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正体不明の魔物

さて、誰が悲鳴を上げたのかな?

 俺達は悲鳴が聞こえた方に急いだ。


 そこには既に手遅れと思える血溜まりに横たわる冒険者3人とその3人に守られていた回復系の衣装を着た少女が居た。


「キェェェェェ!」


 鳥の様な叫び声を上げながら、少女に襲いかかっていたので、とりあえず少女の安全確保の意味も含めて攻撃した。


雷乃弾丸(ライトニングバレット)!」


「グッギャアア!」


 悲鳴を上げた少女を俺達の後ろに匿いながら、目の前の魔物を見る。

 大きさは大体地球の生物に例えるとアフリカ象位の大きさだな。

 顔は3つ有り、向かって左側は獅子風で真ん中が老人で右側が蜥蜴だな。

 羽も有るし、一応四足の獣だな。

 尻尾は蛇だし。

 成る程。

 証言が複数で違う訳だ。

 こういうのって、「キメラ」とか「キマイラ」とか言われる魔物だよな。

 とりあえず、名義上この魔物を「キメラ」と呼称しよう。


「皆! とりあえず、この魔物を『キメラ』と呼ぶ。」

「分かった。」×8


 正体不明の魔物、もとい、キメラを観察している間に少女の怪我等を癒し、魔法攻撃しながら戦場を変える。

 少女は自力で移動出来るが、遺体は自力で移動出来んからな。


風乃毬(エアボール)!」


 キメラを風の球体に包み込み、そのまま制御して彼女達から離れた。

 周りを見て、これなら彼女達に被害は出ないだろうと思える場所の移動に成功した。

 ある程度引き離し、改めてキメラを観察する。

 テンプレだと状態異常系の攻撃有るよな?

 違うかもしれないけど、一応注意しておくか。


「皆。キメラは石化や麻痺の状態異常を起こす息や尻尾の蛇が毒の牙を持っているかもしれないから注意だ!」

「はい。」×8


 俺達は状態異常を起こす息等に注意しながら、キメラを攻撃した。

 正直言うと楽勝でした。

 皆、鍛えているから危なげ無く、リンが氷系魔法でキメラの四足を封じ込め、出来た隙に俺が3つの首を一度に斬り落とし、レイカが尻尾の蛇を根元から斬り離した。


 俺達は魔物討伐が出来て喜んでいると、斬り離した尻尾の蛇が動き出して、俺達を襲ってきた。


「燃え尽きろ 紅炎葬柱(クリムゾンピラー)!」


 ミヤが炎系魔法で燃やし尽くすと、今度は首と尻尾の無い胴体が動き出して、俺達を襲ってきた。

 シャオの重力系魔法で動きを止め、リンの氷系魔法で粉砕した。


「ひれ伏せ 重力弾(クラビティボール)!」

「砕け散りなさい 凍獄葬儀(ブリザードコフィン)!」


 今度は3つの首が俺達を襲ってきた。


雷撃丸(ライトニングボール)!」


 レイカが3つの首を両断して止めに魔法で塵にした。

 コレってアレか!?

 俺の考えが正しいなら、何処かに操る術士が居る筈だ!

 首の処理を皆に任せて俺はこのキメラを操る奴を探した。

 見 つ け た!!


 俺は風系魔法を発動する!

 本邦初公開!

風乃弾丸(エアバレット)」の長距離射撃版。


風乃長弾丸(エアロスナイパー)!」


 この風系魔法の攻撃範囲は3㎞!!

 1・3㎞の所に居た。

 この距離なら届かないと安心しているな。

 だが、甘い!

 俺は風乃長弾丸(エアロスナイパー)を術士の右肩と両足の3ヶ所を撃ち抜いた。

 俺はシャオとリーナを連れて術士の下に向かった。


「グウウゥ! 何で彼処(あそこ)から此処まで届くんだよっ!」

「お前程度なら、知らない魔法なんぞ幾らでも有るという事だな。お前1人の計画だとは思えない。黒幕は誰だ?」

「チッ! ……使うしかないか。お前の答えだが、こうだ。」


 術士の最後のあがきにしか見えなかった。

 術士は黒い液体を一気に飲み干して変貌した。

 変貌した術士は、魔族に変わった。


「はジメまシテ。アれ、発オんが可笑シいゾ。」


「瞬光閃斬!」


「グっギャアアア!」


「あれ? 瞬殺!? 何も聞かなくて良いの?」

「下級魔族に変貌した時点で意味が無いよ。」

「そうなの?」

「アレは使い捨てだよ。」

「なら、この後はどうするの?」

「それなんだけど、俺達が助けた少女が黒幕かもしれないから注意して欲しい。」

「え!? どういう事?」

「先ずは、キメラが状態異常になる攻撃をしなかった事だよ。確かに俺達は強いが、幾ら何でも何もして来なかったからね。」

「確かにそうね。」

「次に、術士が弱すぎる。あのキメラを操るには術士としての器が足りない。それに、下級魔族になる黒い液体を迷わずに飲んだからな。」

「セツナ様、そうですね。迷わずに飲んだという事は、何も知らされていないという事ですから。」

「そういう事でありますか。知らされていないという事は教える必要が無いという事。それは失っても問題が無い存在、つまり、使い捨てという事でありますか?」

「そうだよ。」

「そこから、何故に助けた少女が黒幕という判断に?」

「第1に、一応は昨日の内にこの森の侵入禁止の告知を出しているにも、関わらず居る事。何かの依頼帰りだとしても不自然だよ。第2に最初に聞いた悲鳴とたどり着いた時の位置関係や状況が合わない事。」

「確かにそうだよね。普通は悲鳴を上げる時は、出会った最初か死ぬ寸前が多い。」

「最初なら、幾ら何でも仲間の死が早すぎる。」

「死ぬ寸前なら、私達が駆け付ける時間の誤差が不自然という事じゃな。」

「そういう事だ。だから、あの少女が怪しいと判断した訳だ。」

「どう対処するかや?」

「当分は泳がせる。万が一に俺の予想が外れていて斬り付けて違っていました。という訳にはいかないからな。」

「分かったわ。」

「とりあえず、戻って少女が居たら表面的には保護して、居なかったら、俺達の敵認定だ。」

「はい。」×8




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