スタンピード前編
いよいよ、スタンピード編です。
上手く緊迫感出せるかな?
途中、第3者の視点に変わります。
魔物暴走と呼ばれるソレは、大雑把に2つに分ける事が出来る。
1つ目は、ダンジョン内の魔物が飽和状態になり、いつしか許容出来ず外に溢れ出し、そのまま魔物が暴走を始める場合。
2つ目は、普段は人が立ち寄らない森の奥等に、魔物が何らかの切っ掛けで集まりだし、規模を大きくしていく中で、魔物の上位種やそれを支配する「ジェネラル」や「ロード」や「エンペラー」等が誕生し、上位種以上が知性を持つようになり、魔物の集団を束ね、何らかの切っ掛けで暴走を始める。
2つに共通する事は、1番近い「村」や「町」や「都市」等を襲う事。質が悪い事に暴走先が村だと、再び次に近い村を襲う。
今回は2つ目だな。「オークロード」を確認したって言ってたし、この辺で1番近いのはこの都市ミズナヤだしな。
「私はギルドマスターに報告します。」
「私は領主様に報告に行きます」
「おれは仲間に教えてくる。」
「おれも。」
「おれもだ。」
受付嬢さん2人が冒険者から詳しく聞き出し、1人は報告の為に2階へ行き、もう1人の受付嬢さんが領主館に向かった。
それにギルド内に居た冒険者達もそれぞれに行動し散っていった。
俺達はギルドマスターか受付嬢さんが指示等を伝えに出てくるまでの間にどうするか話し合った。
「どうする?俺としては防衛戦に参加するつもりだけど、皆の意見は?」
「セツナ様に賛成です。何よりミリスちゃんを危ない目に遇わせたくありません。」
「ランも賛成ー。ランはミリスちゃんを守るー。」
「セツナ殿に吾も賛成だ。ここで逃亡しても冒険者としての未来は無い。」
「セツナはん、アチシも賛成だよ。」
「分かった。ギルドの指示がどうなるか判らないが、回復系ポーションを10本に毒消し薬と麻痺消し薬を各5本ずつを皆に渡す。」
「セツナ様、こんなに渡して大丈夫ですか?」
「大丈夫だ。ポーションだけなら、後100本以上有る。」
「なら、大丈夫だー。」
「後、セレンとミヤには俺が所持している武具を渡す。まあ、鍛治屋に行って調整してからになるけどな。」
「セツナ殿、良いのか?」
「問題無い。こういう時の準備は万全だ。」
「セツナはん、アチシはやり過ぎやと思うが?」
「後悔するよりはマシだと思うからね。」
俺は皆にポーション等を渡して、ギルドの指示を待っていると、2階から受付嬢とギルドマスターらしき女性が出て来た。
「私がここのギルドマスターです。受付嬢からの報告でスタンピードの可能性が有ります。
ギルドとして、もう1度スタンピードの有無と規模の確認。更に『ロード』以外の上位種が居ないかの確認をします。
防衛戦に備え、回復系ポーションの確保や他の町に情報を渡し、これらを領主と連絡を取り合い連携します。
冒険者の皆さんは、この都市を出るか明日以降の防衛戦に参加するか決めて下さい。もし、防衛戦に参加するのならば、今日中に準備を整えて備えて下さい。
そして、今日の夕方までには報告が終了しているでしょう。ですので明日の9時にギルドとして発表します。防衛戦に参加する冒険者は時間までにギルド前に集合して下さい。」
ギルドマスターは一気に伝える事を伝えるとまた奥に向かった。
「さて、皆。鍛治屋に向かいますか。」
「「「「はい。」」」」
俺達は以前の鍛治屋に到着して、店主にセレンとミヤの武具を渡した。
「今日中に仕上げておく。明日は早めに開けて置くから、閉まっていたら構わねえから儂を呼びだせ。」
「店主、頼みます。」
「店主殿、頼み申します。」
「店主はん、頼んます。」
俺達は、宿屋に戻りのんびりと過ごし、明日有るかもしれないスタンピートに備えた。
~~~~~~~~~視点変わり~~~~~~~~~~
都市ミズナヤの冒険者ギルドのギルドマスターは今
「何て言う事なの! スタンピードの可能性なんて!!」
「有って欲しくはありませんが、可能性は高いかと。」
「とりあえず、時間の掛かる他の町への報告は行かせてあるわね?」
「はい。」
「領主様との連絡は密に頼むわ。」
「既に手配済みです。」
「起こって欲しく無いけど、スタンピードが本当だとしたら、ウチの戦力は?」
「はい。……言い辛いのですが、運が悪い事に上位ランクの冒険者は依頼で都市を出ております。」
「何とか呼び戻せないかしら?」
「難しいかと思います。1番近い所でも伝えに行くだけで1週間は掛かります。」
「領主様の衛士をお借りして当たるしか無いかしら。」
「領主様の衛士は人族なら慣れておりますが、魔物相手は不慣れなので厳しいかと……。」
「それじゃあ、どうすれば良いの?都合良く英雄が現れる訳ないし!」
「………………!?」
「どうしたの?」
「どうにかなるかもしれません。」
「どういう事?」
「今、この都市にはCランクの冒険者が居ます!」
「今更、Cランクの冒険者やパーティーが1人や2人居ても焼け石に水よ。」
「勿論、只のCランク冒険者ではありません。」
「じゃあ、何よ?」
「アルスランのCランク冒険者が今、この都市に居ます。」
「え?あのアルスランの?」
「そうです。余りにも審査が厳しくて、アルスランのCランク合格者は他のギルドでは、『Aランク』相当と言われているあのアルスランです!!」
「それなら直ぐに呼び出して、相談を……」
「慌てないで下さい。もし、明日の防衛戦に参加するつもりなら、今は準備中の筈です。それにスタンピードの可能性を聞いて万が一、この都市から逃げている場合はもう手遅れです。」
「そうね。なら、準備をしながら報告を待ちましょう。」
あれから数時間後
「はい。どうぞ。」
「ギルドマスターに報告します。
スタンピードは確実です。恐らくは明日の昼前後にこの都市に到着する可能性が有ります。
上位種は『オークロード』一体の他に『ジェネラル』が最低でも3体確認。総数は推定一万前後です。」
「ご苦労様です。下で報酬を受け取り、今日は休んで下さい。」
「……ギルドマスター。」
「仕方ないわ。準備しながら覚悟して、明日に備えましょう。」
「はい。ギルドマスター。」
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