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26 ダンジョン実習2

 「か~め~は~め  波~~」黒い髪の男の子がボーン吹き飛ばす。


 「ジャステンやった。これで5人共必殺技が出来たな。」子供達がみんなで協力して遊んでいる姿は微笑ましい。


 「師匠。」俺の前にボーンを倒した少年ジャステンが来た。


 「うむ。ジャステンも免許皆伝だな。」ふざけてボーンを一撃で倒せた子に免許皆伝って言ったら、こうなってしまったが悪くない。


 「やったー。」ピョンピョン跳ねて喜んでいる。


 「俺はそろそろ帰らないといけないから無理は絶対にしないようにな。使い過ぎると疲れて戦えなくなるからな。」砂時計(魔力時計)の砂が全部落ちてしまったので帰る時間なのだ。


 「師匠 また会えますか?」


 「約束は出来ないけど一人の時は2層の辺りをフラフラしていると思うから、また会えたらな。」


 「その時までには僕達も必殺技を鍛えておきます。」


 「ああ。期待しているよ。」そう言いながら出口石でダンジョンから出る。なんかカッコ良くない?俺。


 「ダーリン?どうしたのにやけて。」次の瞬間にシアンが目の前に・・・


 「なんでも無いよ。」イキナリ現実に戻されると恥ずかしくなる。


 「兄貴の事だからスケベな事でも考えてたんじゃないの?」


 「想像の中で私で楽しんでたりして。」両手を頬に当ててイヤイヤしているけど、違うぞって言わないでおこう。





 「今日からは本格的なダンジョン教習が始まる。パーティーはこちらで組んで有るが、問題が有る様なら変更していくので報告をしっかりと行え。以上だ。」いつも緑の髪の女の先生だ。


 「え~と、俺はどのパーティーだろう?」一人一人番号札を貰って、同じ番号の人とパーティーを組んでダンジョンの9層に降りるらしい。ちなみに俺の番号は3番で有る。


 「3番の奴らは何処だ。」


 「げ」声のした方を見るとリグのライバルが3番と書かれた紙をヒラヒラと掲げている。


 「お前、ガストンと一緒に居る・・・」あっちも嫌そうな顔だ。


 「あ。カミーラさん。僕らは一緒ですね。」3番の紙を見せて3人の貴族が集まった。たしか仲良し3人組だった気がする。


 「ダーリンさんも3番ですか?」後から声を掛けられた。


 「エメルダも3番?」俺の知っている数少ない一人が同じパーティーなのは心強い。出来ればリグかシアンと一緒が良かったけど、始めの時点で違うのが分かっていたからな。


 「聖女様が俺達と同じパーティー。」3人がガッツポーズしている気がするぞ。


 「コイツと一緒って最悪の人選ですね。アイナに何か有ったら学院はどう責任を取るつもりなの?」エメルダの侍女も同じパーティーらしい。


 「俺ってどういう風に思われてるのかな?」


 「性欲の塊。最も下賤なるものってところよ。」小声で言ったのに拾われてしまった。


 「性欲の塊・・・」エルフが俺の事をジッと見ている。ザ・エルフって感じの美女だ。この世界のエルフって・・・馬車の旅で聞いた話を思い出して股間が・・・


 「ナーガ。私の後ろに。」そう言って、侍女さんがエルフと俺の間に入って、俺を睨み付ける。


 「全く男と言うのはエルフと見ると発情するなんて、オスエルフと変わらないわね。誰彼構わず発情するのは止めて貰える。」俺の後ろにも目を向けるので、後ろを見ると仲良し3人組もモジモジしている。


 「これは先生に言った方が良いかもしれませんね。」


 「エシャ。実習に関係無い事で先生に言うのはダメよ。それに彼らが何かした訳では無いんだし。」


 「何か有ってからじゃ遅いでしょ。」


 「何を騒いでいるんです。」銀髪の細身の女性が来た。学生はローブを着ているけど、ローブを着ていない所から見て先生なんだと思う。


 「このケダモノたちと一緒のパーティーは不安だと思って、先生に言った方が良いかを相談していたんです。」


 「3番のパーティーは私が受け持つので、そのような心配はありませんよ。」チラッと俺を見る視線が色っぽい。


 「問題は解決しましたね。では、話し合いを始めて下さい。」





 「僕がリーダーとして指示をする。聖女様は後ろで回復担当、貴様は前衛で盾になれ。」リグのライバルが勝手な事を言い出した。


 「ちょっと待ちなさい。誰をリーダーにするのかを決める前に各自が何を出来るのかを自己紹介なさい。何も考えずに発言するところから見ても、あなたはリーダーには向かないでしょう。」


 「な 僕はサイゼリエール家の当主になる男だぞ。他人の指示に従う訳にはいかないだろ。」


 「安心なさい。今のままなら学院の卒業は出来ませんから、当主になる事はありませんよ。」


 「何を言っているんです。僕とお父様の間では話は付いているんだ。それを学院の教員風情が。」


 「学院を卒業するという事は深層に潜ると言う事です。貴族がなんだと言っている様な子供は深層に行く頃には死んでいるか、恐怖でダンジョンには入れなくなっていますよ。ダンジョンに入れない貴族が当主になど成れる訳が無いでしょう。」


 「・・・・・」サイゼリエール君が銀髪の先生をメチャメチャ睨んでいるけど、先生は素知らぬ顔だ。


 「俺は前衛しか出来ないよ。」ここは最年長として一番に声を上げた。空気も変えたいし。


 「僕達は魔法使いだ。中衛か後衛になる。」サイゼリエール君が続いて言う。


 「分かっていると思いますが、私はヒーラーです。」


 「私は何処でも出来るわ。聖女の護衛だから当然だけど。」


 「わ 私は斧で戦うから前衛かな?」


 「え エルフなのに斧なの?」見た目からは想像の付かない選択肢だ。普通に細身の剣か杖じゃ無いの?


 「わ 私は魔力を そ 外に出すのが 苦手だから・・・」話をすると金髪でキラキラした感じのエルフが、弱弱しい感じの小動物の様な雰囲気が出て来る。


 「では、この中での暫定リーダーはあなたね。」そう言って先生が侍女の子をリーダーにした。


 「チッ」サイゼリエール君が舌打ちしている。貴族と言うよりもゴロツキに近い気がするな。


 「それでは行きますから付いて来て下さい。」そう言って銀髪の先生は突然走り出した。





 「すげえ足が速い。」後ろの人達を置いていく訳にもいかないから全力では無いけど、追い付ける気がしない。


 「なんで  走らないと   いけないん  だよ。」サイゼリエール君が苦しそうに走っている。他の二人も辛そうだけど・・・女性陣は余裕そうだ。


 「着きましたよ。」


 「だらしない男達ね。」侍女さんはとても男に厳しい性格の様です。


 「ではリーダーさん。陣形を決めて、この階層の攻略を始めて下さい。私はあなた達の力量の評価の為に居るのであって、護衛ではありませんからね。」


 「分かりました。お前はナーガと前に出て、お前らは後ろを固めろ。アイナは私と一緒に全体を見渡せる所に居て。」サイゼリエール君は何か言いたそうだけど、息が上がって話が出来ないのか黙って従うみたいだ。


 「俺は前に行けば良いんだね。」そう言って先頭を歩く。


 「ちょっと待ちなさい。後ろを見て離れすぎない様に、気を使いながら歩けないのあんたは。」後ろを見ると3人が遅れていてずいぶん離れていた。


 「前」エメルダが叫んだので振り返ると三匹のゴブリンが走ってきている。


 間合いに入ったゴブリンに一歩踏み込んで、後ろの奴の進路に向って蹴り込む。一番後ろのゴブリンが飛び出したところを剣で弱点を刺して、先頭を走っていた転んだゴブリンの弱点を蹴り飛ばして離れる。


 最後の残ったゴブリンには後ろから斧が飛んで来て首が飛んだ。


 「前衛の二人を下げて後衛の3人を前衛に変えて下さい。」


 「分かりました。後衛の3人は前に出て、前衛の二人は私達のすぐ前で後ろからの攻撃にも備えてもらう。」リーダーの指示に従ってエメルダと侍女さんの近くにナーガちゃんと二人で移動する。


 「なんで僕らが前衛なんて底辺の仕事をしなくてはならないんだ。ふざけるな。」安定のサイゼリエール君に俺は感動してしまうよ。


 この異世界は俺の知っている(ラノベの)異世界とあまりに違い過ぎる。サイゼリエール君はまだまだソフトとは言え、定番のクソ貴族で見ていると安心してくる。


 「現状では君達3人の評価は出来無いが構わないかな?」


 「僕達を中衛にして、コイツを盾にして戦う事を提案する。」


 「なんで俺が?関係なくない。」男に指名されても嬉しくないぞ。女の子だったら喜んでやるけど。


 「主に彼のせいであなた達の評価が出来ないのだけど。それで構わないと言う事かしら?」まさかの俺のせい発言。


 「く。評価評価とバカの一つ覚えが。お前ら少し前に行ってモンスターを止めろ。」クソ貴族も学院の評価は重要らしい。


 「あなた達のサポートも見ていますからね。」彼らが少し離れた所で先生が小声でナーガちゃんと俺に言ってきた。


 「来たぞ。」サイゼリエール君が大きな声で教えてくれる。文句は言っていても、しっかり前衛の仕事はしてくれるらしい。クソ貴族あるまじきだ。俺の好感度は低下したぞ。


 「くらえ。」ゴブリン2体に対して距離が有るのに魔法を使った。シアンみたいに足元から炎が立ち上がる様な魔法なら問題無いだろうけど、飛んで行った氷の矢をゴブリンも危なげなく躱す。


 「ゴブリンの分際で僕の魔法を避けるな。」


 「プッ」なんで戦っている相手が避けたら怒るんだよ。俺を笑わせて評価を落とす作戦か?我慢だ。我慢。


 俺が笑いを堪えている内に3回も魔法を撃って、全部避けられてからのサイゼリエール君の激高が続く。同じネタが続いて飽きてきたので大丈夫になった。


 そろそろ距離的にも近くなってきたし、前衛3人が魔法を撃つよりも少しだけ早くマジックショットをゴブリンに撃って避けさせる。


 「ヨシ。手間かけさせやがって。」4連続で氷の矢を撃った3人は、肩で息しているけど大丈夫か?


 「つ 次のゴブリンが き 来たよ。」ナーガちゃんの小さな声は俺には聞こえた。今度はゴブリンさん3名様がご来店である。


 「あんた達、次が来たわよ。しっかり引き付けてから魔法を撃ちなさいよ。」侍女さんの声が響く。


 「言われなくたって分かっている。」


 今度は頑張って引き付けているけど、まだ離れているのに今にも撃ちたそうにしている。こんな状態じゃ簡単にフェイントに引っかかるけど、大丈夫だろうか?


 「たあ。」一人が我慢できずに氷の矢を撃ったら、次々に撃つ。せめて一体に集中して撃てば良いのに何でバラバラに撃つんだこいつ等?


 避けたゴブリンが走って向かって来る。次弾を撃つよりもゴブリンさんの到着の方が明らかに早いから、威力は無いけど連射出来るマジックショットを足を狙って撃つ。


 マジックショットに当った奴は転んで、避けた奴も体勢を崩した。3人の魔法が間に合って無事に倒せた。


 「少し休ませてくれ。魔法を連続で使ったから・・・」3人共グッタリしている。


 「本当に使えない。たかだかホブゴブリン相手にどれだけ魔法を使っているのよ。頭大丈夫?」


 「あれってホブゴブリンなの?剣は持ってないのに。」一応先生に聞いてみる。


 「ゴブリンとホブゴブリンの違いは大きさです。一番弱いゴブリンであれば、一回り小さいし魔法を避けたりしませんよ。もっと下に行けば剣を持っているのも出てきますよ。」


 「そうなんだ。」外で戦ったホブゴブリンってなんだったんだろうか?


 「さっさと後ろに下がりなさいよ。使えないわね・・・・・・文句が言えるくらい元気なら休憩は要らないわね?」サイゼリエール君が何か言おうとしたのを侍女さんの一言が黙らせた。


 「では3人が休憩している間は、あなたがサポート役で他三人で守りなさい。」


 「俺がサポート?女子が前衛なのに?」


 「下に潜るなら自分の身は自分で守れる様でなければ通用しませんから必要な事です。」俺には反論出来そうに無いので黙って従う。





 休んで居たら前から1体、後ろから2体で挟み撃ちになってしまった。こういう場合ってどうすれば良いんだ?


 「わ 私が い 1体足止めするから ふ ふたりをお願い。」ナーガちゃんがそう言って前の1体に向って行った、


 「てや。」侍女さんもクソ貴族と同じように避けられているぞ。聖女の護衛じゃ無かったっけ?


 「下がってエシャ。」エメルダがそう言って杖を両手で持って、先端遠くに伸ばすようにして構えた。


 「光よ。」杖の先端から光のビームみたいのが放射状に飛び出して、ゴブリン達に降り注いで跡形も無く消し飛んだ。


 「さすが聖女様だ。」休んでいるクソ貴族が言ってるけど、明らかにオーバーキルじゃない?


 前を見るとナーガちゃんがゴブリンを真っ二つにしてた。

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