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ようやく出発?

疲れた頭脳戦の後は?



22時におかわり有ります。

 昨日の疲れるゲームから一夜明け、朝の仕度を済ませた俺達は、ユリアさんやケランさんに最長一年ぐらいの旅になる事を伝えて屋敷を出て、領主館に足を運び、旅の挨拶を終わらせてリンやランの故郷を目指す旅を始めた。



 移動はいつもの身体強化を掛けた馬達による爆走で、途中の魔物もゴブリンは相変わらずだが、オークやオーガが目立ち始めて、少し討伐が楽しかったりする。ゴブリンと比べてだけど。

 馬車の御者席にはリンとランが俺の両隣に居る。心しか機嫌が良い。

 馬車の中は混沌としていた。揺れているにも関わらず、トランプを使いゲームに興じている。

 因みに、トランプは過去の勇者達が頑張って後世に遺した物の1つ。

 俺達は幾つかの村を通り過ぎて、本日の宿泊地の村に到着した。馬車も泊められる宿屋が普通に有り、そこに決めて店主に1日宿泊を頼んだ。

 俺達は村を散策しながら、噂や最近の話を聞いたりしていると、黒い衣装の集団をたまに見掛けるらしい。もしかしたら、リンやランを襲った連中かもしれない。

「今の私達なら問題ありません。襲って来たら逆に捕らえて真相を究明しましょう。」

「ランも同じー。」

「リン。ラン。分かった。奴らが襲って来たら捕まえよう。」


 村内の聞ける所は済まして宿屋に戻り、夕食を済ませて明日に備えて就寝する。


 翌日。


 俺達は爆走する。たまにゴブリンやコボルトを轢きながら。正直、「洗浄(クリーン)」が有るから轢き逃げも平気になり始めている。馬達も荒ぶっている。いくら身体強化を掛けているとはいえ、馬とは思えない武者振り。やはり、名前が名前だからかな?

 そんなノンストップな爆走馬車で走り続ける事、半日過ぎた辺り、今日の宿泊地の村に到達した。


 昨日と同様に馬車が泊まれる宿屋に馬車を預けて店主に1日宿泊を頼んだ後は、村を散策しながら噂や最近の話を聞いて廻った。


 情報収集をしていると、気になる話が有った。

「最近、この先の村から人が来ないらしい。正確には、3日前辺りから人が来ていないとの事。」

 リンとランは表情を変えていた。

 俺達は直ぐに此処を出て、リンやランの町に行くべきと提案したが、リン自身が出るには遅すぎると止めた。だから、俺は明日の夜明けに出発しようと提案した。

 リンもこの提案は承諾した。


 俺達は宿屋に戻り、店主には明日の夜明けに出発する旨を伝えて、少し早い夕食を済ませて部屋に入った。

 俺は明日の事を考えてもう寝ようかと思った時にドアがノックで鳴いた。

「今宜しいでしょうか?」

「どうぞ。」

「失礼します。」

「リンとラン。どうしたんだい?」

「セツナ様に少しお話をしたいと思いまして、夜分にお邪魔させて頂きました。」

「それで話とは?」

「はい。明日向かう私達の故郷の町は、少し特殊な町なのです。」

「どう特殊なんだい?」

「町長の血統を辿ると南の大国バイコウの王族に繋がります。更に、現町長の夫人は南の大国バイコウの現国王の三女です。」

「何故、南の大国バイコウの現国王の三女が、幾つも有る町の1つに嫁ぐの?幾ら(さかのぼ)れば繋がりが有るとはいえ。」

「はい。私にも分からないのです。」

「ん?その言い方?」

「そうです。お察しの通り、私は現町長の長女です。」

「実はそうなんだー。」

「今まで隠していて申し訳ありませんでした。」

「別に隠していた事は気にしないよ。俺も隠していたからね。」

「ありがとうございます。だから、もし町に異常が有れば、それが原因かもしれません。」

「そうか。リン、良く話してくれた。この事は他の皆には話したの?」

「いえ、まだです。先ずはセツナ様からと思っていたので。」

「分かった。リン。皆に話しても問題無いと思うよ。きっと俺と同じ様な反応だと思う。」

「はい。私もそう思います。」

「しかし、話の内容を考えるとランは必要だったかな?流石のリンも1人では心寂しかったのかな?」

「いえ。実はランはランで話が有りまして。」

「そうなのか?」

「リン。ここからはランが話すよ。」

「ランはリンと同じ町で育ったけど、生まれ故郷では無いんだ。ランの生まれ故郷は、北の大国クロツバキらしい。」

「……そうなのか?2人は仲が特に良いから、生まれた時からかと思ったよ。」

「セツナ違う。生まれ故郷が違うランは、リンだけが友達だった。」

「分かった。今はもうこれ以上を言わなくてもいいよ。いずれ、言いたくなったら話してよ。きっと、ランの話をしても皆も気にせずに、今までと同じ様に接してくれる。ランが今までもこれからも大事な大切な仲間で有る事は変わらないからね。」

「ありがとうー。」


 俺達は(しばら)く抱き締めあったが、リンとランは部屋に帰っていった。



 翌日の夜明け頃


 俺達は店主に金を払い、リンとランの故郷の町を目指した。

 途中に話に有った村が有って入ったが誰も居なかった。この村には悪いが俺達にとってはリンとランの方が大事なので、無情だが無視して移動を開始した。

 爆走する事、3時間くらいでリンとランの町「シュカ」に到着した。


 到着すると町は沈んでいて、(ほとん)ど人が見えなかった。居たとしても、項垂(うなだ)れていた。


「おい!何が有った?」

「この町の次期町長夫人と次期町長の長男の娘サラちゃんが、昨日の夜に黒い衣装の集団に浚われたんだよ。かなり、抵抗したから大騒ぎになって一夜のうちに知れ渡り、町はご覧の有り様だよ。」

「町長は何もしてないのか?」

「何もしてない訳無いだろ。捜索隊を結成して、既に出ているよ。」

「そうか。悪かったな。」

「いいよ。」


 俺達はリンの誘導で町長の家に向かった。到着すると、リンは慌てて中に入っていった。俺達も後を追いかけた。


「リン、帰って来ていたのか。今まで連絡も無く、1年以上を何処にいたんだ?」

「お父様。そんな事よりも、昨日の夜に何が有ったの?」

「ああ。昨日の夜中に黒い衣装の集団が家に忍び込んで来たんだ。元々、この家は王族が降家する事も有るから、それなりに防犯に力を入れている。だから、直ぐに対処が出来たのだが、結局は長男の妻と孫のサラが浚われてしまった。」

「そうだったのね。」

「リンこそ、今まで連絡もせずに何処にいたんだ?」

「私は依頼に失敗して、恐らくはその黒い衣装の集団にランと一緒に捕まっていたのを、此方のセツナ様に助けられて今まで一緒に旅をしていたの。」

「初めまして。この冒険者パーティーのリーダーのセツナと申します。

 それでですが、互いに積もる話も有るでしょうが、今は浚われたご夫人とサラちゃんを見つけ出して助けるのが先です。」

「そうだな。」

「何か手掛かりは有りませんか?」

「心辺りは今捜索中だ。」

「分かりました。俺達も探しに出ます。」

「宜しく頼む。」

「大丈夫です。リンにとって大事な人なら、俺達にとっても大事な人ですから。皆行こう!」





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