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第18話 ドキドキ合宿!

俺は今南国のリゾートにいる、俺たち以外に人はおらず貸し切りのような状態、多分この土地を買っているのだろう。一軒家五個分くらいはあるであろう別荘を背景に海で大はしゃぎ…している三人を遠目で眺めている。綺麗な新山さんと可愛いMyuiが揃っているというのは非常に眼福、なのはこれがただの遊びだったらの話で今回は一応合宿だ、今のところただ遊んでいるだけなのだが。


 「水が綺麗すぎだろ~」

 「陽太!!なにかけてくれとんじゃあ!!」

 「ふふ、楽しそうでなによりだ、私も水遊びに加わるとしよう」


 海の水がぐにゃりと湾曲し滝のような水の塊が陽太とMyuiに降り注ぐ、質量に押しつぶされ流されている二人を見ながらゲラゲラと大笑いしている。どんな神経をしていたらこの状況で笑顔が出るのだろう、頭のネジが一本どころか20本くらい外れているんだろう。師匠に失礼な感情を抱いたということはいつものお決まりの躾けの時間がやってくる、砂浜から見ていたはずの体が一瞬で二人が流れているところまで移動した。


 「おれ!泳ぐの苦手なのに…!クソが!!アバババアあ…」


 マジで溺れる三秒前に体がつままれたように宙に持ち上げられ高い場所から三人を見下ろす。この光景はなかなか悪くない、陽太を除いた二人は俺が逆立ちしてもなにをしても地位、名誉、金、その全てで勝ち目のない二人を見下せている。自然と口角が上がりニヤニヤしてしまう。


 「おい新山ぁ!龍ぜええったいに俺らのこと見下しとるぞ!!」

 「なるほど、もう躾が終わったと勘違いしているのか」


 師匠が指をパチンと鳴らすと俺は地上何メートルなのかすら分からないはるか上空から落下する、落ちていくごとにスピードは上昇し水面が大きくなっていく、聞いたことがある高すぎる場所から落ちると水もコンクリートのように固くなると…死ぬことは確定で一瞬痛い思いをすればどうせ蘇生してくれるのだからその瞬間を乗り越えれば無傷で起き上がれる、目を瞑りその瞬間がくるのを待つ。なのだがいつまで経っても衝撃は来ない、ゆっくりと目を開くと水面が目の前にある。流石の師匠も弟子がバラバラになって死ぬのは見るに堪えないのだろう、ホッとして降ろしてくれと頼む。


 「もう降ろしてくださいよ~!!もう十分でしょ~!!」

 「反省していないようだね、自力で陸まで上がっておいで」


 ゆっくりと水中に落下する、少しくらい泳いでやろうと思ったが足が付かないほど水深が深く俺は一人で慌ててしまう。無我夢中で体を動かし水面に浮上し、中学生の時に授業で泳いでいた時の記憶を引っ張り出し必死に陸に向かう。かなりの時間をかけようやく地面に足がつく。


 「こ…殺す気か…」

 「当たり前だろ?」

 「お前弟子には優しくしいや…」


 性格が悪いMyuiも軽く引いている。なぜ俺たち四人がこんなところにいるのかというと…



 数時間前


 「じゃあどうするんですか…?」

 「合宿だ!!」


 夏と言えば海での合宿が定番ではあるもののスポーツをする訳でもないので外に出る理由はあまり感じられない、そもそもバカみたいに熱いのに家を出るなんてありえない話なのだ。


 「えぇ…それ本当にしないといけないんですか…?」

 「当たり前だろ?今回のメインは夢見君だ、君がいないと彼が気まずいだろ」

 「それにラノベだというのに水着回がないなんてありえないからね、存分に参考にするといい」


 確かにサービス回というのは読者は常に待ちわびているだろうし、アニメ化したときにビジュアルのいい女の子たちが水着を着ていると心の健康にもいいだろう。それに俺の貯金では海に行くほどの余裕は少しもない、渋々師匠からの提案を受けることにする。


 「具体的にはどこでなにをするんですか?」

 「私の所有している南国の島で一週間の合宿だ、メンバーは私たちとMyuiと夢見君の四人だ」

 「それ食事とか作業環境はどうするんですか…」

 「フフッ面白いことを聞くんだね、そんなのなんとでもなるのは分かっているだろう?」

 「そうですね…」


 相変わらずやりたい放題が過ぎるがこの人がやる気になってしまっている以上断るという選択肢は存在しない。俺と陽太は予定なんてものはほぼないに等しいが有名人の二人はスケジュール的に一週間の余裕なんてあるのだろうか。師匠は俺を連れMyuiの自宅と思われる場所にテレポートする。


 「やぁ、頑張っているね」

 「げっ、何の用や新山」

 「今から四人で合宿をするよ」

 「はぁ?五日後に締め切りのイラストあるから無理や!」


 やはり余裕なんてなかった、Myuiに来る仕事なんて重要度の高いものだろうし俺らに構っている暇なんてないだろう。本音を言うと唯一師匠と対等なのはMyuiなので彼女に断っていただきたいだけだ。


 「当然だが拒否権はないよ、PC一式は現地に揃っているからそこで進めるといい」

 「ここでやるから行かへんぞ」


 その調子で何とかしてほしい、俺は反論したらどんな目に合うか分からないし、陽太は疲労で頭が回っておらずポカンとしている。この場で対抗できるのはMyuiしかいないのだが…


 「断るのならラノベは書かない」

 「はぁー!?ふざけんな新山ぁ!!」

 「五秒で選択したまえ、5~、4~」

 「分かった分かった!!行けばええんやろ!!」


 どうやらあのMyuiですら師匠とは対等ではないようだ。俺たち四人のパワーバランスは師匠が飛びぬけていてその下にMyui、その下に二人の差より大きな差をつけられ俺と陽太がいる。つまり誰も師匠には逆らえないのだ。


 「では出発だ」


 時間は現在に戻る、乗り気ではなかったMyuiも師匠が用意した水着に着替えている、陽太は何故自分がここにいるのか分かっていないが水着美女二人に綺麗な海でテンションが爆上がりし何も気にせず大はしゃぎ。今のところ合宿というよりバカンスだ。日が沈むまでビーチバレーやウォータースポーツで大盛り上がり、師匠以外の三人はヘトヘトになりながら室内に戻る。師匠の魔法で綺麗に体を洗われ髪も自動で乾かしてもらいすんなり夕食の時間だ。


 「で、合宿ってなにするんや」


 ラーメンにチャーハン、エビチリに回鍋肉の中華料理を大食いしながらMyuiが問いかける。


 「君たちに疲労を感じず睡眠を必要としない魔法をかけた、これから不眠不休でレベルアップをしてもらう」


 フレンチのフルコースを上品に食べながら師匠が答える。


 「そんなん家でも出来るやろ」

 「環境を変えるのも大事なことさ、私や君は気にしなくても九重君と夢見君は気にするだろうからね」


 確かに一週間近くを作業に費やしたことなんてしたことがない、仕事が立て込むこともないので缶詰とは縁のない俺たちだ。ずっと同じ部屋で同じ風景を見ていたら精神が崩壊してしまうかもしれない。そんなことを焼肉を食べながら考える、今は普通に暮らしていたら絶対に食べれないであろう高級な肉を堪能させてもらう。


 「ほな陽太始めるかぁ」

 「えぇ!!花火とかしないんですかぁ!」

 「いいアイデアだね夢見君、外を見てごらん」


 皆で窓の外に視線を向けるとそこらの祭なんれ比較にならないほど派手な打ち上げ花火が大きな音を立てながら爆発している。


 「「すげー!!」」

 「ふんっ!」


 綺麗な海で遊び豪華な食事を楽しみ打ち上げ花火を眺める、この合宿が楽しいのはここまでだった。 

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