もう一度会う日を望んで
覚えていることしか書いてないんで、内容が変かもしれないです(というよりも変です)。
僕がまだ小学生の頃、告白した女の子がいた。その子は4年生の頃に転校してしまったけど、毎年夏になると帰って来ていた。6年生の時のこども会主催の運動会のこと、その子は帰って来ていたので他の友達二人と学校に向かった。今その運動会について覚えていることと言えば障害物競争に出たことぐらいだが、彼女についてはよく覚えていることがある。それは彼女をおんぶしていたことだ。何を言ったかは覚えていない、というかだいぶ失礼なことを言った覚えがあるが、背負って学校を歩いていたのは覚えている。その後、友達の家で遊ぶことになり、ゲームをして遊んだ。対戦ゲームやパーティゲームをした後、彼女がその場から離れた時、友達の1人が彼女についてどう思っているか聞いてきた。僕は好きなのかもしれないと答えたが、今になって考えてみると、友達に対する感情と混同していたかもしれないし、本当に好きだったのかもしれない。
彼女が転校を知って、この場所からいなくなる日、僕は小学生のこづかいでは少々高いいちごを買って渡した。いちごを選んだ理由は単純に彼女がいちごを好きだったからだ。あの時は恋心というよりはただただ友達としての贈り物だった。少し前の出来事を忘れていても、彼女と一緒にいた時のことはよく覚えている。一緒に悪戯を仕掛けたこと、ゲームをしながら笑いあったこと、そして転校すると言ったときのこと。彼女は親が転勤するけど、高校生ぐらいになったら帰ってくると言っていた。僕たちはその言葉を信じた。また集まって一緒に遊べることを望んで。
話は変わるが、僕はなくなった、しなくなったものに対して強い執着心が湧くようだ。水泳を辞めたときも、もう一度泳ぎたいと。剣道を辞めたときも、競い合いたいと。彼女がいなくなったときも、もう一度会いたいと願った。
話を小学6年生の時に戻して、彼女が戻ってきて家に帰るとなったとき、僕は彼女を家まで送っていくことにした。既に夕暮れになって少し暗くなった頃、僕は彼女に告白した。小学生にキザな言葉が言えるはずもなく、ストレートに好きです、と言ったが返答は曖昧なものだった。その時は頭が回っていなかったが、彼女は次の日には向こうに帰ってしまう、だから返答出来なかったかもしれないし、友達相手だから断ることをためらったのかもしれない。僕が彼女のその時の心情を読み取れた訳ではないが、困っていたように思える。
彼女を家まで送った後、友達の家に一度戻りその事を話した。その時の僕は有頂天になっていたのであろう、異性に対しておんぶするなど、初めての経験だったから告白は成功したとでも思っていたんだろう、少しの違和感にも気付かずに。
彼女は次の年、僕たちが中学生になったときも戻って来ていた。夏休み、僕はそんなことを知らずに友達の家に行き、遊びに誘っていた。友達は彼女が戻っていたことを知っていたかは知らないが、家では遊べないから家の外で喋ろうということになった。一時間ほど話していると、彼女は他の友達を連れてやってきた。告白について話はしなかったが、その時は楽しい時間を過ごせた。次の年からは会えなくなるとは知らずに。
2020年の2月頃から新型コロナ感染症が流行し始めた。外出もまともに出来ず、友達と遊ぶことも少なくなった。当然彼女が戻ってくることもなかった。学校に行っても辛いことが多く、家に帰っても、父親は叫び散らし、母親は理不尽に怒り、気が沈んでいたことが多かった。その時僕は友達から勧められたライトノベルを読んで、順当にオタクの道に入っていっていたが、それだけではストレス解消を仕切れずに溜まっていった。それでも、気が沈んだ時に「死にたい」と思わなかったのは彼女や友達の存在を思い出していたからだ。自分勝手で自己中心的な話だが、僕が死んだら彼女や友達が悲しむと考えて「死」ということをできるだけ考えないようにしていた。今は比較的楽観的な考え方をしているが、それは僕が自己嫌悪に陥らないように明るい音楽を好きになったり、暗い展開になる小説は読まずに恋愛小説を読んだりするようにして、自分の気持ちを保っている。これをすべて止めたとき(そんなことは絶対にないが)には楽観的な考えをしようとするだろうが、辛いものばかり考えて、また中学2年生の頃のように戻ってしまうだろう。僕が彼女達を精神の拠り所にする事を減らした理由は、自分勝手な考え方で彼女達を利用することが嫌になったからだ(自己嫌悪に嫌悪感を抱くとは本末転倒な気がするが)。今はもう既に高校2年生、彼女が帰ってくるといった時期となったが帰ってこない。それはやはりコロナによる親の仕事の遅延であろう。それ自体は仕方がないと思うが、コロナも規制が緩くなった今、一年に一度帰ってくることも出来ると思うが、高校生にもなると忙しい上に来年には受験が迫っている。僕が目指すところは推薦だからそこまで準備しなくてもいいが、彼女達は受験準備に追われているだろう。それでも、大学に行って皆が離れる前にもう一度会って話したい。僕の恋心自体は年月が過ぎそれが本当にあったものなのかすら分からなくなってしまったが、それを確かめるためにも、会いたいと願う。全員が離れて行く前に。あの時遊んでいた友達の家はないが、彼女の家はまだ残っている。小学校の頃から、外にある自転車も、チラシが大量に入った郵便受けも、そのまま残っている。変わったこともあるが、変わらないこともある。全てが変わってしまう前に、もう一度集まって話したい。ただそれだけを願う。