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10 能無しのダンジョン3

 「なんかメチャメチャ進化している。タイラ ダンマーク2魔法使いバージョンって感じ。」楽々スライムを撃ち抜ける。指二本で同時に二発出してスライムを倒したり出来る。


 「あんまり飛ばすと続かないから、交代でやっていくよ。」今回はリグもパチンコを使わないで、マジックショットを使っている。


 「あれ、なにこれ?」魔石が黒いのと透明なのの2種類落ちているのかと思ったら、透明な方が明らかに柔らかくて魔石とは別物みたいだ。


 「それは【スライムの核】よ。ポーションの原料になるんだって。」


 「と言う事は高く売れたりするの?」


 「スライムの魔石と同じで10個で小銅貨1枚よ。」


 「魔石の方が効率良いんじゃない?」柔らかくて割れやすそうだし、数は少ないし。


 「私は集めて無いよ。」


 「ちょっと割ってみよう。」地面に叩き付けてみると水風船のようにベチャっとなった。指でツンツンして見ると・・・まあスライムだね。


 「ちょっとダン。遊んでないで変わってよ。」


 「はいはい。」リグと交代して先頭になる。






 「また行き止まりかよ。」いい加減スライムを倒すのに飽きて来た。前回よりも余裕だと思ったけど、だんだん疲れて来た。


 シアンがすぐに壁の方に居るスライムを焼き払ってくれる。


 「痛ってえ。」Uターンしようと振り返ったら足を滑らして転んだ。


 「どうなってんだよ。」立ち上がろうとするけれど、右足が滑って立ち上がるのに時間が掛かる。


 「ダーリン。足焼くよ。」俺が答える間もなく右足の足元から火の手が上がる。


 「あーーー。」燃える燃える。って消えた。


 「どう?動ける?」


 「え?う うん。」右足が滑らなくなった。


 「ダン交代して、さすがにそろそろ限界。」


 「そろそろ撤退した方が良いんじゃない?私はまだ余裕あるけど、ダーリンに合わせてたら前と同じになると思うよ。」


 「そうだね。シアンが魔法を使ったら壁の方まで走って。」


 「わ 分かった。」


 次の瞬間にスライムたちが燃えて居なくなる。リグとシアンが走って壁の方に向かうので付いていく。


 リグが壁の方に向って何かを投げると光の柱が二本出て光の壁が出来上がる。


 「なんか幻想的な光景だな。」二人が先に光の壁に飛び込んだので、俺もプールに飛び込む様にダイブ。


 「な へぶあお。」顔面から黒い何か突っ込んだ。


 「ダーリン大丈夫?」周りを見ても真っ暗で何も見えない。


 「首がちょっと痛かったけど、大丈夫だと思う。なんで真っ暗なの?」


 「そりゃ夜だからでしょ。」


 「そういう事か。」シアンが魔法で光る玉を出してくれたので見えるよになった。


 「とりあえずダンの家まで戻るよ。」


 「やっぱり、あれって俺の家で良いのかな?」嬉しくないけど、無いよりは有った方が良い。






 ひと眠りして起きると辺りは明るくなっていた。窓の無い建物の中なのに明るいって問題だよね。


 二人がまだ起きてないので、とりあえずナッツの壺を出してモグモグする。ナッツだけしかないとリスになった気分になるな。


 「おはよう。」シアンが起きたので声を掛けるけど、完全には覚醒してないみたいでボ~ッとしている。


 「あれ?ダーリン。此処は?」


 「ダンジョンの近くのほったて小屋だよ。」


 「あっ そうだった。他のも出した方が良い?」


 「せっかくだから全部出してよ。」


 「はい。それと器と箸もどうぞ。」


 「この世界にも箸ってあったんだ。」


 「使える人たちは持ち運び用は箸を使っているよ。食堂とかは使えない人も居るからスプーンとかだけど。」


 「何食べてんの?」リグが起きて来た。


 「ダーリンが壺で沢山買った奴だよ。」シアンが箸を渡そうとしたら、リグが拒否した。


 「リグも食べな。別に金払えなんて言わないからさ。」


 「でも・・・」リグ用の皿に適当に乗っけて手に無理やり押し付ける。


 「そう言えばさ。【スライムの核】って色々使い道有りそうじゃない?」あの時は忙しくて考えられなかったけど、考えれば色々使い道は有りそうな気がする。


 「燃えるからモンスターに投げつけてから魔法で燃やしたりとか、足元に撒いて滑らしたりって使い方は聞いた事が有るけど。」


 「どちらにしても量が必要だからあまり使われないみたいよ。」


 「滑らしたり燃えたりってオイルみたいな使い方は出来るって事ね。剣に縫って燃やすとか?」なんで呆れた顔をするんだ二人して。


 「ダンの世界じゃ分からないけど、この世界では鉄は熱に弱いんだ。熱した剣で叩くと折れやすくなるし、燃えている剣で切ったところでモンスターには熱が伝わらないし意味無いでしょ。」


 「この世界には燃える剣は無いのか。」定番の武器が無いなんて。


 「有るわよ。でも炎が出ているんじゃなくて、魔力の波が炎に見える剣よ。実際には魔力の波が結界とかに干渉するから良く切れるって話ね。」


 「やっぱり高いの?」


 「値段は分からないの。」


 「僕も有名な剣だから聞いた事は有るけど、オークションで出品されるクラスだと思うよ。」


 「なるほど。」俺もいつか【炎の剣】を使ってみたい。






 みんなでご飯を食べた後は再度ダンジョンに来ました。


 少しだけリグが嫌そうな顔をしたけど、反対はしなかったので良いって事でしょう。


 せっかくなので宿屋の食堂で調理してもらう為のウサギの肉を調達している。俺が倒してリグとシアンで両足の解体。一人で解体していると片方の足が終わるころには光になって消えちゃうからね。


 「どう?結構集まったかな?」


 「100切れは有るから、そろそろ行こうか。」リグの判断に従って未踏破のスライムエリアに向って歩き始める。


 「そう言えばシアン。」


 「な~に。」


 「【スライムの核】を集めて欲しいんだけど。」


 「何か良い使い道でも思いついたの?」リグが先頭を歩きながら顔だけ向けて聞いて来た。


 「そう言う訳じゃ無いんだけど、そう言う物って使いたい時に限って手に入らなかったりするじゃん。持ってれば何か閃くかなと思ってさ。」


 「シアン量は少なめにしておいてね。」リグに注文を付け足された。


 「は~い。」






 再びスライムエリアにやってきました。


 「うおおおお。俺って天才。見よフィンガーフレアボムズ。」5本のマジックショットを撃つ事が可能になった。テンションが上がる。


 「ダン。無駄だよ。2体しか倒せてないじゃない。」


 「カッコイイじゃん。俺の才能が羨ましいからってひがむなよリグ。」乗りに乗ってるぜい。


 「シアン。格の違いを教えて上げてよ。調子に乗ってるとこのオッサン死ぬよ。」


 「そうね。成長が早い人は早死にしやすいって言うし、私がお手本を見せてあげるね。」


 「残念だったなシアン。人間には10本しか指は・・・何それ。」空中から無数のマジックショットが発射されている。10や20じゃ効かない位の量だ。しかも、一発も外している様には見えない。


 「どお。凄い。」


 「凄いです。」なんだろう一気に自分が恥ずかしくなってきた。テンションが急降下して死にたくなってきた。


 「じゃあ、交代でやっていくよ。ダン。」






 「スライムエリアは強敵だな。」限界まで頑張ったけど、スライムエリアは突破できずに出口石を使って表に出た。今回は明るい時間に出て来たので転ぶ事も無かった。


 「ダンは元気だね。僕はもうクタクタだよ。」


 「でも、この時間なら町まで帰れるね。晩御飯はウサギ肉。」シアンはウサギ肉が気に入ったらしくて、ダンジョンでも二回焼いてあげた。


 「リグ、疲れたんなら小屋で休んから行くか?」


 「大丈夫。あの小屋に居ても休んだ気にならないから、町まで早く帰りたい。」


 「じゃあ、帰りますか。」そうして帰路についた。


 「パーティー名は何にするの?」町に続く街道を歩いているとシアンが聞いてきた。


 「俺は名前を付けるの苦手なんだよね。」


 「ダーリンの名前を入れて考えれば良いんじゃない?」


 「う~ん。自分の名前を使うのってなんか抵抗が有るんだよね。主人と奴隷とシアンとかどう?」


 「真面目に考えて無いでしょ。それならチーム ダンで良いよ。」疲れているハズのリグが急に元気になった。


 「パーティー名が自分の名前って、どれだけ自己主張が強いんだよって思われない?」


 「別に珍しくは無いと思うけど?」シアンまでチーム ダンにしたいのか?


 「そうだ。シアニールとかどうよ。カッコ良くない?」


 「シアンと僕の名前をくっつけてどうするのさ。それを言うならシアダンでしょ。」


 「ほらな。なかなか良いのがでないだろう。」チーム ダンは回避できただろうか?


 「ダーリンに関係の有る名前が良いよね。」シアンさんはどうしても俺を絡めたいらしい。


 「元の世界で役職とかに着いてなかったの?」


 「着いてる訳無いだろ。平社員だよ。平社員。」なんて失礼な子なんでしょ。給料が多くて使う時間もたっぷり有ったら異世界何て来る訳無いだろう。


 「良いじゃんそれ。カッコイイ。」


 「は?平社員のどこがカッコイイんだよ。」


 「私も良いと思う。平社員にしようよ。」


 「マジですか?」これがジェネレーションギャップって奴なんだろうか?いや、異世界ギャップなんだろうか?


 「良かったね、ダーリン。良い名前が決まって。」


 「今日から僕達は平社員だね。」本当に良いのかそんなんで?二人が気に入っているから別に良いけどさ。チーム ダンよりはマシって事で我慢しよう。良い名前が出てきたら変えれば良いし。





 「この肉なら一枚中銅貨買い取らせてくれ。もし、足の骨付きなら3枚だしても良い。」宿屋のちょいメタボ台形のオッチャンにウサギの肉を夕飯用に出したらこの反応である。


 「100枚以上有るけど全部?」リグもビックリのお値段である。


 「俺の方には骨付きも10本入っているけど、そんなには要らないよね?」焼きやすい様に切っていたのが面倒になって後で良いやってなったのが俺の収納に入ってた。


 「もっと持って来てくれても良いぞ。」なんだかんだで大銅貨が2枚の稼ぎになってしまった。


 ギルドで魔石を換金したところで中銅貨10枚くらいにしかならないのに20倍の稼ぎだ。我がパーティーのお母さんリグがご機嫌だ。


 「う~ん。美味しい。」持ち込んだウサギ肉を食べれてシアンはご満悦の様だ。やっぱりダンジョンで焼いた奴よりもだいぶ美味しい。考えてみれば焼いただけで塩も振ってなかった。


 「明日はダンジョンに行く前に塩・・・・」


 「塩がどうしたの?」


 「そう言えば、こっちの世界では調味料ってどんなのが有るんだ?」考えてみれば塩だけで味を付ける必要なんてない。調味料が有った方が良いに決まっている。さすがに出汁関係は無いだろうけど選択肢は多い方が良い。


 「ダンは食べ物に拘るね。調味料は種類が多いからどんなって言われても答えようが無いよ。この前買った壺の奴で使われている調味料なら手に入るんじゃない?」


 「期待できそうだな。醤油みたいな調味料も有りそうだし、唐辛子とか砂糖も有ると思う。」


 「今回は儲かったから大銅貨一枚までは共同資金から出しても良いよ。足が出るならダンが出してね。」


 「本当にご機嫌だな。」


 「そりゃ大銅貨2枚何て簡単には稼げないからね。まだ、魔石を換金してないのにだよ。そりゃ気分も良くなるよ。」


 「じゃあ、明日からはウサギ狩りだな。」


 「いくらになるか楽しみだね。」リグがニヤリとスケベそうな笑顔を見せた。

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