自由時間と同好の士~其の2
鍜治工房では何が起こるのか?
「へぇ。此処が鍜治工房か。」
「はい。此処が我が国の専属鍜治工房です。」
俺達は鍜治工房に到着した。
規模もそうだが、外観と更に内観も機能性を有しながら、美しさも兼ね備えていた。
「ソレイユさん。」
「はい。何でしょうか?」
「鍜治工房にちょっとした依頼をしても良いですか?」
「問題ございません。」
「すみませーん。」
「何だ、坊主? 後ろに居るのはソレイユ御嬢様。どうしてこの様な場所に?」
「私は今、この方々をご案内している所です。それで、この方の御依頼を受けて頂けないでしょうか?」
「それは構わないが、上の許可は取ったのかい?」
「大丈夫です。問題ございません。」
「分かりました。坊主、何が欲しいんだ?」
「短剣を15本。剣としては実用本位で、鞘は王族に献上しても問題無い装飾を銀色を中心にお願いします。」
「ほう。オレ達の事は分かっている様だな。よし! 任せておけ。15本だな。1週間後に用意しておく。」
「お願いします。」
俺達は可能な範囲で鍜治工房を見学した。
一通り見終わる頃に昼食の時間になったので、鍜治工房を後にしてソレイユさんと一緒に昼食にした。
昼食を食べ終わるとソレイユさんが、話し掛けてきた。
「セツナ様。先程の鍜治工房との話の中で、私には解らない内容がございましたが、どの様な意味が含まれていたのでしょうか? 差し支え無いのでしたら、お教えて頂けますか?」
「それは、短剣の注文の事?」
「はい。」
「あれは、基本的に鍜治等の職人は飾るだけの物を作りたく無いんだ。だから、剣なら武器として、鎧なら防具としての扱いを希望するんだ。」
「そうなのですか。」
「そうなんだ。だから、あの時、短剣は武器として使う事を前提とした扱いにするから、向こうは納得したんだ。」
「なるほどです。セツナ様、ご説明ありがとうございます。」
「どういたしまして。」
「セツナ様。この後はどうされますか?」
「そうだな……、あっ! リオンさんに呼ばれ無かった場合の予定が有ったんじゃあ……」
「セツナ様。御心配ありがとうございます。明日に回しても問題ございません。」
「なら良いんだが。」
「では、改めてお伺いします。この後はどうされますか?」
正直、昨日の璃音との邂逅で、ある意味、今日の予定は気分次第だと思っていたからなぁ。
考えていた当初の予定は消化されたよ。
どうしようか?
(残り1年を切った都市ミズナヤの学舎の事前調査をしたらどうです?)
(それが有ったか!?)
(西は魔法使い系が多い国柄ですから、参考になると思いますよ。)
(流石は創造神エルドロード様だ! ありがとう。)
(えっっっへん!!)
「ソレイユさん。質問しても良いかな?」
「私で答える事でしたら何でもどうぞ。」
「この王城の周りを囲む王都に学園が有るなら、見学したいんだけど、出来るかな?」
「問題ありません。では、早速使いを出しておきましょう。」
「お願いします。」
「そこの貴女。」
「はい。」
「カスパール魔法学園に見学の許可を申請してきて頂戴。」
「畏まりました。」
「早い対応だね。」
「恐れ入ります。」
「いや、『カスパール』?」
「はい。御想像の通りでございます。この学園は我が父が理事を務めております。」
「なら、安心して見学が出来るな。」
「セツナ様。差し出がましいのですが、何故、学園の見学を?」
「実は、都市ミズナヤに俺達の屋敷が有るのだが、基本は俺達は冒険者として旅をしている。
だから、屋敷は空けがちになり、屋敷を維持管理する者達は主無き屋敷に閉じ込められていると言える。
ならばと、空き部屋を利用して学園の真似事をしようかと思っている。」
「それで、我が学園の見学を望まれておられるのですね。」
「そうだな。」
「どの様な者達に勉学を?」
「都市ミズナヤの領主には御息女がおられるので、年齢が合う御令嬢が対象になる。」
「ご貴族の方々ですか。集まるのでしょうか?」
「東の大国オウカの王家が関与しているので大丈夫かと思いますよ。」
「王家が!? セツナ様、深くお伺いしても宜しいでしょうか?」
「秘密厳守なら。」
「私の名に賭けて。皆、席を外しなさい。」
「畏まりました。カスパール様。」
「セツナ様、人払いは終了しました。」
「俺のパーティーメンバーの1人がオウカの王家に深く関わる者だから。」
「セツナ様、焦らさずお願い致します。」
「そこにいる残ったデザートを口一杯に頬張っている、リーナが『リーナ=イバス=キリュウ』だから。」
「……え!?」
「ングング、ゴックン。東の大国オウカの王族の1人リーナ=イバス=キリュウよ。でも、冒険者リーナとして扱ってね。」
「……畏まりました。」
「そういう訳だ。」
「確かにオウカに属する貴族ならば、決して悪くないですね。
では、講師はどの様な方が?」
「屋敷の空き部屋が10部屋なので少人数だから、講師は今の所は2人です。」
「内訳をお聞きしても宜しいでしょうか?」
「構わないよ。1人は、屋敷での生活指導と、貴族令嬢としての教養全般。もう1人は、基本的には嗜み程度の魔法系全般。」
「どの様な方が教養と指導を?」
「ある意味、大陸で2番目に厳しい方が担当します。」
「セツナ様!」
「ユリア=アレスター。」
「え? あっ!? オウカの王家の教養指導者のアリア=アレスター様の妹君の!」
「そういう事。」
「リーナ様の……、そういう事でしたか。」
「リーナが暮らす屋敷に誰も居ないのは王家としては不安でしょ?」
「そうですね。では、魔法講師の方は?」
「アルスランの冒険者ギルドに依頼して来て頂きました。」
「アルスランの!」
「ええ。大変優秀な方が来て頂きました。」
「その方の出自は信用出来ますの? アルスランの冒険者ギルドからの紹介ならば大丈夫かと思いますが。」
「大丈夫ですよ。ここまで言っておいてソレイユさんには悪いけど、出自は教える事が出来ないんだ。ただ、身元はオウカの王家が保証すると思うよ。まあ、保証する所か、王家が頭を下げてお願いしたいんじゃないかな?」
「なっ!!? リーナ様、本当でしょうか?」
「本当よ。確かに出自は明かせ無いけど、身元は王家が絶対の保証をするわ。王家の名に賭けてね。」
「……セツナ様。貴方様は何者ですか?」
「俺は只のハーレム野郎の冒険者セツナだ。」
「……分かりました。」
食堂の扉からノックの音が響いた。
「どうぞ。」
「失礼致します。カスパール魔法学園の見学の許可を頂いてきました。」
「ご苦労様。」
「では、失礼致します。」
「セツナ様。準備が整った様です。」
「じゃあ、行こうか。」
「ご案内致します。」
こうして、俺達はカスパール魔法学園に向かった。
暖かい応援メッセージと星の加点をお願いします。




