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ヒルドさんと交渉

ヒルドの反応は?

 回復魔法とダンジョン・コアに出させた、滋養に良い食事をしたお陰で何とか持ち直した俺は、皆にこの後の予定を話した。


「とりあえず、このダンジョンを私物化したから、ヒルドさんの所に行って交渉しようと思うけど、どうかな?」

「賛成です。」×8

「ボクはセツナに質問があるよ。」

「ダンジョンを私物化するとどんなメリットが有るの?」

「色々有るけど、1番大きいのは強くなる為の都合の良い場所になる。」

「どういう意味?」

「ダンジョン・マスターに成れば、ダンジョンの魔物の強さ等を変更出来るんだ。だから、冒険者Cランクのダンジョンが、一瞬でAランクのダンジョンに変える事が出来るんだ。」

「他には?」

「ダンジョンに1/3以上の魔物の身体をダンジョンに吸収させれば、その魔物をダンジョンの魔物として出せるんだよ。しかも、強さを変更出来る。」

「成る程。他には?」

「欲しいアイテムが有った場合は、ダンジョン・コアにその情報が有れば、探す等をせずに、直ぐに手に入る。」

「他には?」

「結構踏み込むな、イリス。」

「教えて。」

「後はまあ、魔法の練習を周りを気にする事なく出来る。」

「成る程。……皆、セツナは私達に教えていないダンジョンの秘密が有るわ!」

「何でそうなる!?」

「女の勘!!」

「なんじゃそりゃっ!?」

「……セツナ君、キリキリ吐きましょうか。」

「妾も知りたいのじゃ。」


 他のリンやランもセレンやミヤもレイカも皆、自分の胸の前で握り拳をして鼻息荒く近付いて来る。

 仕方ないか、後の楽しみに取っておきたかったけど。


「実は、俺が複数のダンジョン・マスターに成った事で、支配下に措いたダンジョン間を転移する事が出来ます。」

「つまり、今直ぐに都市ミズナヤに行けるという事ですか?」

「そうだよ。」

「……凄いよ! これで移動時間が目的によっては大幅に短縮出来るよ。」

「何という事なのじゃ。」

「そういえば、オウカにも幾つかのダンジョンが有るわ!」

「バイコウにも幾つかのダンジョンが有るで、セツナはん。」

「……聞いた事がある。セツナ殿、吾の故郷の近くにもダンジョンが幾つか有るのであります。」

「セツナ! ボクの故郷の近くにも幾つかのダンジョンが有るよ。」

「旅行の目的の1つとしてはどうかな?」

「異議無し!」×8

「じゃあ、ヒルドさんを説得しに行って来るよ。」

「何故、1人で行こうとしているのかや?」

「そうだね。何人か連れて行ったら、セツナ君。」

「……いや、1人で大丈夫だよ。」

「怪しい。リーナとランでお願いしますね、セツナ様。」

「いや、別にひ……」

「お・ね・が・い・し・ま・す!」

「……はい。」


 俺はリンの可愛い(こわい)説得に応じ、リーナとランでヒルドさんに支配下に措いたダンジョンを貰いに向かった。


「どうした? この世の全ての不幸を受けた様な顔をして?」

「はい。前日話したダンジョンの件についてお願いが有り来ました。」

「ああ! あの使い物にならないダンジョンの件か!」

「はい。実はあのダンジョンを支配下に措きました。つまり、ダンジョン・マスターに成りました。」

「へ!?」

「ですので、色々とこの国に利益の有るダンジョンにしましたので、あのダンジョンを下さい。」

「ダンジョン・マスター!?」

「駄目だ。ヒルドさんの頭がまともに戻るまで待とう。」



 15分後


「私物化する変わりに、我が国の利益に成る様にしたと?」

「そうです。」

「ダンジョンの魔物を倒すと強さに応じてドロップアイテムの1つとして『魔石』が出ます。」

「何!? え? ……ちょっと待てよ。確か……、以前似た様な報告を聞いたぞ。………………!? 都市ミズナヤの冒険者ギルドのマスターからの報告だ!!」

「!?」

「という事は、セツナは2つのダンジョン・マスターという事か!!」

「秘密でお願いします。」

「ランが巻き込まれるな。分かった、黙っておこう。だが、それだけでは、国の資産であるダンジョンをやる訳にはいかん。だから、何か有るのだろう? 私の首を縦に降る秘策とも言うべきモノが。」

「……ええ、有りますよ。しかし、出来ればリーナ達に知られたく無かった。」

「セツナ君、どういう事?」

「後々に面倒事が有るのが分かっていたからだよ。」

「そんな事は後に話あえば良い。早く、秘策とやらを見せんか。」

「仕方ない、はいこれです。」

「何だ、このポーションは?」

「美容や美肌効果を持つポーションで通称『美容ポーション』です。このポーションは1本飲む事で、お肌艶々になりその効果は1本で1ヶ月持ちます。更に、ポーションを飲んだ後にそれ以外の美容や美肌効果を持つ事をすればより良い結果を生みます。そんなポーションがこのマジックバッグに99本入っています。これであのダンジョンの私物化を認めて下さい。」

「認めた! あっ!?」

「言質を頂きました。さあ、ポーションが入ったマジックバッグです。そのマジックバッグも、捨て値でも白金貨は下らないので大切に使って下さいね。」

「……おう!」

「いや~、流石はランのお母上だ。話の判る方で良かったよ。」

「セツナ、あのな……」

「ありがとうございます、ヒルドさん。後、ダンジョンの私物化は完全な秘密でお願いします。ランにも被害が出るかもしれないので。」

「敗けだ。敗けだ。だから、もう畳み掛けるな。」

「分かりました。」

「全く、何処でそんな遣り方を知ったんだ?」


 俺はウィンクしながら、右手の人差し指を俺の口近くに寄せて伝える。


「それは秘密です。」


「その仕草もだ!」

「出所は教えませんよ。」

「要らん、要らん。所でこのポーションを必要以上に飲むとどうなる?」

「お肌が焼き爛れた様になりますから、必ず月に1本までです。」

「分かった。無くなったら、届けに来るのか?」

「その為の準備も用意して有ります。その為には、1度俺と私物化したダンジョンに行く必要が有りますけど、行きます?」

「行く!」

「後、随行者は禁止です。」

「分かった。さあ、行こうか!」


 ヒルドさんの圧倒的な行動力のお陰で、仮にも大国の女王様が単独で俺を連れて私物化したダンジョンに到着した。

 余りの圧倒的行動力が原因で皆は王城に残ったままだ。


「私はどうすれば良い?」

「ダンジョンに入り、出入口が見える所に居て下さい。」

「俺は設定変更をしに行きますから、俺が戻って来るまで、余り動かない様にお願いします。」

「分かった。」


 俺はヒルドさんが見え無い所に入るとコア・ルームに転移して、ヒルドさんを見つけて設定を施す。

 終わって直ぐに転移をしてヒルドさんを見つける。


「ヒルドさん、終わりました。あのポーションが必要な場合は、単独でこのダンジョンの魔物を倒して下さい。そうすれば、ドロップアイテムがあのポーションになりますから。」

「分かった。あっ!! 丁度、魔物が居る。倒してみよう。」


 ヒルドさんが1人で倒すとドロップアイテムがあのポーションだった。


「よし!ポーションを手に入れたわ!!」

「この様に単独でやって下さいね。では、戻りましょう。」


 行きと同じ様に移動して皆の下に戻る。


「もう、行って戻ったのですか?」

「ああ。終わらせてきた。」

「セツナ。この後はどうする?」

「後、2つダンジョンが有るからその2つのダンジョンを踏破しようかと思う。」

「分かった。頑張れ。私は公務に戻る。」

「分かりました。ヒルドさん、ありがとう。」

「婿殿の為だ。」

「勝手に決めたら駄目ですからね。」

「冗談だ。」

「質が悪いですよ。」

「わざとだ。」


 こうして、言葉のやり取りしながら、ヒルドさんは公務に戻った。


「皆。今日はのんびりして、明日からは残り2つのダンジョンを踏破したい。どうかな?」

「行きましょう!」×8



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