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41 平原のダンジョン

 「兄貴さん。今日も行くよ。」シードルとサイゼリエール君は道場に行く様で誘いに来た。


 「俺はちょっとダンジョンに行って来る事になったから、戻ってきたらまた行くよ。」


 「休み中はダンジョンも入れないぞ。お前の事だから、そんな当たり前の事も知らないんだろう。」


 「俺が休みだと絶対にあのオッサンの道場に連れて行かれるみたいなんだよ。だから、明日からどっかのダンジョンに籠って休みの期間を過ごそうと思ってさ。」


 「やっぱり昨日もあの後でやられたのか?」


 「女の子の道場でやったのと同じ事って言って、殺人級の一撃を放ってくるイカレタ訓練をやられたよ。」


 「あのオッサンと訓練したのか。お前は良く生きていたな。」


 「サイゼリエール君はあのオッサンの事を何か知っているの?」


 「王国騎士団の騎士団長の弟子らしいぞ。たまたま会った兄の友人に聞いたんだが、王国の騎士団も入る前と入った後で人が変わるって言われる位の訓練が待って居るらしい。

 あのヤブサメってオッサンは騎士団長の直弟子らしいからな。相当に頭のおかしい人なのは間違いないだろうな。」


 「あの剣聖って呼ばれる騎士団長の弟子か。」


 「剣聖ってもしかして可愛い女の子だったりする?」そうなら会ってみたい。


 「男だ。冒険者としてもSクラスだからな。人間辞めているとしか思えないような伝説を沢山持っているぞ。」


 「ま まあ、そう言う訳だから。」話を聞いても良い話は聞けそうに無いので、早々にダンジョンの準備に行く事にした。


 「ちゃんと生きて帰って来いよ。」サイゼリエール君とは思えない言葉に手を上げて答える。




 「17層から下の情報が必要ですか?」ギルドの二階の少年が俺を見るなり言ってきた。


 「今回は別件でね。この辺りのダンジョンについて知りたいんだよ。」


 「どんなダンジョンをお探しですか。僕が知っているなら教える事も出来ますけど。」


 「そうだね。入る人が少ないダンジョンで近い方が良いな」安全なダンジョンとか、金になるダンジョンて混んで居そうだから省く。


 「近くて人があまり入らないダンジョンですか?」なんか小さい手帳を見ている。


 「《ベトベトダンジョン》は一応条件に合ってますね。一階層からスライムが山ほど出るから、《スライムの核》を集めに入る人以外はあまり入らないみたいですよ。」


 「スライムは却下だな。」あれを一人で挑む気にはなれない。


 「後は《平原のダンジョン》位しか無いですよ。この町は人口が多いから、あまり人が入らないダンジョンって無いですね。」


 「その《平原のダンジョン》って何?」


 「知りません?ダンジョンの中なのに、開けた平原で見通しが良いダンジョンですよ。」


 「フィールド系ダンジョンって奴か。どんな敵が出て来るの?」


 「ちょっと待っててください。」そう言って、本を取りに行った。


 「え~とですね。一階層はゴブリン・バット・チビカミ・・・・一般的な浅い階層のモンスターみたいですね。」


 「じゃあ。そこの場所を教えてよ。」


 「良いですけど。」そう言って分かりやすい地図を書いてくれる。


 「ありがとう。料金はこれで足りるかな?」小銅貨を18枚渡す。持っている小銅貨を全部だから、半端な数になっている。


 「いただけるなら貰いますけど・・・あ、行っちゃった。良いのかな?人が入らないって事は危険だって事なんだけど・・・・」





 行く場所は決まったから、次は食料と薬だ。装備は新調したばかりだし、美味しい保存食を持って楽しいダンジョンライフの準備だ。


 飯を食べに行く時に気になっていた店に行く事にした。店先に果物とかを置いている店で、干した果物とかも扱っているっぽい店だ。


 「すみませ~ん」初めて来る店って緊張するんだよね。リグが居れば余裕なんだけどな。


 「はいよ~。何かお探しで?」恰幅の良いおばちゃんが出て来た。


 「ダンジョンで食べるのに美味しい保存食って無いですかね?」


 「干し柿とかはどうだい?他にも切干リンゴとかプルーンも有るよ。他にもナッツ系も好きなら種類も有るし、干し肉がお好みなら3件隣で良いのを売ってるよ。」


 「味見とかって出来たりします。」飽きない様に色々と買って行きたいけど、大量に買って不味かったら食べるのが作業になっちゃうからね。


 「味見かい?中銅貨を出してくれるってんなら、店のもんを一通り味見して貰う事も出来るけどねえ?」


 「これで良い?」中銅貨を渡す。


 「おや。なりのわりに稼ぎが良いのかい?一通り取り分けるから待っといで。」そう言って店の奥に引っ込んだ。


 結果としては黒っぽい干し柿が歯応えが有って意外に美味しいのと、干しプルーンが美味しかったので100づつ購入して、ナッツ類はアーモンドの様な奴といつものピーナッツに平たい揚げ豆みたいなのを大量購入した。


 「全部で大銅貨5枚だけど大丈夫かい?」


 「銀貨でお釣り貰えます。」


 「ハイハイ。これからも御贔屓に~。」そう言って見送られた。


 干し肉は・・・・どれも普通だったから多く買って置いた。違う店にはウィンナーやベーコンも有るらしい。ただしお高いそうだ。




 そして、来るのに気合が必要な場所の教会に来た。


 「すみませ~ん。ポーションが欲しいんですけど。」


 「ああ。いらっしゃい。どの位の数をお求めですか?」すごく人の良さそうな神父さんだ。シアンの事を言っても大丈夫だろうか?


 「パーティーに魔族の子が居るんですけど、売って貰えますか?」魔族って言った瞬間に顔色が変わったぞ。


 「ああ売りますとも。我々は神に仕える者ですからね。本当に忌々しいですが仕方ありません。で、いくつ欲しいんだ。」机をバンバン叩いたり蹴ったりして、本当に神に仕えているか怪しいほど攻撃的な人に変貌してしまった。


 「ポーションを10とハイポーションを5と出口石を下さい。」


 「全部で大銅貨一枚で売ってやるよ。」


 「ちょ 高すぎでしょそれは。」一応の適正価格は全部で中銅貨3枚だったハズ。価格的に30倍はいくら何でもおかしいだろ。


 「ああ~。要らないならこっちは売らないだけだが?」


 「おいおい神に仕える者がいくら何でも阿漕じゃ無いかよ。どこの神様を信仰しているんだ?」俺の後ろに来た坊主頭の黒いローブを纏った兄ちゃんが口をはさんだ。


 「そ そんな事は関係無いだろ。」なんか凄い動揺しているぞ。


 「いいや。関係あるね。神は魔族を差別しろとは言っていないはずだ。その自分勝手な事を許しているのは、どこの神の信者なのは知る必要が有るな。」


 「く 中銅貨3枚と小銅貨50枚ならどうだ。」悔しそうに譲歩してきた。


 「じゃあ、中銅貨4枚で」


 「釣りは要らないな」


 「いや、頂戴よ。」


 「チッ ほらポーションだ。受け取れ。」誰にでも聞こえる位の舌打ちをしてから、次々にポーションを投げて来る。


 「マジかよ。」キャッチして収納空間に放り込んで行く。


 「これが釣だよ。おっと。」そう言って小銅貨を地面に叩き付けやがった。


 「何なんだよ」飛び散った小銅貨を数えながら集める。


 「済まねえな。教会はこんな所で、ホラこれで全部だろ?」そう言ってさっきの坊主頭の兄ちゃんが拾った小銅貨を渡してくれる。


 「ありがとう」


 「絡まれない内にさっさと帰った方が良いぞ」言われるままに、早々に立ち去った。



 最後のストレスの溜まるミッションをクリア出来てホッとしている。坊主の兄ちゃんには感謝しないとな。3倍位は覚悟していたけど、まさかの30倍は想定外だった。


 神父さんの変貌に動揺して出口石は貰えなかった。


 「次回は一人で行く時もイメトレして行った方が良いな。」リグは平然としていた様に見えたけど、そうでも無いのかも知れないな?





 昼前までには準備が整ってしまった。女子道場に行きたいが、ヤブサメ道場の一味に見つかると昨日の二の舞になりかねないので、せっかくなのでダンジョンに行ってみる事にした。


 アイリスの町の王国側と反対の出口から出て、歩く事2時間位すると立札が見えて来た。


 《草原のダンジョン》よりも奥に行った所に有るダンジョンは人気が有るって話だった。(なんのダンジョンだったかは覚えてないけど)その為、ダンジョンまでの道はついでに綺麗に整備されている。


 人生三つ目のダンジョンの入り口は《能無しのダンジョン》と同じようにデカイ石に大きな空洞が空いていて下に降りる階段になっていた。


 《教育用ダンジョン》は門の様になっていたけど、他にも門になっている所は有るんだろうか?


 階段を降り切ると門になっていた。


 そっと開けて中を覗き込むと・・・・草原だった。


 「どうなってんだろう?」とりあえず中に入ってみると地平線まで続く草原が広がっている。


 後ろを見ると門だけが、その場に不自然に存在している。


 中に入って扉を閉めて、マップを見てみる。


 「そりゃそうだな。」真ん中の現在地から丸く認識出来るエリアなんだろうけど、茶色の紙が白くなっている。どっちに行けば良いのか不明だから、門の後ろ側から・・・・


 「反対に回っても門っていったいどうなってんの?」とりあえず開けてみる。


 「元の場所に戻っているって事か。どっちから入っても、戻れるって事なのかな?」


 「考えても仕方ないし、ダンジョンの探索に乗り出しますか。」とりあえず適当に真っすぐに進むことにした。





 「お!早速来たか。」ゴブリンを発見した。


 「なんだ?」後ろから何かに突かれた。振り返ると足元にヒヨコが・・・


 「なんで浅い階層なのに二体同時なんだ?」居るもんは仕方ないのでサクッとヒヨコを倒す。


 「このダンジョンって何かおかしくないか?」そんな事を言った次の瞬間に手前の土からボーンが現れた。


 とりあえず瞬殺してゴブリンを待って居るけど、ゴブリンが誰も居ない所に手に持っている棒で叩き始めた。


 「なんなの?このダンジョン」なんでなのかカオスな状況になっている気がする。


 危険な感じがするからゴブリンの所まで走って行って倒す。


 「これは門の近くで様子を見た方が良さそうだな。」門の方に向くとモンスターがワラワラと現れる。


 「一階層一種類の原則は何処に行ったんだよ。」ボーンにゴブリン・チビカミにヒヨコと色々出て来る。


 「チビカミとヒヨコを早く倒さないと、ボーンとゴブリンに殺されるって事なの?」ボーンとゴブリンは俺よりも近くにチビカミとヒヨコが居ると襲い始める。


 「どうなってんだ?次から次へとドンドン出て来るぞ。」モグラたたき状態で倒しても倒しても出て来る。魔石を拾っている暇が無い。


 速射ショットも交えてガンガン倒して行く。


 「ん?収まった。」モンスターフィーバーが収まったのか、モンスターが出て来なくなった。


 落ちている魔石をようやく拾える。草原のせいで半分も見つかってない気がするけど、すでに50以上は拾っている。


 拾ってから水を飲んだらボーンが土から起き上がって来た。


 「倒したけど・・・・やっぱりモンスターフィーバーなのね。」またして次々と出て来る。


 「1回目は驚いて殲滅が遅れたけど、分かっていれば楽勝なんだよ。」来るのが分かっていれば、サクサク倒せば問題無い。


 2回目のフィーバーは想像以上に早く片付いた。


 「何気に魔石拾いが手間だな。一回のフィーバーで魔石いくつとか決まっているのかな?」


 そう言う訳で数えてみる事にした。


 3回目は142体。4回目は188体。5回目は99体。


 「数えるのも面倒だけど、法則って有るんだろうか?100体以上200体未満とか?確信持てるまで時間が掛かり過ぎる気がするぞ。」


 面倒なので何も考えずに倒す。


 草原が暗くなってきたから門に戻って外に出ると真っ暗だった。


 「仕方ないから、その辺で寝るか?」道の隅で眠る事にした。

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