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姉弟関係  作者: 瀬名孝太
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第四話-演技派な兄はどうですかね。-

 華琳(かりん)と服屋で小学生が着そうな服を選んでいた時である。

「ん?おー、(たちばな)じゃん。」

 声をかけてきたのは女の子だった。

俺には見覚えがないのできっと、華琳の友達だろう。

「え?あー、奈津実(なつみ)?」

 奈津実と呼ばれた女の子はやはり華琳の知り合いらしい。

知り合いの割には華琳の言葉の語尾にはクエスチョンマークが付いていた。

「えー、ひどーい、そりゃ制服じゃないし、あまり見慣れないからわからないとは思ってたけど、ほんとにわからないなんて~。」

 奈津実は大げさに反応して華琳の様子を見ている。

「確認しただけじゃない。それにわからないと思ってたなら問題ないでしょ?」

 華琳大げさなリアクションがわざとだと分かっているらしく軽くあしらっている。

「橘はつれないね~…。お?そこの男の子は誰だい?華琳のつれでしょ?」

 スキンシップもほどほどにという所で、俺と目があう。

その眼はなんだか…不気味なんだが。

「ああ、この子?弟の(りょう)よ。ほら、近々奈津実の家に遊びに行くでしょ?それで服選びにここに来たのよ。」

 どうやら、華琳が連れて行こうという友達の家は奈津実の家らしい。

それに、俺を弟と呼ぶからにはこの奈津実には俺が兄だという事がばれてはいけないのだろう。

気を付けなければいけないな。

「へぇ~、弟。こんな可愛い子が弟だなんてうらやましいな~。」

 奈津実は感心しているような、納得するような声音で俺を見ながら華琳に答える。

「始めまして、華琳の友達の塩田(しおた)奈津実(なつみ)っていうんよー。よろしくな~。あ、奈津実お姉ちゃんでいいで~。」

 奈津実は改めて俺に向き直り、目線を合わせて自己紹介してきた。

俺はバカにされたと思い、怒って…とはいかない。

ここ数年、妹達に背を抜かれ、差がつけられ始めた頃からこの現象は始まっている。

今では慣れきってしまい、別段怒ることはない。

いつもはここで、"俺は華琳の兄です。"と言う所だが今回は弟として自己紹介しなくてはならない。

見てろよ華琳、これがお兄ちゃんの演技力だ!

まず、華琳の後ろに少し隠れて、服をつまむ。

「あ、あの。僕、橘涼(たちばなりょう)って言います。あの、よ、よろしくお願いしまひゅ!」

 そして、最後に勢い余って噛む。

完璧だな。これは完全に弟だろ。華琳より年下なのは明白!

俺の自己紹介を聞いた奈津実は深く息を吸い

「…はぁ~、可愛いなぁ~。」

 と恍惚の表情を浮かべて言葉を吐く。

華琳は服をつまんでいる俺を見て、目を丸くしている。

「…涼よね。」

 華琳は信じきれないのか確認してくる。

「涼だよ?」

 俺は奈津実の前なのでいつものように"涼だ。"とは答えず首を傾げながら不思議なものを見るように答えた。

小学生が姉にこの状況で名前を確認されたら、不思議な顔をして答えるはずだ。

と考えた結果の行動である。

かなり恥ずかしいが、兄とばれるのは避けたい。

一旦、華琳は弟として紹介したのだ、今更"兄でした。"とはいえんだろう。

話がややこしくなるだけだ。

「ああー、待ちきれんなー。こんな可愛い子が家に来るのなんて待ってられんわ―。華琳~、私が遊びに行ってもいいー?」

 本当に待ちきれないのか華琳に詰め寄る奈津実。

華琳と奈津実にはかなりの身長差があり、奈津実が詰め寄ってもそこまで威圧感はないだろう。

と思ったが、何かすごいオーラが彼女の周りにただよっており、流石の華琳も押され気味である。

「いや、待って、落ち着いて、今は服選びに来ただけだから、それに家にはお父さんもお母さんもいるし、妹だっているし、迷惑かけられないから。」

 まぁ、単純に家が一般人には危険だから入れるなって父さんや母さんから言われてるだけだ。

兄妹喧嘩が勃発するたびに壁に穴が開いたり、両親の痴話喧嘩が始まると床がへこんだりする家ですからね。

大変危険です。

「ちぇー、仕方ないかー。じゃあ、さっさと服選んで家来てなー。」

 奈津実は諦めたのか俺達に早く服を選ぶように勧めて自分の服選びへと戻って行った。

「はぁ、大変だったわ。奈津実のあのテンションにはついていけないわ。」

 と華琳は憔悴したように愚痴をこぼしている。

「それよりも…。」

 華琳は呆れたような驚いたような顔で俺を見る。

「よくあんな演技できるわね。びっくりしたわよ。」

 素直に感想を述べる華琳。

「まぁ、弟モードはこんな感じだな。うまくいってよかったよ。」

 いきなり華琳の友達とエンカウントしたのは驚いたが、冷静に対処できてよかった。

やはり、頭の中で今後の展開をシュミレーションするのは大切だな。

「…涼。あれっていつでもできるの?」

 華琳は興味があるのか尋ねてくる。

"あれ"というのは弟モードの事だろう。

すると、"いつでもできるの?"と聞いてもし、"できる。"と答えたらおそらく"じゃあ、これからいつもその雰囲気と口調で話して。"と言われるだろう。

実際できるだろうが…、自分を押し殺すのは案外精神を削られる。

ここは正直に言って納得してもらうしかないだろう。

「できるにはできる。でも、結構消耗が激しいからあまりやりたくないね。」

「うーん。そっか…じゃあ、後で1回だけしてもらってもいい?」

 1回だけか…まあ、1回だけならいいだろう。

「1回だけな。後は俺の判断で使い分けるさ。」

「分かった。ありがとう、涼。」

 華琳は笑顔でお礼を言う。

それほどの事でもないと思うんだがな。

その後、俺達は適当に小学生に見えそうな服を見繕って、精算し店を後にした。

小説をちまちま書いてます。

大体1回で3000~5000字ってところでしょうか。

前に一度10000字を越えて書き続けたことがあったのです。

ですが、途中で頭のメモリが内容を把握しきれなくなりまして。

初めから読み直して続きを書くのですがまた途中で話がずれました。

結局、その話は2つに分けて書くことにしました。

それがこの話の1話と2話です。

プロローグと1話の投稿期間が地味に空いていたのは、

どうにか1話、2話と続けて書こうとしていたからですね。

2つの話を続けて書こうとすると1ヶ月ほどかかっていましたが、

分けて書くと数時間で終わってしまいました。

パソコンでも人間でもメモリは大切です。

メモリがなんなのかわからない方は検索してみてください。

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