52次元 咲き沿う蔭に蒼の明星煌めく次元
今日は!矢張り、投稿頻度が早い、早過ぎる!
何だかずっと挿絵描いたり、校正している気分です。一気に忙しくなって来たぞぉ!
とは裏腹、今回は割かしほのぼの回だったり。色んな意味で繋ぎの回です、御免ね。
最近重要イベント目白押しだし、そろそろ息抜きしようぜ!と書きました。うん、ガス抜きには丁度良いね!
と言う事で今回は昔書いた作品とのクロスになります。結構好きな子が出て来てくれるのでテンション上がりますなぁ!
今回は割かし、出てくる子達を自由に動かそうと頭空っぽで書いたのですが、ある問題点が透けて来ました。
其が一体何だったのか、読んで頂けたら一目瞭然の筈。今後の成長に期待ですね・・・っ!
と言う事でざっくり本編入っちゃいましょう!
皓い翼よ、旻の果て迄何処迄も
蒼い角よ、地の果て迄何処迄も
零星を咲かせよ、影を追えよ
羽搏いた其が、踏みしめた今が、
見果てぬ願いの代償と知れ
・・・・・
「Z1-Θダヨ!」
「・・・噫、宜しく、で良いのか?」
此処はZ1-Θの部屋。
何となく彼の気に入る物を置いて行ったが、殆どインテリアで埋まってしった。
ふわふわと浮かぶ球体に、見た事のない巨大な綿毛を付ける植物、他にも色々と見慣れぬ物がある。
其処に居たZ1-Θは、やっと安定化して来た様でセレが様子を見に来たのである。
魔力とロボの融合は上手く行ったらしく、色々と変化はある。
先ず、テレパシーではなく、喋れる様になった。
Z1-Θ本体の機能をフルに使い、内部で音を作っているらしい。
後性格も一寸変わったかな。
まぁ此は経過を見守らなくては。今後の彼に期待だな。
「結局、名前は其の儘と言う事で良いのか?」
「ンー皆色んな呼び方するから、全部好きになったの。だから其の儘が良いな!」
「皆違う?Z1-Θ以外にも何て呼ばれたんだ?」
初耳だ。と言うより皆も様子を見てくれていたんだな。新神がロボと言う事もあって気になったんだろう。
「卵、白いの、丸、とか色々!全部可愛いから好きなの。」
「そ、然うか、御前が良いなら良いが。」
全部外見的特徴だけれども・・・まぁ良いと言うなら良いか。
「調子は如何だ?もう大丈夫か?」
「ウン、セレの御蔭で躯の動かし方良く分かった!だから大丈夫、多分。」
ALから資料が続々と届いたので彼に伝えていたのだが、上手く行った様だ。
最初は水の取り込み方も分からなかったから、壊れるんじゃないかと冷や冷やしたな。
如何やら前の次元で戦っていた時のZ1-Θが殻を開けたのは、空気中の水分を取り込む動作だった様だ。
彼にとって水は空気みたいな物なので、しっかり吸収させないと壊れてしまうんだな。
只此処数日、Z1-Θに魔力が馴染んだからか其の資料からも変化が起きている。
例えば感覚共有だ。
最初はZ1-Θに魔力が憑いていると言う感覚が抜けなかったが、今では大分一体化して来ている。
Z1-Θの何処かに不調を来せば其処が痛む、と言った様な感覚が芽生えて来たのだ。
此は何とも新鮮な話だ。此の短期間で進化しているとも言える。
喜んで良いのかは矢っ張り難しい所だけどな。其の内管理出来なくなるだろうし。
然う思われる事自体、不満に思う様になるだろう。其の時の接し方を考えないと。
幸いな事に他の魔力は同じ様に躯が欲しいと言わなかった。
今で十分らしい。此の子、Z1-Θ丈特別なのだ。
だからこそ良く育て、良く見極めないとな。
「分かった。若し何かあったら直ぐ言ってくれ。慣れない事許りだろうからな。」
「ウン、ソーダネ。」
然う言った限少しZ1-Θは黙ってしまう。
目、と言う器官が良く分からないが、じっと見られている気がした。
気配が明らかに変わって来たな。
「如何した?早速何か気になる事か?」
「イヤ、セレって、僕に凄く優しくしてくれるよね。」
「何だ藪から棒に。そんな事はない、普通だ。」
思わず噎せそうになった、危ない。
「貴方の事、ずっと見て来たから分かるの!貴方、本当は優しくないけど、僕達には優しいの、何で?」
「ククッ、良く分かってるじゃないか。さぁ何でだろうな。若し答えが分かったら其の時は・・・もう私達は友ではないだろうな。」
魔力は時々、鋭い事を言う。
見透かしているのか、其とも恐い物知らずなのか。
普段は触れない禁忌を、あっさり犯す事がある。
何時もはぐらかしたりするけれども、彼等は其では乗り切れないだろうな。
・・・一体何処迄私の事を暴けるのか見てみたのかも知れない。
私自身、もう分からなくなっているかも知れないから。
世界に近しい御前達なら、分かるかも知れないじゃないか。
「・・・行く。」
「ん、何か言ったか?」
「僕も仕事、行く!貴方の其の顔、もっと見たい。」
「・・・っ、其は其は。悪趣味になったな、私の影響か?」
左手でそっと顔を覆う。
崩してしまったか、一寸気を抜き過ぎだ。
「分かった。じゃあ一緒に行こう。他にも何柱か誘うか。」
「ウン!賑やかなのが良いね。」
良し、然うと決まれば早速出発だ。
「じゃあ後はL⊝ ▼▲/と、皐牙とか誘うか。」
部屋を出て行くセレをZ1-Θはじっと見詰めていた。
彼女を取り巻く魔力が変わって行っている事を見逃さないで。
・・・・・
其の後、何柱か募って、セレ、Z1-Θ、L⊝ ▼▲/、ロード、皐牙が集まった。
早速L⊝ ▼▲/はセレの首巻に利用される。
やばい、此、絶対癖になる。
幸せそうな顔をする彼女に少し慣れて来たL⊝ ▼▲/である。すっかり顔を預けて落ち着いてしまった。
着いたのは盆地に出来た様な小さな、でも綺麗な街だった。
其の街の路地裏辺りに出て来たみたいである。路地裏と言っても芥は殆ど落ちていない、其丈で街の様子が分かるもんだ。
石を敷き詰められた道は紅や碧等、色々な石が疎らに埋められているので鮮やかで、僅かに光っている様にも見える。
家は何も塀で囲われていて、中ははっきりは分からない。
だが其の壁一枚一枚も煉瓦で模様が編まれ、同じ物は一つとしてない。
ざわざわと、人の気配を感じる。
此処の人間は誰もが金髪で長く伸ばしており、身形が整っている。
・・・自分達は可也異色に映るだろうが、まぁ堂々としていれば穏やかに済みそうな気配はあるな。
「・・・綺麗な街に来たな。」
「あ、先に見たんですか?じゃあ私も、」
ロードが一足先に路地を飛び出して行く。
念の為、フードを深く被って自分も続く。
夕暮れみたいでぼんやりと薄暗いが、油断は出来ない。
「全く、街一つで良く燥げるゼ。」
「其処等で市が開いていたから一寸した祭りみたいだったぞ。」
「・・・先からしていた良い匂って其か。」
ごくりと皐牙が喉を鳴らす。そしてそわそわと彼も路地を出て行った。
「僕も行って良い?」
「噫・・・堂々としていたら多分大丈夫だろう。いざと言う時は抱き抱えて行くか。」
「ヤダ!自分で歩く!」
然う言い、Z1-Θはふわふわ浮かんで行ったが、彼は歩いていると言えるのか・・・。
―へぇ、人間の街をこんな近くで見たのは初めてです。―
目を輝かせてL⊝ ▼▲/はぐるりと見渡していた。
あ、噫、彼が動いて其丈でモフモフが!
軽く理性が飛びそうになるのを何とか堪えて代わりにL⊝ ▼▲/の頭をモフモフした。
「じゃあしっかり堪能しないとな。」
皆自由でもう散り始めている・・・仕事って忘れそうだな。
路地から一歩出れば街の空気は一気に変わる。
温かい凱風が吹いている、出店が並んでいて喧騒に包まれる。
食べ物屋が殆どか。見た事無い物が多いな、確かに此は目移りしそうだ。
活気ある街だが・・・次元の主導者の気配は、
探ってみると何とも妙だ。広がっていると言うか、此は、分散している?
兎に角街から少し離れているな。其処を目指せば良いか。
後は、見知った影も波紋で写っているな。
此方は近くだが、市から少し離れている。・・・人が多いし、其方に行こうかな。
「セレ、何か見付けましたか?」
「噫向こうに・・・って其、如何したんだ?」
戻って来たロードの手には謎の揚げ物の入った袋が。
ポテトフライに似ているが、別の野菜っぽい。香辛料の強い香りがする。
「先腕相撲大会をしていたから景品よ。」
其、相手の腕ちゃんと残ってるよね?
つい其方の心配をしてしまう。筋肉天使と腕相撲とか惨過ぎる。
粉砕骨折していないと良いが、いや其の程度で良かったと思うかも知れないな。
ちらとそんな事を考えていると口に其のフライを突っ込まれる。
は、早い、流石だロード、手が見えなかったぞ。
何の道下手に避けていたら突きになってダメージと化していたかも知れないが。
「ん、美味しいな。」
「フフッ、やっと笑ってくれたわね。」
「・・・っ、済まない、つい緊張していたみたいだ。」
口元しか晒していないのに良く分かった物だ。
そんなつもりはなかったけれども、つい構えてしまうらしい。
人間、と意識しなくても自然に然う扱って仕舞っている自分がいる。
前世でずっと・・・いや今も変わらずか。敵視し続けた所為で全く慣れないな。
斯うして曲がりなりにも街を普通に歩くなんて、考えもしていなかったし。
せめて仲間にはばれない程度に偽らないと、自分も未だ未だだな。
「緊張って・・・フフ、何も身構える事無いですよ。」
「まぁ確かにロードが居れば心配要らないな。」
「あーっ!何喰ってんだよ筋肉天使!」
皐牙が食って掛かるが、流石に彼女から食料を奪う愚行はしないだろう。
噛み付きつつも、黙る事しか出来ない皐牙の口に、容赦なくロードは手土産を突っ込んだ。
「んぶっ⁉・・・あ、うめぇ。」
彼の攻撃、成す術もないな、気が付いたら口に食べ物が突っ込まれている。
・・・手刀だったら普通に死んでんだよなぁ、恐ろしい。
不図視線を感じたが、然うだ。L⊝ ▼▲/にも食べさせてあげよう。
「皆で食べた方が矢っ張り良いわね。さ、どうぞ。」
ロードが惜しみなく分けてくれたのでそっと一本L⊝ ▼▲/の口元に持って行く。
少し先の匂を嗅いでいたが、L⊝ ▼▲/は其の長い口を器用に使って銜え込んだ。
あ、もぐもぐ食べているの、可愛い。何本もあげたくなる。
「アレ、皆何してるの?」
寄って来たZ1-Θの頭上に水で出来た疑問符の文字が浮かぶ。
き、器用だな・・・そんなコミュニケーションの取り方が出来るのか。
「あ・・・然う言えば御前は御飯、食べられるのか?」
店に居る間は水しか与えていなかった。
ロボットだけれど、如何なんだろう。機能としてはなかったけれど。
「ンーやってみる!」
「油で壊れたりしないでくれよ。」
「ウン!」
一本フライを手に取って差し出してみる。
Z1-Θは其の手元を見て考え込んでいる様だった。
一同も、一体ロボが如何食べるのか気になって見守っている。
だが突然事は起こった。
Z1-Θの中心の瓊からレーザーが出て来たのだ。
其は揚げ物に命中し、瞬く間に炭化される。
そして其の儘揚げ物を持っていたセレの食指も消し飛んだ。
「・・・え、」
思考が止まったのは刹那、次に脳内を占めたのはある感覚のみだった。
「イギャァアアァアアッグゥ、」
遅れて来た激痛に雄叫びを上げようとした所でロードにがっちり口元を押さえられる。
街中だから騒いではいけないと言う其の配慮は正しい。正しい、が、
口丈ではなくもう片方の手で喉を抑え込まれている。L⊝ ▼▲/も巻き付いた儘で良いのか困った様に見詰めていた。
此の流れで其処迄反応出来るか⁉ガチな奴だ、息の根を止める方だ。
こ、此、ロードの万力だったら簡単に首持って行かれる。恐い、え、嫌だ。此処で死ぬの?
一気に前世の勘が研ぎ澄まされ、息が止まる。
冷静になれと、本能が告げる。
大丈夫な筈だ。ロードが自分を殺す訳が無い・・・でも勢い余ってはあるかも知れない、矢っ張り恐い。
「セレ、痛いでしょうけど大人しくしないと。」
何度も頷く、分かりました!指の痛み耐えるので放してください!
ロードが手を離してくれたので思い切り空気を吸う・・・こ、殺されるかと思った・・・。
「ア・・・エット・・・ご、御免ね。」
寄り添う様にZ1-Θから曦の手の帯が伸びる。
指は・・・な、無くなってる。本当に一本持って行かれた・・・。
ショックで正直頭が回らない、利き手の左がやられたの、結構痛いけれど。
綺麗に根元から無くなってしまった。最初血が出ていたが、直ぐ止まってくれる。
此の手自体血塗れの様な物なので其の儘一体化して固まってくれた。
良かった、良かったけれど痛いです。
何気こんな手なので指が無くなる様な体験なんて粗初めてだ。
良く使うし、感覚も敏感なので滅茶苦茶痛いけれどももう声は出さない。
Z1-Θに心配を掛けさせない為にも余り痛がらない様にしたいが・・・いや、此凄く痛いんだが。
何より不意打ちだったのがいけない、覚悟もしていなかったので脂汗が滲む。
「う・・・ぐ、だ、大丈夫、血は止まったから、な。」
「ウゥ・・・食べるのは又今度ね。そんな気、本当になかったの、御免よ。」
「分かってるよ。私も迂闊だったな。うん、もう気にするな。」
干渉力で全力でカバーする。指の事はもう忘れよう。
・・・今思うと何気レーザーに光の魔力が含まれているのか、彼が全身に当たったら普通に死ぬかもな。
流石対自分用ロボだ。恐ろしい物をライネス国は造るなぁ。
「御免なさいセレ、私の術が効けば良いけれども。」
「耐性、持ってしまっているからな。本当に大丈夫だ、有難う。」
他の術が効き難くなったのは前からだけれども、精霊に成り掛かっているのとか、魔力に近付いて行っているのが関係しているのかもな。
此で光も同じ具合に、とは行かなかったのが残念だ。光に丈は敏感なんだから。
・・・然う言えば此の手は血でコーティングされている訳だし、上手い事操れば形丈でも元に戻れないだろうか。
蜥蜴の尻尾切りみたいな感じで、新たに生えた尾に骨はない、そんな具合。
試しに元の指、爪の感覚を思い出し乍ら指を動かしてみる。
血を少し出して固まらせて・・・。
頭でイメージしていると良い具合に思った通りの形になって来た。沁み沁み、此本当に自分の血なんだなぁ。
一寸歪だが、自分以外には区別何てつかないだろう。
一応動く・・・な、良し!疑似的に指が生えたぞ!
「ほらZ1-Θ、指は此の通り大丈夫だ。もう心配しなくて良いからな。」
彼の前でグーパーしてやると少し丈Z1-Θが高い所へ浮かび上がった。
「本当⁉治ってる、良かった!」
「え、店主も家主みてぇな事出来るのかよ。」
「フフン、私に不可能は無いのだ。」
「本当に生えてるわね・・・流石セレね。」
まぁ正確には生えていないけどな。
でも此、応用したら実際腕とか無くなっても斯うして生やせられるかも知れない。
くっ付ける以外にも手段があるのは純粋に嬉しい。バランスが取れる丈でも大分違うからな。
まぁ気になるのは貧血位か・・・干渉力切れたら如何なるか分からないし、緊急用である事には変わらないな。
「只、食べられなかったのは残念だな。でも喋れる様になったし、出来る様になるかも知れないぞ。練習してみたら如何だ。」
「ウン、アリガト。頑張ってみるね。」
卵の内側が明るく輝いている。うん、元気が出たなら良かった。
「あ、然う言えばセレ、先何か言い掛けていませんでした?」
「ん、然うだな。少し市を離れるが、向こうに知り合いが居るから会おうと思ったんだ。」
ロードが話を変えてくれて助かった。元々然う言う話だったな。
「知り合い?次元なのに居るのかよ。」
「噫、良い情報貰えるだろうし、行ってみないか?」
言いつつ通りを少し進む。皆其の儘付いて来てくれる様だ。
歩けば少しずつ例の竪琴の音が聞えて来た。間違いない。
「やぁ琴城、久しいな。」
「おや、此は此は。セレさんじゃないですか。」
然う言いペストマスクをした吟遊詩神は一つ会釈した。
「あら、若しかして此の方は、」
「皆初めてか。彼はT&Tの琴城だ。前から世話になっているからな。」
「皆さん初めまして。私は其の次元毎の詠を奏でるのが仕事でして。良かったら一曲如何ですか?」
「あーグリスが言ってた奴か。スゲー綺麗な声だってさ。」
「矢っ張り然うね。前は自己紹介が遅れたけれども、御蔭で貴方の詠に助けられたわ。又会えて光栄よ。」
「おや、覚えてらしてだったのですね。此は失礼しました、でも助けになれたのなら良かったです。」
軽く自己紹介も済み、琴城はペストマスクの鼻先を撫でた。
先迄も色々と弾いていたらしく、遠巻きに人々が見ては通り過ぎて行く。
彼は風貌こそ異色だが、斯うして技術で溶け込む事が出来るんだな。
「・・・なぁ、其の仮面の下って見ちゃ駄目か?」
何とも無遠慮な質問を皐牙が向けて来た。
「カーディ、余り神の姿を見るのは、」
「分かってるけどよ。ほら店主だってスゲーじゃん!若しかしてスッゲーかっこいいかも知れねぇだろ!」
・・・悪意は無いらしい。琴城は顎に手を置き、考え込んでいる様だった。
「琴城、別に無理しなくて良いぞ。私も然う晒せないし。」
「いえ、私は構いませんよ。只私のはかっこいいと言うのではなく、恐い部類なので、其で良かったらですが。」
「お!見せてくれるのか!」
無邪気に喜ぶ皐牙である。そんな彼だからこそ、琴城も気にしないのかも知れないな。
「・・・吃驚させちゃったら済みませんが良ければ。・・・人は居ませんね。」
ちらと辺りを見遣り、最後の一人が通り過ぎるのを見遣る。
其処で琴城はそっとペストマスクを外した。
其の下にあった顔は、馬の骨の様だった。
骨頭、である。中身も皮も無く、剥き出しの。
ほぅ、此は珍しい。初めて見る種族だ。
そして其の骨の頭蓋、頭に当たる所に龍の彫り物がしてあった。
刺青っぽいが、何だか意外だ。斯う言うのを入れるのか。
・・・Aとか嬉々として手術室へ案内するんじゃないだろうか。骨を如何解剖するか知らんが。
でも此の姿を晒せないのは分かる。此では吟遊詩神なんて務まらないだろう。
自分もこんな顔だし、御互い大変だな。
でも其の姿を別に恐ろしいとは自分は思わない。一瞬吃驚はするだろうが。
だって自分みたいに他者を睨んでいないから。
敵意がなければ、姿なんてそんな関係ないだろう。
「お、おぉー!かっけぇじゃん!ドラゴンボーンじゃん!」
キャッキャと皐牙は大喜びである。
表情も視線も分からないが、琴城も笑っている気がした。
「まさか喜んで貰えるとは。フフ、矢張り其方の店は面白いですね。」
骨の頭は殆ど動かないが声丈聞こえる。骨の隙間を通る凱風が音を作るのだ。
噫だからあんな綺麗な音が出せるのか、其の美しい声は骨の頭を笛の様に使っていたからだ。
だが其でも彼は人の目が気になるらしく、直ぐペストマスクを付け直してしまった。
「えぇーもうかよ!」
「済みません、矢張り此をしないと如何も落ち着かないので・・・。」
きっちり骨に噛み合い、彼の目元は本来無い筈の瞳が宿る。
成程面白い仕掛けだ。其を付ければ一見不自然だが、でも其の目で騙されてしまう。
「まさか然う言うアイテムだったとはな。其なら安心して街に入れるな。」
「えぇ、大切な商売道具です。如何も此の姿は恐がられ易いみたいで。」
「何で?骨って皆の中に在るんじゃないの?」
「ハハ、持ってる方は多いでしょうが・・・普通は肉の内にあるので、其が見えるのは死を連想するからとかではないでしょうか。」
「フーン・・・?僕未だ然う言うの分かんないや。」
「さて、私の話は此位にして。仕事に入らせて貰っても宜しいでしょうか?」
「ん、噫済まない、今回はどんな物語なのか聞かせて貰おうか。」
彼は吟遊詩神だ。自分の事より世界の事を語りたいのだろう。
「私も聞きたいわ、是非御願いするわね。」
「えぇ、では此の街の物語を一つ、」
琴城はロードに一度微笑むと竪琴を弾き始めた。
・・・・・
昔、少年と皓き天馬が霄を駆けていました
天馬の背の少年、しっかりと天馬にしがみ付いています
そして眼下に広がる景色に心奪われて
天馬は駆けています
一人と一頭は、少し前に飛び立った圜丘で出逢いました
そして毎霄、毎霄話す内に友達になったのでした
其からは天馬は少年を乗せて飛び廻っていたのです
其の姿は実に雄大でした
もう一つの霄である湖
自分を照らす皓月の影
漣を立てる雲華の溟海
天を目指す芽である秀峰
霄を翻す窓掛の極光
黔い境界線である渓谷
そして霄を彩る綺羅星の迅雨
少年は零星を見て言いました
人は死んだら零星になるのだと
だから自分の両親も、屹度此の中の何かなのだと
自分も死んだら彼の蒼い零星になりたい
少年は両手を伸ばしました
天馬も零星に向け、駆け出しました
其の時、誤って少年を背から落としてしまいました
天馬が地へ戻った時には、少年の住む街の近くで、絳くなった少年の冷たい躯がある丈でした
唯一の救いは、少年の顔は随分蒼かった事位
翌日、街は騒然となりました
少年の変死体
気味悪がった街人は一人身である少年を街から離れた圜丘へ埋めました
御陰で天馬は毎日、少年の奥つ城へ行く事が出来ました
毎日、毎日行きました
暫く経って天馬は飛び立ちました
蒼い零星が見えたのです
翼が霄を斬りました
渓谷、湖、秀峰、雲華、極光、綺羅星、皓月が見えました
全て少年と見た物でした
零星は近付いて来ます
天馬は知らなかったのです
例え天駆ける術を有しても、地に棲む者は、地を離れてはいけない
そんな事をしてしまえば、神罰が下る事を
突然天馬の翼に焔が灯りました
そして瞬く間に天馬を包みました
でも天馬は駆けます
後少し、後少しで・・・
天馬は燃え尽きました
黔くなってしまった羽根が地へ戻り、内一枚が少年の奥つ城に止まりました
でも一陣の凱風に因って、飛んで行ってしまいました
其から少年の奥つ城を訪れる者はいません
・・・・・
「・・・天馬、ペガサスか。相変わらず素敵な詠だった、有難う。」
「此方こそ、又もや悲しい話ですが、何かの役に立てたら。」
悲しい物語になるのは矢張り黔日夢の次元の所為ではないだろうか。
屹度放置すれば此の次元はそんな未来を迎える、そんな予感がするのだ。
「本当に美しかったわ!流石吟遊詩神ね。」
「フフ、有難う御座います。」
「彼の骨頭からこんな音出るなんて・・・面白れぇな。」
「然も此の物語がヒントになるからな。非常に助かるよ。」
零星になったペガサスの話、綺麗に終わっているが、如何改変するかだな。
「喜んで貰えて良かったです。・・・ん、いや一寸待ってください。済みませんがもう一曲聞いて貰えないでしょうか。」
「如何した?今のも十分凄かったが。」
「いえ、此は如何やら・・・此の次元、もう一つ物語があるみたいです。其も語らせてください。」
彼は其の次元毎の詠を哦うんだったか。何か予感めいた物を感じたのかもな。
「詠う分は勿論、此方から御願いしたい所だ。」
「えぇ済みません。ではもう一曲失礼しますね。」
然う口早に言うと彼は又竪琴を奏で始めるのだった。
・・・・・
ある所に影追翼の群があった
彼等は天を、地を駆け、影を求めて流離った
一度人を見付ければ、彼等は人を殺し、其の影を手にした
然うして行く中、一頭の影追翼は仲間に斯う呼び掛けた
我等は影がなくとも生きて行ける
影を手にする為に、人を危めるのは間違いだ、と
しかし、誰一頭其の言葉に耳を貸さず、嘆いた彼の影追翼は一頭、群を離れた
一頭となった影追翼
仲間はいなくなったが、彼は別段寂しくなかった
彼には己に付き添う影があったのだ
幾日かして、彼の影は無くなってしまった
人から奪った影は、然う長くは保たないのだ
独りとなった影追翼
如何しようもない寂しさが込み上げて来た
今迄影と仲間に囲まれていた彼は孤独を知らなかったのだ
こんなにも悲しい事だったなんて・・・
影追翼が悲し気に啼いていると、一人の少女が何事かと駆けて来た
如何したのか、と少女は尋ねた
独りが寂しいのだと影追翼は喘いだ
ならば、友達になってあげると少女は言い、小さな絳い華を影追翼に差し出した
然うか、汝が我が影になってくれるのか
影追翼は華を散らし、少女を其の雄々しき角で貫いた
斯くして少女の影は影追翼の物となった
此でもう安心だと、影追翼は蕭森の奥へ歩いて行った
暫くして影追翼は己の影を見た
其は一人の少女の影
己の仲間の姿ではない事に影追翼は寂しさを連ねた
触れられない、話さない只其処に在る丈の影に影追翼は寂しさを重ねた
然うしていると着いたのは拓けた塊村だった
噫、此処なら寂しくない
影追翼は早速近くにいた男に飛び掛かり、骨を其の足で砕いた
村を去る頃、影追翼の影は村人の其で一杯になった
満たされた影追翼は飛び立った
影が消える前に、次の獲物を探そうと
何故己が仲間の群から離れたのかを忘れて
影追翼は美しき蒼の毛を絳へ染め乍ら影を求め、彷徨うのだった
何故彼の少女の言葉はあんなにも温かく、其の血はあんなにも冷たかったのか
もう影追翼には分からなかった
・・・・・
「何度聞いても本当綺麗ね。」
曲調は先のと全く違う、でも聞いている丈で其の世界に入り込んでしまう様な没入感がある。
「けど又冥い話だな。なーんか一寸・・・嫌な予感がするゼ。」
「済みません、如何やら然う言う話に集中してしまうんです。でもそんな物語を貴方達なら変えてくれるって信じていますよ。」
「ペガサスの次は影追翼か、今回は龍に恵まれそうだな。」
―・・・又モフモフハントするんです?―
「噫、幾らあっても良いからな!」
元気良く答えるセレについL⊝ ▼▲/は忍び笑いを零した。
「其にしても、二曲も有難う琴城、屹度役立たせてみせよう。」
「私も、此の物語達が如何変わるか楽しみです、宜しく御願いしますね。」
軽く会釈したのでそっと自分達は其の場を後にした。
市からも少しずつ離れて行く、皆も大体何処へ向かえば良いか分かっているのだ。
旻も、大分冥くなって来た。間もなく零星の出る頃合いだろう。
となると、今回関わりそうな物語は矢張り・・・、
「セレ、行くのは街の外って事で良いわよね。」
「噫、先の話で確信を得た。恐らく早速龍と御対面だ。」
「そんなガッツリ物語通りになるのかよ?其じゃあ予知夢じゃねぇか。」
「近い所でしょうね。次元の流れを読んで、最も妥当な未来を語る、然う言う力を得た一族がいるのは聞いた事があるわ。」
「へぇ~・・・何かかっこいいな其の力。」
「・・・カーディ、無いの?然う言うかっこいいの。」
「何だよ卵、オレだって火位吐けるぞ!」
口を開けば火燐が零れて来る。
正直、彼の方がドラゴンと言えばドラゴンっぽい、火を吐く蜥蜴なんて正に其だ。
「此で手前を茹で卵に出来るんだぞ!」
残念乍ら其には火力が足りなそうだが。
「火が吐けるの?僕ビームとか水なら出せるよ!」
「う・・・ビームは駄目だ卑怯だぞ!」
ビーム系統に碌な思い出の無い皐牙である。
―あ、見えて来ましたよ。―
声より先にモフッと感が凄いっ、心奪われそうになるが何とか堪える。
自分も確と波紋で捉えている、街を出て直ぐの丘だ。
其処には皓い影が、だが見えたと思った瞬間、其の影は飛び立ってしまった。
・・・彼って間違いなく、
「なぁ店主、彼、不味くねぇか?」
「い、いや流石にそんなタイムリーな、」
否定しようと波紋を広げるが、如何見ても皓いのは馬だ。
純皓の馬が、天に向けて飛んでいるのだ。
翼を生やした其の姿は宵闇に良く映えて何とも幻想的だが、見惚れてもいられない。
何故ならそんな天馬の背に、少年がしがみ付いていたからだ。
年端も行かない幼子、でも嬉しそうに片手を旻に伸ばして燥いでる。
見るからに危うい、手綱もしていない馬の背なんて掴まり難いだろう。
どんどん一頭と一人は高い所へ行くが、見送る訳にも行かない。
「此、下手したら下手するかもな。」
然も何だか天馬が少しずつ光っている様な。
いや此の曦ってまさか、
然う思う間もなく、天馬の美しく大きく広げられた純皓の翼が燃え上がったのだ。
余りの急上昇に火でも付いたのか?此の次元の物理法則なんて知らないが、彼は不味い。
天馬と少年も気付いた様で一気に飛行が怪しくなる。
大きく傾ぎ、ぐらつき、少年も火を消そうと手を伸ばす。
あ、やばい此、絶対落ちる、
折角聞いた物語がとんでもない巻きで進んでいる!
飛べるのは自分しかいない、行かないと!
「セレ!僕も連れてって!水で火、消す!」
「分かった、行くぞ!」
オーバーコートの下から闇に溶ける翼が生えて来る。
出し惜しみする暇はない、だって彼の少年が次元の主導者なのだから。
自分が助けないと、自虐する間もない。
しっかり翼を広げると、セレは大きく一歩出し、ふわりと其の躯を翼が持ち上げた。
開いた両手でZ1-Θを掴む。そして其の儘進路を真上へ。
「・・・っぐぅ⁉」
翼の角度を変え、飛び立とうとした所で、腰に激痛が走った。
あ・・・え、何此、腰砕けたかと思う程痛い!
腰と言うか翼の根本、全部が硬直してしまう位に伸し掛かる。
Z1-Θ、御前こんな重たかったのか⁉
余りの重さに、自分は飛び上がる事も出来なかった。
何だ此の金属の塊は⁉こんな全力で羽搏いているのに全く動かない!
「セレ!私も手伝うわ。」
もたついているのを見兼ねてか、ロードが一歩大きく踏み出した。
え、待って滅茶苦茶恐い、止めて、何する気なの。
頸を掴まれた恐怖が一気に蘇り、思わずセレの翼は固まってしまう。
そんな硬直の瞬間、ロードは下からZ1-Θを両手で掴んだ。そして、
真上へ向け、ぶん投げた。
「ッギャァアァアアア‼」
莫大な力が加わった事に因り、一気にセレとZ1-Θは天馬に向けて、打ち上げ花火の様に飛び上がる。
自分も両手を離せば良かったが今更遅い、一緒に飛ばされるが余りのスピードに全身の骨が軋む様だ。
当たり前の顔して規格外の事をするから彼の神は本当に恐ろしい。
でも持ち上げて貰った事でセレとZ1-Θ、二柱は天馬に追い付いた。
ナイス力加減である。大体同じ高度で丁度勢いは無くなった。
「行くよー!」
Z1-Θは天馬の翼に向け、水鉄砲を発射した。
天馬と少年は突然の珍客に未だ気付いていなかった。翼の焔にすっかり目を奪われていたのだ。
だがZ1-Θの水鉄砲の御蔭であっと言う間に鎮火出来た。
「わっわっ何々⁉」
火の次は水に襲われ、少年はすっかり混乱してしまってばたつく。
対して天馬は早くも冷静さを取り戻した様で何とか飛行を安定させた。
「上出来だZ1-Θ。」
一先ず此で大丈夫だろう、然う安心し掛けた所で、
「っう、うわぁあぁああ!」
水に濡れた所為だろうか、少年はずるりと天馬の背からずり落ちたのだ。
「っま、不味い!」
慌てて翼を畳んで垂直に落ちる。
両手はZ1-Θを掴んでいる、其に手じゃあもう届かない。
・・・っ、躊躇っている場合じゃないだろう、
隠していた尾を前方へと伸ばす。
尾にはオーバーコートに付いている袋が被せてある、接触しても怪我はしないだろう。
伸ばした二本の尾は何とか少年の胴に届き、其の儘掬い上げる。
尾に重みを感じる、落ちない様少し巻き付けた。
そして翼を目一杯広げて凱風を受ける。
羽搏き、少しでも浮力を、
でも何丈全力で羽搏いても落ちる速さは其処迄変わらない。
こ、こんな千斬れそうな程動かしているのにっ、Z1-Θ、矢っ張り御前は重過ぎだ!
せめて少年を上にするか、Z1-Θは頑丈だし落ちても屹度大丈夫。
自分は・・・う、うーん。
然う考えを巡らせていると地面から凄い勢いでロードが跳んで来た。
思わず息を吸い、固まる。
もう駄目だ、彼女が正面から来る丈で身構えてしまう。
次は何をされるのか、考えるのも恐ろしい。
地面を蹴って跳び上がった彼女は両手を大きく広げて伸ばしていた。
そして其の腕の中に自分が収まる。
思わず小さく縮こまる。すっぽりと手に収まって、受け止められた。
後は重力に則って、落ちて行ったロードは何事もなく地面へ着地した。
・・・地面をすっかり陥没させて、埋もれた二本の足を引っこ抜く。
矢張りZ1-Θが重たかった様だ。でも良く其の細い足で立てるな、支えられるな。
手にしたZ1-Θが重過ぎて腹が潰れそうだが動けない。ロードに御姫様抱っこされた儘である。
何此、ガルダと同じ持ち方なのに此方は全く安らげないんだが。
「お、おぉ流石筋肉天使だゼ・・・。」
「仲間を助けるのは当然よ。セレ、怪我はないかしら。」
「あ、噫有難う、大丈夫だ。」
すっかり固まってしまったが、そっとロードが地面へ降ろしてくれた。
其処で重過ぎて支えられなかったZ1-Θを手放す。
落とした途端ふわりと浮かび始めたが・・・うーん、此の見た目にすっかり騙されたな。
重過ぎて翼が痺れてしまっている。痛いので仕舞ってしまおう。
地に足が付くと、つい力が抜けてへたり込んでしまった。
何と言うか言葉が出ない。あんな無理矢理旻へ飛ばされたら腰位抜けてしまう。
最近分かって来たが、自分は特に身内からの斯う言うアグレッシブな行動に弱い。
敵とかだったら事前に身構えるから問題ないが、仲間相手だと如何しても其の気が抜けてしまう。
殺気の類を感じさせないからだろう。だのにやる事は普通に死神が出る事なので対応出来ずに振り回されるのだ。
・・・元来の自分は臆病だしな。其が完全に仇になってしまっている。
「其に比べて店主は、なっさけねぇなぁ。」
「ロードに自身を御手玉して貰ってから言え。」
「僕は楽しかったよ!旻飛んでるみたいでスリリングだった!」
えぇーZ1-Θ迄然う言うのか。
何だか自分が飛んだ意味が無い気が、最初からロードにZ1-Θ丈打ち上げて貰えば良かった。
其処ではたと気付いて尾をそっと地面に下ろしてやる。
少年をずっと乗せていたのをすっかり忘れていた。
少年も目を回していた様で地面に座り込んでしまっている。今の内に尾も隠して置こう。
・・・まぁ彼を助けられたなら結果オーライだろうか。
―うぅ、セレさん済みません。私、吃驚しちゃってすっかり掴まってました。私が元に戻れば良かったですね。―
首元のL⊝ ▼▲/が反省するが、寄せられた頭のモフモフに理性が持って行かれる。
噫其丈でもう何でも許せそう!
「いや私こそ、急に飛んだからな。酔わなかったか?未だ最初なんだし、出来そうな時にやれば良いから。今回は其の為に仲間も多いんだし。」
新参なのだから動けなくて当然だ。コミュニケーションも此から取って行かないといけないし。
何よりロードのは規格外過ぎるから、そんな気にする事はないだろう。
―分かりました。次は頑張りますね。―
良い子だ。御前は既に其のモフモフで自分を癒してくれているから十分なのだ。
そんな取り留めも無い事を考えていると、天馬が舞い降りて来た。
彼の姿を其処でまじまじと目にする訳だが、正に伝承通りの姿だな。
自分も元から知っている、メジャーとも言う可き龍族だろう。非常に分かり易い。
翼を生やした純皓の馬、靡く背や尾の鬣は長く、優美だ。
瞳丈が黔いので惹きつけられる様で、
颯爽と降りて来る様は正に彗星だ。
只一度燃えてしまったからだろう、両翼の先は黔く焦げてしまっている。
一応飛ぶ事は出来る様だが、目立ってしまうな。
舞い降りた天馬はセレ達の事を見遣りつつも直ぐ様少年の元へ駆けて行った。
そして気遣わし気に頭を寄せて少年を起こす。
「んん・・・あ、翼は?大丈夫?ちゃんと飛べる?」
少年も其で直ぐ気付いたらしく、天馬の胴を撫でている。
「水!僕が出したの!」
其処へ遠慮なくZ1-Θが近付いて行った。
そして何処か自慢気に水鉄砲を天へ放つ。
「え・・・え?き、君は?」
「水!僕出したの、だから火消えたでしょ!」
「えっと・・・あ、有難う?」
御礼を言われて満足したのかZ1-Θは戻って来た。
「セレー。僕褒められたよ。」
「噫良かったな、私からも有難うな。」
Z1-Θが仄かに石竹に染まる。如何やら褒められて嬉しいみたいだ。
斯う言う事で喜ぶ内は良いんだろうけれどな、此の儘真直ぐ育つと良いな。
「如何かしら、二柱共大事無いかしら・・・?」
「あ、う、うん。」
恐らく、未だ何が起きたか良く分かっていないのだろう。飛んだりジャンプしたり水掛けられたり散々だったからな。
「オレ達、色んな所旅してるんだけどよ。危なそうだったから通り掛かりに助けてやったんだゼ。」
御前は弥次飛ばした丈だけどな。
良い所取りされた様で何か不満だが、まぁ良いだろう。
「旅・・・す、凄い。」
キラリと少年の目が輝く。然う言うのに憧れる歳か。
「あ、あの、皆有難う。僕、レニア、って言うの。」
たどたどしいが良い情報を聞いた。
此は悪くない幸先だ。と言う事で此方側も軽く自己紹介を兼ねての挨拶をした。
「まぁ飛ぶのは良いが、程々にな。毎回助けて貰えるとは限らないぞ。」
「うん、僕も・・・初めて助けて貰っちゃった。」
「あら、未だ小さいんだから、誰かに頼る事も大切よ。何かあったならいっそ私達を頼りなさい。」
おぉ、流石筋肉天使だ。不思議な説得力がある。
持って行き方も悪くない、折角出来た縁だ。最大限使わないとな。
「頼る・・・うーん。」
「ってか坊主の家何処なんだよ。もう冥いだろ。親とか大丈夫なのか?」
「あの、僕一人だから、其は大丈夫だよ。」
「っと悪い、然うだったのか。・・・此処迄物語通りなんだな。」
「だから琴城の詠は凄いんだ。」
そっと二柱で耳打ちする。彼にも其の凄さが伝わった事だろう。
「然うね。でも家はあるんじゃないかしら。良かったら送るわよ。旻、明るくなってから御話でも良いし。」
「家は、えっと、今此の樹の所に棲んでるの。」
然う言って少年、レニアは直ぐ近くの大きな樹を指差す。
良く見ると樹は立ち枯れている様で大きな虚が出来ていた。
其の中には藁のつもりなのか枯草やら缶等の芥が入っている。・・・まさか、
「え、マジで其処に棲んでんのか?」
「うん、父さんも貧乏だったから、何も無くて。」
此は思ったよりも深刻な話である。
確かに少年の身形は、街の者と比べると良くはない。
よれよれの服に、髪はぼさぼさ。
けれどもそんな少年独りで生きて行ける程、世界は甘くないだろう。
若しかしたら親が亡くなったのは割と最近の事かも知れないな。
何だか見ていると不思議な懐かしさを覚える。
・・・然うか、前世の自分を懐い出すからか。
彼の次元に樹なんて殆ど無かったが、レニアの家は当時の自分のと良く似ている。
ガルダに会う迄は自分も、マンホールやドラム缶の中で生活していたなぁ、懐かしい。
歳も似ているか、ふむ、当時の自分は何とか生き残ったが、
いや生き残れてないか、志半ばで死んだけれど、でもあんな世界で生きて行けたのは力があったからだ。
じゃあそんな力すらない子供は・・・、
さて、前世ではこんな孤児、溢れる程いて、殆ど死に絶えていた。
そんな事に目も暮れなかったが、今回は違う。
如何にか、しないといけない訳だ。
一同が如何切り出すか考えあぐねていると、少年は天馬の頸にギュッとしがみ付いた。
「その、ぼ、僕は大丈夫だよ。此の子が沢山助けてくれるから、大切な友達なんだ。」
「助けてくれるってのは食べ物とかか?」
其の馬に先殺され掛けたけどな、とは流石に言わない。
・・・言わないよ?自分は思う丈だ。
「うん、湖とか蕭森とか、何時も連れて行ってくれるんだ。だから最近街には行ってないの。此の子は入れないし。」
確かに街に翼の生えた馬なんて居なかった。単独で居るみたいだし、珍しく映るだろうな。
捕らえられてもいけないし、其で人里離れていたのなら理解出来るか。
思った以上に逞しい子の様だ。其なら存外生きる事は出来そうだが。
「其でも何か餓鬼一人ってのはなぁ・・・。」
何だか皐牙は煮え切らない様だ。斯う言う時の皐牙は結構面倒見が良い。
もう一寸一緒に居たいんだろうか、其はまぁ同意見だな。
「然う言えば先、少し話に出たけれども、若しかして旅、興味あるかしら。」
「っう、うん。僕此の街からそんな離れた事無いし、」
「なぁ店主、オレ、此処に今日野宿しても良いか?」
「ん、私は構わないが、御前の火があれば篝火位作れるだろうし。」
野宿なんて久し振りだな。まぁでも危険は無さそうだな。
波紋をざっと広げてみるが影は特に見えない。野党も居ないとは平和な街だな。
「よっしゃ、じゃあ坊主!良かったら旅の話でもしてやるゼ。だから今日はオレ達も此処に泊まる!」
「え、えぇ⁉い、良いの⁉」
「お、其の反応ならOKって事だな。」
随分と皐牙は嬉しそうだ。鼻を鳴らして腕を組む。
「あら、何だか面白そうな話ね、私も賛成よ。」
「野宿って、キャンプファイアー?やってみたい!」
お、皆存外乗る気だな。
「じゃ早速火付けんぞ。キャンプ地だゼ。」
皐牙が手を伸ばし、地面の一点に火を点ける。
灯属性は便利だ。火種も要らないし、燃え広がる事も無い。
斯う言う時は闇なんかより有用だな。
「す、凄い温かいや。」
レニアは手を翳して膝を着いた。
何だかあっさり馴染みそうだ。
―私、一応皆さんのベッドとかに成れますよ?―
「ッ⁉究極のモフモフか!」
確かに子供相手なら案外吃驚程度で済むんじゃないだろうか。
此の誘惑には抗えそうもない、二つ返事を返すとL⊝ ▼▲/は首元を離れて行く。
そして直ぐ様大きくなる、幻覚を解き、あっと言う間に巨大なモフモフの完成だ。
「うわっと、急にデカくなったな。」
「え、えぇ⁉な、何此の子⁉」
「彼も私達の仲間よ。如何して今出て来てくれたのかしら。」
―斯うしたら皆さんのベッドに成れるかと思いまして。―
言うや否やL⊝ ▼▲/は火を囲む様に大きく弧を描いて落ち着く。
如何やら其処に背を預けても良いらしい。
「う・・・い、良い!此のモフモフ、最高だ!」
早くもセレ一柱が堪能してしまっている。
L⊝ ▼▲/の頸周りを陣取ってモフモフを両手で懐柔していた。
「うわぁ・・・僕も飛び込んでみて良いかな・・・?」
―良いですよ、どうぞ。―
声を掛けられ、レニアも遠慮勝ちにL⊝ ▼▲/の背に寄り掛かった。
其の鬣はモフモフで、胴は鱗でツルツルしているが、案外柔らかい。
頭を背に預けると良い具合でソファーになるのだ。
「へぇ、こりゃ良いな。」
「フフッ、新鮮な感じですね。」
皆も其に倣って行く。火を囲うと居心地が良くなった。
「L⊝ ▼▲/、御前は何て素晴らしい奴なんだ。此の儘、もう一寸此の儘させてくれ。」
―こんなので良ければどうぞ。―
扱い慣れているセレはL⊝ ▼▲/の鬣や、口周りを撫で捲っている。
此が存外気持良い。扱いを心得た者の動きである。
撫でられているとすっかり甘えたい心地になって来る・・・。
何だか此にすっかり慣れてしまうと堕ちてしまう気がするが、抗う理由も無いので其の儘だ。
飼い慣らされるって、こんな具合なのだろうか。
つらつらそんな事を考えているとセレの手が鼻先に伸びて来る。
丁度痒い所を撫でてくれるので気持良い。
一体、皆と同じ様には座れない天馬はL⊝ ▼▲/の尾の近くに座り込んだ。
レニアの事をじっと見遣り、楽しそうにしているのを見て尾を振った。
「ん、そ、然うだ。天馬が居るんだった!」
急にセレは我に返った様に飛び起きた。モフモフタイムは終了だ。
折角見付けた天馬の事、すっかり忘れて馴染んでしまっている。
天馬は確か話したり、テレパシーを取らないタイプの龍族の筈、恐がらせない様にしないとな。
セレが近付くと天馬は直ぐ気付いて顔を上げた。
大丈夫、レニアが友達に成れたんだ。モファンターの自分が成れない道理はない。
彼の目も穏やかだ、今なら行ける!
「然う言えば、此の天馬に名前はないのか?」
自己紹介の時も言わなかったな。
「え、う、うん。だって僕と其の子丈だし、別に。」
確かに然うか。二人丈の世界に名は要らないな。
自分も昔はレインに名を付けていなかったが、其とは又別のパターンか。
そっと手を差し出してみると、何度か天馬は手の匂を嗅いでいた。
其の儘動かないので遠慮勝ちに首元を撫でてみる。
おぉ、毛が短い分サラサラしている。手に馴染む様で、爽やかなモフモフだ!
天馬も嫌がってはいない筈、モフモフタイム再開だ!
背の鬣、翼と色々な所を撫でさせて貰う。
成程、鬣は矢張り心地良い。手に僅かに温もりを残してくれる。
他は如何だ・・・翼、おぉ!此方はもっと凄い!
然うか、天馬の真骨頂は此の翼か!すっごいふわふわだ!
厚くした鳥の翼の様と言うか・・・此に包まれたら良い夢見られそうだな。
躯の構造上包むのは難しそうだが、斯う背中に乗ったら・・・、
「・・・なーんか店主、変なスイッチ入ってんな。」
「フフ、良いじゃない。今のセレ凄く可愛いわ。」
「可愛い?いや筋肉天使の価値観も分かんねぇな。」
「っ、ねね、あの、」
「あ、そっか話だな。良いゼ色々話してやる。時差惚け、つーの?全然眠くねぇからな。」
・・・・・
「何て事を言っていたのに。」
「フフ、でも彼の寝顔も可愛いわ。」
皐牙はぐっすり熟睡してしまっている。
話している内にレニアが寝てしまい、其に釣られてしまったのだ。
皐牙は此迄の次元の話を多少ぼかして話して聞かせていた。
其が相当レニアの受けが良く、結構話し込んだのだ。
霄ももう可也深い、寝てしまうのも無理ないだろう。
「其じゃあロード、暫く此処を任せても良いか?」
「あら、何処か行って来るのですか?」
天馬も座って寝てしまった。撫でるのに夢中になって気付かない内に。
フフフ・・・自分のモファンターとしての才能が恐ろしい。
遂に龍族をも寝かせる域に達したか、良い調子だ。
此の先、世界中の龍族を掌握してやる、秘かな目標だ。
「少し街に行って来る。大した用事じゃないから直ぐ戻る。」
「街に?あの、斯う言ったら彼だけれど、何かあるなら代わりにでも行くわよ。」
何となくロードが目を伏せた様で、頬の輝石が淡い橙色に染まる。
先の自分の街での反応の事を気にしているのだろうか。
確かに人は嫌いだけれど、仕事に影響を及ぼす程じゃない。
やる事はちゃんとするよ。でないと寧ろ、人間の所為で失敗したとか言いたくない。
「ククッ、問題ない。そんな気を使わなくても。」
「然う、でも気を付けるのよ。ほら『恋愛&変態 六十二巻〜夜道で一人のマドモワゼル〜』であったわ。霄の街は恐ろしいのよ。」
言いつつ自然な動作で石竹色の本を手に取っていた。
噫、最近ローズが填まっている奴だ。
「私は霄の街で育っているから平気だ。多分其の本以上の街を生きて来ているぞ。」
「油断は禁物よセレ!何時宇宙人が侵略に来たり、旻から箪笥が突っ込んで来たり、国家機密を聞いて命を狙われるか分からないのよ。」
「其の本の内容如何なっているんだ?」
一寸気に成り掛けたがいけない。彼は魔境だとドレミが言っていた。
そんな世界もあるのだと無理にでも呑み込まないと。
「まぁ分かった、気を付けよう。ロードも寝ないのなら見張りを頼まれてくれるか?一応波紋には写ってないが。」
「えぇ勿論よ。此方はか弱い子ばっかりだもの。私が護るわ。」
其、皐牙が聞いたら絶対怒るんだろうなぁ。
けれどもロードから見たら皆か弱いだろう。うん、仕方ないな。
「ン・・・何処か行くの?」
Z1-Θがふわりと浮かび出した。
如何やら先迄寝ていたらしい。寝ると言うかシャットダウンだろうか?
其の間Z1-Θは完全に機能を止めていた様で地面に埋まっていたのだ。
「噫起こしてしまったか。未だ休んで良いぞ、未だ霄中だ。」
「ヤダ、セレ、何処か行くの?」
「一寸街にな。昊には帰る。」
「僕も行って良い?」
「ん、止めはしないが、疲れてないのか?」
「もう元気一杯!」
うーん、此はもう完全に起きてるな。
Z1-Θの中心から橙の明かりが漏れる。置いて行ったら皆も起きてしまいそうだ。
「分かった。じゃあ一緒に行こう。只成る可く静かにする事、そして私の傍を離れないでくれ。」
「ウン、約束。」
Z1-Θから手が伸びて指を立てる。
・・・指切りのつもりだろうか。そっと小指を重ねると手は曦に成って消えてしまった。
「フフ、霄の御散歩ね。」
「ウン、楽しみ。」
然う言いZ1-Θは此迄になく輝く。
こら、安眠妨害になるので止しなさい。
「先ロードが言ったみたいな楽しい所にはならないぞ。まぁ行って来るな。」
セレが歩き出すと緩りとZ1-Θも付いて行った。
其をロードはじっと見送っていた。
Z1-Θも付いて行く事を許したのなら、危ない事はしないだろう。
彼女は一柱で何でも仕勝ちだから、其が少しでも減れば。
最近特に、又彼女は変わって行っている。
一度として同じ時は無いかも知れない、そんな具合に。
此から如何変わって行くのかは是非見て行きたいけれども。
・・・何だか胸がざわざわする、此の予感は如何か外れて欲しい。
ロードは手にしていた本を見遣ると、其迄の考えを忘れようと其方に熱中するのだった。
・・・・・
「ん・・・ん、良い、匂?」
レニアが目を覚ますと天馬が直ぐ頭を寄せて来た。
―あ、皆さん起きましたよ。―
「お、然うか。坊主おはよ。」
「御早う・・・?」
緩り躯を起こす。何だか凄くぐっすり眠れた気がする。
―大丈夫ですか?寝難くなかったですか?―
「え、全然気持良かったよ。」
ぬっとL⊝ ▼▲/が顔を覗かせたので少し驚いてしまう。
そ、然うだ此の人達は、
「え、え、えーっと、」
「何だ寝惚けてんのか?ほら朝食作ってやったんだから起きろよ。」
「朝食っ、」
聞いた丈で喉が鳴る。矢っ張り此の良い匂は御飯の匂だったんだ。
跳び起きたレニアを満足そうに見遣ると、皐牙はパンを手渡した。
中に肉やチーズが入っている。焼き立てみたいで未だ温かい。
「わぁあ!美味しそう、頂きます!」
もう何も考えず齧り付いた。美味しいっ、口中に一気に幸せが広がって行く。
「・・・何だか皐牙に全部盗られている気がするな。」
もう食べ終えていたセレは取り敢えず手近なL⊝ ▼▲/のモフモフを撫で繰り回していた。
彼の御飯を買って来たのは自分である。其の功績を盗られた気分だ。
「僕達が買って来たのにね。セレの爪代だよ!」
然う、彼のパンは霄中自分達が街に降りて買って来たのだ。
金なんて一銭も無かったから、苦肉の策で自分の爪や鱗を売りに行ったのである。
物としては胡散臭いと言うか、怪しい物に入るのだが、斯う言う物は霄の方が売り易い。
如何にもな路地を見付けて、質屋で売り払って来たのだ。
物価は一応、夕方に市で見掛けたので多少は分かる。まぁ安く買い叩かれたとしても文句は言わない。
悪魔の爪や鱗として売ってみたが、魔力が多いからすんなり受け入れて貰ったのだ。
此の処世術は前世のが活きたなぁ・・・。
懐かしい、彼の店主は、まぁもう一度位は顔を見せたいと思っている数少ない人間だな。
何だか随分綺麗な街だったので然う言う店があるか少し不安だったが、まぁどんな所でも光があれば闇があるのだろう。
左様なら自分の血よ、鱗よ、と見送って、序でに霄やっている店を幾つか教えて貰い、色々買い足したのだ。
其の間Z1-Θは言い付け通り大人しくしていた。そして興味深そうにそんなやり取りを見ていた。
彼にとっては中々面白い物だった様だ。
言葉巧みにやり取りして目当ての物が得られるなんて、と感動していた。
・・・一応正当な取引だからな?脅したり騙したりは一切していないのだから。
まぁでも交渉術なんて、魔力には未だ早いだろう。何れ、こんな事も出来る様になるかも知れないが。
出来る様になったら、矢っ張り一寸恐いなぁ。一体何を引き合いに出されるんだか。
彼が朝食を食べ終えたら彼を渡すか。大本命は其方だからな。
「然う言えばセレ達は買い出しに行ってくれたのよね。もう、然う言う事なら私も行けたのに。」
「爪を売る序でだったからな。昊じゃあ行き難いし。」
「爪・・・私も頑張れば売れる物はありますよ、ほら此の輝石とか。」
言ってロードは頬の輝石に触れる。
いや自分の爪は又生えるけれど、其って自前じゃないよね?
「そ、其は一寸痛くないか?埋め込まれているんだろう?」
其取ったら血が噴き出る気がする。聖だから直ぐ治せるかも知れないが、然う言う問題ではないだろう。
「でも、次元の迫間に戻ったら治るわよ。其に確か爪とかってセレの分身、と言うかセレの子供を売りに出した様で良い気はしないわ。」
「わ、私の子・・・。」
そんなイメージは余りなかった。一部なのは確かだけれど。
いや其より今何気、直ぐ治るから輝石位取って良いって言ったよな・・・?
ロードも然う言う発想をするタイプか。
だから恐いのかなぁ、そんなのが無限の筋肉なんて得ちゃうから止められなくなるんだよ。
「ん・・・私の方が多分痛くないし、金は足りるだろうから其は良いぞ。御前の身を売って金にしたら大神にどやされそうだ。」
「然うね、大神様ったら過保護だから。」
・・・娘の一部を売って金にする職場は普通に心配になると思うぞ。
「でもこんな御飯も食べさせて貰って、私に出来る事なら言って頂戴ね。私も頼りになるわよ。」
「もう十分頼りにしているから其の心配は要らないな。」
何方かと言うともう少し控えて貰いたいレベルだ。
「ふぅ、美味しかった・・・。」
「ん、食べ終わったか。」
何とも満足そうな顔をレニアは浮かべていた。
早い内に渡して置こう、もうあんな救助劇は御免だからな。
「此を天馬にあげよう。だから次からは気を付けるんだぞ。」
取り出したのは手綱だ。霄買いたかったのは此方なのだ。
せめて此位しないと、幼子が馬に乗るなんて危険過ぎる。恐らく天馬も人を乗せるのにそんな慣れていないし。
「あ、其馬に付ける奴?」
「噫、一寸掛けるぞ。」
天馬も手にした綱が何か理解したらしく大人しくしている。
掛け方は見て来ている、大丈夫だと思うが。
「ア、此は此方だよ、一寸動かすね。」
「ん、助かる。」
Z1-Θの腕が伸びて微調整してくれる。良し、此で完了だ。
手綱を取り付けたが天馬は暴れたりしなかった、嫌がられない様で安心だ。
「一応、私が乗ってみようか。」
ちゃんと付けられたか試してみよう。
馬に乗るのは初めてなので緊張するが、屹度ハリーとかに乗るのと似た感じだろう。
セレが天馬の背に跨ると、ちらと彼は此方を見遣った。
「レニアが安全に乗れるか一寸試させてくれ。軽く飛んでくれるか?」
天馬は一声鳴くと駆け出した。
自分の体重が無い事を少し気にしたかも知れないが、走りは好調だ。
其に思ったより速い!此が馬か。
思った以上に背も動き、起伏が激しい。良く今迄此に乗れていたな。
手綱をしっかり持たないと自分も怪しい、然も此、飛ぶんだろう?
暫く走り続けた天馬だが、段々と翼を羽搏かせ始めた。
凱風の動きが明らかに先迄と違う。
来ている、此の凱風は、乗れる!
セレが然う確信したのと同時に、天馬の躯は浮かび始めた。
背で感じていた激しい揺れは大分収まる、まるで水中に没した様だ。
妙な浮遊感、激しく翼が羽搏き、凱風が荒れる。
でもそんなのは一瞬で、後は一気に旻へと飛び立つ。
「お、おぉ、此がペガサスの翼かっ!」
自分の翼でない旻は何だか新鮮だ。
羽搏き方が全く違う、こんなに力勁いなんて。
一度羽搏く丈でぐんと飛び上がる、不思議な具合だ。
自分のは何方かと言うと凱風を乗せて飛ぶタイプだからな、自らの力でこんな真直ぐは飛べない。
旻へ出た途端、天馬の機動力は一気に増し、カーブも回転も何の其のだ。
只余動かれると酔い然うだ・・・。
「良し、有難う天馬、此なら多分大丈夫だろう。」
と言うより今迄手綱なしで彼の子が落ちなかったのが不思議だ、普通に危ないじゃないか。
「な、なぁ店主!オレも乗せてくれよ!」
地上に戻ると皐牙が直ぐ駆け寄って来た。
危ない、蹴られて何処か折っても知らないぞ。
「僕も!ネ、乗せて!」
天馬のアトラクションは大好評の様で直ぐ列が出来る。
そんな乗せて大丈夫なのか天馬を見遣ったが、彼は別段気にしていない風だった。
「取り敢えずオレが乗るゼ。」
セレが降りるや否や皐牙が直ぐに跨る。
乗り方は一応セレのを見ていた様だ。ちゃんと天馬の背に収まる。
そして皐牙の少し前にZ1-Θを乗せる為、ロードが彼を持ち上げた。
・・・流石筋肉天使、あぁもあっさり持ち上げるとは。
「わーい、乗れたよ。」
乗せて貰ってZ1-Θは喜ぶが・・・天馬は足を動かさなかった。
・・・何だか嫌な予感がする。
「あれ、何で動かねぇんだ?」
「僕も旻飛んでみたいよ。」
二柱が背から声を掛けるが、矢張り動かない。
動かない所か、何だか天馬は堪えている様にも見えた。
「・・・多分、Z1-Θが重過ぎるんだ。悪いがロード、彼を下ろしてくれるか?」
「あら然うなの。じゃあZ1-Θ、悪いけれども。」
然う言われて軽々とロードに持ち上げられるZ1-Θ・・・矢っ張り御勁い。
Z1-Θが居なくなった途端、天馬は走り出した。本当に重かった様だ。
矢張り飛ぶ者同士分かるぞ、彼の重さは一寸限界があるよな。
「エェー僕そんなに重たかったんだ・・・。」
「じゃあ代わりに私が飛ばしてあげるわ。如何かしら。」
言うや否やロードはZ1-Θを旻へとぶん投げた。
ロケットの様に真上に飛ばされたZ1-Θは暫く滞空しては地に落ちる。
そして其を又旻へ・・・多分此当たったら死ぬんだろうなぁ。
見ていて何とも恐ろしい光景だが、Z1-Θは満更でもない様だ。もう此、一種の技なんだが。
皐牙が天馬に乗せて貰って大旻を飛んでいる間に恐ろしいコラボが完成してしまった。撃ち落されないか丈気を付けないとな。
「ね、ねぇあの、一寸教えて貰って良い?」
遠慮勝ちにレニアが自分に寄って来た。少し怖がっている様に見えるが、其は仕方ないな、形が形だし。
「何だ、噫天馬に乗りたいのか?」
「いやその、僕も旅って出来るのかなって思って。」
「ん、然うだな。天馬がいれば出来るだろうが。」
旻も行けるとなれば、足としては十二分だろう。
でも旅、か。完全に皐牙の話の影響だな。
「只、色々危険は多いぞ。何か路銀を稼ぐ手段は欲しいな。其に戦う力も無いと、天馬を奪われるかも知れないからな。」
「路銀・・・御金、うん、彼の子と何か出来ないか考えてみる。」
「其が良いな。まぁ着の身着の儘なら少しずつ移住で十分やって行けそうだな。天馬が色々連れて行ってくれているのなら其の内の一つに取り敢えず行くのはありだろうが。」
「っ、其だ、うん。僕一寸行ってみる!」
何だかやる気が出て来たみたいだ。まぁ其の齢でやりたい事があるのは良い事じゃないだろうか。
当時の自分よりも少なくとも生き生きしている。
・・・ずっと気にしては居たんだが、レニアの此の反応、自分が飛んだ事や尾を出していた事は忘れてくれたのだろうか。
急だったとは言え、随分大胆な事したからな、其なら良かった。
「皆は飛んで行くの?昨日みたいに。」
「・・・・・。」
ついまじまじとレニアの顔を見てしまう。
今、何て言った此の人間。
飛んで?ん、普通の人間は飛属性でもない限り飛ばないだろう。
つまりは・・・然うか、ガッツリ見られて、且覚えていたと言う事か。
先一瞬頭を過ったのがいけなかったなぁ・・・。
「・・・何とも思わないのか?」
「え?」
「いや、普通は飛ばないぞ。」
「でも昨日は飛んでたよ?」
「・・・噫然うだな。」
もう良いや、此の子。順応性が高過ぎるんだ。
良くそんなすんなり受け入れられたな。気付いて当たり前の顔をしていた事に吃驚だよ。
流石にあんな大胆に飛んでいたら隠すのは無理だろうけれども。
其でも気付いていたら普通言及するよな?何で飛べるのか、如何したのか。
もう吃驚だよ。そんな普通にされちゃあ。
天馬を彼が受け入れたのも、そんな所か。
翼の生えた馬なんだー位しか思わなかったに違いない。
「あーぁ、いやぁ凄かったゼ旻の旅!」
上機嫌で皐牙が戻って来た。
しっかり天馬を堪能した様だ。其の様子なら手綱は大丈夫そうだな。
「坊主は何時もああして乗ってるのか?良いな、馬ってかっこいいもんな!」
「うん、でも僕・・・、」
何やら少年は言い淀んでいる。でも意を決したのかじっと皐牙を見遣った。
「僕も旅、してみたい。一寸丈でも、一緒に行きたいっ、」
「お、おぉう、良いんじゃねぇの?なぁ店主。」
「一寸丈って言うのは、先の話の通りか?」
「うん。旅って言うより、御引越なのかな。」
「ふーん、ま、こんな樹の家より良い所一杯あるだろ。」
―もう直ぐにでも行くつもりなんですか?―
言い乍らL⊝ ▼▲/はどんどん小さくなって行った。ハリーの幻の力である。
小さくなって其の儘漂っていたのでそっと捕まえて、直ぐセレは己の頸にL⊝ ▼▲/を巻いた。
何とも慣れた手付きである。誰にも違和感を持たせず、自然な動作でやって除けたのだ。
L⊝ ▼▲/への負担も最小限に、L⊝ ▼▲/自身、気付いたら頸に巻かれていたので、数瞬遅れて目をぱちくりさせていた。
「うん、皆が行く時に一緒に行こうかなって。」
「・・・セレ、如何しますか?行くのって、今度は向こうの、ですよね。」
「噫、未だ次元の主導者は居るからな。其に一緒に行動するなら助かる。未だ安心は出来ないからな。」
「んじゃオレ達も直ぐ行くか?」
「良いね!新しい所行きたい。」
Z1-Θが水鉄砲を旻に放つと、其の水を天馬が少し丈舐めた。
「皆が大丈夫そうなら行くか。じゃあレニアは・・・天馬に乗るんだな。」
「うん、何時もみたいに飛んでみるね。」
言うや否やレニアは天馬に跨った。
手綱をぎゅっと握ると、其の目は輝く。
「何だかかっこいい!」
「お、良かったな坊主。」
繩一本で喜んで貰えたらしく、レニアは何度も握り直していた。
「飛ぶって・・・私達も飛んで良いのかしら。」
「噫、私のはガッツリ見られたし、問題ない。・・・一応、街とかは避けて行くぞ。」
「僕は?二柱も飛べないでしょ?」
Z1-Θが皐牙とロードを見遣った。彼は天馬にも乗れていないので猶更だ。
「私は自分で飛べるから大丈夫よ。」
「オレも無理だな・・・え⁉筋肉天使飛べんのかよ!マジで天使なのか⁉」
「・・・・・。」
ロードの飛び方を知っている為にセレは何とも言えない顔で彼女を見た。
其って彼だよな、ハリーが嬉しそうに報告してくれた事があったが。
空気の塊を蹴って飛ぶとか何とか・・・彼は飛ぶと言うより、衝撃波で自身を吹き飛ばしている丈だ。
―では私が乗せて行きますよ。三柱なら大丈夫だと思います。―
「Z1-Θは相当重いぞ。」
「いざと言う時は私が抱いて飛ぶわよ。」
笑顔で恐ろしい提案をするロードだった。
・・・屹度彼女なら出来るんだろうなぁ。
―分かりました。先ずは試してみますね。―
折角首に巻いたと言うのにL⊝ ▼▲/はついと離れてしまった。
そして又一気に大きくなる・・・何度見ても壮観だ。
モフモフだ、巨大なモフモフだっ!
「コーラ店主、ぜってぇ飛び込むなよ。」
うぐぐ、自分がそんな見境なしだと思われるのは心外だ。
・・・然う言えば自分も乗せて貰ったら良いんじゃないだろうか、無理に飛ばなくとも。
体重は粗無いんだし、負担にはならないだろう。良し乗ろう!
L⊝ ▼▲/の背にZ1-Θ、皐牙、しれっとセレが乗る。L⊝ ▼▲/は長いので乗る場所は十分あるのだ。
Z1-Θは振り落とされない様、曦の帯で出来た手で胴に巻き付いている。
さて、L⊝ ▼▲/の馬力は如何程か。
―っ・・・ぐ、い、行きますね。―
少し躊躇う素振りを見せつつも、ふわりとL⊝ ▼▲/の躯は浮かび上がって行く。
何とかなった様だ、素晴しいモフモフだ、
「何か一寸辛そうだけど大丈夫か?店主の所為じゃねぇか?」
「ち、違う。断じて私の所為じゃない。」
「いや、てか乗るなよ。立派な翼あるんだし、飛べば良いだろ。横着しないでさ。」
「飛べないからってモフモフを堪能して良い道理があるか。私にもモフモフを堪能する権利はある筈だ。」
「まーた訳分かんねぇ事言いだしたよ此の神。」
そんな呆れ目なんて効かない。自分はさっさとモフモフを堪能し始めた。
「大丈夫?僕重たい?」
―・・・一寸吃驚しましたが、大丈夫です。―
「す、凄い・・・僕達も行くよ。」
レニアが天馬の背に乗ると、一気に駆け出して彼等も旻へ飛び立つ。
其の様は矢張り優雅だ。薫風を掴み、何処迄も昇って行く。
直ぐに天馬はL⊝ ▼▲/と並んだ。其を確認してL⊝ ▼▲/も尾を振る。
「後は私ね!」
残るロードは勢い良く地を蹴った。
其丈で軽く大地を陥没させて飛び上がる。
さて、其の妙技を篤と見せて貰おうか。
先ずロードは最初の一蹴りで一気にL⊝ ▼▲/達に追い付いた。
そして次の二蹴り目で滞空、其処からはリズミカルに足を出している。
然う、一見只歩いている丈に見えるのだ。
普通そんな事をしても、勿論旻は飛べない。
だのに彼女は、旻中に見えない玻璃板があり、其の上を歩いているみたいに進んでいるのだ。
飛属性なのかなとうっかり勘違いしそうになる。
けれども其の飛び方は恐らく、今のロードの下側に行ったら風圧やらで大ダメージを受ける事になるんだろうな・・・。
其の儘高度を保って皆飛んで行く。素敵な旻の旅だ。
ロードの観察は終わりだ。其より此のモフモフ、堪らん!
「・・・店主、其やって落ちるなよ。」
「噫、幸せ過ぎる。」
背に乗っているのでモフり放題だ。此の埋もれる様な豊かな毛量、流石だ。
レニアの居た街がどんどん離れて行く。
今日も市が立っていたのか賑わっていた街は少しずつ、消えて行った。
此の儘、次の次元の主導者の所迄行こう。
L⊝ ▼▲/に居場所は伝えてある。其を頼りに一同は旻を舞うのだった。
・・・・・
―此の辺りで、良いですか?―
「噫気配が伝わって来る、間違いないな。」
暫く飛び続け、一同が辿り着いたのは蕭森の中だった。
街とかからは少し離れている様だ。只少し離れた所に一棟建物がある様だが。
近くに居ないのであれば、騒がれる事も無いだろう。ゆるゆるとL⊝ ▼▲/は下降を始めた。
豊かな蕭森らしく、木々には生り物が成っている。毒が無ければ此を昼食にしたい所だ。
「おっし、一番っと。」
無事着地し、皐牙から順々に降りて行く。
其に続いてロード、天馬も降り立った。
「綺麗な所ね。」
「・・・彼の筋肉、此処迄自力で来たのに汗一つ掻いてないんだけど。」
「まぁロードだからな。」
あんな特訓してたら其位の芸当、出来る様になるだろうよ。
「此華?綺麗、可愛い。」
地面は一面の華畠だった。木々の木漏れ日に寄り添う様に所々で集まっている。
早速Z1-Θは華に近付くとそっと手で触れてみていた。
「何だか良い所に着いたわね。」
レニアが天馬から降りると、天馬は辺りの嫩草を食み始めた。
「大丈夫だったか、乗り心地は。」
「うん、有難う。すっごく乗り易かったよ。」
だったら良かった。彼で怪我せずに済んだのなら御の字だ。
「ン、ネ、セレ。誰か居るみたい。」
そっとZ1-Θがセレの服の裾を掴む。
其の間に既にセレは小さくなったL⊝ ▼▲/を頸に巻いていた。隙あらばモフりたいのだ。
「然うだな。まぁ目当ての方だ。」
視線を上げると、碧樹の陰に隠れて一人の少女が此方を見ていた。
手に華を抱えている、此の辺で遊んでいた子なのだろう。
そして此の気配は・・・彼女が次元の主導者か。
其の少女の齢は、レニアと余り変わらない様に見えた。彼より僅かに背は高い様で、旻色のワンピースを着ている。
少し雀斑のある面持ちで、彼女も矢張り金の長髪だった。
其をツインテールに結っているのだ。レニアみたいに孤児って訳ではなさそうだ、身形が良い。
怯えさせてしまったかと思ったが、其の視線は何方かと言うと興味に因る物だ。
「あら!蕭森で素敵な女の子に会えるなんてついてるわね!」
「そ、然う言う物なのか?」
胡乱気な皐牙は無視して、ロードは颯爽と少女の元迄駆けて行く。
「今日は!其のワンピース、迚も似合ってるわね。私はロードよ、御嬢さんは何方かしら?」
「・・・私は、スーニー、あの、初めまして。」
一寸顔を寄せて少女、スーニーは応えると少し身を乗り出した。
ロードの斯う言う所は見習いたい所だな。
自然な流れで少女と話している・・・自分には無理だ。
絶対身構えてしまう、少女と言えども人間だもの。
叫ばれたら困るから、そんな事を刹那に考えて、
・・・手に掛けるんだろうな、そんな事は想像に難くなかった。
「初めましてスーニー、今遊んでいる所だったかしら。」
「うん、もう直ぐ友達が来るから。・・・・旻から来たの?」
「えぇ然うよ。休憩しに此処に降りたの。綺麗な華畠が見えてね。」
「此処、私の御気に入りなのよ。」
何だか会話が弾んでいる。
良くもまぁあんな笑顔で飛んで来たと答えられたな。
飛んだんじゃなくて、跳んだんだと是非とも教えてあげたい。
まさかこんな皓いワンピースを着た清楚系彼女がゴリゴリのマッチョだなんて、信じられないだろう。
少女の事はロードに任せようか。他にする事もあるだろうし。
波紋を広げていると、気になる影が一つ。
此方に来ているな、人間ではないが。
「なぁ店主、此方って多分彼の吟遊詩神が話していたもう一個の奴だよな。」
「噫、恐らくは。少女も一致するな。」
―では此の子を護らないといけませんね。―
「護る・・・然うだな。」
とことん苦手分野だが仕方ない。
何とか果たしてみせようじゃないか。此処で失敗したら結局旧の木阿弥だしな。
ロードは如何やら皆の自己紹介も済ませてしまったらしい、恐ろしい手腕だ。
スーニーはもう怯えてはおらず、碧樹の陰から出るとロードの傍に寄って行った。
信用の取り方が何とも上手い、良い調子だ。
皐牙はレニアに付いてくれているし、自分のする事、無いんじゃないだろうか。
下手に近付く事もないと思い、L⊝ ▼▲/をモフる事に専念する。噫、幸せだ。一日斯うしていられる。
「おぉ、何か出て来たぞ。おい店主彼って、」
木の実を幾つか採っていたレニアを連れ、皐牙が戻って来た。
実を採っていたと思われる碧樹の傍には一つの影があったのだ。
其は雄々しい角を備えた大きな鹿だった。
全身が美しい蒼の毛で、彼の背にも碧の翼が生えていた。
紫紺の瞳は思慮深い様で、じっと皐牙達を見遣っている。
「・・・噫、影追翼だ。」
「あ、今日も来てくれたのね!」
途端スーニーは表情を輝かせて影追翼に近付く。
例の話を聞いている身としては少し恐ろしい光景だ。
だが影追翼は大人しいらしく、少女の腕に頭を擦り付けていた。そんな彼の角に華が飾られる。
スーニーにはロードが付いているし、取り敢えずは大丈夫だろうか。
「なぁ店主、オレ、影追翼って奴良く知らないんだけど、どんな龍族なんだよ。」
「僕も、教えて!」
「影追翼は人の影を持っている龍族だ。遠方で亡くなった旅人の魂が成ったとも言われているな。本来影の無い龍族で、人を殺す事で、其の影を奪う性質がある。」
「おぉう、何とも恐ろしい奴じゃねぇか。」
「彼の詩の意味、やっと分かったよ!」
確かに、影追翼の説明も無しに彼の詠は少々難解かも知れないな。
―でも彼の影追翼は影が無い様ですが。―
上目遣いにL⊝ ▼▲/が見遣る。
然う、木々に隠れているので分かり難いが、姿を現した影追翼に、人の影は無かった。
気付けば、違和感が一気に噴き出す様で、彼丈時空が捩じれて存在している様に見える。
影追翼の影は然う長くは持たない、幾らか経ったら消えてしまうのだ。
スーニーの様子からして、影追翼とは友の様だが、何時も此処で遊んでいるのだろうか。
「・・・此の子がスーニー、貴方の待っていた友達かしら?」
「うん、此方へ御出で。何時も背中に乗せてくれるのよ。」
スーニーが手招くと、恐る恐る影追翼は姿を現した。
矢張り影は・・・無い。
其でも影追翼は少女の言う事を良く聞いていた。
其の性質故に、然う影追翼は人に慣れないのだが。
・・・此なら、モフれるかも?
じりじりとセレが近付くが、余り気にしていない様だ。
天馬も皆も居るし、其方が気になるのだろう。
「おぉお!結構堅いが、野性味溢れるモフモフで私は好きだよ!」
―セレさんって恐い物知らずですね。―
「モフモフは皆可愛い、恐れる必要なんて何処にも無いぞ。」
そっと影追翼の背を撫でる。鹿の背もこんな具合だろうか。
翼も、触っても怒らないよな?
突然セレに触れられて影追翼は動揺した様だったが、大人しくしてくれている。
「フフ、セレも気に入ったのかしら。」
「店主は毛があれば良いんだろ。」
酷い評価だ。そんな浅ましくはない。
抑毛なんて然う然う生えないぞ、其丈尊い物なのだ。全身毛むくじゃらになってから然う言う事は言い給え。
っ⁉此、片手でL⊝ ▼▲/を、もう一方で影追翼もモフれるじゃないか。
二種類のモフモフを同時に・・・噫、此が天国か。
「ロードも、皆も遊んでくれるの?」
「僕は・・・えっと、皆休憩するんだよね?」
「えぇ然うよ。一緒に遊びましょう。」
ロードの言葉に二人はパッと表情を綻ばせる。
遊ぶ・・・かぁ。自分は見ている丈にしよう、そんな要領良く出来ない。
ガルダとはまぁ何度かしたけれども・・・何と言うか、彼を満足させられた事が無い。
微妙なずれと言うか、何だか上手い事行かなかったんだな。前世の、一寸寂しい記憶だ。
ロードと半ば強制的に皐牙も遊びに付き合わされていた。
Z1-Θも楽しんでいる様で既に馴染んでいる。
天馬や影追翼は何方かと言うと遊ばれているな。
遊ぶと言ってもスーニーの提案なので、華を摘んだり、華占い、華冠を作ったりと言う様な穏やかな物だ。
今の所、特に問題が無いのならば、
只静かに、様子を見る事にしよう。何も焦る事は無いんだ。
一つ溜息を付くと、セレは遠巻きに一同を見遣るのだった。
・・・・・
彼から紅鏡が傾く程しっかりと遊び通した。
スーニーは余っ程皆と遊べたのが楽しかったらしく、ずっと華畠に居た。
皐牙一柱がへばってしまっているが、無理もないだろう。
彼丈付き合わされて未だ元気なロードやZ1-Θがおかしいのだ。
此処迄来ると、もうロードに弱点は無いんじゃないかと思われてくる。
何でも出来ちゃうじゃん、自分より余っ程器用だよ・・・。
彼女の恐ろしさを再確認した所で、次第にスーニーはそわそわし始めた。
流石に遊び過ぎたか、時間を気にしている様だ。
「?如何したのスーニー。」
「あの私、もう帰らないと。先生に怒られちゃうわ。」
「先生?先生って何?」
Z1-Θが一本華を摘んで彼女に差し出した。
其を受け取ってスーニーは少しはにかむ。
「先生は先生よ。私の、御父さんみたいな人。」
「もう帰っちゃうの?」
レニアは何だか不満気だ。家の無い彼にとっては時間なんて関係ないもんな。
「うん。あ、明日も皆来るの?」
「えっと・・・然うだね。僕は居るよ。此処なら休めそうだし。」
「え?若しかしてレニア、御外に棲んでるの⁉」
口に手を当て、スーニーは素頓狂な声を上げる。
全く彼女の想像もしない話だったのだろう。影追翼も気になったのか顔を寄せた。
「うん、僕家無いから。でも此処、凱風も無いし、良い所だから大丈夫だよ。」
「だったら私の所来なさいよ!先生も歓迎してくれるわ。今迄だって新しい子は良く来ていたし。」
何だか気になる単語が出て来た。
前世でも似た様な歓迎を受けた事がある。・・・とんでもない所だったので懐い出したくはない。
確か新興宗教の・・・噫嫌だ、忘れよう。
若し其の類なら、止めないといけない話なんだが・・・。
「スーニー、聞いてみるんだけど、其ってどんな所かしら?」
流石にロードも気になったらしく、やんわりと尋ねてみた。
「えっと確か、孤児院って言う所よ。私みたいに家が無くなった子が一杯集まってるの。皆で先生を手伝ったりしてるのよ。今は温かいから、薪割もしなくて良いし、沢山遊べるの。」
「噫向こうの建物が然うだったのか。」
此処に降りる前に見た奴か。確かに孤児院と言われたら頷ける。
「建物?向こうに家があるの?」
「うん、凄く大きいから直ぐ分かるよ。ベッドもあるし、外より絶対良いよ!」
悪くは無い・・・話か。
此処迄レニアを連れて来た訳だが、旅をするには矢っ張り幼い。
精神的にも、肉体的にもだ。彼じゃあ一人にして置けない。
悪意も疑いも知らないからな、人なのだから何処かで人と関わらないといけないだろうし、となると現状は良くない。
でも孤児院だったら・・・自分は良く知らないが、面倒を見てくれるのだろう。だったら其の方が良い。
天馬が此の辺りにでも棲んでくれれば、毎日だって会えるだろう。旅は大人になってからすれば良いんだ。
スーニーの話丈なので未だはっきりとは言えないが、悪い所ではない様に感じる。
悪意があれば、何らかの形で子供に出る筈だ。でも其の素振りはない。
「良いんじゃないかレニア、旅も良いが、落ち着ける所があるのなら其の方が良い。」
「然う・・・だよなぁ、オレ達ずっと居られないし、其の方が良いかもな。」
一寸寂しそうだが、何度か皐牙は頷いた。
「え、うーん・・・御中空いてるし、行ってみようかな・・・。」
「うん、先生の所、一緒に行きましょ!」
「あ、でも彼の子は?一緒じゃ駄目かな?」
天馬を見遣ると首を傾げつつ見守っていた。
嫩草を鱈腹食べられて満足したのか座り込んで大人しくしている。
「うーん・・・如何かな、私も彼の子を先生に会わせた事はないの。秘密の友達だから。」
「そっか。うん分かった、僕丈で行ってみるね。」
レニアは天馬の元へ駆けて行き、此処に居るよう頼んでいる様だった。
まぁ元々一緒に棲んでいたと言うよりは友なのだから、昼に会う位が良いのかも知れない。
影追翼も天馬も、珍しい生物として扱われそうだしな、隠した方が良いだろう。
「あ、皆は?もう何処か行っちゃうの?」
「然うね、行っても良いけれども、如何かしらセレ。」
振られたが難しい所だな。
調子は良い、だが・・・。
ちらと影追翼の方を見遣った。
特に深く注目する訳ではなかった。だが、
明らかに、気配が変わっている。
戦慄にも似た予感が走り、慌ててセレは前へ出た。
ロードの背後を取り、手を掲げる。其処へ、
影追翼の角が掛かった。
此の腕なら防げる、然う安堵した瞬間に軽々と躯は持ち上げられて投げ飛ばされた。
「っ皆離れろ!」
身を翻し、何とか着地するが離れてしまう。
大分飛ばされてしまったな、体重が無いのは斯う言う時やり難い。
一瞬何が起きたのか一同は分かり兼ねていたが、セレの声で一気に散る。
ロードは両脇にレニアとスーニーを抱えて走り出した。完全に連れ去り犯である。
「オイ何だよ気でも狂ったか、」
皐牙の口端から火の粉が零れる。
やる気は十分だ。不意打ちを防げて良かった。
「エ、ア、僕?」
一柱反応が遅れたZ1-Θが取り残され、彼に向けて影追翼は角を振り上げた。
だがZ1-Θは見た目以上に堅い、鹿の角では傷付ける事も出来ず、又重い所為で持ち上がる事もなかった。
「ウゥ、恐いよぅ。」
縮こまるZ1-Θだが、ああなってはダメージを与える事は出来ないだろう。
影追翼が踏み付けるが、其でも壊れない。
「Z1-Θ、水を吐け!」
指示を出せば、戦闘経験のない彼でも動けるだろう。
直ぐ様Z1-Θは水を影追翼の顔に吐き出した。
其を真面に喰らい、大きく影追翼は後退る。何度か顔を振って水を散らせた。
そして次に目を付けたのは近くに居た皐牙だろうか。
「やるなら、正面からやってやるゼ!」
火焔を放ち、皐牙は牽制するが、其が効果覿面だったらしく影追翼は大きく前足を上げて立ち上がった。
獣は火を恐れるか、彼の様子では戦意迄も失いそうだ。
「きゅ、急に如何したの、駄目よ危ない事しちゃ!」
スーニーの声に影追翼は視線を動かす。
いけない、今のは刺激になってしまったか、
距離を取っていたが駆け寄る。でも影追翼の方が速い。
影追翼は次に少女を狙い、駆け出した。
ロードは少し離れた所で二人を下ろしていたのだ。
角を向け、全力で駆けて来る影追翼を正面から受ければ、身も竦んでしまうだろう。
固まってしまったスーニーに向け、雄々しい角が迫る。
「私の目の前でそんな事させないわ!」
一歩前に出たロードが両手を前に構えた。
其処にがっしりと、影追翼の角が絡まる。
ロードが押されている様に見えたのは一瞬丈、其から両者は固まってしまう。
流石ロードだ、本気の影追翼の突進を正面から受けても何ともないなんて。
・・・いや、何となく予想出来ていたか?
どんなに影追翼が踏み込んでも動かない、あんなしっかり掴まれてしまっては今更引く事も出来ないだろう。
・・・何やら皐牙から視線を感じるが無視をする。
どうせ彼だろう、あんなあっさり投げ飛ばされたけれど、案外大した事なかったんじゃないの、みたいな。
そんな事ないからな?だって鹿の本気の突進だぞ、人体なんてあっさり投げ飛ばされる。
「此でもう悪さ出来ないでしょう。」
言いつつロードは次第に影追翼を持ち上げ始めた。
角を持った儘・・・影追翼の四肢が宙に浮いたのだ。
焦った影追翼が翼をばたつかせるが全く効果はない、だって持ち上げられているのだから。
角を支えにすっかり影追翼は持ち上げられて逆さにされてしまった。此では手出しは出来ない。
「ふぅ、危ない所だったわ。二人は怪我ないかしら。」
「う、うん、大丈夫だけど。」
「ロード・・・凄い力持ちなのね!」
次元の主導者二人を文字通り助ける筋肉天使だった。
「ロード有難う、御蔭で助かった。」
「セレの御蔭で気付けたのよ。後ろ、護ってくれて嬉しかったわ。」
う゛・・・其は如何だろうな。自分が護らなくてもロードなら如何にかなった気がするが。
「さて、もう悪い事はしないかしら。」
ロードが両手を高く掲げると、影追翼は大人しくなった。
呆然としている様な、もう敵わないと察したのかも知れない。
此なら放しても大丈夫だろう、そっとロードは影追翼を下ろしてやった。
暫く影追翼は角を振り、首を回していた。
無理にあんな持ち上げ方されたんだ、若しかしたら頸とかを少し痛めたのかも知れないな。
「・・・如何して此の子は暴れちゃったの・・・?」
スーニーがギュッとロードの服の裾を掴む。
其の背を優しく彼女は撫でていた。
「屹度寂しかったのよ、然うでしょう?」
ロードが微笑すると、影追翼は一歩下がった。
でも何度かスーニーの事を見遣っていた。
「寂しかったの・・・?」
「まぁあるだろうな。影追翼は人の影を奪うんだ。其の影が欲しかったんだろう。」
琴城の詠の通りなら然うだろうか。
影を奪う為に殺すと言うのは中々特殊な例だと思うので直ぐには受け入れ難いだろうが。
「影?影って此?」
スーニーは視線を下ろして、見慣れたであろう己の影を見た。
自分達にとって、影は現象に過ぎない、陽があれば自ずと生まれる、そんな程度の物だ。
でも影追翼にとって其は、代え難い程大切な物なのだ。
影追翼は何も言わなかったが、少し頭を下げて大人しくしていた。
紫紺の瞳を見詰めても其の心迄は分からない。
でも何処となく漂う気配は、決して敵意や悪意では無かった。
自分の反応が遅れたのも其の辺りだろう、敵意無き攻撃に気付けなかった。
陽が出れば出来る様に、影追翼は人を殺して影を得る。彼にとっては似た事で、当たり前の事なのだ。
「影、私要らないよ。でも如何やってあげたら良いの?」
「んーそんな術があるかは分かんねぇな。」
自分達が大して気にしていない存在だ。だからそんな都合良く術は無いだろう。
「分かった、じゃあ私毎日遊びに来るよ!其だったら寂しくないでしょ?」
スーニーの言葉にパッと影追翼は顔を上げた。
一度襲って来た相手なのに随分と寛大だ。
まぁロードが完封したからな。恐ろしいと思う前にけりがついたのが良かったのかも知れない。
然う話していると天馬がそっと傍に寄って来た。
遠慮勝ちに影追翼を見遣っている様だ。何だか翼を広げてアピールしている様にも見える。
「・・・若しかして、」
レニアが天馬に寄り、其の頬に触れた。
じっと瞳を合わせて、言葉が無くても伝わる様に。
「君が、一緒に居てくれるの?」
天馬が鼻を鳴らして軽く前足を突いた。
「うん、うん有難うね。」
きゅっとレニアが天馬の首元に抱き付くと、今度は影追翼の方を見遣った。
「此の子も、一緒に居てくれるって。だからもう寂しくないよ。」
其を聞いてそろそろと影追翼が足を出すと、天馬が鼻先を寄せてくれた。
影追翼の喉から甘える様な声が漏れる。
言葉が無くても、ちゃんと伝わった様だ。
此なら・・・自分達が帰っても大丈夫だろうか。
昼間はスーニーと、霄は天馬が居てくれれば、
そして影追翼は次にスーニーの元へ来た。
彼女の頭に鼻先を寄せる。
「・・・うん、又明日遊ぼうね。」
スーニーはそっと己の頭に掛けていた華冠を外した。
其を影追翼の頭に、乗せたのだ。
黄の華で作られた其は彼の頭上に良く映えて。
影追翼に影は無い、でも曦はあったのだ。
其の温もりに、彼は気付けただろうか。
「・・・私達も、もう行った方が良さそうね。」
「え、あ、矢っ張り皆は旅の続き、するんだね。」
「然うだったの?でも今日、とっても楽しかったわ、有難う!」
二人の少年少女の笑顔につい顔が綻ぶ。
次元の主導者達は互いの手を取り、咲い乍ら帰路に着いた。
此の次元の行く先も屹度同じ色をしているのだろう。
そんな彼等に寄り添う様に、皓い翼と碧の翼は翻るのだった。
・・・・・
皓い馬は背に零星を抱いて
蒼い鹿は足元を見るのを止めた
互いの翼を重ねれば、届かぬ地等無いのだろう
羽搏いて、駆け抜けて、
咲い声が彼等を導いている
噫、気付けば常に傍に
あっさりし過ぎちゃったなぁー。其が今回の反省点。
はい、いかがだったでしょうか。前書きの方で書いていた問題点は此の事ですね。
その・・・何て言うか、ロードさんが勁過ぎるんです、本気で。
何だか気付いたら全部解決してくれていました。他の解決法とか勿論考えていたのですが、
あれ、此、ロードなら如何にかなるんじゃない?
其の一言で全部解決してしまいました。ナンテコッタイ。
噫、此が最強キャラの宿命か、とも思ってしまいました。
ロード、個人的には可也好きな子なので今後も出したいのに適切な用法は守らないと、危険過ぎる。
そんな今回は過去作、-天馬の求めし少年の星辰-と-影追翼の仲間の影-を混ぜた物でした。
二つの物語が上手い事組み合わさったんでしょうね、だからこんなあっさり終わったのさ!
まぁ然う言う事もあるよね。然う納得してください。時には楽な旅もあるもんですよ。
ずっとペリュトンを出してあげたかったので、やっと安心出来ます。本当此の子の設定と言うか、生態が好き過ぎて、中二心を擽るんですよぅ。
さて、そんな次回は一転、滅茶苦茶激しい回です。
前回も書いていたのですが、其とは又様相が変わってしまいました。
只何の道超重要回には違いありません。然も書いている現在、すんごい楽しいです。
・・・次回は粗自分の人生初の、恋愛小説を書きます。
あ、『恋愛&変態』の事ではありません。ある正女の恋の話、其が実るのか如何か・・・。
可也良いペースで書けているので、一月以内に出せそうです。抑短い話の予定なので。
其の次も書きたくて仕方ない話だったし、よっし!モチベーション盛り盛りです!
良かったら次回も御会いしましょう!




