宴会
酒乱は誰だ?
北の大国クロツバキ始まって以来の慶事(珍事)が始まった。
なんと、北を守護する狼王サラディナ=フロンティーラ様が、酒を煽って大盛り上がりをしているのだ。
「あははは! これは旨い酒だなぁ。幾らでもイケるぞ。」
「狼王様に喜んで頂いて幸せですわ。(ぎゃあああああ! 金貨10枚するお酒がぁ!?)」
「お!? これも旨そうな酒だな。」
「はい?」
「これだ。」
「……それは!?」
「駄目なのか?」
「いえいえ。どうぞ呑んで下さい。(誰だぁ? 私の秘蔵の酒を出した裏切り者はっ!?)」
「うん。旨い!」
「それは良かったです。(心の中の涙が止まらない~。)」
何か、ヒルドさんの心の声が聴こえる気がする。
俺達は成人しているが、なったばかりという事で、酒の席から離れている。
今、必死で酒乱になったヒルドさんや狼王様が絡んで来たら、どう対処しようかと考え中だ。
どうやら、少なくとも宴会の間はヒルドさんに絡まれる心配は無いようだな。
それはそうと、ランがさっきから肩を震わせている。
「ラン、どうしたんだ? 具合でも悪いのか?」
「違うよー。さっきこっそりとお母さんが隠していた酒を出したんだー。」
「え!? いつの間に?」
「宴会が始まる前にトイレ行く序でに。」
「あの時か!」
「そうだよー。お母さんが何か大事そうに隠していたからー。」
「ラン、後で謝っとくんだぞ。」
「は~い。」
一応、ダンジョン・コアを使って何か貴重っぽい酒が有れば用意しておくかな。
ん? 何か周りが静かだな?
えっ!?
ランも含めて全員がいつの間にか酒を呑んでいる!
非常~に嫌な予感がするぞ。
「皆、それ以上呑むと宴会そのものが楽しめなくなるから、それ以上は呑まない方が良いぞー。」
「わやわはりゅうりょくらからだいりょうむなろじゃ!」
「そうだよう。わらしらりはおしゃけに負けらいよ~。」
「セツナ様。私は大丈夫なのでご安心下さい。」
「リンよ。ならば何故に君の右手は俺のベルトの下を触っている?」
「大丈夫です。問題ありません。」
「ランもそうおもうー。」
「と言いながらも、何故ランも俺の指を食わえながら舐め回す?」
「リンと一緒で問題ないー。」
「そうであります。」
「そういうセレンも、何故に俺の左手を自分の頭の上に置いて離さない様に自分の手で押さえつけている?」
「セツナ殿、嫌ですか?」
「……嫌じゃない。」
「なら良いのであります。」
「そうやな。」
「ミヤも、何故に自身の尻尾を使って俺の首に擦り付ける?」
「問題無いやろ?」
「まあ、そうだが。」
「そうそう。問題無い、問題無いだ。」
「レイカ、俺の右足に抱き付いてベルトの下を凝視しない。」
「今更何言っているだ。」
「そうだがな……」
「ボクも、も、も、問題無いと思うよ。」
「イリスも何故、真っ赤になりながら、左足に抱き付くんだ?」
「良いじゃないか、減るもんでは無いし。」
「結局、全員がアウトか。」
今回は呑まない様にと離れていたのに、呑んでいた罰として、お姫様抱っこでは無く、両脇で運ぶ荷物的な持ち方で8人を部屋に2人ずつ運んだ。
勿論、ベッドに横たわる時にキスと頭撫で撫でを忘れていない。
こうして、皆を寝かし付けて戻ってみると、ヒルドさんが狼王様に襲われそうな状態だった。
「セツナ、ちょうど良い所で帰って来たな。見てないで助けてくれ!」
俺は見かけは百合な展開に頭が動いていなかった。
そうなのだ。
名前で気付いているだろうが、狼王様は女性(雌)なのだ!
さて、ヒルドさんの救援要請はどう対処すべきかな?
なんとなく、アイテムボックスのリストを調べていると、万が一が発生する物が有ったので試してみよう。
先ずは、草原が存在する方向の窓を全開にする。
「セツナ、早くしてくれ~。」
「お待たせしました。では、狼王様、コレ何~だ?」
俺は何かに使えるかなと思ってアイテムボックスに死蔵していた、「竜の骨(大腿骨)」を狼王様の前で振る。
信じられない事に反応した!?
俺は骨を大きく左右に動かすと、狼王様の視線も同じ様に動いた。
俺は確信した。
酒に酔っているのも原因の1つだが、確実にアッチよりになっていると。
俺は骨を狼王様の前で前後左右に降りながら、タイミングを狙って予め開けていた窓に骨を全力で投げた。
「取って来~~~い!!」
狼王様は、一心不乱に骨を追いかけて行った。
「ヒルドさん、大丈夫ですか?」
「何とかな。しかし、セツナも良い度胸だな。助けを求めた私が言うのもなんだが……。」
「とりあえず、これで宴会もとい、酒宴を閉会しましょう。」
「そうだな。……しかし、誰だ? 私の秘蔵の酒を出した裏切り者は?」
「それなんですが、どうやら、ランの悪戯みたいです。」
「ランが!?」
「パーティーリーダーとして、また、ランの未来の夫としてお詫びします。良い酒が有ればお贈りしますから、許して貰えないでしょうか?」
「良い酒が用意出来るなら許そう。」
「ありがとうございます。勿論、また後でランに謝罪に向かわせます。」
「なら、良い。」
片付けが大体終了した頃に凄い笑顔で骨(竜の大腿骨)を食わえた狼王様が立っていた。
「セツナよ、何故か私の中の何かが刺激された良い遊戯で有ったぞ。またやってくれ。」
「分かりました。では、骨(竜の大腿骨)を返して下さい。」
「返さないといけないのか?」
「はい。そうしないと次に使えませんから。」
「………………分かった。」
狼王様は本当に渋々に骨(竜の大腿骨)を俺に返した。
どうやら、酔いも冷めているようだな。
「狼王様、また鍛練の相手をお願いしても良いですか?」
「私は大抵はあのダンジョンに居るから、何時でも来るが良い。待っているぞ。」
「分かりました。ありがとうございます。」
「では、去らばだ。」
一瞬で、狼王様は消えた。
もう片方も用事を済ませますかな。
「ヒルドさん。明日から、周辺の盗賊狩りをします。」
「それは助かる。是非頼む。」
「分かりました。では、失礼します。」
「うむ。」
さて、明日は王都周辺の盗賊狩りをしますかな。
暖かい応援メッセージと星の加点をお願いします。




