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プロローグ

俺の名前は月見里璃久(やまなしりく)

自分で言ってしまうけど、小物だ。

世の中における悪いこと。ポイ捨てだとか、盗みだとか。そういうことをやろうかどうか悩む段階まではいくものの、結局やらないみたいな。

もちろんやらないほうがいいなんてことは頭に入っているが、悩む段階までいっていたり、物事の善し悪し関係なく決断力がなかったりってところを見れば、それが分かるだろう。


他にも、電車で優先席に座らなかったり、なるべく道を譲ったりだとか、一見いいことをしているように見えても、それをした後、本当は自分が早く通りたいがためにめんどくさいから道を譲ったんじゃないか。そんな自己嫌悪に陥ったりする。


彼女?もちろんいないよ。HAHAHAっ…

好きな人くらいは居たけど、告白なんてしないで中学から高校になるタイミングで繋がりは途絶えた。


それから――いや、よそう。また良くないループに入ってしまうから。そう。今は電車待ち。通学中なのだ。


(えっと……あと2分か)


電車が来るまであと2分なのを確認し、暇つぶしにスマホをいじる。今日学校が終わったら、何をしようか。そんな妄想を膨らませる。

トンッっ。なんて軽快な音であり、俺にとって重い意味を持つ音が鳴るまでは。


――――トンッっ


「………はっ、?」


俺の体に、乗る予定の電車の前、この駅を通過する電車が来たこのタイミングで、後ろからの圧力がかかる。

なんで。なんて思考が回る前に、口からは小さな疑問符が漏れ出た。


スマホを触りながらも学校の予定を整理していた俺の頭は、ヒバナのように走る走馬灯に支配されていく。


(あぁ、俺、死ぬんだ)


たった16年の人生の癖に、やけにそれは長い

環境の流れに耐えられずコミュ障気味になった中一。


中学のテストにおいて初めて勉強で努力し80点台を取った中二。


初めての受験ながらも、塾に通うなりして何とか乗り越えた中三。


その間にも俺の体は嫌な音を立てて転がる。最悪なことに、変にバランスを取ろうとしたから、上半身だけ当たってぶっ飛ばされたらしい。これじゃ数秒間は生き地獄だ。けど、頭は変に冷静で、薄くなる意識の中、思考だけが回っている。


(……だけど、もっと頑張れたよな)


そう。運動なんて、高校になってから全然やってないし、恋愛面でも努力しておけば良かった。

容姿は割と整ってる方だったから、あの時勇気を出して告白していれば。或いは……いや、俺、性格悪いし、無理か、?


でも、そうだな…次があったら、もっとガツガツいってみようかな……


エリラは、生まれ変わっても私のことは気にしないで好きに生きてって言ってくれたし。って、エリラって、誰だ?まあ、いいや……そろそろ、限界、だし……


(次は……)


俺の意識は、そこで途絶えた。



こうして、月見里璃久の生涯は齢16歳という早い年月で幕を閉じた。しかし、偶然か、必然か。

人生で受ける最大限であろう衝撃によって、月見里璃久のその記憶は結びついたのだ。


彼の生における序章の序章、その16年は終わり、彼は誰に知られることも無く、ひっそりと異世界に転生…否。舞い戻ったのであった。



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