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30 ダンジョン実習5

 「どうしたの?」ダンジョンから出てきたらリグ達が待って居た。


 「どうしたって、一人で中層に行ったって聞いたからさ、無事に戻れるか待ってたんだよ。」


 「ダーリンさんは怪我は有りませんか?」今日はエメルダは一人だ。


 「ダイジョブだよ。それで、侍女さんは上手くやってる?」


 「どうしようか考えてるみたいですよ。なんか楽しそうだし。」


 「やっぱりダーリンが何かしたんだ。エシャロットが親切になったから警戒しちゃったよ。」


 「親切?」


 「今までは私が手の届かない物を取ってくれた事なかったのに、急に取ってくれる様になったのよ。」確かにシアンの身長だと苦労する事も多そうだ。


 「仲良くなったなら良かったよ。」


 「兄貴の方は一人で大丈夫だったの?」


 「蝙蝠とゴブリンだから問題は無かったぞ。変なイモムシが出てきた時はビビったけど。」


 「11層のワームと戦ったの?」


 「ワームって言うんだ。攻撃すると体液を飛び散らせて気持ち悪い奴な。」


 「糸は吐かれなかった?」


 「糸を吐くんだ。捕まると動けなくなったりするの?」一人で動けなくなるって致命傷だから対策が必要になるな。


 「動きづらくなるだけらしいよ。ギルドに行けばダンジョンの情報って公開されているから、一回行った方が良いよ。」


 「その情報は初耳だぞ。」


 「僕も知らなかったよ。僕もシアンも冒険者になる予定が無かったから、ギルドに付いては詳しくなかったからね。20層位までならギルドの方で把握しているらしいよ。」


 「15層までの情報は調べたのか?」


 「調べたけど教えないよ。兄貴も自分で知った方が良いと思うからね。僕にも見落としは有るから、兄貴がギルドで調べたら擦り合わせは歓迎するよ。」


 「リグって慎重だよな。」


 「兄貴が考え無しに行動するからだよ。」


 「はははは」笑って誤魔化す。




 今頃はみんなダンジョンに入っているんだろけど、俺はこの前の食堂でサバの味噌煮定食を食べてからギルドにやってきました。


 「す すみませんが、ダンジョンの・・・なんだっけ?」何が聞きたかったんだっけ?ギルドのお姉さんに緊張してド忘れしてしまった。


 「ダンジョンの情報ですか?」お姉さんは特に嫌な顔をせずに対応してくれた。


 「そう それです。」


 「それでしたら、2階に係の者がいますからそちらで聞いて貰えますか。」


 「分かりました。ありがとうございます。」栗色の髪の笑顔が可愛いお姉さんにこれ以上迷惑はかけられないので、早々に2階に上がって行く。


 2階に着くと本棚が並んでいて、その奥に机が置いて有り中学生くらいの男の子が座っている。


 「ちょっと聞きたいんだけど良いかな?」


 「どうしました。」金髪で青い目をした少年だ。


 「ダンジョンの情報について調べたいんだけど、どこにあるかな?」


 「どこのダンジョンですか?」


 「学院で使っているダンジョンだと思うんだけど、門から出てすぐの所にある。」


 「ああ。《教育用ダンジョン》ですね。それでしたら、こちらです。」そう言って先に歩いて行くので付いて行く。


 「こちらの資料になりますが、此処で読まれるのでしたら小銅貨1枚です。」どうやら読むだけで金をとられるらしい。


 「ちなみに此処で読む以外の選択肢って有るの?」一応聞いてみる。


 「借りる事も買う事も出来ますよ。借りるのは一日小銅貨5枚で買う場合は大銅貨1枚になります。」


 「どうしようかな?12層から15層までの情報が欲しいだけなんだよな。」文字の勉強中だから読むのに時間掛かるだろうしな。


 「それでしたら書き写しましょうか?一層分で小銅貨10枚でどうです。」


 「そんな事出来るの?」


 「仕事の合間にやりますので、少し時間は掛かりますけど。」


 「どの位掛かるかな?」


 「一層分なら一日で必ず届けられます。」目が(任せろ)って言ってる。


 「届けてくれるの?」


 「はい。学院の寮に届ければ良いですよね?」なんて便利なサービス。


 「じゃあ。お願いできるかな?」


 「承りました。12層から15層までの4層分でよろしいですか?」


 「せっかくだから16層もお願いできる。」


 「5層分ですね。前金で半額頂いても?」


 「全額前金で払うよ。そうすれば寮に届けて置いてもらえばすれ違いも無くて楽でしょ?」


 「良いんですか。毎日一層分を届けるだけなので私の方は楽ですけど・・・」


 「じゃあ。そういう事で支払いね。」小銅貨が50枚有ったので手渡す。


 「12層から順にお届けしますね。」


 その後は食べ物を売っている店に行ったけど、その店にはナッツと干し肉位しか置いて無かった。冒険者用の店に行かないと色々な種類の保存食は常備して無いらしい。


 ナッツを壺二つと干し肉を買って帰った。





 町に居ても特にやる事が無いので学院に帰って来て久しぶりに基礎魔法の授業に来た。


 ダンジョンの教習中なのに思ったよりも人が多い。


 「みな~さん。始めてくだ~さい。」先生の号令と共に魔力の玉を作る。


 普段からダンジョンでやっているからなのか?前よりも簡単に出来るぞ。


 「これはいけるんじゃね?」魔力の量を増やしてゆっくり回転させると大きくなっていく。ガチャガチャのカプセルサイズがソフトボールに・・・さらに一回り さらに一回りって大きくなっていく。


 なにこれ楽しいんですけど。


 「す~ばらしいですね。あなたは次のステップに進んでくだ~さい。」


 「え~っと片手で手の平の上で作れば良いんだっけ?」


 「そのと~り。今の感じならそれ~ほど時間はかからないと思~いますよ。」


 とりあえず挑戦してみる。片手でやると手の平と反対側がどうしても回転が遅くなって、玉が変形して魔力が外に外に逃げて行ってしまう。


 結局、その日の内には出来る事は無かった。




 どうやって魔力を回せば良いんだろうか?って考えながら部屋に戻ると、部屋のテーブルの上に手紙が置いて有った。


 「なんだろ?」とりあえず開けるとダンジョンの情報らしい。


 「仕事が早いな。12層の敵は・・・そ  そ  ソード・・・」読めない。


 「ヨシ。明日はユメカ先生の所で文字を教わってこよう。」と言う事で風呂入って寝た。




 「先生。文字を教わりに来ました。」


 「君は勉強嫌いなのに珍しい事も有るものだな。」


 「この紙に書いて有る事を読める様になりたいんだ。」


 「どれどれ・・・・ダンジョンのモンスターの情報だね。確かに実際に使う情報を読み解いた方が学習には向いていると思うが・・・少し難しいと思うぞ。」




 「どうかな?」


 「難しいよ~心が折れそうだよ~。」


 「それでも進んでいるんだろう?何が分かったか言ってみたまえ。」


 「12層のモンスターはソードボーンで、片手が剣の様になっているボーンって事は分かった。」


 「ソードボーンの情報としては十分だな。弱点や属性と注意事項が書かれているが・・・特に必要な事は無いと思うな。」


 「そうなの?覚えなくても大丈夫?」


 「此処の弱点や属性と言う単語は何度も出て来るから覚えた方が良い。他の言い回しについてもいずれは覚えると思うぞ。」


 「じゃあ今日は終了。頑張った俺。」


 「良かったな。」


 「そう言えば先生って俺が来ない時はこの部屋で何しているの?」ふと気になったので聞いてみた。


 「生徒が誰も居ない時は、他の教員が遊びに来るぞ。後は預けられている学校機材の魔力の補充や点検をしているな。」


 「先生ってメカを弄る系の人だったの?」


 「そう言う訳じゃ無いが、簡単な回路の故障なんかは直せるからな。」


 「話は変わるけど、片手で魔力の玉を作るのにコツとかって無い?」目の前で作って見せるけど、歪んで回転している。


 「もう少し小さくした方が良いんじゃないか?玉は小さい方がコントロールは楽になるぞ。」


 「ホントだ。」一回り小さくしたら歪みが減った気がする。




 「やっぱりダンジョンの方が性に合っているな。」10層の地図を埋めるのにフラフラと歩く。蝙蝠もゴブリンも楽勝だから散歩状態だ。


 「あれって・・・確か。」少し先に行ったところに大きい石が置いて有る。


 「宝箱なんだっけ?」あの時二人が夢中になっていた訳が分かる気がする。なんかワクワクしてくる。結構ダンジョンに入っている気がするけど、これで2回目って考えるとやっぱりレアなんだろう。


 「よし」覚悟を決めて触れると石が光になって消えていく。残ったのは1・2ミリ位の小さな青い石が付いたイヤリングだった。


 「おしゃれグッズだ。間違いなく俺には似合わないな。」誰かに上げれば良いな。


 収納空間に入れて徘徊していく。


 「ナイスアドバイスだユメカちゃん。」片手でもピンポン玉サイズなら歪まずに魔力の玉をつくれた。飛んでくる蝙蝠を打ち落とす。


 「もしかして両手で出来るんじゃ?」試しに両手に魔力の玉を作る。


 「おお。俺って天才なんじゃね。もしかして、これが俺の転移チートだったり。」両手に同サイズの魔力の玉が出来た。


 「回れ。回れ。」なんでか同時に回らない。同じ感じでやると両方がフワッて浮かぶ感じで何も起きない。


 「仕方ないな。右左の順で回すか。右 左」少しずらすと簡単に回る。両手だから回転は片手でやる時よりも遅い。


 「くらえ。」左で一撃だ。二匹目は右で・・・うん当たらないね。仕方ないので剣で突き刺した。


 「やっぱり右手で投げるのは無理があるかな?ボール蹴るなら右も左も蹴れるんだけどな。」


 「暇だし右で投げる練習でもしてるか。」出て来た蝙蝠は右手で速射ショットを撃って、当たらなかったら左で撃って近くなら剣で倒せば良いか。


 結局ダンジョンに居る時間が短いので10層をコンプリート出来ずに終わってしまった。





 「リグってさ。パチンコは右でも左でも撃てるの?」たまたま風呂で一緒になったので聞いてみる。


 「どうだろう?考えた事も無かったよ。いつも右手で引いてるや。」


 「今日は10層でこうやって両手で作ってみたんだけど、左は普通に当てられるんだけど右が当たらないんだよ。」


 「兄貴のそれって暇つぶしだよね?」


 「そ そんな事無いぞ。俺は攻撃手段を広げる努力をしているだけで、決して遊んでる訳じゃ無いんだ。」


 「出来無いよりは出来た方が良いから別に良いと思うけどね。そう言えば情報は集めたの?」


 「おう。ギルドの子に書き写して貰ってるよ。今日には13層の情報を届けてくれる予定だ。」


 「兄貴って子供にお金払うの好きだよね。」


 「相手は男の子だぞ。文字の勉強にもなるし、必要経費だろ。」


 「一枚いくら?」


 「小銅貨10枚。」


 「高いよ。半額にさせなよ。」


 「いやいや。子供が一生懸命働いてるんだよ。応援したいじゃん。」


 「別に良いけど、お金は大事だよ。」分かるけど金貨も使わずに持って居るし、こっちの世界ってお金を使う事が少ないんだよね。


 あっちでは生きているだけでドンドン金が減ってたけど、今のところ生活費は爺さん持ちなのか請求されないし。


 「そう言えば、ダンジョンで宝箱を見つけたぞ。」


 「本当に?何が入ってたの。」話を逸らす為に言っただけなのに、食いつきが半端ない。


 「このイヤリングが入ってたよ。」収納空間から取り出して見せる。


 「特殊な効果が有ったりするのかな?」


 「特殊な効果が有っても俺には似合わないぞ。」


 「シアンにプレゼントすれば?髪の色と同じ感じだし似合うんじゃ無いの?」


 「う~ん」確かにシアンは喜びそうだけど、エメルダだったら・・・ほえって顔しそうだな。高級なプレゼントは親しくないと逆効果って話を聞いた気がするし、シアンに上げるか。


 「兄貴はシアンの事をどうするつもりなの?」


 「シアンも可愛いけど、娘?妹?って感覚なんだよ。女性として見ろって言われてもな。」


 「まあ、そういう感覚の付き合いでも良いかもね。でも、女の子として扱ってあげなよ。あっちは兄貴の事が好きなんだからさ。(まあ放って置いても、シアンが変化の魔法で落とすだろうけど)」後半はボソボソ言っててなんか聞き取れなかった。


 「気を付けるよ。」


 風呂を上がって部屋に戻ると封筒が置いて有って、紙が4枚入っていて16層までの情報が揃ってしまった。

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