二話 現状整理
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あれから数日の時が経った。
自由に身動きが取れないこの体ではあるが、それでもいくつか分かったことがある。
一つ目は、この世界が俺の前前世で生きた異世界ではないかもしれないこと。
かも。ということから分かる通り、早速推測になってしまうが、その理由としては、親である二人の言っていることが理解出来なかったからだ。
俺の記憶上では、言語は世界共通に定められ、違う言語など存在しないはず。だが、その言語ではないところを見るに、もしかしたらここは俺の生きた異世界とは違うのかもしれない。
まあ、前前世の俺が死んでからどのくらいの年月が経っているか分からない以上、単に言語が変わっただけかもしれないが。
しかし日本でもない。言語はもちろん、電気なんて通ってなさそうだし、この家に水道は見当たらない。ライフラインが整ってない以上、日本ではないし、海外というわけでもないだろう。
二つ目は、この家には母さんと父さん。あと俺の3人だけということ。生まれた時は助産師であろう人が居たが、その人は道具などほぼ使っていない様子だったし、やはり異世界ではあるっぽい。大方、魔法か何かを使ったのだろう。
兎も角、それ以降その人は居ないので、二人の両親と俺という一般的な核家族形態というわけだ。
赤ちゃんなこの体では、せっかくあるこの二人分の知識が活かせないので今はこの程度だが、いずれは、この異世界が俺の生きたところなのかだけでも突き止めたいところだ。もしそうなら、逢いたい人、いっぱいいるしな。
俺は、異世界に転生したという月見里璃久としてのワクワクと、この異世界がかつての場所なのかを知りたいドキドキを胸に、その日を終えたのだった。
◇ ◇ ◇
さて、それから四年の歳月が流れた。
いきなり経ちすぎだろ。と思うかもしれないが、まあ落ち着いてほしい。分かったことも多いから。
まず、この異世界は俺が生きた世界と同じだということが分かった。
なぜなら、この世界の根本的システムが同じだったから。
生物はどの種族でも修練を積む…要は強くなると、生物として進化することが出来る。
進化段階は人間の場合、人間→英人→賢人→賢神→勇者or魔王みたいな感じ。
賢神として力をつけた時に己の精神状態がどちらに近い、又は望んでいるかで変わるらしい。
現在勇者と魔王は世界に数人ずついるらしく、いずれも国を創り治めているらしい。魔王が国主なのはありふれたものではあるが、勇者は意外だったな。
そして、現在は創造主ブラフトが世界を創世した時から23億年経った、混沌期252年らしい。年号が混沌期なのはよく分からないが、創造主がブラフトなことからも確定だろう。
そんなに時を刻んでいれば、言語が変わっていても不思議ではないと納得した。
さらに、ここは世界最大の国と呼ばれるアルメナス王国。その王都から離れたナラカという町らしい。
前述した情報も、町に一つだけある図書館から入手したものだ。
三歳の時に、親に図書館で本を読んでみたいと打診した結果である。
三歳ということもあり、さすがに親同伴での外出となったが、この世界のことを知る上で大きすぎる一歩だった。
「アレロン、ちょっとそれ取ってくれないか?」
「それってなんの事だよ……この本でいい?」
「そうそうそれだ!ごめんな、普段読まないからつい」
そうそう。文字や言葉を覚えた以上、もちろん親の名前と俺自身の名前も覚えた。
父は今話しかけて来た男で、名前はデイン・サンサーラ、
母の名前はアルシア・サンサーラだ。
ちなみに俺の名前が父さんに声をかけられていたアレロン・サンサーラだ。
……冷静に考えて、月見里璃久、ブラフト、そしてアレロン・サンサーラ。
通り名でもあだ名でもない本当の名前が三つもあるのなんて俺くらいなんじゃないだろうか?
「アレロン!貴方!ご飯だよ〜!」
「はーい!」
俺はそんなことをぼんやりと考えながら、アルシアに呼ばれ食卓に駆けていくのだった