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第0話 異世界転移


 ときは、大河龍二たいがりゅうじが異世界に転移させられた頃までさかのぼる。


 会社を定時であがり、自宅に帰宅した後、愛犬のさくらと戯れつつPCでネットを軽く流していると、突然、何もない真っ白な空間にいた。


 他に言い様がない。


 まさに、気が付いたらそこにいたのである。

 龍二が辺りを見渡すと、同じように混乱している人が多数存在していた。

 制服を着ている者、スーツ姿の者、くつろいでいたのか部屋着姿の者もいる。

 その数、百人近く。


 彼らは異変に気づき、ざわめきはじょじょに大きくなっていった。

 聞こえてくる声は日本語だけではなかった。

 その白い空間には日本人だけでなく、外国人もいたのだ。


 そんな中、混乱する龍二たちの前に現れたのは、世界の守護者を名乗る者であった。拡声器を使うでもないのに、その声は遠くにいたはずの龍二の耳にもはっきりと届いた。


 曰く、『表世界の理が崩壊した。このままでは裏であるこの世界に悪影響が出てしまうだろう。儂はこの腐った裏世界のことなどどうでも良いが、雀の涙ほどの慈悲はある。貴様らに己の運命を切り開くチャンスを与えてやろう』と。


 それを聞いて混乱は更に加速して行った。

 そこへ一人の若者が世界の守護者に詰め寄った。


「何言ってんだジジイ! とっとと俺たちを元に戻せクソッタレ!」

『それは無理な話じゃ』

「戻せって言ってんだろ。ぶっ殺すぞ!」

『戻してもいいが、その場合死ぬだけじゃぞ?』


 その言葉に若者は絶句する。

 その様子に気にした様子もなく守護者は平然と言ってのける。


『今日、この刻に死亡する者をここに集めた。貴様らの選択肢は表世界へ行くか元の世界で死ぬか……それだけじゃ小童こわっぱ


 小童呼ばわりされたことにカチンときた若者が守護者に殴りかかる。

 それが引き金となり周囲にいた者たちも次々とそれに加わっていく。


 それを見て慌てた者たちがいた。

 龍二もそのうちの一人だ。


 このどう考えても異常な状況の中の異常な人物を刺激するなど自殺行為と言ってもよい。守護者はどう考えてもこの場のキーマンであった。龍二のように理性が残っていた者たちは何とか守護者に対する暴行や罵声を止めることに成功する。


 守護者は暴行を受けていたと言うのにかすり傷一つなく、平然と嗤っている。


 周囲が混乱する中、龍二はと言うと何故か落ち着いており、守護者の説明を冷静に待っていた。

 辺りが静まるのを待って守護者は言葉を続ける。


 ここにいる者たちには、これから異世界に行ってもらうと。


 今から出す赤、青、黄の三種類のクリスタルを選ばせてやると。


 それによって、身分、能力、装備が決まると。


 詳しいことは情報開示ステータスで確認しろと。


 それを聞いた者は、多くの者が我先にとクリスタルを奪い合うように選んでは消えていった。その様子を見ていた守護者は、歪な笑みを浮かべているだけで何も言わなかった。


 後に残っていたのは、冷静に守護者の話を聞いていた者だけであった。


 意識の高い者は、醜くも先を争ってクリスタルを奪い取るように選んで行った者たちのことを謝罪する者までいた。

 無理やり異世界に行かされると言うのに。


 龍二はと言うと特に意識が高い人間であった訳ではなく、なるようになると思って冷静でいられただけだった。


 すると世界の守護者はわずかに残った理性ある者たちに褒美として虹色と緑色、紫色のクリスタルを追加で選ばせてやると言った。


 残っていた者は淡々と虹色、紫色、緑色、赤色、青色、黄色のクリスタルを選ぶと、この空間から消えて行った。


 そして龍二の番が回ってきた。

 龍二も前の人に倣って淡々と、六種類のクリスタルを選んだ。


 そして異世界に飛ばされる瞬間、守護者の声を聞いた。


 『世界の声に耳を傾けよ』と。

お読み頂きありがとうございます!

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