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ギルド壊滅二日後

言葉は力

言葉は呪い

この世には、知ってはならない言葉がある――

(知識の神・タナリスの聖典・第五章第一節より)




 ペタの街の冒険者ギルドが壊滅状態になって、二日が過ぎた。


 幸いなことに、死者は出ていない。ギルド支部の建築物も、保管された遺物もすべて無事である。

 しかし、所属する冒険者の大半がケガを負い、ギルドは機能停止の状態にある。

 ギルドによって維持されてきた辺境の治安は不安定化しており、各種遺跡の調査活動も停滞、または中止を余儀なくされている。


 私はペタの街のギルドマスターとして、関係者から証言を集め、今回の悲劇がどのような経緯で起きたのかを記録に残そうと思う。


 この悲劇を巻き起こした犯人は、明白である。

 賢者バーダイク。

 知識の神タナリスの賢者である。


 その人物が、突如、発狂し、冒険者たちで(にぎ)わう酒場を襲撃した。


 ちょうど、夏至の祭りだったこともあり、ギルドに所属する冒険者の半分に該当するメンバーが、問題の酒場に集まっていた。

 襲撃が開始されたとき、酒場にいなかった他の冒険者たちも、バーダイクを取り押さえるべく集まってきたが、彼らも返り討ちに遭ってしまった。


 では、バーダイクはなにゆえに発狂し、冒険者たちを襲撃したのか?

 被害者、加害者の周辺から聞き込みを行っていくと、共通する一つの言葉があることが判明した。


 それは「ケノーバ・ゲシャン・ヒベ」である。


 バーダイクは呪いの言葉を研究していた賢者である。

 この言葉に込められた、何らかの呪術的な効果を受けて、彼は正気を失ったのかもしれない。

 よって、現在、すべての関係者にかん口令をしいて、この言葉を発音しないように指示している。この言葉の詳しい意味については、これから、ペタの街に住む他の賢者や、他の街の魔法の専門家を招いて、調査をする予定である。


 なお、バーダイクの身柄は、未だに確保にいたっていない。

 既に逃亡して隣国にいるという見方もあるが、ペタのダンジョンに潜ったという情報もある。ペタの街をまた襲撃するのではないかと懸念(けねん)する声もあり、予断を許さない状況である。


 ケノーバ・ゲシャン・ヒベ


 この言葉の意味は、これから明らかになるのだろうか?

 この言葉は、どんな深淵を秘めているのだろうか?

 賢者は、なにゆえに正気を失ったのか?

 我々はまだ、その真実を知らない。


知識の神タナリスいわく

「オチを見破ってレビューに書くような読者は、夜にトイレから大蛇が現れて丸のみにされる」



ゆめゆめ忘れるなかれ

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