南の聖鳥
乱入者はなんと!
「君の事は、クランベルから直接聞いている。将来が楽しみだ。」
「リアトリス様。一応は俺の立場や将来について秘密でお願いします。」
「それもそうだな。分かった。」
「ありがとうございます。」
「それでだ。数日前に大きな戦いが有っただろう。妙な何か、幕を張った様な感じだったが、それなりに大きかった筈だ。そんな障害越しにも関わらず、あたしにまで届いたのだから。知っているなら教えてくれないか?」
「サルビア様。教えても良いか?」
「勿論だ。余すこと無く伝えて欲しい。」
「分かった。」
「リアトリス様。数日前に行った大きな戦いは、俺と魔王の直属の配下との一騎打ちかと思われます。」
「その実力で良く倒す所か、生き残ったな。」
「はい。ギリギリでした。倒した瞬間に、後から俺を助ける者が居る事を思い出したので必要以上の心配を掛けまいと気力を振り絞り、外見だけは魔法で綺麗にしましたが、後は気を失い目が覚めたらベッドの上でしたから。」
「成る程な。……。よし、あたしに付き合え!」
「はい!?」
「君の実力をあたしが確かめよう。」
「今からですか?」
「何か問題有るのか?」
「セツナ。リアトリス様は、こういう時は譲りませんし、人の話を聞きません。諦めて下さい。」
「サルビアは分かっているな。」
「もう諦めましたから。」
「話が終わった所で、連れて行くぞ。心配するな。殺さないし、死なせない。」
「セツナ。頑張ってね。」
「ソレって、恩人を売ってないか?」
「自分達より上位者からの言葉なんで無理だわ。」
「……皆」
「セツナ様に私達の総意をお伝えします。
『頑張って!』です。」
「そんな~。」
「話は纏まった。行くぞ!」
俺はいつの間にか何処かの大草原に、2人きりになっていた。
太陽の位置が違うな。
それに漂う空気が違う。
此処は何処だろうか?
「さて、三文芝居に付き合ってやったんだ。それなりにあたしの期待に答えてくれよ。」
「見える範囲には誰も居ないみたいですが、力の余波等が漏れたりする事は無いですよね?」
「大丈夫だ。此処はあたしの遊技場兼鍛練場だ。あたしが昨日、此処で本気の力で鍛練したが、何か感じたか?」
「……。」
「無いだろう。だから、心配するな。」
「分かりました。」
「本気を出せよ。」
「勿論です。」
「なら、良い。行くぞ!」
「行きます!」
30分後。
「あたしを嘗めてんのか? あたしは本気を出せと言った筈だ。」
「勿論、本気でしたよ。」
「嘘をつくな! その程度の実力で、魔王の直属の配下を倒せるものか!」
「すみません。どうしても確認したかったものですから。」
「なら、隠すな。全力を出せ! あたしはそういう風に戦いまで頭を使い翻弄されるの不愉快だ。」
「分かった。『龍紋破軍』」
「凄まじいな。だが、まだ足りないぞ。」
「鬼神覇招」
「……な!? 何だ!? その馬鹿げた魔力は?」
「俺のスキルの効果ですよ。」
「……しかし、有り得ない。これ程の魔力は。」
「俺のスキルの1つに、死の淵から回復するとステータスに桁外れの補正が掛かるというスキルです。」
「回数制限が有るのか?」
「無い。」
「因みに何回?」
「既に10回以上だ。」
「君は馬鹿か!? それは言い換えれば死の体験を10回以上経験したという事だぞ。
しかし、……後悔はして無い様だな。良いだろう。もう一度だ。行くぞ!」
(立場と性別的な何かを越えて、肉弾戦を繰り広げております。)
40分後
「このあたしとこれ程に打ち合えるとはな。確かに、これなら魔王の直属の配下も倒せるな。」
「……実は、俺としては準備運動くらいでして。だから、これから、全力全開で行きます!」
「え!? 準備運動?」
「はい。リアトリス様を退屈させませんよ。」
「ちょっ、ちょっと待て。」
「問答無用!」
10分後
「ハアハア。まさか、このあたしが此処まで追い詰められるとはな。」
「リアトリス様。良い鍛練に成りました。ありがとうございます。」
「別に気にするな。あたしから連れ出したんだからな。」
「お陰で、1段階上の力を使えます。」
「へ!? 今のが全力全開じゃあ無いのか?」
「勿論、全力全開でしたよ。ただ、現時点で、ですが。」
「どういう意味だ?」
「このスキルは魔力や魔法的な補助無しの肉体的な強度も必要なのですよ。」
「そうなのか。」
「ええ。リアトリス様との模擬戦で、また1段階上の力を引き出せる様になりました。」
「なら、現段階の限界を出してみろ。」
「分かりました。」
「鬼神覇招『壱』!」
「な! な!! な!?」
「鬼神封縛。ふう。こんな感じです。」
「本来のあたしの力に近い感じだな。」
「本来?」
「クランベルに聞いていなかったか?」
「いいえ。」
「あたし達は、地上で動く場合は力に制限を掛けるのが条件になっているんだ。」
「そうだったんですか。」
「ああ。だから、セツナが行ける所であたし達が本来の全力が出せるのは幻想界くらいだろうな。」
「ではまだまだ鍛練が足りない様です。もっと頑張って強くなります。その時はまたお願い致します。」
「ああ。良いぞ。(ヤバい。次は本来の全力でも負けるかもしれない。)」
「それだけ強いのに何故、魔王を倒さないのですか?」
「それはな。先ず、あたし達の力はあまり地上では使えない。過ぎた力は破壊をもたらすからだ。」
「それだけですか?」
「もう1つ有るのだが……」
「何です?」
「魔王はな、地上の全員が結集すれば勝てるからだ。勿論、多大な犠牲は出るがな。」
「本当ですか?」
「本当だ。だから、あたし達は魔王に手が出せない。地上の者達で対処出来るから。」
「そうだったんですか。」
(エルドロード様、本当?)
(本当です。)
(マジかー)
(あの時も言いましたが、セツナの自由意思で決めて下さい。)
(分かった。)
(セツナも大分強くなりましたね。)
(強くなったけど、まだまだ上がいるなー。)
(でも、)
((だからこそ、燃える!!!))
(エルドロード様、ありがとうございます。)
(セツナも、頑張って下さい。後、お嫁さんを泣かさないようにね。)
(分かっていますって。)
「おい? どうした? ぼうとして?」
「ちょっと考えて事。」
「まあ、良い。コレをやる。」
「このコインは?」
「このコインは、この場に転移出来る道具だ。」
「え!?」
「このコインを使うと魔方陣が発生する。その魔方陣の中にいる者を人数制限無しで、この場に転移する。この場でコインを使うとこの場に来る時に居た場所に転移する。」
「俺が貰っても良いんですか?」
「構わない。このコインでこの場に来ると、あたしは直ぐ分かるから、何時でも来い。鍛練にも付き合ってやるし、相談にも乗ってやる。」
「ありがとうございます!」
「因みに、『北』も『東』も『西』も貰っているぞ。」
「そうなんですか?」
「ああ。」
「出会える時が有れば聞いてみます。」
「そうしろ。後、そのコインはあたしが認めたという身分証でもある。無くすなよ。」
「はい!」
「じゃあ、戻るか。」
戻ってみると、心配している素振りを見せずにのんびりとお茶会をしていた。
俺としては内心では、心配していると願いたい。
俺は、戦闘内容は誤魔化して、結果としてこのコインを貰った事を皆に話す。
すると、全員が目を輝かせていた。
どうやら、行きたい様だ。
明日にでも早速行こうかな。
暖かい応援メッセージと星の加点をお願いします。




