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17 驚きの提案

 レジスタンスのリーダーに会うという驚きの提案について、ワタルが説明し始めた。


「実は、先日のレジスタンスの集まりで、破壊活動の検討を提案してみたんです。僕が武装蜂起の工作をしているように見せようと思いまして」


「その集まりでは、幸い時期尚早だろうという結論になったのですが、後でリーダーに呼ばれ、僕の本心でないことがあっさりバレてしまいまして……」


 ワタルが申し訳なさそうに言った。まあ、優しく誠実な彼の人となりを知っている者なら、何か裏にあることはすぐ分かるだろう。


「僕はリーダーに、近々理由を話すから、少し待って欲しいと伝えました」


「ここで変に隠してしまうと、信頼関係にヒビが入るかもしれませんし、お互いの思い違いで不測の事態になるかもしれません。僕は、リーダーには正直に話そうと考えています」


「ですので、その場に皆さんがいらっしゃれば、一気に話が進むかなと思いまして……」


 確かに、リーダーに不審に思われているなら、正直に話した方がマシかもしれない。


 とはいえ、こういった場合の対処法など、キリトもワタルも全く分からない。軍人であるエルンなら少しは分かるだろうか。


 キリトはエルンに聞いてみることにした。


「エルンさんはどう思う?」


「そうですね……会う場所や出席者はどうなっていますか?」


「職員宿舎を考えています。僕は庶務担当の補佐の部屋に居候してるのですが、たまたま補佐が帝都へ出張なので、その間にリーダーを招こうかと」


「なるほど。場所は安心ですね。レジスタンスのリーダーに会える機会は滅多にないでしょうし、会ってみてはいかがでしょうか。どこまで正直に話すかは、そのリーダーの人となりを見て考えれば良いかと」


「よし、じゃあ会ってみるか。日程は決まってるの?」


「ありがとうございます! はい、ちょうど休日前ということで、今晩を予定しています」


 ワタルが嬉しそうに答えた。思ったより急な話だった。



† † †



 その夜、キリトはティムを伴って私服で公邸を出た。表向きは、エルンの部屋で食事会をするということにしている。


 ワタルと事前に相談して、キリト達は身分を隠して「ワタルの同僚」として会うことにした。その後どこまで話すかは、その場の状況次第だ。


 キリトはとりあえずカジュアルスーツを着ることにした。

 日本にいた頃はジャージやスウェットばかり着ていたが、こちらの「キリト」は貴族ということもあるのか、ラフな服を持っていなかった。


 ティムはパーカーにズボン姿で、オードブルや飲み物の入った袋を両手に持っている。

 シンプルな服装だが、その整った顔立ちもあって格好良い。


 キリト達が職員宿舎のワタルの部屋の前まで行くと、すでにエルンが部屋の外で待ってくれていた。


 エルンは、タートルネックのインナーにゆったりとしたニットセーターとズボン姿で、ティム同様シンプルな服装だ。

 その飛び抜けた美しさが際立つものの、やはり性別ははっきりと分からない。最初に会った時に聞いておけば良かった。


「それでは入りましょうか」


 エルンが部屋の呼び鈴を鳴らした。

続きは明日投稿予定です。

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