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006 To the world of military

※今回はちょっと短いです

※なんということか、タイトルの付け忘れですw

「シェイラもユリアもくれぐれも無茶なことはしないように。ティーダがいるから大丈夫だとは思っているけど、俺もギルも2人のことが心配なんだからな」


玄関先で網上げ式のブーツをしっかりと結いつつ、濃い緑の迷彩服を纏った剛毅が後ろに立っている3人の方へと顔を向けつつ言う。


「それじゃぁいってくるわ。ティーダ2人のことは任せたぞ」


剛毅と同じように網上げ式のブーツを履いて迷彩服を纏ったギルバートは既にバックパックを背負っていて、剛毅が立ちあがったのを確認してから3人に体を向けて言う。


「ギル、本当に気をつけてよ。何があるか分かんないんだからね」


「ハハッ!心配すんなって俺が強いのはシェイラだって知ってんだろ?すぐに活躍して有名になってやるよ」


本当は活躍なんてしないで良いから無事に戻ってきてほしいと思うシェイラは、少し微妙そうな顔のままだった。


「剛毅も気をつけてねー。休む時はしっかり休んで無茶しないようにね?」


「分かってるさ、ユリア。無茶はしないし、無理もしない。約束する」


バックパックを背負いなおしながら剛毅はユリアに言うが、目を合わせなかったのが分かったユリアは無茶をするんだろうなぁと内心ため息をついた。


2人とも忘れ物が無いか確認し終えると、ブーツのつま先で地面をトントンと蹴って足の位置を調整してから外に出る。


5人の家の前には既に軍への志願者が押し込められているであろう、窓も無い頑丈そうな護送車があり、ギルバートと剛毅が乗り込むのを待っていた。


「志願者のゴウキ・アカシバとギルバート・アンダーソンだな。私はライアン・カーター軍曹だ。君たちを第二アメリカ合衆国軍陸軍第3軍第3軍団第999独立特殊兵旅団独立大隊|突撃<アタック>中隊訓練生として歓迎する。なお、訓練終了後に正式な配属先及び、階級章が贈られる。訓練の結果次第で配属先と階級が決定されるため、両名とも最善を尽くせ。……家族との別れが終わり次第、速やかに車両後方部の扉より搭乗せよ。」


軍曹の階級章を軍の制服に着用している男は、剛毅とギルバートの配属先を述べると、最後に剛毅達2人の後ろにいる3人を見て、別れを済ますように言うと車両に乗り込んだ。


「「じゃぁ行ってくるわ」」


2人はちらりとだけ3人の方を見て、それだけ言うと車両の方へと歩き始める。


「待て」


コンクリートの上に転がった砂利が踏まれて地面とこすれ合う音が響き、ティーダが声を発した。


「2人のことは俺が守ってやる。お前たちは自分のことだけを心配していろ。……気をつけろよ」


まさかティーダから心配するような言葉がかかるとは思ってもいなかった剛毅とギルバートは顔を見合わせて、そして笑った。


「ハッハッハ!まさかティーダに心配されるとはなぁ。んじゃせいぜいくたばらねぇように頑張るとするわな。しばらくの間2人のこと頼んだぞ!」


「笑うな、さっさと行ってこい。バカめ」


笑われたのが少し恥ずかしいのか、ティーダはよその方向を見つつ追い払うように手ふると、先に家の中へと戻っていった。


「さて、それじゃ名残惜しいがしばらくの間さよならだ。元気でな!」


「戻ってきたら皆でパーティな!いってくる!」


剛毅とギルバートは手を振ったあと車両後部にある扉を開けて車の中へと乗り込んだ。


車両は2人が乗り込んだのを確認すると、キーを回し、エンジンを始動させると勢いよく町のメインストリートを南下していった。




「なぁなぁ!あんたも軍属選んだ口かい?俺も軍属選んだんだけどよ、なんか不安なんだよねぇ。正直俺らなんて使い回しの使い捨て兵士扱いなんだろうしよ、ぶっちゃけ待遇がいいなんて嘘って思わね?」


車に乗り込んでしばらくすると、剛毅達に話しかけたそうにそわそわしてた男がついに剛毅達の方へと話しかけてきた。


ギルバートは関わり合いになるのがイヤなのか、だんまりを決め込んでいるが、剛毅はどうせしばらく車内で一緒にいるのだからとそれに応じてみることにする。


「まぁ嘘だとは思うけどな。それでもやらないよりはマシだろ。連中個人個人がどう考えてるなんてわからないけど、大多数は俺らアビリターのこと嫌ってんだから厚遇を期待するなんてバカのすることだろ」


「たしかにたしかに。でもさ、俺らの上官になるのってたぶん軍務に慣れた一般の、あぁつまり『能力が無い』って意味ね、軍人だろ?ってことはよ、そいつさえ操れるようになったら金も飯ももらえるわ楽できるわでいいことづくめじゃん?あんたらも一緒にそうしね?」


自分の能力に頼り切っている頭の中身が軽そうな男が誘いの言葉を受けて、同乗している他の奴らを見ると、全員がそれとなく剛毅達の方に注目しているのが分かる。


恐らくは他の奴らは全員この男と同じ考えなのだろうと思うと、剛毅は先が思いやられるようで、頭が痛くなりそうだった。


(こいつら……本当にバカだろ。軍人ならそんなことを考える奴がでることぐらい気づくだろうし、そもそも簡単にやられるような人間を俺たちの上官としてよこすはずがない。こいつらといたって徳をすることはないだろうな。バカそうだし…。まぁとりあえず面倒にならないように話だけ合わせておくか……)


「そうだな…。まぁまだ色々分からないことだらけだから考えておくよ。ところでアンタ、名前は?」


内心で目の前にいる男たちに対する評価を下げつつ、とりあえず適当に話を濁しておき、話題を変えるために目の前の男の名前を尋ねる。


「お?俺の名前か?俺の名前はリチャード・ブラウン。あだ名はディックだ。今後ともよろしく頼むぜぇ?」


「あぁお互い死なない程度に頑張るとしようか」


(へぇ、ディックね。ディック……ね。ハハッ。お似合いの名前だな、Mr.ディック)


内心でリチャードのあだ名のディックと、英語でスラングとして使われるディックとを合わせて、リチャードのことをMr.ディックと覚えておこうと決めた剛毅だった。


「おい、剛毅。あの馬鹿にはあまり関わるなよ。ああいう手合いはどうせ勝手に自滅していくから放っておけ」


「分かってる。俺はわざわざ沈没すると分かってて乗船するような馬鹿じゃないさ」


リチャードと話していた剛毅を見て一応注意をしておこうと思ったのか、ギルバートが注意してきたが、剛毅が言葉を返すと、それを聞いて可笑しそうに口元を歪ませた。


それからあとはMr.ディックことリチャード達が馬鹿話をするのを聞き流しながら、いつのまにか眠りに入っていたギルバートの隣で、剛毅はようやく自分も眠りに就いたのだった。




車が止まって、エンジンによる車体の振動を感じなくなった剛毅とギルバートは自然と目を覚ました。


地面が砂利道になっているのか、運転席から降りたカーター軍曹が砂利を踏みしめながら近づいてくる音が聞こえてくる。

扉の前で立ち止まったカーター軍曹は誰かと話しているらしいが、車両の扉越しの剛毅達には話しているのが分かるぐらいの小さな声しか届かない。

しばらく待っていると、目の前で壁に寄り掛かって寝ていたリチャードが目を覚まし、周りで寝ていた取り巻き連中も目を覚まし始めたころにようやく話し終えたらしく、すぐわきの扉があいた。


「すまない、諸君。少々待たせてしまった。ここが本日より諸君らが汗水を流し、寝食を共に過ごすことになる場所だ。施設名は『第3特殊兵訓練場』だ。まず、これから君たちには施設の説明を受けてもらうことになる。こちらがこの後の説明を担当する、諸君らの教官となるデイヴィス・リベラ教導官だ。彼は訳があって前線には出ずに教導をしているが、つい最近までは海兵隊で任務に就き、死地を潜り抜けてきた猛者だ。訓練は厳しいだろうが、苦境を乗り越えるほど生存率は上がる。各自精進せよ。…では、リベラ殿。引き継ぎをまかせます」


剛毅が車から降りて目の前にあったのは分厚い鉄で出来た門と、その左右にそびえる巨大な壁だった。

コンクリートで出来た分厚そうな壁の上には有刺鉄線が張り巡らされていて、侵入しようとする一切のモノを拒絶しようとしているようだ。

格子状の鉄の門の向こうには訓練場と思わしき広大なスペースと、訓練施設、それらに加えて宿舎のようなものも剛毅の目に映った。


説明を終えたカーター軍曹は、分厚い書類といくつかのリングファイルを引き継ぎのデイヴィス・リベラ教導官に手渡すと車の運転席の方へと引き換えしていった。

そのまま車のエンジンをかけたカーター軍曹は軍用車特有の力強いエンジン音を響かせながら元来た道とは別の道に進んでいった。

すいません、今回はちょっと短くなっています。

どうもうまい区切りどころがなかったので、躊躇半端な長さになってしまいましたが、ここで区切らせていただきました。

現時点でユニーク49アクセスありがとうございます。これとは別アカで書いていた時よりはだいぶ少なくなってしまったので、多少寂寥感はありますが、それでも読んでくれる方がいて嬉しい限りです。

次話までがだいたい序章となるつもりです。

もしかしたら次話も短くなるかもしれません…。

ですが、その次からは本格的なストーリーに入っていくつもりですので、少々お待ちを^^;;

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