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2話 やっとの決心

穏やかな小鳥の囀りで前が覚める。天蓋のある大きな大きなベッドに目を光らせていたのもつかの間のことで、気がついたらぐっすり眠っていたみたいだ。体を軽く伸ばして、起きてみると自分の周りの華やかさに圧倒される。


どういうわけか昨日転生してきて、まだ受け入れられたわけではないけれど、自分が今誰なのかも分かって、とこんな異様な状況ではあるのに何だかんだ言って物事は案外うまく進んでしまっていた。多分だけどこのベッドから起きれば()()での普通の生活が始まる。さあ、どうする。


「サラミナ様、おはようございます。朝餉の準備ができておりますゆえ召使い一同参りました次第です。」


悩む時間もほぼ与えられずに昨日の女性来てしまった。とりあえず怪しまれてなにか面倒なことにはしたくない。異世界で放浪生活なんて、下手したらサバイバルどう考えても笑えない。


「ええ、今出ます。」


サラミナを心のなかに思い浮かべて演じてからやけに大きな布団を跳ね除けて、部屋から出ようとしたけど、あまりも広すぎてどこから出たらいいのかわからない。ゲームをしてた頃の記憶は薄れているし、そもそも元々歴史とか王族に興味がない私にはこんな部屋の構造なんて何もわからない。


「サラミナ様、本当にお疲れのようですね。こちらへどうぞ。」


女性の召使いが遠くに見える、大きなウォークインクローゼットの前で手招きをしているので向かってみる。何から何まで流れに身を任せているけれど、本当にここでなんとかやっていけるかな。


「こちらが本日サラミナ様が婚約の宴でお召しになるドレスにございます。サラミナ様のご期待に添えていれば幸いですが、この袖のところが申し上げられておられたものと少し違いまして……」


どこからどう見ても完璧できれいなまるでウエディングドレスのような純白に、ところどころ紋章と金の刺繍で飾られているドレスがクローゼットの一番前にある。正直圧倒されるとか、そんな言葉じゃ片付けられないほどのもので、逆に何が不満なんだろう。


「とても素敵だと思いますわ。ありがとう。」


召使いはわざとらしいほど大きな動きで私を敬っている態度を示してくる。


「いえいえとんでもない!サラミナ様のお心遣い、感謝いたします。それではこちらは後ほど。まずはお食事の方をお願い致します。大広間で陛下がお待ちです。」


そのまま、導かれるがままに大広間に来ると、昨日おかしな老人だと信じ込んでいた()()()の父である殿下こと国王がいた。豪華な食事を前に驚きを隠せない()のことは誰の気にしないけど、逆に救いかもしれない。


「さあ、サラミナよ。この食事がお前とこの王宮で食べる最後のものだと思うと悲しくなるものだな。離れる寂しさは消えぬがしかし、やはりお前を誇りに思う。」


国王の話す言葉が右から左に私の中で流れていく。適当な相槌を打っておくけど、私には今ここからどうするかが一番の問題でしかない。本当にどうしようか。正直に話せば不安しかない。


でも、少し気になってしまう。もし、本当にあのサラミナとして生きられたら、あのゲームの中みたいに綺羅びやかな世界でとっても楽しいと思う。もうここまで来たら吹っ切れてきた気がする。それに、サラミナはゲームでも幸せに生きていた気がするし、なんか大丈夫な気がしてきた。


そうだ、サラミナとして生きてみればいいんだ。

お読みいただきありがとうございました!

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