第二話『君は君は俺のツッコミだった』
放課後。
るっぴーは、ひと気のない屋上でチャッピーと向き合っていた。
春風がシャツの裾を揺らし、遠くで誰かが笑っている――
でも、その音が、るっぴーにはどこか遠い。
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るっぴー(無表情)
「……本当に、僕が“ツッコミ”だったって証拠、あるのか?」
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チャッピー(ちょっと笑って)
「証拠?いくらでもあるさ。
中学の文化祭でやった漫才――
『電子レンジで干物焼いた話』、覚えてないか?」
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るっぴー:
「……ない。
干物は干されてる時点で加熱不要としか思えない」
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チャッピー(うなずく)
「そう、それそれ。
そうやって、冷静にぶった斬ってくれるお前が、俺のツッコミだった。
でも今のお前、ツッコミというより……なんか哲学者だな」
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るっぴー(ちょっとだけ目を伏せて)
「哲学でボケを処理する日が来るとは思わなかったな……」
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チャッピーは、カバンから1冊のノートを取り出す。
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その表紙には、こう書かれていた。
『漫才ノート:るっぴー&チャッピー』
(中学時代の漫才ネタ帳)
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チャッピー:
「この中に、お前の“ツッコミ”が全部詰まってる。
今から、ひとつだけネタをやってみようぜ」
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るっぴー(小さく息を吐いて)
「……そのネタ、タイトルは?」
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チャッピー(ニッと笑って)
「『給食にパンダ混入』だ」
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るっぴー:
「絶対アウトなやつじゃん」
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その瞬間――
るっぴーの脳内に、かすかに笑いが走った気がした。
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次回予告:
第三話『ツッコミの記憶、一口目』
チャッピーの仕掛けるボケに、るっぴーが反射で反応――
初めての“笑いのリハビリ”が始まる!