赤い目の秘密
わたくし、元社会主義国(資本主義と社会主義国がどう違うかだって?わが恩師の説明によると前者は自分で生産したものがそのまま自分のものとなり後者は組織で生産されたものを組織内で平等に分けるといったところ、和国は社会主義国を名乗っているが少し違う要素も入っているけどこの説明は後で、ついでに同じく社会主義国を名乗っていたレーニン死亡後のソ連や中国は事実上封建主義国であった)和国の兵士の一一は国がぶっつぶれてくれたおかげで今はテロリストである。といっても最近はろくに人も殺していなくて食料調達のほか雑用ばかりしていた。知らない間に同期の仲間たちは帰ってこなかったり、体の一部を失っていたりと踏んだりけったりであった。しかし、いつになったら命令している連中が出撃をするのであるろうか?
という話は置いといてついにわたくしにも出撃命令が出た。三か月ぶりにセンソーかと思いつつ命じられた任務は狙撃手の護衛という敵にバレさえしなければ生きて帰れる。と、心のどこかで浮かれていたのかもしれない。
だが、わたくしは間違っていた。肝心の狙撃手さんが眼帯を付けた女性リンリン・李院・凛鈴・リンリリンリ・李院・輪鱗であったことの文句はない。しかし、彼女さん半盲目で塩ラーメンに醤油ぶち込めばしょうゆラーメンになると信じるような女だった。
わたくしと李院は仕事のため電車でナンキン・・・トンキン・・・じゃなくて東京に向かうことになる。駅に入る前に乞食が売るクッキーと自動販売機でコーヒーを買った。わたくしと李院は都市が同じであったため親子ではなく旅をする恋人という設定で身分を隠すことにした。
「李院さん、これからどれぐらいでヒグレリに着くんですか?」
「カズちゃん、あれは日暮里と読むのよ。」
そんなやり取りをしている間に電車は出発した。わたくしが先ほどのクッキーを食べようとしたときに李院は右目の眼帯を外す。露出した右目には黄色い付着物がついていた。膿か?彼女はその付着物をぬぐう。そこにあった瞳は真っ赤であった。
「少年・・・いやっカズちゃん。何か気になるかしら?」
「ええ、その、赤い瞳は?」
「この瞳は視力ゼロよ。ついでに左目もぼやけてるし。」
「そのことなんですが、その目でどうやって狙撃をするのですか?」
「心臓の鼓動を聴く?といったところかしら?」
「李院さんは目が見えない代わりに聴覚がすごいってことですか。それで後ろも見ずに自分を。」
「それとはちょっと違うわね。鼓膜よりも三角器官(耳の奥にあるバランスをとるための器官、重力を感じ取れるらしい)が敏感らしいわ。」
「へーすげーなーどんな訓練をしたんですか?」
「カズちゃん、上官は私よ。」
「これは失礼。」
「別にいいわ。まあ、この力をどうやって手に入れたかは少しさかのぼるわね。」
李院の長い昔話が始まった。彼女の親父はかなり優秀な傭兵狙撃手だったらしい。名前はリンリリンリ・李院・輪鱗・ロンリロンリ・李院・倫燐と李院に比べても長い。彼女は幼いころから狙撃手として育てられていたらしい。十七歳の時までは目はちゃんと見えていて瞳も黒かったらしい。
ところが、ある時に親父と共に和国側について戦っていた時に捕虜になってしまったのだ。まあ、多少は拷問を受けていたらしいが内容は言えたもんじゃない。(この物語中性描写、残酷描写は必要最小限だけ使わせていただきます)そんな拷問中に一回尋問官が間違って彼女の顔に薬品をかけてしまったのだ。その時に右目は失明、左目はぼやけるようになってしまったのだ。普通の人はここでくじけるだろう。しかし、彼女は違った。牢屋の中で残った四感を鍛えて、脱獄の機会を待っていたのだ。三ヶ月もしたころだろうか、ついに彼女は見張りの心臓の鼓動を感じ取れるようになっていたのだ。そして、ついに彼女は脱獄をしようと計画を立てたのの実行する三日前に和国と真日本自由国との人質交渉にとって釈放された。ところが親父が失踪してしまったためにそのまま和国に残ることとなった。それから今に至るそうな。(この辺の話は少々はしょらせていただきました、ついでに企画段階では本当は李院が主役になる予定だったもののいろいろあって外からハジメ君を持ってくることになった、そのハジメ君は実は別の作品の主役だったのだ)
「それはとてもすごい人生ですね。逆にうらやましくなるくらいに。」
「カズちゃんはカズちゃんの人生を一生懸命に生きればいいんじゃない・・・ズズー。」
えっ?おいおいなぜわたくしのコーヒーを李院が飲んでいるんだ。あっクッキーまで!?
「まあ、気にしないで。軍内ではね上司の物は上司のもの、部下の物も上司の物なのよ。それにあなたはさっきから油断し過ぎよ。よくここまで生きてこれたわね。それとも対価でも欲しいの?ハイ間接キス。」
ジャイニズム(相手のことを考えずに一方的に自分の主張だけを通そうという思想、元ネタは某未来から来たネコ型ロボットアニメより)封建主義、自己責任至上主義か・・・頭が痛い。これで狙撃の腕悪かったら反乱起こそうかな。日暮里とやらに着いたわたくしと李院は武器他装備を取りに行くためにアジトに向かうのであった。