ)る程に迫力はあった。

 でも逃げた所で、である。一寸(チョット)身構えて様子を見る可きか。

 自然(ツエ)を持つ手に力が入る。

 人影はどんどん近付いて来る。近付くにつれ、其の姿が段々分かって来た。

 其の顔立ちは猪の様だったのである。短くも伸びた鼻に、飛び出す牙、そして大地を踏み締める足も蹄になっていた。

 頑丈そうな皮の服を(マト)っているが、其が凱風(カゼ)ではためいている。

 頸に巻いた(アカ)いスカーフも凱風(カゼ)に激しく棚引いて荒ぶっていた。

 此の(ママ)の勢いだと、自分にぶつかってしまうんだけれども。

 まさか・・・止まる気が無い?此の(ママ)撥ね飛ばされる?

 其の光景が頭を(ヨギ)り、躯が硬直してしまう。

 戦闘経験なんて(ホボ)無い飃は、避ける事も出来なかった。

 思わず目を瞑るが・・・、

 突然其の猪人は後方へと吹き飛ばされた。

 まるで見えない壁か何かにぶち当たったかの様に、勢い良く飛んで行ったのだ。

 思わずぽかんと口を開けて見遣ってしまう。

 放物線を描いて彼は数m離れた所へ叩き付けられる様に地に着いた。

「え・・・え?」

「もう、皆して何ぼーっと見てんのよ。」

「あ、此氷だ!凄い玻璃(ガラス)みたい!」

言われて初めて気付いた。飃の目前に巨大な氷の壁が出来ていたのである。

 見事な板で、気付いても余りの透明感にぱっと見では分からない。

 触れてみてやっと実感する。途端冷たさが駆け抜けて背が震えた。

「此って・・・あ、ダイヤさん、有難う御座います。」

やっと頭が追い付き、慌てて飃は彼女に頭を下げた。

 咄嗟に壁を創って護ってくれたんだろう、此が無かったら今頃は・・・。

「全く、行き成りこんなだと先が思いやられるわ。」

瞬時にこんな術を使えるなんて・・・凄い術者だ。こんなに(ツヨ)いだなんて。

 彼女が言った通り、此以上足手(マト)いにはならない様にしないと。

「彼方、大丈夫?」

ふよふよと鏡は倒れた(ママ)の猪人に近付いた。

 するとむくりと彼は起き上がり、一同を見遣って目を(シバタ)いた。

「大丈夫?立てる?」

「え、えと・・・まぁ、大丈夫、ですけど。」

何事もなかった様に彼は立ち上がると、一同の元へ寄って来た。

 敵意とかは・・・なさそうである。

 気付けばダイヤの壁は消えており、彼は不思議そうに首を傾げ乍らもやって来た。

「いやぁ済みません。自分、気になる物を見付けちゃったら突っ込む癖があって・・・。」

然う言って軽く頭を掻く。

 一見怪我はなさそうだが、氷の壁にぶつかっても大丈夫なんて、相手も相手で頑丈である。

「もう気を付けなさいよ。危うく轢かれる所だったわ。」

「其は本当に済みません、止めて貰って感謝しますよ。でも、皆さんは一体、」

「人に聞くなら先ずは自分から名乗りなさい。」

強気なダイヤにすっかり彼はたじたじで、主導権を握られてしまった様である。

 間には入りたいが、ダイヤに助けて貰った手前其も何だか難しい・・・。

「其も然うですね、自分エイガと申しまして。()う見えて考古学者なんですよぅ。数日前に此の地へ足を踏み入れましたが、此処は中々面白くてですねぇ。」

考古学者だったのか・・・じゃあ此の石碑の事とか何か分かるかも。

 此は聞かない手は無いんじゃないだろうか。正に渡りに船だ。

「あら然う、まぁ私は名乗らないけれども。」

「ちょ、一寸(チョット)ダイヤさん、えっと・・・僕達は旅人で此処に偶々立ち寄ったんです。」

其から順に自己紹介をして行く。・・・流石に名乗らない訳には行かないだろう。

 一通り聞くとエイガは何とも興味深そうに頷いていた。

「成程成程、旅の方でしたか。此は数奇な運命ですねぇ。現地の方だったら色々聞いてはみたかったんですが。」

「此処の事を調べておいでなのですか?」

琴城が声を掛けると彼は一際大きく頷いた。

「然うなんですよ!色々と誰か棲んでいたであろう痕跡はあるのに、人っ子一人居なくてですね・・・。」

「誰も居ないんですか・・・。」

何だか先の物語の様で一寸(チョット)怖気付いてしまう。

 若しかしたら本当に雷霆鳥(サンダーバード)が居るかも知れないし・・・もう少し彼の調べている事とか、聞く可きかも知れない。

「痕跡って何の事よ。何か面白い物でもあるの。」

「やや、興味ありますか?手近でしたらほら、此の石碑も立派な痕跡ですよ。ほら此処に、舞いと祝詞を捧げるとって描かれているんですよ!」

エイガは嬉し気に石碑の中心部分を指差した。

「あ、其、然う描いてあるんですね。一体如何読むのかと見ていた所なんですよ。」

舞いと祝詞と言うと・・・益々例の詠である。

 隣を見ると何やらダイヤがニヤニヤと嫌な笑みを浮かべていた。

 そんなに雷霆鳥(サンダーバード)を呼びたいのだろうか、随分とハプニングを御所望の様である。

「此、本当に例の鳥を呼ぶ石板かも知れないわよ。」

「っ!何か知っている御様子、良かったら一寸(チョット)御話でも!」

突如がばりとエイガはダイヤに詰め寄って来たので思わず彼女は数歩下がった。

一寸(チョット)暑苦しいわよ。私は聞いた丈なんだから其方のマスクに聞きなさい。」

「あ、然うですね。私が話しましたし、大丈夫ですよ。」

「本当ですか、其は有難い!確かに何やら鳥らしき物は描かれていたんですが、此がさっぱりだったので。」

エイガは本当に嬉しいのか其の場で小躍りしてしまう。

 素直な研究者なのだろう、神の知識を与えて良いのかの問題はあるけれども。

 でも雷霆鳥(サンダーバード)の呼び方がそんな複雑然うなら大丈夫な気もするし・・・何だろう、此の胸騒ぎ。

 然うは言っても、油断は出来ないのも事実だからか。雷霆鳥(サンダーバード)以外の脅威も勿論あるだろうし。

 地震が来て此の石碑が割れましたって終わり丈は避けたいけれども。

「良かったら皆さん、私達のテントに来てくださいよ。其処で話を聞かせて貰えれば、」

「行くのは良いけれども、勿論分かってるわよね。」

ずいっとダイヤが寄ると、エイガは何度も頷いた。

「勿論ですとも!皆さんも疲れているでしょうし、夕飯でも食べ乍らにしましょう!足止めさせてしまいますし、テントも貸しますよ。」

「分かってるじゃない。」

随分とダイヤは満足気である。

 此の強引な交渉は凄い、一寸(チョット)見習う可きなのかも知れない。

 甘え過ぎにも思われるけれども、時には()う言う強引さも屹度必要だ。

 正直非常に助かる提案だし、乗った方が良さそうだ。

「嬉しい、テント、行く。」

「何だか話丈で申し訳ない気もしますが・・・折角なので御邪魔になりましょうか。」

「何弱気になってるのよ。互いにwinwinだから良いでしょ。で、テントは矢っ張り向こうなの?」

「お、御存知でしたか。然うですよ、自分が先に行ってますので、皆さんも早く来てくださいね!」

元気良く答えるとエイガは直ぐ様走り出した。

 行き成りのトップスピードダッシュに土煙が舞い上がる。

 突然の事に一同は(クサメ)をしてしまい、咳が止まらなくなった。

「っとに何考えてんのよ()の猪!もう土塗(ツチマミ)れじゃない!」

流石に此には御怒りだろう、皆見事に黄色に包まれてしまった。

「皆大丈夫?ボク、只の狐になっちゃう所だったよ。」

「貴方達丈無事だったのは一寸(チョット)癪ね・・・。」

飛んでいた為にケルディと鏡は無事だったのだ。

 そんな皆の様子を見乍ら鏡はポリポリと炭を齧っている。

「はは、吃驚しましたね・・・。其にしても本当凄いですね。」

もう彼は遥か彼方である。・・・()(ママ)走って行って大丈夫なのだろうか。

 然う思った矢先に彼はテントの傍の岩にぶつかったらしかった。()けてしまった様だが直ぐ立ち上がる。

「相変わらずみたいですね。怪我はないと良いですが。」

「慣れてるなら、大丈夫じゃないかな。」

兎に角テントに向かってみよう。

 矢っ張り()う言う交流は楽しい。此の一面丈でも、出て来て良かったなと飃は思うのだった。

   ・・・・・

 流石にエイガの様に走りはしなかったが、一同がテントに辿り着くと其処は中々に賑わっていた。

 大き目の焚火が準備されており、絳々(アカアカ)と焔が踊り狂っている。

 其の周りでエイガと似た様な人達が色々と作業をしている様だった。

 此の集団は皆此の猪の様な姿なのだろうか、皆頸に巻いているスカーフの色が違うので見分けは付き易いが。

「おや、貴方達はエイガから聞いています、はい。私は此の隊の隊長でして、えぇローグと申します。(ユック)りして行ってくださいね。」

物腰柔らかく対応してくれたのは、(クロ)のスカーフを巻き、耳に金の輪が掛かった人物だった。

 一同を順々に見遣って彼はにっこりと笑う、穏やかそうな人だ。

「初めまして、御招きいただいて有難う御座います。こんな素性の知れない旅人にも親切にして頂けるなんて。」

「いえいえ此方こそ、エイガは一寸(チョット)強引と言うか・・・周りが直ぐ見えなくなってしまう所が良くもあり、欠点でもあって・・・。はい、此方迄来て貰って済みませんね。自由にして頂いて構いませんから、はい。」

「あ、皆さん来ましたね!待っててください、直ぐ準備しますので!」

テントからエイガが顔を出し、直ぐ様中に引っ込む。

 途端激しく物が崩れる音が響いた。

「おいエイガ‼中で走るなって何時も、」

「ご、御免なさいー!」

そんな会話が漏れ聞こえ、ローグは苦笑してしまった。

「まぁやる気は凄いんでね、はい。じゃあもう少し御待ちくださいね。」

「あ、僕も手伝いますよ。何か出来る事があれば良いですが。」

飃の一言により、一同は手伝いに駆り出される事になった。

 一名不承不承ではあったが、其でも作業は一気に捗ったらしく、あっと言う間に夕食会が整った。

 自分達用の仮のテントも作って貰い、寝泊まりも大丈夫である。

 こんな至れり尽くせりだと少し話をするのがプレッシャーになりそうだが・・・。

 其にしても、今回の(ヨル)は中々遠い。

 気付けば(ソラ)は一気に陰りを見せ、灰色の陽は変わらず真上にあったが、其の(ヒカリ)自体は可也弱くなっていた。

 成程、此の次元の陽は動かないのだろうか、其の(ママ)(ヨル)になるとは思わなかった。

 恐らく、もう少ししたら入れ替わる気配があるが、話中に変わったりしても困るだろうし、琴城さん位には話して置いた方が良いかも知れない。

「さぁ皆さん、今日も御疲れ様です、はい。今回は素敵な旅の方達を招いての夕食ですので、えぇ、楽しみですね!」

隊長ローグの呼び掛けで一同は焚火の傍に集まる。

 既にエイガ達隊員も三人集まっており、エイガは肉や野菜をたっぷり挟んだパンとスープを持って来た。

「わぁ凄く美味しそう!」

皿の前でケルディは御座りの体勢である。

 彼の様な生物を見た事が無かったのだろう、隊員達は興味深そうに彼を見遣っていた。

「炭、入ってる、最高!」

鏡のは特別製で、隊員から炭を分けて貰っていた。

 其が入ったスープは一見黒ずんで不味そうだが、彼は満足そうだ。

「あ・・・然う言えば琴城さんは食べられますか?マスク、外し難いですよね?」

一日ずっと被った(ママ)と言う事は、然う外せる物でもないのだろう。

 そっと飃が耳打ちすると、琴城は小さく頷いた。

「一応、大丈夫ですよ。御気遣い有難う御座います。一寸(チョット)変わった食べ方になりますが。」

「良いから早く食べましょうよ。折角の御飯が冷めちゃうわ。」

「其も然うですね!じゃあ皆さん頂きましょう!」

元気なエイガの一言で皆夕食に(カブ)り付いた。

 飃は気になってちらと琴城を見遣ったが、如何やら彼は喉元のマスクの口にパンを押し込んで食べている様だった。

 一応慣れてはいる様で、其の動作に不自然さはない。此の分なら大丈夫だろう。

「其で、早速なんですが。」

エイガも琴城の事を見遣った。

 其の眼差しは輝いており、期待の色が伺える。

「えぇ、先程の話の続きですね。」

にっこりと微笑むと、琴城は掻い摘んで先迄の詠の粗筋を話した。

 するとすっかりエイガ達は聞き入ってしまい、食べるのも忘れて食い入る様に彼の事を見る。

 争いの時代の事、雷霆鳥(サンダーバード)と言う未知の存在、強大な力が眠るかも知れない地。

 彼等にとって非常に魅力的な話だったのだろう、瞬きすら忘れて固まっている。

「・・・と、私が知っているのは此の位でしょうか。私も人伝に聞いた物なので信憑性は怪しいかも知れませんが。」

「お・・・おぉおお‼何ですか其の話は!凄い、凄過ぎる!此で色んな仮説に説明が付きそうです!」

突然立ち上がって雄叫びを上げるエイガに一同はつい背が伸びる。

 だが続いてローグや他の隊員達も立ち上がって両手を挙げていた。

 全身で喜びを表現しているのが良く分かる。そんなテンションが上がるとは思わなかったけれども。

 話した当の本神(ホンニン)琴城も思わず固まってしまう。

「え、えと皆さんに喜んで貰えたなら良かったです。」

「喜ぶも何も、こんな話で興奮しない訳が!うおぉ!」

「明日は()の街にもう一回行かねば!何か見付かりそうだ!」

「もう、御飯時なんだからもう一寸(チョット)静かになさいよ。」

「美味しい御飯だもんね。」

「良いんじゃない、好きにさせたら。」

「あら、急に入れ替わるのね。」

一寸(チョット)ぶっきらぼうな返しに直ぐ様気付いてダイヤは飃を見遣った。

 声音と言うより目付きや雰囲気が全然違う。

 彼はパンを頬張り乍らちらと一同を見渡した。

 恐らく入れ替わった(バカ)りなのだろう、現状を良く見ている様だ。

「まぁね。いや、此は誤算だったよ。まさか(アサ)だったなんて。()う言う時一寸(チョット)面倒だね。」

「ふーん、其の言い方、何かやりたい事でもあったのかしら。」

「其はもう一寸(チョット)後にするよ。折角の御呼ばれだし。」

「へぇ、こんな騒がしい中良く食べられるわ。」

「・・・別にギルドに居た時みたいで一寸(チョット)懐かしい丈だよ。」

一瞬目を細めてエイガ達を見遣ると、飃はスープを口に運ぶのだった。

   ・・・・・

 (アレ)から結局エイガ達隊員はずっと異様な盛り上がりを見せ、騒がしい(ママ)に彼等はテントに戻って行った。

 其を見届けて一同は大分勢いの落ち着いた焚火に残っていた。

 直ぐ寝ても良いが、色々と整理したい事もあるし、あんな賑わいを見せられた直後だと、寝ようにも眠れないだろう。

「然う言えば皆さんの店は大丈夫でしたか?」

「?何の事?」

「いえ、あの、折角ですから聞いて置こうと思いまして。例の・・・落龍の詠(ルル フィス)の事です。」

余り良い話題でもないからか、幾分琴城は声を潜めた。

「其って・・・噫、前あった龍の奴ね。いや大変だったけど。」

傷はすっかり癒えているとは言え、僅かに記憶の中に痛みが走る。

 御蔭で力は手に入ったけれども、そんなに手放しでは喜べない。

「然うね。何で其の厄介事に私達が付き合わされたんだか。私だって避難したかったわ。」

「でも皆の御蔭、直ぐ終わった。」

「然うですね。噂ですが其方の店で解決なさったんだとか・・・?」

「然うだよ!セレ達が止めてくれたんだって!」

「化物の癖に、変な所で親切だねぇ。」

正直其を聞いた時は一寸(チョット)驚いた物だけれども。

 本当に止めたんだって言うか・・・合理的な神の癖に、其処は情に動いたんだ。

 龍と仲が良いみたいだけど、其でも(アレ)を止めるリスクは中々だった筈。其の(ママ)帰って来ない可能性もあったのに。

「素晴らしい事じゃないですか。尊敬しますよ本当に。皆さんも龍を抑え込むのに一助したとか。そんな直ぐ動けるなんて、素敵ですよ。」

「えへへ、褒められちゃった。」

満足気に胸を反らすケルディの頭をツンとダイヤは(ツツ)いた。

「でも、現実では全く別の噂になってるらしいじゃない。失礼しちゃうわ。」

「然う・・・ですね。如何やらライネス国からの連絡の様ですが。」

如何やら落龍の詠(ルル フィス)が起きたのは次元龍屋、中でもセレの所為なのだとか。

 だから所に因っては黔日夢の次元(ゼロ・ディメンション)の再来だとかと言われている。

 只でさえ肩身が狭いのに、頸を絞められた心地だ。

 恐らくダメージコントロールの一つだと思うけれども・・・。

 加えて本神(ホンニン)も否定はせず、(ムシ)ろ歓迎する姿勢なので、事実はもう屹度然う固まってしまうだろう。

「其でも私も、T&Tの者達も信じてますよ、皆さんが止めてくれたのだと。只表向き大きく言えないのが苦しい所ですが。」

「セレは良いって言ってるから良いんじゃないかな?」

「良くないわよ。私達迄汚名を着せられたわ。」

「あれ、姉さんそんな善神(ゼンニン)だったっけ。」

日頃の様子からして結構腹黒いと思ったけれども。

善神(ゼンニン)?笑わせないで。私は悪霊よ。でも、勝手な事言われるのは癪なのよ。此の私が動いてやったのに。」

「ダイヤ、頑張った。偉い。」

鏡に褒められた所で外方を向いてしまう。気難しい姉さんだ。

「でも其も然うですよね。一応T&Tは可能な限り支援しますので。」

「本当良くこんな店のスポンサーなんてなるね。」

物好きとしか言い様がない。メリットなんて(ホトン)ど無い気がするけど。

 ()の化物が金になるとか・・・?今一、分からないな。

 ()う言う見えない組織ってのも恐いけれども。

「支援って・・・然う言えば先は詠わなかったんだね。ボクもう一回先の曲、聞けるかと思ったのに。」

「其は済みません。一応、其の次元の者に直接詠を伝えてはいけないと言うルールがあるので、御理解頂ければ。」

「へぇ然うだったんだ。詠うのもルールがあるんだね。」

「・・・一寸(チョット)話分かるけどさ。皆は其の例の事件の時、変な事起きなかったの?」

「変な事?事件其の物?」

「いや然うじゃなくて、何か・・・見えたとか。」

僕が一瞬丈見たの化物の幻覚。

 力が手に入ったのは嬉しいけれども、如何しても其の事が気になって、其となく聞いたのだ。

 一応、化物の答えだと、状況的に彼処で出て来る事は不可能だったみたいだ。

 でもあるとしたら・・・ピンチの時に、自分の陰が(ヨギ)ったと言うならば、

 加護・・・と言う物があると、()の化物は言っていた。

 自分で起こす物ではなく、勝手に発動するから具体的に如何なるかは分からないけれども。

 何らかの形で、手助けをしようと何か出る事はあるかも知れないと言っていた。

 ・・・其を言われて、何となくは納得したんだ。

 本来敵である筈の僕相手にすら其が発動するって如何なのって思ったけれども。

 ()の時確かに僕は危機的状況だったし、其に対してああして化物の加護が発生した可能性はある。

 其で与えられたのが()の刀。正に化物らしいやり方ではあるけど。

 戦う為の力丈与える。血で血を洗う様な。

 ・・・うん、加護とは名(バカ)りだね。

 僕も精霊についてはそれなりに知っているけれども、加護は基本的にこんな形を取らない。

 僕が此の力を手にした事、恐らく化物は知らないっぽいけど。

 こんな形で、本神(ホンニン)の意に沿う様なやり方で自発的に発動するなんて、有り得ない気がするけど・・・。

 だって其じゃあまるで、加護が生きているみたいじゃないか。

 相変わらず、変わった事をする化物だよ、本当に。

「見えたって・・・何の事?」

「・・・?分からない。」

ケルディと鏡は二柱して首を傾げていた。

 ダイヤは少し考え込んでいたが、(ユック)り首を左右に振る。

「私も、何も無かった訳じゃないけど、別に変な物は見なかったわ。」

「然う、じゃあ良いかな。」

矢っ張り(アレ)は加護なのかな・・・。

 何かもやもやするけれども、結論は其で良いみたいだ。

「良いって何よ。一柱で納得しないでくれる?」

「本当に大した事無いから。僕が屹度、頭打って変な物でも見たんだよ。」

適当に流したが、ダイヤはじっと半目で見詰めて来る。

「・・・そんなに見ても何も出ないよ。」

「貴方の用って、まさか其方なの?」

「んー・・・まぁ、大体は終わったんじゃないかな。」

「飃の用、何?」

「別に。単純に、(アンマリ)一緒に行ってないから、親交でも深めようかなって思った丈だよ。」

黙ってはいるけど、昼の間に部外者も同行しているし、そんなに動くつもりはない。

 もっと色々知りたいって言うのは本音だしね、何に付けても。

(アサ)の飃も言ってたね。大丈夫だよ、ボク達もう友達だよ!」

ひょんとケルディが尾を振ると、鏡が直ぐ様彼を捕らえようとする。

 小さな御巫山戯(オフザケ)が始まったのを横目で見遣りつつダイヤは溜息を付いた。

「・・・本当の目的って奴、絶対見付けてやるわ。」

「ふーん、まぁ御手柔らかに。」

「・・・何だか店の方も色々あるみたいですね。」

「まぁね。(ソモソモ)一寸(チョット)前は店が残るか如何かの問題だったし。」

「え⁉そんな大事があったんですか⁉」

さしもの琴城も此の話は寝耳に水だったらしく、ガバリと此方に向き直る。

「噫然うね。()の邪神は色々やらかすから何時も会議よ。」

「でも誰も辞めなかったよ、ね?」

「是、良かった。」

然う、落龍の詠(ルル フィス)の後、改めて一同が揃い、セレの事、店について話し合ったのだ。

 其の結果、誰も店を出る者はいなかった。若しかしたら今後然うする者も出るかも知れないが、現状は其の(ママ)になったのだ。

「僕てっきり、姉さんは辞めると思ったけど。」

別に仕事好き然うじゃないし、化物と言うかもう全て嫌ってる感じだし。

 元々引き籠もっていたと聞いたから嫌なんだと思ったら。

「フン、あんな店何時でも辞めてやるわ。只一寸(チョット)タイミングがある丈よ。」

「ふーん、タイミングね。」

何か一寸(チョット)含みのある言い方をした気がするけど・・・。

「そんな大事があったんですね・・・。兎に角落ち着いたなら良かったですが。」

「うん然うだね。皆仲良しで良かったよ。」

ケルディの言葉に琴城は大きく頷いた。

「後は明日ですね。明日は()の様に動く予定ですか?」

琴城の一言に沈黙が続く。

 誰も何も答えないので彼は間が悪そうに頭を掻いた。

「んー特に考えてないや。」

「同、何とかなる。」

「す、凄い行き当たりばったりですね・・・。」

「ま、そんな物でしょ。()の猪集団次第なんじゃないの?僕としては昼の事だから御好きにって感じで。」

「全く、良い御身分ね。」

半目でダイヤに睨まれると飃は苦笑した。

「別に好きでやってる訳じゃないけど。強いて言ったら何か昼見た石碑だっけ。(アレ)の事とか分かったら良いんでしょ?じゃあ専門に任せたら良いじゃん。」

「成程、彼等に付いて行けば良いと。」

「僕としてはやり合っても良いけど。()の例の鳥だっけ。其が暴れたら厄介なんでしょ。じゃあ出て来ない様にしっかり調べて貰ったら良いんじゃない?」

「是、戦わないの、良い。」

「然うね、出て来て()の時みたいになったら面倒だわ。」

「然うですね。私も会わなくて済むなら一応其の方が良いかとは思いますし。」

「あれ、manjuの命とか、あるんじゃなかったっけ。」

「あっても態々(ワザワザ)事件を起こして迄は、と言った所ですね。狂暴なら猶更です。」

「ね、ね。一応雷霆鳥(サンダーバード)について調べた方が良いんじゃない、()のかっこいい道具で。」

「噫(アレ)ね。まぁ見て悪い物でもないか。」

時空の穴(バニティー)からスカウターを取り出し、そっと掛けてみる。

 目当ての物は・・・直ぐ見付かった。

 途端焚火の上に大きなホログラムが映し出された。

 其の姿は全長50m、全体的に黄か金色で、翼を広げた巨大な鳥だった。

 細長い嘴に飾りを施された羽根が幾つかあり、全身を雷に覆われている。

 翼は飛膜の様になっており、埋め込まれていた(タマ)から(ヒカリ)が放たれていた。

挿絵(By みてみん)

「此は一体・・・何なんです?」

一瞬琴城は突然出て来た陰にびくついたが、無害だと分かり、近くで繁々(シゲシゲ)と観察し始めた。

「此はね、龍古来見聞録(カリグローズ)って言う龍とか良く分かる辞典みたいな物なの。リュウから貰ったんだよ。」可笑しそう

「リュウさんって・・・確か龍の番神(ドラディアン)でしたか。成程、此の様な物があるんですね。」

「門外不出らしいから、私達位しか持ってないでしょうけど。」

「門外不出・・・?」

思わず彼が首を傾げたので可笑しそうにダイヤは笑った。

「大きい鳥、どんなの?」

「ん・・・、」

説明文に目を通す。

 雷霆鳥(サンダーバード)は縄張意識が非常に強い龍で、執拗に襲う狂暴性を持つ。

 又現れた丈で其の膨大な魔力から常に四方へ雷を降らせる。意識を向けていない時はランダムに落ちる為、彼が飛び立った後は非常に分かり易い目印が残り易い。

 其故普段は眠っている個体も多く、縄張が荒らされると目醒める様にと何らかの術を残している者も居る。

 又(コダワ)りも強く、一部の物を守護するかの様に執着する様が屡々シバシバ見られる。只彼等が執着する物は飽く迄物であり、興味が尽きれば其の限りではない。

 そんな経緯から雷霆鳥(サンダーバード)を崇める地も多く、伝承等が多く残されている。

 ・・・こんな物だろうか。飃は出て来た内容を掻い摘んで話して聞かせた。

 此は中々大物だ。強敵には違いないだろう。

 雷のみに注目し勝ちだけれども、こんなに大きい鳥なら、羽搏(ハバタ)いた時の影響も凄まじい。

 生半可な凱風(カゼ)じゃあないだろう。下手したら嵐レベルか。雷も相俟ってありそうだけれども。

 刀は見せる訳にも行かないし・・・(ツエ)丈で如何にかなるか厳しい相手だ。

「詠の内容からも(ツヨ)そうではありましたが、本当に大物ですね。」

「騒がしそうだし、絶対会いたくないわ。」

「正直出て来たら次元の主導者(コマンダー)とか其の(ママ)壊されそうだね。」

「ま、若し呼ぶにしてもせめて(ヨル)にしてよね。じゃないと(ロク)に戦えないでしょ。」

「そ、(ソモソモ)呼ばなくて済む様にはしたいですね。」

「然うだね。明日は皆に付いて行くよ!」

「楽しそう、炭、ありそう。」

「・・・憐れな位能天気ね。」

(ヨル)も深くなって来たので、一同は(マバ)らにテントに入って行く。

 静寂に近い闇の中で囁き声によるやり取りが幾らか漏れたが、其は次第に焚火と一緒に消えて行くのだった。

   ・・・・・

「じゃあ皆さん準備は良いでしょうか?」

元気良くエイガは立って伸びをした。

 雲華(クモ)一つない晴天だ。灰色の陽が真上で輝いている。

「街の方の調査に付き合ってくれるなんて、素敵な一日になりそうですね!」

「えぇ、宜しく御願いします。」

にっこりと琴城が微笑むと、エイガは大きく頷いた。

 朝餉を隊員達と共にした一同は、エイガに調査している所を見せて欲しいと頼んでみたのだ。

 如何やら彼等の内何人かは街に行くらしく、色々と情報が得らえそうだ。

 調査の邪魔になるかもと思ったが、エイガ達は快く同行を許可してくれた。

 彼等も如何やら教えてくれた話と、照らし合わせたい所があるそうだ。

「其では皆さん行きましょう!」

「おー!」

元気良くエイガが両手を挙げたので鏡も真似をして跳び上がる。

 其の瞬間エイガはくるりと一同から背を向けて駆け出した。

 余りの勢いに砂煙が舞い、一同の姿は黄に包まれてしまう。

「っとに何なのよ()の猪!氷漬けにしてやろうかしら!」

咳付き乍らもダイヤは怒りを顕にする。

「ま、まぁダイヤさん、其丈一緒に行けるのが嬉しいんですよ屹度。」

「だって又彼奴丈飛んでて無事だし、気に入らないわ!」

多分普通に全員砂に埋もれても同じ反応だろうけれども黙っていよう。

「皆レッツゴー。」

「もう貴方が指揮しないでよ!」

ぎゃいぎゃいと騒ぎ乍らも一同はエイガの後を追うのだった。

   ・・・・・

 辿り着いたのは例の石碑の方向から多少逸れた地点。

 如何やら昨日エイガが居たのは此処だったらしい。其処から猛ダッシュで来たのだ。

 街、と呼ばれた其処は確かに、人工物らしき建物の残骸が幾つも建っていた。

 ()の建造物も上部が割れており、風化に身を任せている。

 若しかしたらもう(ホトン)どが既に砂に還ってしまっているのかも知れない、失われた街の姿が其処にはあったのだ。

「・・・でも此の跡丈は今付けられたっぽいわね。」

街の外れの建物は、何処となく人型の様な跡が付いていたのだ。

 其の(ママ)()()かれたかの様に穴が開いてしまっている。

「ホントだ。若しかしてエイガ、突っ込んじゃったのかな。」

「はは、豪快ですね。確かに然うかも知れません。」

「歴史物に傷を付けるのは如何(イカガ)な物かと思いますが・・・。」

彼の突撃癖は相変わらずらしい。ぽっかりと空いた穴の先でエイガは建物を物色している様だった。

 今回はエイガに付いて来たのだ。他の隊員達は其々役割があるらしく、違う地に赴いている然うだ。

「エイガさん、相変わらずの速さですね。やっと追い付けました。」

「あ、皆さん!ほら此処が街ですよ!じゃあ一緒に見て行きましょうか。」

彼の元迄行くと、満足気に彼は胸を反らした。

「先ず此方を見て貰いたくってですね。」

然う彼が指差したのは一本の柱だ。

 其の柱は石で出来ており、まるで達磨落としの積まれた達磨の様に等間隔に区切られた様な跡があった。

 そして其々の段に刺青が施されている。僅かに其々色が塗られた跡があるので、元々はカラフルな柱だったのかも知れない。

「柱?大きい、炭じゃない。」

「此は街の入口にあったシンボルではないかと考えられているんですよ。ほら、目みたいなのがあって、街に悪い物が来ない様見張る役目があったんじゃないかって思ってるんです。」

「成程、言われてみたら確かに目と言うか・・・動物の様に見えますね。」

指を差された所から見て行くと、何処となく全体像が見える気がした。

 下のは熊か何かだろうか?他は人っぽいの、猪っぽいの・・・と続いて行く。

「へぇ、此なんか貴方そっくりじゃない。」

「あ、然う思っちゃいますか?ヘヘ、何だか勇ましくて良いですよねぇ。」

猪に似た奴を見てダイヤが茶々を入れたが、(ムシ)ろ彼は嬉しそうだった。

「あ、此、鳥?」

飛んでいた鏡が柱の一番上の部分を指差す。

 確かに其は翼を広げた鳥の様な造形だった。

 何処か目付きも鋭く、一同を見下ろしている様に見える。

「確かに・・・って若しかして此は、」

「然う!恐らく昨日教えてくれた雷霆鳥(サンダーバード)なんですよ!」

嬉しそうにエイガは其の場で飛び跳ねる。

 うん、確かに見れば見る程雷霆鳥(サンダーバード)と見えなくもない。

「其の鳥が何なのかずっと分からなかったんですが・・・()の話の御蔭でやっと正体が掴めたんですよ!屹度街の護り神だったんですねぇ。」

「でも、其の護り神に滅ぼされたのかも知れないのよね。」

「まぁ然うですね。でも確かに街を見ていると、其と思われる痕跡はあるんですよ。ほら此とか。」

今度エイガは近くの建物の上部を指差す。

 上が大きく欠けた丈で、只の建物の様だが・・・。

「恐らく此の建物群も、家だったのではないかと思ってるんですよ。で、()の家も実は上が割れているんです。風化とは別の何か大きな力が上から掛かったと思われるんですよ。上からの浸食が特に酷いですからね。」

「ふーん、上からって普通はないの?何だか陰霖(アメ)とかでやられそうなのに。」

「やや、良い所に目を付けましたね!」

ピシッとエイガに指を差されたケルディは嬉し気に胸を反らした。

 偉い偉いと褒めつつ鏡もそんな彼の頭を撫でる。

「確かに通常は然うですが、此の家々の壁は此の土地の土を其の(ママ)使っててですね。此の土の特色は、陽を浴びる程に硬くなるんですよ。だから屋根が一番硬かった筈なんです。」

言われてそっと飃は試しに地面を蹴ってみた。

 然う言えば・・・確かに結構硬い、石みたいだ。

 表面は砂煙が起こる程軽い黄色の砂なのに、少し下は異様に硬い。

 此じゃあ道具を使っても直ぐには掘れないだろう。

「別に壁が老朽化して、重い屋根が落ちた訳でもないんですか?」

「然うなったのも一部あるけれども、大半は上からの強い衝撃に因って屋根毎割れている印象ですね。一体何が起こったのか、ずっと謎でしたが・・・。」

「成程、其が雷霆鳥(サンダーバード)の仕業なら納得と。」

腕を組み、琴城は深く頷いた。

 ()う言う所で自分の詠について検証押した事はなかったので中々新鮮だ。

 此の様子だと、()の詠の未来が此の次元なのだろうか・・・其とも歴史は繰り返しているパターンか。

 未だ石板が見付かっていなかったから何処か他神事(タニンゴト)の様に思っていたが・・・。

 何かの弾みで事が起こる可能性もあるのか、矢張り此の店の仕事は大変だ。

 ・・・(ソモソモ)自分達は石碑だとかに付いて良く調べる為に彼等に付いて来たけれども、向こうの目的とは何だろう。

 一寸(チョット)、気にした方が良いかも知れない、此の次元の終着だって見えていないのだから。

「他にも他部族との抗争で、だとか自然災害の線は考えていましたが、其もしっくり来なくて困っていたんですよ。若し此で本当にそんな恐ろしい鳥が居れば、一気に現実味が出ますね。」

「若しかして・・・雷霆鳥(サンダーバード)、呼んでみたいですか?」

思わず気になって琴城が然う問いかけると、一瞬空気が固まった気がした。

 でも、確かめないといけない。事が起こってからでは遅いのだ。

「・・・え?い、いやー流石に其は。確かに見てみたい気持はありますが、自分達は考古学者な訳で・・・生物専門は居ないし、手に負えそうも無いので一寸(チョット)止めて置きたいですね。」

あっけからんとエイガが然う返したので琴城は安堵の息を付いた。

 今の言い方からして嘘は無いだろう。

 まぁ呼んだ所でメリットもなさそうだし・・・うん。

 他の一同も安心はしたらしく、誰彼ともなく息を付く。其の様を見えてエイガは一人首を傾げていた。

「むむ?若しかして皆さんの方が雷霆鳥(サンダーバード)に会いたかったですか?」

「嫌よ!絶対面倒然うじゃない。用が無いならほっとくのが一番よ。」

「本当に居る可能性が高いのでね。街の様子からも恐ろしい存在だと思いまして。」

「確かに然うですね。まぁでも呼び方も今一自分は分からなかったですけど・・・。」

「然うなんだ。石碑の文字とか未だ分からないの?」

ケルディが聞くと、一つ唸ってエイガは腕を組んだ。

「はっきりとした所は・・・舞と、祝詞を捧げるっぽいですが・・・。」

「因みに石板自体は見付けてないの?」

「然うですね。だから今回は一寸(チョット)其も気にして探してはみようかと。」

成程、具体的な方法が分かっていないのか。

 でも其の二つだとしても、偶然起こるって事もなさそうだし、意識して行わなければ大丈夫そうだ。

 石板は無視したい気もするけど、其だと()の道何時かは見付かりそうだし、其なら(ムシ)ろ危険性を知った彼等が厳重に護る方が良いかも知れない。

「然うですか・・・分かりました。其では街の中の案内を頼んでも?」

「えぇ!次は此処の生活について御教えしましょう。中々ユニークなんですよ。」

其の後も一同はエイガの案内の下、街の探索に乗り出すのだった。

   ・・・・・

 (アレ)から其処其処時間も経て、陽は少しずつ陰りを見せつつあった。

 一同は昼食も食べ終え、エイガの案内の元すっかり街の観光に時間を使っていた。

 其にしても中々面白い話だった。

 まるでガイドの様に面白おかしくエイガが話してくれた分もあって、飃はすっかり彼の話に聞き入っていたのだ。

 其こそ仕事を忘れるレベルである。彼自身こんなに熱中するとは思っていなかった。

 こんな事は・・・初めてである。

 若しかしたら自分は、鏡界で色々失う前は()う言うのが好きだったのかも知れない。

 個性とか記憶とか(ホトン)ど失ってしまい、其すら気付けない程時が流れてしまったけれども。

 今からでももう一寸(チョット)世界を見てみようかと、そんな風に彼は懐いを馳せていた。

 何にしても有意義な時間だった。

 もう直ぐ(ヨル)の彼に変わりそうだが、十分満喫しただろう。

 ・・・結局石板の事とか、進展が無かったのは反省点だけれども。

 自分丈楽しんでしまったのでダイヤさんを困らせてしまったし、申し訳ない。

「エイガさん、本当に隅々迄有難う御座いました。本当に楽しい時間が過ごせました。」

「え、いやー此方もですよ。皆さん面白い視点を持っているので参考になりましたよ。」

「でも結局石板見付からなかったね、残念だよ。」

「ま、あるか如何か実際分からないもの、そんな物よ。」

「ダイヤは全然探してくれなかったね。」

ケルディが彼女の肩に留まるとツンと鼻を(ツツ)かれてしまう。

「付き合ってやった丈でも感謝なさい。私だって陰霖(アメ)が降ったら面倒とか、帰るの大儀だとか位は思ってたわよ。」

「う、うーんそ、然う?」

「ダイヤ、戦闘要員、今、何もしなくて良い。」

一寸(チョット)!私は戦わないわよ!」

「色んな意味で其方も嫌だね。」

戦わないのも困るけど、戦わなきゃいけない状況になるのも嫌ではある。

「其にしても本当に面白かったですよ。一曲浮かびそうですし、今度(マト)まったら披露しますね。」

「あ、其は楽しみですね。僕も聞いてみたいです。」

「うんうん、皆さん喜んで貰えた様で何よりですよ!」

エイガは嬉しそうに頷くと、少し丈考える素振りをした。

「其じゃあそろそろテントに戻ろうとは思うんですが・・・。」

「何か気掛かりな事でもありましたか?」

「その・・・もう一回丈石碑の方を見たいと思いまして。雷霆鳥(サンダーバード)の事も分かった今なら、もう少し解読出来るかも知れませんし、石板の事も分かるかも・・・。」

何か気になる点でも出て来たのだろうか、遠慮勝ちにエイガは然う切り出して来た。

「良かったら付いて行きましょうか?折角此処迄案内してくれたんです。付き合いますよ。」

「え、私は嫌よ。そんなの明日になさい。石碑は逃げないんだから。」

然うは言われても刺激されてしまった彼のインスピレーションは収まらないらしい。大きく一つ唸り声を上げる。

「じゃあ一寸(チョット)丈、済みませんが。皆さんはキャンプに戻って貰って大丈夫なので!自分一寸(チョット)調べたら直ぐ帰るので!」

言うや否やエイガは片手を挙げると颯爽と走り去ってしまう。

「ちょっ待ちな・・・ゴホッ!ケホッ!っもう神の話聞きなさいよ!何て聞き分けの悪い猪なのよ!」

もう何度目かの砂攻撃を喰らい、ダイヤは怒りの(ママ)に大声で叫ぶ。

 だが叫べば叫ぶ程砂を吸ってしまうので神一倍(ヒトイチバイ)咳をしてしまった。

「ダ、ダイヤさん大丈夫ですか?」

「もうさっさと凍らしとく可きだったわ。どうせ彼奴は次元の主導者(コマンダー)でもないんだし、如何なったって良かったじゃない。」

恐ろしい事を(オッシャ)ってらっしゃる・・・。

 少し狂気染みた発言に飃は苦笑を返すしかなかった。

 砂煙は落ち着いて来たが、其の頃には既にエイガは遥か先である。

「皆黄色。御揃い。」

「だから貴方は何で喰らってないのよ!」

エネルギーは余っている様でダイヤは誰にでも噛み付いた。

「其にしても、本当にエイガさん行っちゃいましたね・・・。後を追いましょうか。」

「良いじゃないほっとけば。暫くすれば帰って来るでしょ。」

「でも確か()の石碑は次元の主導者(コマンダー)ですよね?一寸(チョット)心配な気もしますが・・・。」

ちらと琴城は石碑の方を見遣った。

 辛うじて見えはするが、彼はもう到着した様だ。

 でも何だか一寸(チョット)様子がおかしい様な・・・?

 気にし過ぎだろうとも思ったが、矢張り何処か違和感がある。

「皆さん何か・・・おかしくないですか?」

「え?あれ、何か雲華(クモ)出てる?」

「砂、じゃあなさそうですね。」

一同もエイガの行った石碑を見遣ると、何やら石碑から(クロ)い煙の様な物が立ち昇って行くのが見えた。

 見ている丈でぞっと背筋が震える様な・・・(アレ)は一体。

 ダイヤは其を見遣って酷く疲弊した表情を浮かべ、直ぐ様顔を背けた。

「・・・戻るわよ。」

「い、いやダイヤさん(アレ)は・・・、」

「何か不味そうな空気だよ?」

「私には見えないし、知らないわ!帰るわよ。」

「でも(アレ)を放置は、」

皆が言い募った所で彼女は必死に顔を背け続けていた。

 だがそんな彼女の前に宙ぶらりんな状態で鏡が現れる。

 然うした彼とダイヤはじっと見詰め合っていた。

「・・・噫もう何なのよ!行けば良いんでしょ行けば!もう最悪よ!」

不意に大声で然う叫ぶとダイヤはやっとしっかりと石碑を見遣った。

 もう其処にははっきりと嫌な雰囲気が漂っている。石碑から続々と(クロ)い煙が激しく立ち昇っていたのだ。

 其の煙は上旻(ジョウクウ)に留まり、段々と層を厚くして行く。

 まるで其は暗雲の様にも見え、今にも陰霖(アメ)が降り出しそうだった。

 長く溜息を付くダイヤの目前で地面が徐々に凍り付き、長い道を形成する。

 其は真直ぐ石碑の方へと伸びていた。一気に空気が凍えて思わず歯が鳴る。

 ダイヤは躊躇なく其の氷の上へ足を下ろした。途端猛スピードでエイガの元迄滑って行く。

「ダイヤ、速い!」

驚いて鏡も後を追う。まさか彼女がこんな直ぐ動くとは思わなかった。

 やる時にはしっかり出来ると言う事である。此で自分が乗り遅れたら何て言われるか分からない。

「は、早く行かないと。琴城さん行きましょう!」

「はい、・・・あ、此、乗るのですか?」

恐々とだが飃はダイヤが残して行った氷の道に乗ってみた。

 そして気持足を出してみた丈で一気にスピードが乗り、勢い良く滑り出してしまう。

 如何やら此の氷、只の氷ではなかったらしい。表面が細かく波打ち、滑り易くしていたのだ。

 ダイヤは何とも涼しい顔をして乗って行ったが、此を乗り(コナ)すには中々の腕が必要だ。

 勿論初心者である飃にそんな芸当が出来る筈も無く、直ぐ様彼は()けてしまい、其の(ママ)の姿で滑って行ってしまう。

 そんな彼の直ぐ後ろでは辛うじて体勢を保った(ママ)琴城も一緒に滑っていた。

「え、何此の状況、」

突然はっと飃は顔を上げると慌てて辺りを見渡した。

 景色が物凄い早さで流れて行く、何此、氷の道?

 何でこんな事に。氷って、まさか()の姉さん何かしたか?

 全く、何てタイミングで入れ替わってしまったんだ。

 一応飃は昼と(ヨル)で記憶を共有してはいるが、完全にではなく粗筋に近い感覚だ。

 こんな入れ替わる数秒前の事なんてはっきりとは分からない、一体此は何をされているのだろうか。

 滑った先には何やら石碑が見える。更に其処から途方もない敵意を、感じた。

 此は・・・早速、やってくれたみたいだね。

 取り敢えずは此処を脱した方が良いだろう、飃は急いで(ツエ)(マタガ)った。

 足元が覚束ないので可也不安定だが何とか飛び上がる。

 スピードが乗っていたのもあって、(ツエ)の速さも可也の物になった。

 御蔭であっと言う間に石碑の所へ辿り着く。

 其処にはダイヤとケルディ、鏡が既に集まっており、一人エイガが腰を抜かして座り込んでいた。

 皆(ソラ)を見上げて固まってしまっている。もう(ソラ)には暗雲が立ち込め、時折(ヒカリ)を走らせていた。

 恐らくもう此は・・・最悪な状況と言う奴なのだろう。

 (ツエ)を下ろしてダイヤ達の所へ向かう。

 見ると彼女はエイガの胸倉を掴んで揺す振っていた。中々豪快な事をする。

「もう何してんのよ!何か出て来ちゃったじゃない!」

「ひ、ひぃいい!ご、御免なさい御免なさい!ま、まさかこんな事になるなんて!」

「だから明日になさいって言ったのよ!もう此方疲れてるって言うのに。」

「まぁ(ヨル)だったから僕が出られたんだし、未だ良い方じゃないの。」

「噫・・・貴方出てたの。じゃあ精々役に立って頂戴よ。」

「其は良いけど・・・ふーん、石板、見付けたんだ。」

良く見るとエイガの手には無骨な石の板があった。

 と言う事は、例の鳥が出て来てしまっているのだろうか。

「ふぅ、皆さん御待たせしました。」

少し遅れて琴城も到着する。

 彼もエイガの手にある石板に気付いた様だ。

「其は・・・っ!一体何処で見付けたんですか!」

「その、実は此方に走って来た時に此の石碑にぶつかって・・・此が落ちて来たんですよ。」

「落ちて来た?って又性懲りもなくぶつかったのね。(シカ)次元の主導者(コマンダー)に。」

「此処欠けてる、此処の事?」

鏡が指差すと確かに石碑の中央辺りが綺麗に四角に欠けている。

 恐らく此処に石板が嵌め込まれていたのだろう。

 割れていると思っていたが、成程、()う言う仕組みだったのか。

「で、石板が外れたら雲華(クモ)が出て来たと。」

「は、はいぃ・・・。」

エイガも何だか良くない気配を感じているのだろう、そわそわと辺りを見渡していた。

「理屈は分かりませんが、もう一回其の石板を填めてみては如何ですか?」

「そ、然うですね!やってみましょう!」

慌ててエイガは石板を持ち直し、石碑に填めてみた。

 だが・・・雲華(クモ)は消えない(ママ)だ。きっちり填まっている様だが変化はない。

一寸(チョット)!向きが違うんじゃないの?」

「あ、あってますよ!でも、でもでも・・・、」

結局石板を外してみたが、駄目な様だ。

「確かに雷霆鳥(サンダーバード)を呼ぶ方法はあったけど、帰す方法ってなかったよね。」

「然うなんですよ!私も其は聞いた事がなくて!」 

「・・・私の詠にも無かったですね。」

此は・・・やらないといけないかな。

 ちらと上旻(ジョウクウ)を見遣ると・・・視線が合った気がした。

 然う、暗雲の中から突き刺す眼光、時折爆ぜる(ヒカリ)

 此の雲華(クモ)の向こうに奴が居る。もう時間はなさそうだ。

「・・・取り敢えず、彼奴の相手は僕がするよ。其の間に隠れるなり、調べるなりしといてよ。」

然う言い残し、飃は(ツエ)(マタガ)った。するとそんな彼の肩にケルディが飛び乗る。

「ボクもやるよ!」

「そ、じゃあ落ちないでよね。」

(ツエ)を傾けて一気に飛び立った飃の背を一同は見送った。

「?良く見る、石板、一寸(チョット)違う?」

「違うって・・・ん、然うね。ってか此方が次元の主導者(コマンダー)っぽいわね。」

エイガの手にある石板をじっと見遣ったが、明らかに此方から気配がする。

 石碑からはもう何も感じなくなっていた。

「若しかしてはっきり次元の主導者(コマンダー)って分かり難かったのは此の所為かしら・・・。」

石碑と一体化していたから分かり難かったのかも知れない。

 兎に角此の石板を護らないといけない訳だ。小さくなった分ましだけれども。

「貴方、死んでも其の石板は護りなさいよ。割ったりしたら凍らせてやるわ。」

「え、わ、分かり・・・ました。」

目をぱちくりとさせてエイガは取り敢えず頷く。

「後は貴方、其の石板早く読んでみなさい。何とか(アレ)を鎮める方法を考えるのよ!」

「っはい!分かりました!」

返事丈は元気が出て来た様で、エイガはギュッと石板を抱き締めた。

「・・・此方は?ダイヤ。」

「貴方は其の猪と居なさい。幸運パワーで雷全避けよ。」

「任せて!エイガ護る。」

「其方のマスクも・・・まぁ一緒に居なさい。」

「は、はい然うしますね。」

「ふぅ、何で私がこんな指示しないといけないのよ、もぅ。御負けに力も使わせるし。」

息を付く彼女の上旻(ジョウクウ)から徐々に氷の膜が張り始めた。

 気付けば辺りには透明に近い氷の柱が幾つも立っている。其を支えにして屋根の様に膜が張り始めたのだ。

 彼奴の雷が何位(ドレクライ)の規模か知らないけど、此で一応壁にはなるでしょ。

 後は上次第、なんだけれども。

 ちらと見上げると、飃達は随分高い所迄移動していた。

 もう雲華(クモ)に肉薄しており、間近で構えている様だ。

―・・・そろそろ、出て来るっぽいよ。―

―ほんと最悪だわ。早く落としちゃいなさい。―

「簡単に言ってくれるね。」

「ね、でも頑張るしかないよ。」

ひらりとケルディは飃の肩から飛び降りた。

 そして蒼い焔を吐き、其の中へ飛び込む。

 すると(タチマ)ち其の姿は大きくなり、瞬きもしない間に彼は子狐の姿から成体へ変化した。

 続けてケルディは大きく焔を足元に吐き、其の上に着地する。

 焔は消える事なく留まり、大きく揺らめいた。

「へぇ、そんな姿にも成れるんだ。」

「噫、一気に攻め込むぞ。」

声もすっかり低くなり、勢い余ってか口端から焔がちらつく。

 六つの伸びた尾は激しく振られ、先に灯る焔が淡く散った。

「あれ、若しかして狐さんも性格変わるタイプか。」

随分可愛気が無くなってしまった。先迄肩に乗っていた子とは思えない。

 其でも見るからに(ツヨ)そうだし、うん。中々良い(スケ)()なんじゃないかな。

 ・・・魔物と共闘みたいで不思議な感覚だけどね。

―又、人間共か。―

突如重く響く声が頭の中に直接流れ込んで来た。

 見上げると雲華(クモ)の切れ間から翠に輝く瞳と()ち合った。

 其の眼光は鋭く、ありありと敵意が滲み出ている。細長く伸びた嘴も傍の雲華(クモ)を突き破っていた。

「出て来て欲しかった訳じゃなかったんだけど、、()うなったら仕方ないね。」

「ルォオォオオオオオ‼」

(ソラ)を裂く叫び声が轟くと(ソラ)が輝きを放ち、雲華(クモ)の中心から一気に穴が開く。

 其処から吹き抜ける狂風に、飃の(ツエ)は傾いだ。

 雷が雲華(クモ)も無いのに轟き、降り注ぐ。

 束になった雷の中に一際輝く渦が生まれ、不意に(ヒカリ)は飛び散った。

 其を破るは金色の翼、全身に雷を(マト)った雷霆鳥(サンダーバード)だった。

 昨霄(サクヤ)龍古来見聞録(カリグローズ)で見た通りの姿だ。其にしても随分と大きい。

 本物の迫力はあんなホログラムの比じゃあなかった。近くに居る丈で痺れる様な電気が走る。

「っ・・・此は、えげつない魔力だね。」

信仰を集めるのも分かる。こんな化物だなんて、思っていなかった。

 ・・・道理で街が滅ぶ訳だ。魔力が桁違い過ぎる。

 本当にこんなのが()の石板一枚ぽっちで呼べる物なのか。

―我が地に踏み入る人間め、神の裁きを喰らうが良い。―

「神は僕なんだけど・・・。」

ちらっと雷霆鳥(サンダーバード)の目が動く。

 そしてまじまじと飃を見遣った。

―・・・確かに。其方は神か。であるならば早々に此の地を去るが良かろう。―

「生憎、此処を護るのが仕事なんだよ。」

―然うか。であるならば共に滅びよ。―

せせら笑うと雷霆鳥(サンダーバード)は翼を大きく広げた。

 翼に埋め込まれた(タマ)が激しく輝き、雷となって降り注ぐ。

 雷は雷霆鳥(サンダーバード)の全身を駆け巡り、煌々と輝かせた。

 余りの眩しさに目が潰れそうだ。只輝いている訳じゃなく、明滅しているのも拍車を掛ける。

 其に釣られて激しい轟音も鳴り響いた。大気が震えているのだ。

「早速、やってくれてるわね。」

ダイヤの創った氷の柱に幾つも雷が降り注がれる。

 避雷針の役目を果たした柱は次々と割れ、砕けて行った。

 強度が足りていない、衝撃に耐えられないのだ。

「此が、雷霆鳥(サンダーバード)ですか。」

氷の砕ける音も相俟って激しい轟音が鳴り響く。

 ダイヤが次々柱を創って行くので雷は届かないが、爆音が激しい。

 余りの音につい縮こまってしまうが、多少地鳴りがする程度で、直接害にはならなかった。

 詠で詠いはしたが、まさか此程だなんて。矢張り実際見るのとでは全く違うのか。

 こんなの、天変地異に等しい。たった一頭の龍で此程の事が起こせるなんて。

 ・・・manjuは此の辺りを危惧していたのかも知れない。こんな風に暴れられたら自分達じゃあ手が付けられないだろう。

「もう、上は何してんのよ!早く翼折っちゃいなさい!」

「流石に()の翼を折るのは二柱では厳しいのでは・・・。」

「私だってこんな頑張ってるんだから此位当然よ!」

防戦一方なのに嫌気が刺したのか、割れた氷の柱が突如飛び上がった。

 そして雷霆鳥(サンダーバード)に向け、真っ直ぐ飛び掛かる。即席の氷の鑓だ。

「ルォオォオオオオ‼」

無数に飛来する鑓に向け雷霆鳥(サンダーバード)は一声鋭く声を上げる。

 すると全身を(マト)っていた雷が束になり、中旻(チュウクウ)で激しく爆ぜた。

 全方向に向け、一気に飛び掛かる雷に因って氷は全て粉砕されて仕舞う。

「っ⁉一寸(チョット)()の姉さん僕達巻き込む気かよ。」

下から氷の塊が吹っ飛んで来た時、流石に戦慄した。

 危うく激突する所だった・・・面倒臭がって中々戦わないけれども、こんな大技使えるなんて。

 気付けば下に立派な護りが築かれているし・・・()の姉さん、実力隠してたな。

 若しかしたらもっと凄いのかも知れないし・・・あんな氷を見境なしに撃ったんだ。

 此、自分達も頑張らないと、本当に狙われるかもな・・・下から。

 先のは発破を掛けたつもりかも知れないし、うん、やりそうだ。

「畜生、滅茶苦茶に攻撃しやがって。」

小さくケルディは唸り声を上げていた。

 如何やら飛び散った雷に少し当たってしまったらしい。

 (カス)った程度の様だが、苛立たし気に尾が振られていた。

「此でも喰らいやがれ!」

大口を開けてケルディが吼えると焔の塊が吐き出された。

「ルォオォオオ‼」

其処に向け雷霆鳥(サンダーバード)も雷を放つ。

 正面からぶつかった二つは激しく火花を散らし、相殺された。

 更に追い打ちを掛ける様に雷が駆け巡り、降り注がれる。

「此奴、限がねぇな。」

矢鱈(ヤタラ)雷の量が多過ぎるのだ。どんなに焔を打ち込もうとも相殺され、其以上の雷が落とされてしまう。

 かと言って、飃の方も苦戦をしていた。

 彼にとって一番の問題は、其の翼から放たれる突風だった。

 彼も飛ぶ時は前方に凱風(カゼ)を放って空間を作るのだが、常に来る向かい凱風(カゼ)に体勢を保つのも難しい。

 如何しても(ツエ)が煽られてしまう。()の道近付くのも厳しそうだ。

 ・・・刀を使うなんて以ての外だ。相性が悪過ぎる。

 此は狙えなくても凱風(カゼ)を浴びせてみるか。

 (ミカヅキ)の刃を幾つも放ってみる。

 的は大きいんだ、我武者羅でも当たるだろうけど・・・。

 刃の幾つかは雷霆鳥(サンダーバード)羽搏(ハバタ)きに因る強風で掻き消されてしまう。

 狙いも集中もし難い状態なのだ。普段より威力も落ちてしまっているのだろう。

 何とか残った刃も僅かに雷霆鳥(サンダーバード)の羽根を散らす丈だ。大きなダメージにはなっていない。

「ルォオォオオオ‼」

其でも攻撃をされた事に怒りを覚えたらしい。雷霆鳥(サンダーバード)は一気に飃に向けて雷を放ち始めた。

 来るだろうとは思っていたが、量が多い。

 何とか(ツエ)を傾けつつも、凱風(カゼ)も相俟って飛び難い。直撃は免れたものの、幾つか頬や手を(カス)り、火傷を残して行く。

 雷霆鳥(サンダーバード)の注意が此方に逸れている間にケルディが焔を放ち、何とか雷霆鳥(サンダーバード)の翼に直撃させていた。

 其でも矢張り羽搏(ハバタ)きが厄介なのだろう、大して燃やせずに焔は消されてしまう。

「最近何だかこんな敵ばっかりだな・・・。」

中々決め手に欠ける。此の(ママ)やり続けて如何なるか、可也怪しい・・・。

 自分達がやられるより下の方が問題ありそうだ。

 別に雷霆鳥(サンダーバード)が何処かに行けば良いんだけど・・・ほっといたら絶対其の雷で石板割られるだろうし。

 だったらいっそ遠くの方へ誘おうか。此の強風の中、奴より早く動けるかは怪しいけど・・・。

「全然燃えやしねぇな・・・おい、其方は如何だ。」

「此方もだね。勝つの厳しいなら遠くに逃がすのも手だよ。」

一応石板さえ護れれば良いんだ。取り敢えず避難させる丈でも。

「でも此奴、縄張意識強いんだろ。動かねぇと思うけど。」

「其も然うだけど。じゃあ頼んだら帰ってくれないかな。」

街を破壊したのは恐らく此奴だろうけど、そんな奴が聞く耳持つかは別にして。

 出来る限り(ツエ)雷霆鳥(サンダーバード)に近付いてみる。

 奴は手当たり次第に雷を降らす丈だ。動く気配はない。

 取り敢えず目の前にいる自分達を相手にしているんだろう。如何にか、狙いを逸らせられたら良いけど。

「ねぇ一寸(チョット)!行き成り襲って来ないでさ、一寸(チョット)話位出来ないの?」

―話す事等無かろう。御前達を滅す丈だ。―

「全く、何で此の龍も神の話を聞かないんだよ。」

―然うだろう、此は丗の意志なのだから。―

「丗の意志?・・・おいまさか此奴って、」

其の言葉は聞き覚えがあった。

 丗の意志・・・其は例の事件の時に龍が口々に言っていた。

 でも今更?いや(ソモソモ)此って・・・。

「前暴れたのも、其の所為って事?」

―然うだ。望まれているなら応える迄!―

雷霆鳥(サンダーバード)は先迄より雷を更に激しく解き放った。

 空気が震える、雷が自由に方々へ散って行く。

「おい、此奴が暴れたのって恐らく大昔の事だろ。」

「時系列が狂ってるね。・・・いや、次元ならありなんだっけ。」

次元毎に時の流れは違う筈だし、然う言う事があるのかも知れない。

 つまり此奴は例の事件の時、きっちりと人間を滅ぼした訳だ。そして今迄眠りに就いていた。

 そして又暴れていると、全く(ロク)でもないじゃないか。

「もう其の声か何かだっけ、聞こえない筈なんだけど。」

「然うだ。もう暴れる理由も無い筈だぞ。」

―ぬ・・・確かに今はもう聞えない・・・のか?―

雷霆鳥(サンダーバード)はきょろきょろと辺りを見遣った。

 目醒めた(バカ)りで未だ理解していないのかも知れない。話が聞けるのならば、

「ほら、もうあんなの()うの昔に終わったしさ。」

―終わった・・・だと。―

雷が少し弱まり、雷霆鳥(サンダーバード)(ユック)りと(マバタ)きをした。

―・・・であっても、我のやる事は変わらないな。―

雷霆鳥(サンダーバード)が其迄以上に強く羽搏(ハバタ)くと、余りの凱風(カゼ)に飃は吹き飛ばされてしまう。

 其に追い打ちを掛ける様に雷が彼を追った。

「っもう何で分かってくれないんだよ!」

一気に自身に嵐を叩き付け、飃は急降下した。

 然うして何とか雷をやり過ごし、高度を保つ。

「そんなに人間襲いたいのかよ、何奴も此奴も!」

苛立ちに任せて(ミカヅキ)の刃を重ねて飃は放った。

 如何しても幾つか凱風(カゼ)で消されてしまうが、重なっていた分先より雷霆鳥(サンダーバード)に届いた様だ。

 雷霆鳥(サンダーバード)の眼先に当たり、斬り付けられて血が飛び散った。

 大きなダメージではないが、しっかりと傷を残され、雷霆鳥(サンダーバード)は鋭い叫び声を上げる。

「人間襲いたい丈の奴なら容赦も何もないでしょ。」

「良く当てたな。其なら行けるか?」

「いや、今のはラッキーヒットでしょ。()の道此は厳しいよ。」

今の一撃に苛立ったのか雷霆鳥(サンダーバード)は再び雷を(マト)い、辺り構わず散らばらせた。

 もう手当たり次第だ。近付ける様子はない。

 さて、一体如何した物か。

 飃は一つ溜息を付くと、(ツエ)を握る手に力を込めるのだった。

   ・・・・・

「ん・・・んー・・・。」

エイガは何度も手にした石板を石碑と見比べていた。

 何か納得行かない様で、読み返しては唸っている。

「如何、何か分かったの。」

力を使い続けている此方の身になって欲しい。そろそろ手掛かりの一つでも欲しいけれども。

「いや、何か引っ掛かって・・・矢っ張り、此の石板が取れたから雷霆鳥(サンダーバード)は出て来てしまったんですかね・・・?」

「状況的には然うなんじゃないの。」

「まるで封印が解かれたかの様な出方だった様ですが・・・。」

「矢っ張り・・・此の石板、読み直してみたんですけど、雷霆鳥(サンダーバード)の呼び方は祝詞を捧げて、舞を踊るってあるんですよ。其が一つも達成されていないのにと思いまして・・・。」

「読み間違い、じゃあ無いのよね。」

「然う・・・なんですよ。矢っ張り何度見ても然うとしか読めなくて・・・丁度此の石板の所が其の舞いと、祝詞について描いてあるんですよ。」

「此の絵、然う?」

「はい、然うなんです。」

鏡が石板を覗き込むと、うんうんとエイガは頷く。

「其なのに行き成り出て来たと。・・・若しかしたら其は伝承なので、雷霆鳥(サンダーバード)の気紛れで出て来てしまったのなら詮無いですが・・・。」

「うーん・・・。」

再びエイガは石板を見詰めて唸った(ママ)、黙ってしまう。

 如何しても釈然としない様だ。

 そんな事より奴の帰し方の方を知りたいんだけど。

「あ、居た居た、皆さーん!皆さーん‼」

然う手を振りつつやって来たのはローグ隊長と其の隊員達だった。

 皆恐々と上旻(ジョウクウ)雷霆鳥(サンダーバード)を見遣りつつ、固まっている。

「た、体長何で来たんですか!」

「其は此方の台詞です!えぇ、早く皆さん避難しないと。(アレ)は恐らく雷霆鳥(サンダーバード)なのでしょう⁉」

「然うね、其処の猪が呼び出したのよ。」

ダイヤの言葉にはっとしたローグはエイガの手元を見遣った。

「其は石板⁉一体何処で、いや其より何をしているのですエイガ!」

「わ、私も何で出て来たのか、ご、御免なさいそんなつもりなかったんですー!」

一寸(チョット)、説教は後にして頂戴。今は其より彼奴を如何にかなさい。」

「ど、如何にかってこんなの・・・っ!ヒィイ‼」

雷が降り注がれ、近くで派手に氷が砕け散る。

 急いで修復するが、魔力の消耗が激しい・・・そんなに長くは持たない。

「やる気ないなら私丈を絶対護れる楯でも創るわよ。此方の身にもなりなさい。」

「ッ⁉ダ、ダイヤさん見捨てないでください御願いします!」

「た、隊長!然う言う事で手伝ってください!」

エイガが石板を持って隊員達の方へ駆け寄った。全員でまじまじと石板を見遣る。

 流石考古学者丈あって、こんな轟音の中でも直ぐ其方へ集中出来た様だ。

 直ぐに議論が始まり、銘々が意見を口にする。

「・・・然うよ。もう、私が言わないと動かないんだから。」

「ダイヤ凄い、頑張る。」

ダイヤは一つ溜息を付いて術に集中した。

 こんなに力を使わされたのは何時振りか。()の鳥に迄氷は届かないし、本当最悪だ。

 此が終わったら当分部屋に引き籠もろうと、静かに一柱、彼女は誓いを立てるのだった。

   ・・・・・

「・・・下が集まってるみたいだな。」

火焔を吐き終え、ちらと丈ケルディは眼下を見遣った。

「ん・・・若しかして御仲間さんかな、良く来たねぇ。」

こんな嵐の中来るなんて。まぁ下の石板の解読に一助してくれるなら良いけど。

 やれる事はやっているけど、此の(ママ)じゃあじり貧だ。何時迄戦えるか分からない。

―豪気な奴等だ。未だ我が縄張から出ぬか。―

「縄張って、どうせ此の大陸とかでしょ。其とも石板持って逃げる迄見逃してくれるかな。」

―下等生物如きに掛ける情は無い。―

激しく雷が迸る。

 其は一寸(チョット)ずつ火傷を残して行った。直撃は避けているが、如何しても閃光全てを避ける事は出来ない。

 雷が弱まる気配もない。確かに莫大な魔力だ。

「君の下に次元の主導者(コマンダー)が居るって言っても暴れる訳?」

此処が縄張だって言うなら、次元の主導者(コマンダー)を壊せば其さえ全て消える。

 逃がしもしないなら何だ、此処で共倒れする気か。

―我を呼び出したのは御前達だ。如何言う結果になろうと構わぬ。―

「もう本当頭かったいなぁ!」

「好きで呼んだ訳でもないんだがな。」

凱風(カゼ)の刃と焔が束になって雷霆鳥(サンダーバード)を襲う。

 雷に阻まれてしまうが、其でも何とか一部は届く。

 此方が攻撃している間は雷も此方を集中的に狙ってくる。

 下に(アンマリ)落とされても困るし、此処で耐えるしかない。

「ルォオォオオオ‼」

眼前に焔を喰らい、雷霆鳥(サンダーバード)が激しく頭を振るって焔を退けようと(モガ)く。

 (モロ)に喰らった様で羽搏(ハバタ)きも(ツヨ)くなり、雷が(マバ)らに降り注いだ。

 のたうっている今なら追撃出来るだろうか。

 焔の所為で目が良く見えないらしいし、今の内に畳み掛ける。

「ルォオオ!ルォオォ‼」

刃が翼の付け根に当たり、血が飛び散った。

 多少だがダメージは入りつつあり、少し丈上体がぐらついた。

 未だ落とせはしないだろうが、左翼の動きが一寸(チョット)悪くなったか・・・?

 恐らくは翼にある(タマ)(アレ)を壊せられれば雷も弱まりそうだけど、そんな上手には狙えない。

 特に翼は良く動くし、だったら未だ根元から追撃した方が良いね。

 ケルディの焔も喰らって、雷霆鳥(サンダーバード)の体毛は美しい金から少しずつくすみが出て来た。

 向こうも疲弊しているんだ。何処かで引いてくれたら良いけれど・・・。

―中々、難儀な者達だ。此でも下がらぬか。―

「其は此方の台詞なんだけど。好い加減にしてよ。」

凱風(カゼ)を放つ手は止めない。少しでも気が緩むと直ぐ反撃されてしまう。

 戦うなら時間は(ヨル)にしろって言ったけどさ。こんな面倒な奴なら僕から願い下げだよ。

「御前が引いてくれたら、俺達も引くんだがな。」

―未だ目醒めた(バカ)りだぞ。此の程度であれば引きはせん。―

「此の程度・・・か、未だ先は長そうだね。」

今一度集中して凱風(カゼ)を放つと、其に応える様に雷が落とされた。

 其を(ツエ)を傾けて去なした瞬間、突然雷霆鳥(サンダーバード)羽搏(ハバタ)きを変えたのだ。

 そして飃に向け、鋭く尖った嘴を向ける。

 此方を確実に落とす気か・・・。

 念の為、嵐を自身に(マト)わせて様子を見る。

 見られている・・・嫌な予感だ。

 何か仕掛けて来そうだけれども。

 大きく一つ息を吸って(ツエ)を握る手に力を込めた。

 其処へ向け、雷霆鳥(サンダーバード)は口を開いた。

 其の中は暗くなく、明るい光源が火花を散らして渦巻いていたのだ。

 此は・・・可也不味い奴だっ!

 本能が警鐘を告げ、直ぐ様飃は嵐を叩き付けて急降下した。

 其と同時に(ヒカリ)が弾けて閃光となって炸裂する。

 雷霆鳥(サンダーバード)の口から雷のブレスが放たれたのだ。

 急降下したものの、其の範囲は余りにも広く、瞬く間に(ソラ)一面を金の(ヒカリ)が駆け巡る。

 (ヒカリ)に因って斬り取られた(ソラ)は激しく明滅し、裂かれた空気が爆音を立てる。

 そんな雷の放流に飃はあっさりと呑み込まれた。

 影も消え去り、(シラ)んだ(ソラ)が戻る頃には(ソラ)には何も残されない。

 只雷霆鳥(サンダーバード)(マト)う雷が帯電し、爆ぜる音が響く丈だ。

「ッ!ルォオオォオ‼」

じっと閃光の消えた先を見遣っていた雷霆鳥(サンダーバード)が不意にけたたましく鳴き出す。

 数瞬遅れて右の翼の付け根から血が噴き出した。

「良くも、やってくれたね鳥如きが。」

―・・・未だ、消えていなかったか。目障りな。―

首を巡らせて雷霆鳥(サンダーバード)が吼える。

 其処にはケルディの背に乗った飃が居たのだ。

 只彼も肩で大きく息をし、裂かれてしまったのか右半身の服が破れてぼろぼろになっている。

 腕や顔も火傷と引き裂かれた跡が痛々しく残り、絶えず血を流していた。

「悪い、助けるのが遅れた。」

「いや、御蔭で助かったよ。()(ママ)喰らっていたら流石に死んでいたかも。」

まさかあんな大技が飛んで来るとは思わなかった。

 念の為と思い、刀を出して雷撃を斬ったが、()の量は押し流されてしまっていただろう。

 間一髪でケルディが背に乗せて避難してくれたのだ。

「でも一体何した訳?気付いたらこんな所に居るし。」

虚焔(ウツセビ)って技だ。焔があれば別の場所へ移れるからな。」

「成程、何時も気付いたらポケットに居たのって其かな。」

中々興味深い、そんな力があったのか。

 其で僕の所迄瞬間移動して助けてくれたって訳か・・・本当に助かった。

 ポンとケルディの頭を軽く叩くと荒く鼻息を返された。

 そっと彼から降り様に(ツエ)(マタガ)る。刀はもう仕舞ってはいる。見られていない筈。

―さっさと消えろ!我の前に出るな!―

雷霆鳥(サンダーバード)の全身が輝き出す。

 慌てて飃とケルディは下へ向け一気に降下する。

 すると上旻(ジョウクウ)が激しく輝いた。雷が駆け巡り、散らされる。

 滅茶苦茶に雷を放って暴れ始めてしまった様だ。

 此はもう・・・引いた方が良いか?それなりにダメージは与えたけれども。

 此方としても一回死に掛けたし、もう構いたくないんだよね・・・。

「ちょっ、一寸(チョット)何してんの⁉」

「エイガさん⁉お、落ち着いてください!」

(ニワカ)に下が騒がしくなり、つい覗き込む。

 気付けば可也下降してしまったか、流石にもう少し上に居た方が良いかも知れないけれども。

 見遣ると如何やらエイガが石碑に向け、突進している様だった。

 大きく石碑が振動で揺れている。何だ、何が起きているんだ。

 良く見ると他の隊員達も其に続いていた。此の(ママ)では石碑が壊れてしまうだろう。

 次元の主導者(コマンダー)は石板の方だったみたいだけど、何でそんな事を。

―何してんの?遊んでる暇ないと思うけど。―

―知らないわよ!急に此の猪共が暴れ始めたのよ!―

余りの事に混乱しちゃったとか?でも其の割には狙いが正確な様な。

「何してんだ此奴等・・・。」

「っ!来るよ、離れて!」

飃とケルディが散った所へ雷が降り注がれる。

 下の氷の柱も割って欠片が激しく散る。

「っ一寸(チョット)此方に来ないでよ!・・・ってあぁ‼」

思わず視線を向けると、終に石碑は大きく砕けてしまっていた。

 根元辺りからぽっきりと折れ、只の石の塊へ帰ってしまう。

「あーぁ、壊しちゃったよ。」

考古学者の筈なのにこんな事しちゃって・・・。

 溜息を付いてはたと気付く、何だろう此の感じ・・・。

 恐る恐る上旻(ジョウクウ)を見遣った、そして違和感の正体に気付く。

 雷霆鳥(サンダーバード)が・・・雷を止めたのだ。

 只激しく凱風(カゼ)丈が吹いている。雷は一つも降らず、自らに(マト)う丈だ。

「ん・・・雷、止んだのか?」

思わずケルディも(ソラ)を見上げる。

 先迄あんなに(ソラ)を支配していた雷が・・・何処にも無い?

 轟音が止まり、一気に静まり返った様に思う。不思議な静寂が流れた。

 其の変化に下に居た者達も気付いたらしく、つい(ソラ)を見てしまう。

―ふむ、標が壊れてしまったか。では此の地に残る事もないな。―

「え?・・・は、何言ってんの。」

―地の者に聞くが良い。我は導に導かれるのみだ。―

雷霆鳥(サンダーバード)羽搏(ハバタ)きが変わり、より上旻(ジョウクウ)へと飛んで行く。

―ではな小さき者、次呼べば其の時こそ裁きを下してやる。―

「ルォオオオオ‼」

一声鋭く鳴くと、其の(ママ)雷霆鳥(サンダーバード)(ソラ)の彼方へ消えてしまった。

 ぽかんと口を開けて見遣ってしまう。

 雲華(クモ)も消え去り、元通りの(ソラ)に戻り、(ヨル)の闇丈が残された。

 一気に(クラ)くなったので猶の事面食らってしまう。

 ・・・一体、何が起きたんだ。

 取り敢えず、脅威は去ったみたいなのでそろそろと地上へ降りる事にする。

「終わったっぽいのかな。」

気付けば小さくなっていたケルディが肩に乗って来た。

 そっと其の小さな頭を撫でてやる、随分世話になったしね。

「一体何だったのか、きっちり教えて欲しい所だけど。」

元石碑の所へ戻ると、エイガ達は興奮した様に跳び上がっていた。

 其を他の一同が惚けた様に見ている丈だ。皆も理解出来ていないのだろう。

「ねぇ、何が如何なったの?」

「さ、さぁ私にも・・・急に去って行きましたね。」

「石碑、壊れたら帰った?」

「然う!然うだったんですよ!」

両手を挙げてエイガが此方に向き直った。

「上手く行って良かったです!まさかとは思ったんですが。」

「一体如何言う事なのか、ちゃんと説明なさいよ。」

「はい!(ソモソモ)何で雷霆鳥(サンダーバード)が出て来たか考えていたんですよ。で、気付いたんですが、此の石板には雷霆鳥(サンダーバード)の呼び方のみが描かれていたんです。」

「ですよね。舞いとか祝詞とかって・・・。」

「然うです。そして此の部分のみが()うして欠けてしまっていた。つまり、石碑の方には、雷霆鳥(サンダーバード)が出るって文字丈が残されちゃったんです。」

「・・・其が一体何だって言うのよ。」

今一要領を得ず、口早に言うとエイガはうんうんと大きく頷いた。

「恐らく、此の石碑の文字自体が、鍵だったんですよ。」

「つまりは只の説明の為での石碑ではないと・・・あ、」

はっと琴城が顔を上げると、思わず傍で瓦礫と化した石碑を見遣った。

 もう一切文字は判別出来ない、一文字として読めなくなる程破壊されてしまった石碑。

 此の行為に意味があると言う事はつまり・・・、

「然う、此の石碑の内容が其の(ママ)具現化されていたんですよ!」

「具現化って・・・如何言う事?結局雷霆鳥(サンダーバード)は何で出て来たの?」

「一から説明すると、元々此の石碑は、舞いとかしないと雷霆鳥(サンダーバード)は出て来ないと書かれていたんですよ。」

「元々って何よ、然う書いてあったんでしょ。貴方が壊しちゃったけど。」

「然う!自分がぶつかった事で此の石板が取れてしまったんです。すると、石碑には雷霆鳥(サンダーバード)が出るって文章丈残されたんですよ。」

「え、あ・・・え、然う言う意味なんですか本当に。」

理解はしたが、信じらえないと(バカ)りに琴城は目をぱちくりとさせた。

 他の一同も少しずつ勘付きはした様で、恐々と石碑を見遣る。

 分かってしまうと、恐ろしさがより増してくる。本当にそんな事があるのだろうか。

「・・・待って、まさか手順の所丈石板として外れちゃったから、単に省略されて()の鳥が出て来たって事?然う言う魔道具だったって事なの?」

「其の証拠に、石碑を壊せば(ソモソモ)雷霆鳥(サンダーバード)を呼ぶと言う文字が消えてしまうので、効力を失って去って行ったと。」

「な、何よ其⁉彼奴縄張意識(ツヨ)いとか言ってたじゃない。」

「成程ね・・・其の縄張が()の石碑だった訳か。」

てっきり大陸かと勘違いしていたけれども・・・奴の()の言い方は然う言う意味か。

 言ってくれても良かったのに。全く言わなかったのは意地が悪いったらないね。

 其を破壊されたから去ったと・・・そんな事あるのか。

「其で石碑を壊したんですね。でも・・・良かったんですか?」

「まぁ仕方ないでしょう、はい。兎にも角にも皆無事だったのでね、はい。」

ローグを含め、隊員達も頷き合っている。

 ・・・彼等が納得しているなら良いだろうか。

「・・・ってかじゃあ結局貴方の所為だったんじゃない!」

「う、うわぁあ!す、済みません済みません!」

ダイヤの鋭い一喝を受けてエイガは跳び上がった。

「ま、まぁダイヤさん、其の位にして。」

其の手にある石碑を見て、琴城はそっと彼女を宥めた。

 こんな事で割ってしまっては笑えない。

「で、でも皆さんの御蔭で助かりました。本当に有難う御座います!」

「えへへ、まぁね。ボクの活躍、中々だったでしょ。」

「ま、次はもう一寸(チョット)気を付けてよね。」

「飃、痛そう、休む。」

「ん・・・まぁ然うだね。」

「!然うですよ。でしたら早くキャンプに行きましょう!其処で傷の手当てをしないと。」

雷霆鳥(サンダーバード)の傍で戦い続けた二柱は怪我を負ってしまったのだ。

 あんな大物と相対したと思えば軽傷だろうが、其でも飃のは特に痛々しい。

「然うですね。えぇ皆さん御疲れ様です。先ずは戻りましょう。エイガを助けて頂き、私からも礼を言わせてください。」

「然うと来たら早速!」

言うや否やエイガは一同に背を向けて駆け出した。

 もう見飽きた光景である。瞬きの後に彼は駆け出してしまっていた。

 そして激しい土埃丈を残してテントに直行してしまう。

「・・・今晩は猪汁ね。」

「其も良いかもね。」

全員土に(マミ)れてしまい、真黄色だ。又しても鏡丈無事だったのが気に入らないらしく、ダイヤは口を尖らせた。

「エ、エイガ!何て事を!す、済みません皆さん、はい、後で、今度こそきつく言って置きますので。」

「うん、次は助けられるとは限らないしね。」

何だか気が抜けてしまって、銘々話し乍ら一同はテントに向かった。

 少しそんな彼等を遠巻きに見て琴城は一つ頷く。

「・・・manju、如何やら貴方の心配は杞憂の様でしたよ。」

吹き抜ける薫風(カゼ)に暫し目を閉じると、彼も皆の後を追うのだった。

   ・・・・・

雷よ、天と地を駆け抜けろ

其の輝きは全ての民の目を射抜き、

其の音は全ての民の耳を奪おう

地を震わせ、声高らかに知らせるのだ

神の罰を忘るる事なかれ、雷で砕けぬ岩に刻み込め

其は罪の証明に。私は常に其の陰で羽搏(ハバタ)き、見定めよう

もう過ちは犯さぬと、民が道を歩む迄

 シンプルストーリー!正にそんな感じで書き上げました。其の為に飃君は連戦になりましたね・・・御免ね。

 偶にはこんな感じで、叩いて壊して解決!みたいなのが良いですね。ゲームで言うギルドクエストみたいな、そんな具合を目指しました。

 他には各キャラの成長だとか、気付きだとか、然う言うのを今後増やして行きたいですね。

 入れたい話は盛り沢山なのですよ、其の時が来る迄に此方をしっかり充実させたい・・・。

 然うすれば大いなる絶望がより深くなりますからね!え、いやいやそんな、必ずしも終焉が来るとは限りませんとも。

 何方かと言うと個人的には此のドキドキ感が好きなので。噫、大丈夫かな、此の後酷い目に遭わないかな・・・と言うハラハラ感が大好きです。(悪趣味)

 色々と世界情勢が歪んで来た本作、元から歪んでいた気もしますが、もっと大きく歯車を狂わせたいですね!(悪趣味パートⅡ)

 次回は・・・ずっと寝かせていた話を掘り起こしましょうか。と言うより最近はずっと然うなんですが、十年位前に書きたかった話がやっと少しずつ埋まって来てホクホクです。

 次に出るのは片仮名祭りのの方!あーもう、入力大変になるのにぃー!

 と言う事で縁がありましたら又次回御会いしましょう!


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