11時までの時間
インフルエンザや私事の為投稿が遅くなりましたm(_ _)m
俺たちは喫茶店へと向かっていた。ただ単にコーヒーが飲みたくて行くわけではない。11時までの時間潰しにゲームをするためだ。俺もスノウも携帯ゲーム系は余り強くなかったので練習をしてから行くことにしていたのだ。
「いや...まさかあの"騎士王スノウ"がこんな綺麗な女性だったとは...」
俺は思わず本音を口にしていた。だがそれが相手を傷つける可能性に気付いたときには周りの空気が本人へと伝えたあとだった。
「あっ...すみません...。誰がどんなキャラを使ってもいいですよね...」
これから未知のゲームで共に闘う仲間をこんなことで失いたくない。本音の中には綺麗な女性に嫌われたくないのもあったのかもしれない。
「いえ、気にしないでいいですよ。今でこそ気に入ってますけど、元々は女性キャラにする予定でしたし...」
「どういうことですか?」
「私が一番最初始めたのは友人との付き合いでだったんです。ですが当時の私はパソコンなんて触ったことないくらい慣れてなくて...それで間違って男性キャラで初めてしまったんです」
「でも、作り直せばいいじゃないですか?」
「友人もそう言ってましたが...1週間位経ってから最初のキャラ作成の時に間違って男性キャラを使っていることを知ったんです。今でこそ30分もあれば15レベなんてすぐに出来ますけど、動かし方も解らず何日もかけてやっと、って時に友人に出会えてそして知らされて...でもこの頑張りをなかったことには出来なくて...それでそのまま使ってたんです」
「?それなら他のゲームでは女性キャラにすれば良かったんじゃ...?」
俺はもっともな疑問を投げ掛けた。
「私、そのゲーム以外のゲームをするようになった時にはもう"騎士王スノウ"が定着しちゃってたんです。ですから他も男性キャラにしたんです」
「その事を知ってるのってその友人だけですか?」
「はいそうですが...どうしてですか?」
「いや、何で誰も今まで知らなかったのかなって思って...」
俺の心中を語ると納得してくれた。
俺の疑問もされたところで、目的の喫茶店に到着した。中は少し混んでいたがここがパスタイム本社前だと言うことと入場開始1時前だと言うことを加味すれば混んでいると言うのはこの店に悪い気がした。だが偶然空いていた席があり、待たずに座れたのは幸運だと言うしかないだろう。
俺達はアイスコーヒーを頼みゲーム機の電源を入れた。辺りを見渡せば皆ゲームをしている。ここに居る人は皆テストプレイヤーに選ばれたのだろう。
「みんなゲームしてますね。私解りますか?」
「えーっと...あっ、この"雪姫"ってやつですか?」
「うーん...あっ、それです!それ!」
俺の手元のゲーム機を覗き込んでくる。顔が近い...花のような香水の香りもする。
「でもそれ《ゆき》って読むんです。実は本名ですが...」
「へぇー、《ゆき》か...良い名前ですね。"ヒロ"って名前のキャラです、俺。俺のも本名だけど...やっぱり名前には漢字あったほうが良いよな...」
「あっ居ました。ですけど名前がカタカナってなんか憧れます。それに下手な漢字よりかっこいいじゃないですか」
「そうですか?そういえば"スノウ"ってキャラ名、名前の"雪姫"からきてるんですか?」
「はい、そうです。友人に簡単に考えれば良い、スノウとかクイーンとかって言われて。それでスノウにしたんです。ロロってキャラ名はどうやって付けたんです?」
「俺、江口ヒロって名前なんですけど、小学校の時に"ミエロヒロ"なんて呼ばれてて、気づけばロロって呼ばれてたんです。それでそのまま...」
「そうなんですか。私は谷村雪姫漢字はキャラのままです」
俺達はそんな他愛もない会話をしながらゲームしていた。協力プレイだ。
「うーん...雪姫さん強いですね...携帯ゲーム機系のゲームだったら置いて行かれそう...何で今まで大会に出なかったんですか?」
「あまり予定が合わなかったのもあるんですけど...やっぱり携帯ゲーム機の大会は会場に行かないといけないでしょ?そうしたら私が女だってバレるから...」
「もしかして今日俺と来るより一人で来たかったんですか?」
俺ってもしかして会わないほうが良かったのかも...なんてことを思ってしまいつい聞いてしまった。
「いやそんなことないですよ。今度からは女性キャラにしようと思っていたし、一人で来るのは少し怖かったんで誘って頂いて嬉しかったです」
俺の心配は杞憂に終わったようだ...良かった...。
そうこうしていると入場開始時間になり周りの人も続々と会場に向かいだした。
「俺達も行きますか」
お会計を済ませてから俺達も会場へと向かった。
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