黒幕は誰だ?
あの少女の正体は?
修正する為に加筆しました。
俺達が戻ってみると、特に異変は無かった。
キメラの亡骸は万が一を考えて全て焼き払い、冒険者らしき遺体を袋に入れマジックバッグに収納した。
少女は余り動かずずっと踞っていた。
俺はこの少女が只の冒険者か敵かの見極めの為に、自己紹介を始めた。
「俺はこの冒険者パーティーのリーダーをしているセツナだ。君の名は?」
「私の名前は『エリス』よ。冒険者パーティー『夜の狼』の1人。」
「今日この森は俺達以外の立ち入り禁止の筈だけど……?」
「私達は今日の朝に依頼から帰って来た所よ。」
「何故、真っ直ぐ帰らずに依頼帰りなのに森に居たんだ?」
「リーダーのケチん坊が、怪我をしていてポーションを買わずに薬草を使う為に来たのよ。」
「成る程な。依頼帰りなのに町に入らず宿屋等にも寄らずに森で薬草採取か。」
「そうよ。」
エリスの話し方には、仲間を失った悲哀が感じられ無かった。
確かに話しの内容自体には可笑しな点は無かったが、先程の感想通りエリスからは仲間を失ったと思える情報や気持ちが汲み取れない。
そして、話す為に近付いて分かった事だが、花の匂いがする。
エリスからだが、香水を使っているだけなら良いがもし、俺が考えている事が事実の場合は大変危険が伴う。
さてどうしようか……
ランの方を見るとランは頷いた。
「ねえ、悪いけど、私を町まで連れて行ってくれないかしら?」
「良いよ。」
「感謝するわ。」
俺は、エリスに気付かれない様に発信器モドキの魔道具を服に取り付けた。
俺達とエリスは町の出入口で門番に冒険者らしき遺体を渡して、冒険者ギルドに向かい必要な手続きを済ました。
俺達は型通りの挨拶を済ませ、そのまま森に向かった。
……と見せ掛けて、直ぐに隠れてイリスに上空まで飛んで貰い、エリスを監視していると、エリスは、宿屋に入って行った。
俺達はイリスの報告を聞いて領主館に戻り、セドリックさんに報告をした。
「恐らく、正体不明の魔物は『キメラ』かと思われますが、少し気になる点が有った為に証拠と言える亡骸を焼却しました。」
「分かった。君の報告はアルスランの冒険者ギルド出身という事で信じよう。」
「ありがとうございます。」
「しかし、何故だね?」
「先ずはアレは普通のキメラでは有りませんでした。状態異常を起こす息を吐かず、首を両断しても、尻尾の蛇を根元から斬り落としても蛇だけが動き出し、燃やし尽くせば、今度は胴体だけが動き出して、消滅させれば、次は首だけが動き出してきた為に塵に致しました。」
「成る程。動きだした……か。当然、目の錯覚とかでは無いな?」
「はい。パーティー全員が見ていました。」
「分かったよ。報告はそれだけでは無いだろう?」
「はい。今回の黒幕の可能性が有る人物がいましたので、暫くはその人物を監視したいと思います。」
「では、事後承諾で構わないから、その人物の監視を頼む。」
「分かりました。」
俺達はお願いして少々早目の夕食を貰い、俺の予想を話しランに確認をして準備を整え待っていると、発信器モドキの魔道具が夜中に関わらず移動を開始した。
俺達も気付かれない様に後を追跡していると、エリスは森に入って行く。
腕に覚えが有ろうとも、単身で夜の森に冒険者なら入って行かないのが常識だ。
俺達は慎重に後を追跡するとある程度の拓けた場所の、中央に行くと俺達の方に向きを変え、良く通る声で話し掛けてきた。
「付いて来ているのは分かっているのよ。」
「バレていたか。」
「ええ、当然よ。それでこの玩具で後を付いて来た貴方達は私に何の様かしら?」
エリスは発信器モドキの魔道具を素手で握り潰しながら問うてきた。
あの発信器モドキはかなり頑丈に作った筈なんだがなぁ。
これはいよいよ予想から確信に変わったかな?
「エリスこそ、何故此処に来たんだ?」
「質問に質問を返すのは礼儀違反よ。」
「これは失礼しました。付いて来た理由は、エリスからは仲間を失った悲哀を感じられ無かったからだな。」
「気丈に振る舞っているだけよ。」
「いや、違うな。」
「貴方がそう感じただけよ。」
「まだ有る。」
「それは何かしら?」
「エリスは依頼帰りなのに花の匂いがした。」
「当たり前よ、冒険者で有ると同時に私は女性よ。身嗜みには注意するわ。」
「それは違うな。エリスから匂う花の香りは人工の香水では出せない香りだ。狼人族のランが教えてくれた。」
「……あははははは。まさか、花の香りでバレるなんて。どんなに外見を変えても、本性は変わらないという事ね。」
エリスからは、次第に圧力が溢れ出して来た!
「こうなったら、目撃者は消さないといけないわ。」
「今回のキメラ騒動はエリスが黒幕なんだろ。」
「ええ。そうよ。」
「何故?」
「教えないわ。」
「此処まで来て?」
「セツナに教えてあげるわ。女はね、秘密を飾る毎に美しくなるのよ。」
「それは怖いな。」
「でも、そうねぇ。私に勝てたら、色々と特別に教えてア・ゲ・ル。」
エリスは次第に外見が変わっていく。
少女の姿から、肌はより白く、服は薄くなり妖しく揺らめき、耳が長く尖り、コウモリの様な羽を出して、魅惑的な外見に変貌した。
「改めて自己紹介するわ。私の名前は『エリス』よ。種族はトゥルーサキュバス。以後お見知り置きを。」
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