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少年期~第2ヒロインとの初デート

第2ヒロインとの瘤付き初デートの開始。

ヒロインの審議はどちらに傾くのか?

  俺は、町の東玄関で王女様御一行を待った。

 太陽が夕日に変わり始めた頃、混乱を避ける為にある程度離れた場所から、歩いて来たであろう王女様御一行を発見する。

 

  玄関まで来た彼女達に挨拶したのだが、何故か侍女だと思う女性が顔をしかめた。

 一応、パイリ母さんやゼフィからは合格を貰った挨拶なのだけど。

  ん?服装が、王族や貴族っぽく無い。

 どちらかと言えば、そこそこ儲かっている商人風な服装だよ。


  相手間違えたかな?

  「失礼致しました。第3王女リーナ=イバス=キリュウ殿下とその侍女アリア=アレスター様で、相違無いでしょうか?」

  「間違えておりません。ただ、今は身分を臥せておりますので。」

  「そうでしたか。それは失礼致しました。馬車を用意しておりますのでこちらにどうぞ。」


  門番には、話が通ってあるから何も無く馬車に乗り、町一番の宿屋に向かう。

  馬車の中で、身分を臥せているという話は聞いていなかったが、町の外で身分を明かした挨拶をした事を謝罪した。

  どうやら、謝罪した事で侍女の剣呑な空気は薄れたから、合格点貰えたかな?

  「もう直ぐ宿屋に到着します。スィートルームを取っておりますので、そこでこの町での明日以降の予定を確認したいのですがよろしいでしょうか?」

  「ええ。それで構いません。リーナ様もそれでよろしいですか?」

  「わたくしも、異存ありません。」


  馬車は、宿屋に到着し宿泊の手続きを終わらせ最上階の部屋に入り、侍女の入れて貰った紅茶で喉を潤し、この町での予定を改めて確認した。

  「それでは、この町に居る間は王女様は上級商人の娘で、アレスター様はその付き人として扱う。でよろしいでしょうか?」

  「はい。その様にお願いします。」

  「では、明日の予定ですが。明日は旅の疲れを癒す為、町の中を散策し、明後日は龍王様に謁見する為の式場に御案内致します。

  尚、前例に習い、散策と式場の御案内はわたくし、セツナが担当致します。

 両日共に朝9時頃にお伺い致しますので、それまでに御準備の程を宜しくお願い致します。

 では、この後は宿屋で御緩りと御過ごし下さい。御前失礼致します。」


  ふ~~。緊張した~。

 粗を探せば幾らでも有るだろうけど、大丈夫だったよな?

 

  さて、俺も同じ宿屋に取っていた真下の部屋に行ってのんびりしますか。

 え?何らかの方法で上の部屋の中の様子を探るつもりだろう?って。無理無理。

 この宿屋のスタッフ全員龍族だし、防犯は完璧だよ。

  単純に移動が面倒くさい事と、ここぞとばかりに高級宿屋を満喫する為だよ。


  1日目の朝9時


  1階のロビーで王女様御一行を待っていると、上級商人風な2人が降りて来た。

  「お嬢様、お待ちしておりました。町の中を、御案内致しますので参りましょうか。」

  「ええ。お願い致しますわ。」


  こうして、瘤付きデート風観光が始まった。

 最初は広場等のゆっくり出来る場所から案内を始めた。

 因みに、この時間になれば、主な冒険者や商人達は既に町から出ているので問題無い。

 

  周辺の屋台や甘味処で軽く食べながら、冒険者ギルドや商人ギルドを案内し、鍛治等の工業区エリアを周り、お土産屋をハシゴしながら時間が来たので昼食にする。(お土産は、侍女のマジックバック(バッグ)に収納していた。)


  「どうでしたかお嬢様。楽しまれました?」

  「はい。楽しい時間を過ごしましたわ。」

  「それは、良かった。では、この後は町一番の自慢である、竜闘場に御案内致します。」

  「待ってましたわ。わたくし、今回この竜闘場が一番の楽しみでしたのよ。」

  「それでは、参りましょうか。」

  「はい。」


  竜闘場に入り、予め取っていた席に座って貰いドラゴンが戦う姿を楽しんで貰い、予定の時間が来たので席を外す。

  「お嬢様。少々席を外しますが、御緩りとお楽しみ下さい。

 この後、お嬢様にちょっとした余興を用意致しましたのでお待ち下さい。」

  「そうですの?楽しみですわ。」

  「では、失礼致します。」


  俺は急いで裏から周り(裏に回り)準備をし、呼ばれるのを待つ。



  『会場に居られますお客様方、御待たせ致しました。

 本日のメインイベント「ドラゴンに囚われし姫君を助け出す勇者」の戦いをお楽しみ下さい!』


  会場内に万雷の拍手が鳴る中、知性有るドラゴンが入場した。

 ドラゴンは、ゆっくりと王女に近づきドラゴンに乗って欲しいと思えるような仕草をし、王女も応じ乗り込み、ドラゴンは予め設置されていた玉座風の椅子に王女を促し王女様が座る。


  おっ!王女様の移動も無事に済んだみたいだな。

 行きますか。

  俺は走りながら入場し、ドラゴンと対峙し叫ぶ。


  「姫を拐いし邪竜よ!

 この勇者がお前を倒し、姫を救ってみせる!!」


  こうして、準備期間5日間掛けた殺陣が始まった。

  準備期間が十分だった為、手に汗握る戦いに周りは歓声や悲鳴が飛び交う。

  見事、脚本通りに終わりを迎え登場以上の拍手が鳴り響いた。

  王女様もかなり魅入ったみたいで、宿屋に向かう馬車の中で興奮して感想を話していた。


  「お嬢様、宿屋に到着致しました。この後は部屋にて、御身体を御休め下さい。明日も同じ時間に式場へと御案内致します。

 それでは、失礼致します。」

  「分かりました。明日も宜しくお願い致しますわ。」



  ふう。いや~疲れたわ。

 かなり力を抑えていたけど、一応魅せる戦いをしないといけないから、しんどかったよ。

  王女様もかなり楽しめみたいだし、佳しとしますか。

  俺は明日の準備を済ませ、眠るまでのんびり過ごした。



  2日目の朝9時



  昨日と同じく俺はロビーで待っていると、王女様達が降りて来た。

 王女様の服装は、華美な装飾やデザインでは無いが、最上級の衣類を纏っていた。


  「それではお嬢様、参りましょうか。」

  「はい。」


  流石に緊張しているのか、仕草や表情や返事に固さが有った。

 町の北に向かい、町長の隣り合わせの式場に入る。

  この式場は、今日のような内容の時だけに使う場所なので、基本終日立ち入り禁止で、もし破れば、分別つかない子供以外は死刑という厳しい場所だ。


  『それでは、案内の方と御付きの方は此処までです。

 王女殿下、どうぞ奥へ。』



  こうして、待つ事2時間。


  流石に虚勢を張る気力も無いのか、疲れた様子で王女様が近づいて来た。


  「王女殿下、お疲れでしょう。

 馬車を御用意しておりますので宿屋に向かいましょう。」

  馬車に乗り宿屋に向かっている途中、王女様が話掛けて来た。


  「ねえ。宿屋に向かう前に何処か、見晴らしの良い場所は無いかしら?此処での最後の思い出になる様な景色が見たいわ。」

  「分かりました。私のとっておきの場所を御案内致します。」

  「宜しくお願い致しますわ。」


 俺は侍女の許可を貰い絶景地に到着すると、王女様の希望で侍女は馬車と共に待って貰い、少し進み絶景を2人で楽しんだ。


  「ねえセツナ。貴方はこの後はどうするの?」

  「そうですね、冒険者ギルドのランクを上げて、世界を周り、様々な食事をし、絶景を楽しみ、強い魔物を討伐し、まだ見ぬ世界の秘密を発見したいですね。」


  俺はこの2日間で、王女の人となりを観察し、信頼したので、両親を探す以外の目標を素直に伝えた。

  「素晴らしい目標ね。そうだわ。この後、冒険者ギルドに寄りたいの。」

  「寄ってどうするのですか?」

  「貴方に指名依頼を出すわ。

 約1年後にわたくしの誕生会を開くから、貴方も王国に来て参加して欲しい。」

  「指名依頼が出せるのは、Cランク以上からですよ。」

  「じゃあ成って。」

  「え!?」

  「決まった処で、冒険者ギルドに行くわよ。」

  「ちょっと待て……」

  「ぐずぐずしない。アリア、冒険者ギルドに行くわよ。」



  こうして、俺は冒険者ギルドにドナドナされ、指名依頼(ランクが足りないので予約)を受ける事になった。


  帰る時刻になり、夕日に照らされながら俺達は来た時と同じく東玄関にいる。


  「セツナ(様)。2日に渡る案内、大儀でありました。王家を代表して、感謝致します。」

  「リーナ王女殿下も、お疲れ様です。」

  「セツナ(様)。指名依頼の完遂を期待しております。」

  「完遂致しますので、王城でお待ち下さい。」

  「ええ。待っておりますわ。では、アリア行きましょうか。」


  こうして、王女様御一行は、来た時と同じように歩いて行った。

 向こうに、馬車らしきモノが有るので、明るいうちは普通に走り、暗くなれば、空の旅が始まるのだろう。

  聞いた話では、風魔法等を使い、中の人達が気づかぬようにして高速で空中移動するらしい。ちょっと乗ってみたいかも。


  さて、龍王様に御報告に行きますか。

  「特に問題ありません。」と。

 御報告が終われば、次は冒険者ギルドだ。

 何故か今日中に必ず来いと言われているんだよなぁ。

  何か気が重いと云うか、嫌な予感が……


 



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