南の大国バイコウ~其の3
この話を作るにあたり、過去の話に矛盾が有りましたので、加筆修正しました。
出来るだけ範囲は狭めたつもりです。
「まあ、待て。その前に確認したい事が有る。」
「何を?」
「操られている私達を問答無用で魔法行使した理由は?」
「後、『プランC』とはどういう意味ですか?」
「分かった。」
「そんなにあっさりで良いのか?」
「別に大した事じゃあ無いから問題ない。」
「では、教えてくれ。」
「先に『プランC』からな。」
「分かったわ。」
「プランCが有るという事は、当然『プランA』や『プランB』も有る。『プランA』は交渉で、『プランB』は武力で、『プランC』は救出。」
「もう少し詳しく。」
「プランAは、可能な限りは口先、つまりは『交渉』で対応する為の内容。プランBは、救出は無理だから、殲滅あるのみ。プランCは、問答無用の救出。」
「成る程な。」
「それでだ、次に問答無用で魔法行使した理由だが、人質を取るタイプは時間と余裕を与えてはいけないから。」
「……というと?」
「人質を取る様な悪党が、『善意』や『礼儀』を持っていると思うか?」
「思えないな。」
「だから、人質を取る様な悪党と交渉しても、悪党が有利になっても、救出側が有利になる事は一切無い!例えば、悪党が武器を捨てろとか言うけど、実際に捨てたらどうやって人質を助けて悪党を倒すんだよ? 魔法が有る?
魔法を封じる道具なんか出て来たらどうするんだ?」
「それはそうだな。」
「だから、女王様達の体内に居た下級魔族を問答無用で滅ぼしたんだ。」
「何故、レンゲも一緒にしたの?」
「俺達の前に現れた時、接近されていたのに誰も気付かなかったからだ。」
「でも、そういう人は結構いるよ?」
「確かにそうだが、突然過ぎる。俺達はそれが有るから、完全には信用をしていなかった。」
「……そうか。」
「物語なんかは、結構有るだろ? 仲間と思っていたのに、途中で裏切る内容。」
「決して無いとは言えないわね。」
「だから、都合良く3人が1ヶ所に纏まっているから、魔法を使った。」
「そういう事だったのね。」
「では、本題に入るぞ。」
「ええ。どうぞ。」
「この国に、高位魔族が何かをする為に潜んでいる。」
「え!? どういう意味よ。」
「とある情報から、高位魔族の紅いヴァンパイアがこの国に何かする為に、潜入しているらしい。」
「本当なのでしょうか?」
「本当だ。証拠として、この国の最高位の女王様達が既に下級魔族を腹に潜ませていた。」
「確かにそうね。」
「だから、まだ下級魔族を腹に潜ませている奴は居ると思う。」
「……どうすれば?」
「とりあえず、宰相等の国を動かせる人達と女王様達の食事に触れる可能性が有る執事やメイド、料理長なんかを此処に呼んで、俺達が一気に魔法で選別するのはどうだ?」
「それで行こう。」
こうして、内政に関わる宰相を始めとする文官。軍部に関わる騎士団長を始めとする各団長と副団長。料理長と執事とメイド長を始めとする内勤メイド全員を1ヶ所に集めて魔法を放つ。
結果を見ると、宰相と財政を担当する文官、近衛騎士団長と外的な武力の象徴の第1騎士団長、料理長、メイド長と女王様達のプライベートエリアを担当するメイド全員が腹に下級魔族が潜んでいた。
いやはや、合計11人が危険人物と化していた。
女王様は、口から出た黒い液体が危険な物で、これで此処に集まった者達からは危険が去ったと伝えながらも、この件に対して戒厳令を敷いた。
俺達は女王の勧めで王宮で1泊する事になった。
夕食の時にやっとリンの存在に気づいた女王様達は、リンをもみくちゃにした。
何故最初の挨拶の時に気付かなかったのだろうか?
多分は、腹に下級魔族が居たからだろう。
でなければ、気付かない筈が無いからな。
まあ、自分達の妹の娘だもんな。
そういえば、リンのお母さんの名前聞いていなかったな。
この件が終わったら、帰りに寄る事にしよう。
リンの事でご挨拶しないといけないしな。
酒宴に成り掛けた所で、メイド長が乱入して場を収め、お開きになった。
俺は、何気無く中庭に出た。
皆も俺の後を付いて来た。
「セツナ様。どうされました?」
「いや、本当に気紛れで出ただけだ。」
「セツナ君。本当に?」
「本当だよ。」
「しかし、綺麗な夕日なのじゃ。」
「吾も同じ気持ちであります。」
「セツナはん。頭撫でて。」
「良いよ。」
「セツナさ、アタイも。」
「喜んで。」
「……ボクも。」
イリスに両手で頭を撫でた。
皆とこうして、のんびりするのは何か久しぶりな気がした。
暫く皆と楽しい時間を過ごして居ると、凄まじい悪寒が走り、皆と同時に同じ方向を見た!
「おや、もう気が付いたのか。」
「誰だ?」
「そういえば、名乗っていなかったわね。」
そう言いながら紅いヴァンパイアが血の色の口を開く。
「私の名は『ロベリア=マレボレンス』魔王様の直属の部下の1人よ。」
「そんな立場の方が何故こんな事を?」
「半分以上は嫌がらせと気晴らし。残りは、この国の王族の秘密を探る為よ。」
「えらく、お喋りだな。」
「私は殺す相手には慈悲深いのよ。」
「丁重に御断りしたいな。」
「高貴な淑女からよ。受け取りなさい。」
「俺には大切な女性達がいるので充分だ。」
「そう。でも私と踊って貰うわ!」
そう宣言した瞬間、俺は異空間としか言えない場所に居た。
「此処は私と貴方しか居ないわ。」
「それで、どうやったら出られる?」
「万が一すら有り得ないけど、私が滅びれば脱出出来るわ。」
「それを聞いて安心したよ。」
「何を言っているのよ。貴方はこれから、私に死ぬ寸前までいたぶられ、身動き出来なくなってから、異空間を解き、貴方の目の前でブス共をいたぶり殺すのよ。」
「ちょっと待て。誰がブスだって?」
「勿論、貴方の周りに居た者達よ。」
「……そうか。」
「さあ。私と死の舞踏会よ!」
「龍紋破軍」
「それがどうかしたの?」
「天の理、月の理、海の理、時軸の楔を解き放ち祝詞を捧ぐ。我が身より顕現し、覇と為せ!
『鬼神覇招』」
「……何よ!? その馬鹿げた魔力は?」
「教える必要が有ると思うか?」
「……化け物め!!」
「俺だけなら兎も角。よくも皆を侮辱してくれたな!」
「……」
「しかし、1つだけ感謝しよう。」
「何よ。」
「この場に皆が居ない事が。」
「…………」
「この力を見せるのはまだ早いからな。怖がらせてしまう。」
「……偽善者が!」
「今に限り、『ソレ』は誉め言葉だ! 人族、いや、人間は誰もが2つ以上の『顔』を持つのだから。」
「……」
「俺から改めて言おう。『さあ。死の舞踏会を始めよう。』」
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