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【実話】母の学生時代の思い出

作者: 浅井明子

これは、私の母が高校生だったときの実話です。


ある日の下校の時のこと。

母と、母の友人のノブちゃんは自転車で通学していました。


ノブちゃんのほうが母より自転車をこぐのが早く、母より一足先に数百メートル先の橋に到着して、母を待っていました。

ノブちゃんはイライラしながら、母に向かって「おそーい!早く~!」ですとか「あんたは何をやっても遅いね~!」と叫んでいました。

自転車にまたがったまま、橋に片足をかけているそのポーズの憎たらしいこと。

母は(私だって、一生懸命に自転車を漕いでいるのに!)と思い、悔しさをこらえながら必死に橋へ辿り着きました。


すると……なんと!

母が橋に辿り着くまでのたった数分の間で、ノブちゃんがこつ然と消えているではありませんか!

母は(私を置いて一足先に帰ってしまったのではないか?)とも考えましたが、それにしたっていなくなるのが速すぎます。

周囲をキョロキョロと見渡していると、微かに人の声が聞こえました。


「助けてぇ~……助けてぇ~……」


その声は、明らかにノブちゃんのものでした。

しかし、いくら母が見渡してもノブちゃんの姿は見つかりません。


まさか…!


母がハッとして橋の下を見ると、川岸に自転車ごと倒れているノブちゃんの姿が有るではありませんか。

橋に足をかけていた時に、バランスを崩して転落してしまったらしいのです。

母はその場に自転車を停めて、助けるよりも先に腹を抱えて笑い転げました。

何しろ、自分を鈍くさいと嘲笑っていたノブちゃんが、橋の下に自転車ごと落ちるという更なる鈍くささを披露していたのです。


(これは笑わずにはいられない!)と思ったそうです。


もちろん、一通り笑った後にはちゃんと助けたそうですが。

幸いにもノブちゃんはすり傷程度で済みましたが、あれから数十年経った今でもこの時のことを言われるとのこと。


「あの時ほど、あんたを冷たい人だと思ったことはないよ!」


そのように罵倒されても、あの時の話をされると母は笑いがこみ上げてしまうそうです。

しっかり者だと勝手に思い込んでいた友人が、意外にもおっちょこちょいであったという思い出でした。

母はそんな友人に、これまで以上に親近感が湧いたのは言うまでもありません。


今でも悪態をつき合いながら、友情は続いているようです。


おしまい

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